インフィニット・ストラトス 新たな闇(試作物) 作:赤バンブル
シャドーは地球に帰還後、影美から最終調整を受けた。そして、自分の個人情報などをインプットした上IS学園に入学することになった。
名前は「シャドー・ベンゼン」、影美を代表する企業(専ら侵略の一環としてだが)「シャドー・コーポレーション」の御曹司として扱われている。
影美はシャドーをIS学園に入れるために様々な細工としておいた。展示されていたISを偶然起動させたというところを職員に見させIS委員会に報告させることでいとも簡単に学園への入学を勧めた。
そして、今シャドーは教室前に待機していた。隣にはかつての兄和人、更に隣には(自称)用務員の轡木十蔵がいる。シャドーを見たとき和人は「一夏!?」と驚いて聞いてきたが記憶と全て消去したシャドーにとってもはや赤の他人でしかなかった。
一方の教室内では入学式を終えた生徒たちが転校生の話を聞いていたところだった。千冬は弟和人の他の転校生について考えていた。男子生徒についての情報はシャドー・コーポレーションの条件で一切公開されていない。それ故に謎に包まれている。女子生徒たちは二人の男子生徒に対して様々な思惑を浮かべながら待っていた。
「それでは教室に入ってください。」
轡木が声をかけると二人は教室へと入っていく。和人が表情豊かで明るそうな顔に対し、シャドーは冷徹感あふれる目つきではあるが容姿は整っており女子たちにとっては取り敢えずイケメンの部類に入る。
(一夏!?)
女子生徒の中の一人である篠ノ之箒は驚いた顔でシャドーを見ていた。それは担任であり実の姉である千冬も同じ反応だった。
「それではお二人とも自己紹介をどうぞ。」
「織斑和人です。趣味は家事と読書、スポーツ、嫌いなことは差別のある今の世の中です。以上です。」
「シャドー・ベンゼン・・・・・・以上だ。」
和人がハキハキと話すのに対し、シャドーは自分の名前のみを言い席へと座っていった。
「何あの二人、素敵じゃない?」
「一人は明るい系でもう一人はクール、かっこいい~~!!」
二人の登場に生徒たちは騒いでいたが千冬はすぐに一喝する。
「お、お前たち静かにせんか!」
一喝しながらも千冬はシャドーの顔を見て動揺する。それは弟の和人、箒も同じだった。
無表情ではあるが顔は間違いなく一夏そのものだった。
そんな三人の考えとは裏腹にシャドーは教科書を開いて顔を隠した。
自己紹介後の休憩時間、箒はシャドーに声をかけて見ることにした。名前が違うとはいえ本人に間違いないと感じていたからだ。
「ちょっといいか?」
箒はシャドーに声をかけて見た。どう見ても顔は一夏にしか見えない。しかし、シャドーは記憶がリセットされているため当然彼女のことを覚えているはずがない。
「・・・・・・」
「おい、聞いているのか?」
「・・・・・・」
声をかけても無視をして教科書を読むシャドーに対して箒は段々イライラしていく。そこへ和人がやってくる。
「おい、シャドー。」
和人の言葉にようやくシャドーは反応する。
「何のようだ、織斑和人。」
感情のこもっていない声に一瞬気を引くものの和人は問う。
「お前は俺や箒のことを知っているか?」
「貴様のことはニュースで知っている。篠ノ之箒については篠ノ之束の妹だということぐらいしか知らんな。」
シャドーの冷淡とした言葉に箒の頭は真っ白になり、正気に戻ったのは千冬に叩かれたときだった。
「は~い、ここまでで分からない人はいますか?」
教科書を読みながら副担任の山田真那は生徒たちの様子を見る。
真那の説明は分かりやすいものだがシャドーにとってはどうでもいい事であるため基本的無視している。
「シャドー君も大丈夫ですか?」
「・・・・・特に問題ない。」
「・・・・・・」
あまりにも無関心なシャドーの言葉に対して真那は苦笑いする。それをフォローするのかのように和人が言いだした。
「で、でも、山田先生の教え方は分かりやすくていいと思いますよ!」
「そ、そうだよね!教え方上手だし!」
「そうですか?」
「そうですよ!なあ、みんな。」
「「そうそう。」」
「ありがとうございます。なんか恥ずかしいです・・・」
和人のおかげでどうにか暗い雰囲気は収まった。
真那の授業が終わって次の休み時間、和人は再びシャドーの席に来た。
「なあ、シャドー。その・・・なんというかさ・・・・お前いくら何でも暗すぎないか?」
和人はシャドーの機嫌を伺いながら声をかける。当然シャドーは無視をする。
「・・・・・・」
「これからさ、長い付き合いになるんだし・・・・もう少し明るくいこうぜ?なあ?」
そんなことを話している中、金髪の少女がシャドーの席に来た。
「ちょっと宜しくて?」
「あ、アンタは確かセシリア・オルコットさん。」
無言なシャドーの代わりに和人が名前を言う。
「まあ、男の癖に私の名前をご存じなのですね。」
上から目線で言うセシリアでもシャドーにとってはどうでもいい事であるため無視して読書を始める。
「ちょっと、そこの方聞いていますの?私が直々に声を掛けに来たのですから相応の態度で・・・・」
「お前のことはデータで確認済みだ。興味などない。」
「なっ!?」
シャドーの言葉にセシリアは驚く。
「お前に声を掛けられても得る物はない。さっさと消えろ。」
「あ、貴方は・・・・」
言いかけたと同時にチャイムが鳴る。
「あ、やば・・・・早くしないと千冬姉・・・・じゃなくて織斑先生に叩かれるぞ!」
そう言うと和人は慌てて自分の席に戻っていく。
「う!・・・また来ますわ、逃げないことね!」
セシリアも後を追うかのようにその場を後にして行った。
次の授業は千冬の時間だった。
「さて、この時間はISの各種武装について説明するがその前にクラス代表を決めないとならんな。クラス代表は普通で言う学級委員のようなものだ。学校行事をまとめたり、クラス代表として試合をしたり・・・・・とまあ、簡単に言えばクラスの顔だ。」
簡単な説明をすると千冬は一呼吸を置いて言った。
「自薦、他薦でも構わない。誰かやってみたいのはいるか?」
「はい!私は織斑君がいいと思います!」
「じゃあ、私はシャドー君がいいと思います!」
「私も!」
シャドー、織斑と言う推薦が多数挙がった。無論シャドーは興味もないため、無視している。
「あの・・・・俺はできればお断りしたいんですけど・・・・・」
「自薦された者には拒否権はない。諦めろ。」
「そ、そんな~。」
和人はあんまりだと思いながらも黙る。
「ちょっと待ってください!そんな選出認められませんわ!そんな二人の男のどちらかを代表にするなんてこのクラス・・・・いいえ、この学園の言い恥さらしですわ!」
セシリアは立ち上がると抗議を始める。
「実力からすれば私がなるのが必然!珍しいからと言って男を代表されては困りますわ!そもそも私がこのような極東の島国に来たのもISの修練のためであり、サーカスをしに来たのではございませんわ!大体、文化として後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、私にとっては耐えがたい苦痛で・・・・・」
そこから先は二人に対しての暴言にはとどまらず日本に対しての侮辱に近いものになっていた。周りが日本人であることも忘れ、セシリアの講義はエスカレートしていく。
そんな中シャドーは思いがけないことを言った。
「くだらないな。」
「く、くだらないですって!」
「貴様はただ自己中心的なことに言っている。代表候補生が他国を侮辱するようなことを言えば日英戦争が始まってもおかしくない。」
「そ、それは・・・・」
「そもそも貴様が文化が後進的だと言っていたがISもこの国の人間が作ったものだ。」
「うっ・・・・」
シャドーの的確な指摘にセシリアは言葉を失った。
「所詮は感情を押さえられない上に発した言葉。貴様が本当に代表候補生ならイギリスも世の末だな。」
「シャドー!それはいくらなんでも言い過ぎだって!」
和人はシャドーの人のことを考えない言葉に注意をしようとしたがここで話が終わるのなら苦労はしない。
「私を何処までコケにしますの・・・・・こうなったら決闘ですわ!」
「え!?ちょっ・・・・」
「雑魚のお前では俺に勝つ確率はゼロだ。」
「って、おい、シャドー!」
結局、和人の説得も意味がなく、一週間後にセシリア、シャドー、和人の三人で代表決定戦を行うことになってしまった。
この話で出てきた「シャドー・コーポレーション」は影美が表上IS開発企業として運営している会社で表では男性用ISを開発していると言っていますが裏ではシャドーの成功を持っての改造兵士の研究を行っているというところがあります。
感想頂けるとありがたいのですが批判や文句は固くお断りします。