やはり俺のコネクトは間違っている   作:M.K

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満を持して、魔王はやってくる①

 

あれから3日が経った。

<人格入れ替わり>が終わる気配は無い。

いよいよ、繰り返される奉仕部員の奇行に噂話が流れはじめた。

 

曰く、多弁な女子が突然黙り込む

曰く、黒髪の美少女が突然ギャル語で喋り始める

曰く、目の腐った様な男子が女子トイレに侵入してくる、等。

 

しかし、驚くべき事に目立った実害は特に無く、段々と普段通りの生活を取り戻しつつある。

…この『非日常』が『日常』になりつつあるのだ。

ゾッとする話である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

コンコン、とドアをノックする音が響く。

自然と、警戒心と緊張感が部室を包み込む。

雪ノ下が返事をする間もなく、ドアは開いた。

 

「やっはろー!雪乃ちゃん、比企谷君、元気ー?」

 

ずっこけそうになった。

 

いや、だって仕方ないじゃん?あれ以降誰かが訪ねてくることもなかった訳で、、、

<ふうせんかずら>の奴が来たのか、って身構えちゃっても仕方ないと思うの。

しかし…

 

「なにをしに来たのかしら?姉さん」

 

雪ノ下が俺の---恐らく奉仕部全員の---心を代弁してくれた。

奉仕部のドアを叩いたのは雪ノ下雪乃の姉である雪ノ下陽乃、その人である。

 

「用が無かったら来ちゃダメなのかなー?雪乃ちゃん」

 

「ええ、ここは奉仕部よ。依頼が無いならさっさと出て行ってちょうだい」

 

「冗談だよー!そんなに怒らないでよ雪乃ちゃん♬」

 

…こ、こえええええええええ!!!

昔なにが有ったのかは知らないが、雪ノ下(妹)は毎回毎回敵意をぶつけまくっている。

雪ノ下(姉)はそれを承知した上でちょっかいを出してきているようだ。

今の会話の最中も全く目が笑ってなかったぞ…

 

「それなら」

 

雪ノ下が問いただそうとしたその時、雪ノ下と由比ヶ浜の目が一瞬だけ、虚ろになった。

どうやら『入れ替わった』らしい。

っと、マズイな…

 

「用事ってのはなんですか?」

 

雪ノ下(姉)は、突然話に割り込んで来た俺と、突然黙った自らの妹を見比べて一瞬だけ訝しげな顔をしたが、すぐに華やかな笑顔に戻して口を開いた。

 

「そうだね。私は今日、比企谷君を借りに来たんだよ」

 

この時間なら部室に居ると思ってね、と彼女は続ける。

 

「…はあ。どうしてですか?」

 

そんな俺の質問に対し、彼女は俺の近くに来て、耳元に口を寄せる。

雪ノ下と由比ヶ浜が真っ赤な顔で何かを言っている。

俺はと言えばドギマギしてし「<ふうせんかずら>」

 

「ーーー!!」

 

彼女が俺の耳元で囁いた言葉に、頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。

一気に思考が冷めると同時、色んな疑問が浮かび上がる。

口に出そうとするが、上手く声が出せない。

 

そんな俺の様子を見た雪ノ下(姉)は満足気に、悠々と宣言した。

 

「それじゃあ、比企谷君は借りてくね。明日には返すから心配しないでね〜」

「え、ちょ…」

 

抗議する間も無く、手を引かれて連れて行かれる。

扉を閉める直前見えた、雪ノ下の不安そうにしている顔が目に焼きついていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…どういう事なんですか?あのタイミングで俺に<ふうせんかずら>なんて言ったって事は、貴方はある程度この状況を…」

 

「貴方なんて他人行儀な呼び方じゃなくて、陽乃さん、って呼んでもいいんだよ?

…で、そう。把握してるよ。今、君達に『人格入れ替わり』が起きている事はね」

 

 

あの後、俺は雪ノ下さんに学生の味方であるサイゼリヤに連れてこられた。因みに、道中での質問は一切禁止されていた。美人の笑顔ってほんとに怖い。

ようやく腰を落ち着けたかと思えば、奢るから好きな物を頼みな、なんて言われ。

ドリンクバーを二人分注文してから、ようやく質問タイムが始まった。

 

 

 

「…色々聞きたいことはあるんですが、最初に。

どうやって『人格入れ替わり』の事を掴んだんですか?」

 

「どうってことはないよー。静ちゃんの身体で<ふうせんかずら>が私に話しかけてきて、色々と説明してきただけ。私に干渉して欲しいんだってさ」

 

今度こそ気絶するか、という程の衝撃を受けた。本日2度目。

<ふうせんかずら>が雪ノ下さんに話しかけた…!?

 

「ど…どういう事ですか!?干渉って…」

 

「<ふうせんかずら>は君らを『面白く』したいみたいだね〜

つまり、私に奉仕部が面白くなる手伝いをしろって言ってきたんだよ」

 

「…それを承諾したんですか?」

 

「うん。私も最近退屈してたしねー。そもそも拒否権は無かったみたいだけど。

ただ、あいつの思い通りになるのも癪だったから…

2つ、条件をつけたんだ。」

 

「条件…?」

 

「うん。一つは奉仕部の誰か一人に事情を説明する権利…これは比企谷君ね。この事、皆に話しちゃダメだよ?

もう一つは…あ、来た来た」

 

雪ノ下さんは突然話を中断し、俺の後ろの方に手を振り出した。

思わず振り返ると、サイゼの入り口から茶髪で背の高い男性と黒髪の女性が俺たちが座っている席に向かって歩いてきていた。

 

「もう一つは『第三者の介入』…紹介するよ、比企谷君。

八重樫太一君と稲葉姫子さん。

彼らは、<ふうせんかずら>の『現象』の経験者だ」




投稿が遅れてしまってごめんなさい…!
難産でした…
いよいよ本編に雪ノ下姉とココロコキャラ登場。
これから太一と八幡の絡みを書くのが楽しみです

次回は4日後の4月1日に更新します
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
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