酒場・月の番人
「誰だ…アイツ…」
hubワールドにいた謎の敵、今までとは格が違うのだ
「案ずるな」
頭上からカラカラという音とともに声が聞こえる
「……誰だ」
ニアは警戒をするが探索に行ったものは安堵の表情を浮かべる
「おお、あなたが姫君か、私はユキ、この世界の神に作られし傀儡、あなたの配下の魂のかけらを預かりました」
「どういうことだ」
「……ヤツらは、彼を駒にしようとしている、私は一足早く彼に接触して魂を少し預かりました、彼の魂は今は一体の傀儡にある、彼は今洗脳された、気づかなかっただろうが、既に彼の意識はボロボロだった、そして今は、完全にあなたに敵意を向けている」
「……」
「彼の洗脳を解くことは可能だ、だが彼を倒さないで解くなんてことできない、そして彼はあなたの殺害と私に渡した魂を探している」
「……で?なんだ」
「私はこれを伝えに来ただけです、リミットは……30日だと」
「……やつの魂は「そうじゃない」ではなんだと」
「貴方方の目は節穴なのか、周りをよく見ていただきたい」
全員がキョロキョロと周りを見る
「……あれ?小麦ってあんなにリアルだっけ?」
「草のグラフィックが……違わなくねぇか?」
「階段が上り下りしやすくなった?」
「……なんか、周りのものがリアルっぽいのか……?あ!松明なんか本物の火が付いてんぞ!?」
「どういうことだってばよ」
「あと30日で、全てがリアルとなるだろう、あなた方のな」
「……は?」
「噛み砕いて話してください」
「簡単だ、お前達が、抜け出せるのは…あと30日以内、それだけだ」
「……嘘だろ…でもまあ…」
「それな、リアルよりはずっといい世界ではある」
「だけど俺はやりたいこと山ほどあるし……帰る努力はするけど残る気持ちでやるわ」
「同意」
「まあ、それでいんじゃね?面倒なことしなくて良いし」
「どのみち敵はぶっ倒さねぇと危険だからな」
「安全なゲームの世界とか最高じゃん、なあ!」
「「せやな」」
「……ふ、あはは…我が神の造りし世界は……愛されていたか」
「もちろん、れいたんの鯖だから楽しいんじゃん」
「自分もこの世界、大好きですよ、さてと、努力はするんですよね?のんびりする時間はない、装備を整えよう」
「待て、一つだけ言おう、30日たった先、会えなくなるものもいることをしっかりと理解しておけ」
「もち、人間関係の面倒な部分からも解放されんだよね」
「せやな」
「……はぁ、まあいい、私がここを見張ろう、さあ、全力を出す準備をしろ」
「……さて?なんだこれ…」
「お、新しいスキル」
「こっちは装備か」
「……へぇ」
「よし、最後まで戦い抜くぞ」
「待って欲しい」
「ん?」
「あのさ、少なくとも2人は勝てない敵がいる、PS的な意味ではない、システム的にだ」
「そ、そして1人と一体がただしーと思う」
「え、なんなの?そんなのいるの?」
「マジでかー」
「死の恐怖、スケィス、そして」
「あのメガネは間違いなくオーヴァン、コルベニクやられたら即逃げないとね」
「……まぁ、無理な戦いでもやらねぇとな」
「ダメで元々か、まあしゃあない」
「あ、せや、俺らのスキル通じるんちゃうん?」
「体力が表示されるようになってますよね?敵含め、それRPG使いましたがバグ表記でやはり入らないんです、出来てプロテクトブレイク、無理なら全滅。
そして誰かデータに直接干渉するものがいる」
「んで?なんだよその笑顔は」
変わった形のハンドガンをグルグルと回す
「え……あれ?うそ…ブリーラー・レッスル!?本当に!?」
「そう、ただ、これが通じるかが問題なんだよなぁ」
「あ、そうか……The・world内のシステムなのかMick内のシステムなのか…」
「The・worldでもイリーガルすぎるものだ、石化できたら最高くらいだろう…Mickだったらシステムを消すか、ただそれ通じねぇと思うんですわ」
「……いちおうは希望が見えてる訳か」
「なんか羨ましいわ」
「いや、これ使うのは誰でもいいんですよ」
「くれ(」
「俺にくれ」
「無理です、射撃スキルの補正が今ついてるんです、なぜか、これを使うしかない、そして射程が凄く短い、プロテクトブレイクしてもね」
「……まあいいや、さっさとやろうか」
「セフィロスいたんだけど」
「セフィロス!」
「塩酸しめじヒラメ出目金」
「ブラピいたぞ」
「とりあえず敵戦力は不明ですし、召喚してきたやつを叩きましょうか?」
「俺に任せろ、忍びの力見せてやるよ」
「……よし、行動開始じゃぁぁぁぁ!」
「終わったか、行くぞ」
「いや、待て」
ジジジ…ジ…ジジ
「ノ、ノイズ!?ちょ……まさかいきなり禍々しい波が来るのか!?」
「確かにスケィス一番目だし…」
「……回復全力でしろよ!?マジで負ける!」
予測通り黒い石人形が姿をあらわす
「だぁぁ!死ねよ!なんで出てきた!」
発狂したように叫ぶ
「全員攻撃開始!」
誰かが叫ぶ、ユキさんはニアさんを連れて離れる
「狙撃する!前衛はダメージを抑えろ!」
九七は本当にいいと思うよ、杖を持つ手に銃口を向ける
「データドレインくる!逃げて!腕輪ないよ!?」
hakurouさんが危うくデータドレインを食らいそうになる
「らぁっ!」
「はっ!」
確実な一撃を全員が与える
「そっち危険!あ、全員ヤバイよ!?
「まず!?死の波動くるぞ!離れろ!その次全体が凍る!ダメージ受けるから回復しろ!」
瞬間移動に近いそれは人を嬲る事を楽しんでいるようにさえ見える
「……!」
スケィスが残像を伴いこちらへと向かってくる、たまらず狙いをつけずに弾を放つが偶然にも直撃、ダメージはないがノックバックを与える
「もろに十字架食らうと即死もあり得るんだぞ!離れろ!」
hiroさんの応用スキル、ファイアーレインが降り注ぐ、1本の矢を放つだけだが空中で質量を持った分身とともに敵を射撃する某真島の兄さんもビックリの技である
「プロテクトブレイクはまだか…!」
全員が攻撃をやめない、まだ即死級のダメージを受けたものはいないがゲームなら既に15回くらい仲間が死んでそうなものだ
「あー!ちくしょう!」
コントローラーを二つほど使えなくした(線が切れたり割れたりした)思い出を思い出しながらダメージを与える
「無理だ!引こう!」
「あと一撃かもしれない!まだ戦えるんなら戦うしかないだろうが!」
逃げたい奴と残り倒そうとするやつで別れ始める
「逃げたきゃ逃げろ!誰も咎めない!」
全員がスキルを乱発する
「魔法使う!離れろ!」
hikariさんが高いところに登る
「エクスプロージョン!」
その爆風でたまらず吹き飛ぶものもいる
「ありえねぇなこの威力…」
「さすがにこれなら……」
「だよな…」
甘い
わかる、確かにこの威力はすさまじい、だが
ジジ…ジ……ジジジ
傷一つないのだ、ヤツは
「ヤツは生きてるぞ!油断するな!」
鯖味噌氏の目の前にスケィスが現れる
「え……」
とっさに防御しようとするが遅い
ぐしゃっ
酷い音ともに壁に叩きつけられる、HPはもうない、瀕死だ、さすがに壁職ではないがあの減り方はやはり異常なのだ
「回復!ぼうっと突っ立ってるなら消えろ!ヘイトを稼ぐならもっと動け!」
指示を飛ばす、全員がハッとするがこれはもう無駄だ、逃げるしかない、最後にブリーラー・レッスルを少し撃ち込む、それで時間稼ぎでもできるだろうか
「引け!もう無駄だ!」
その言葉を待ってたとばかりにコマンドを打つために全員が止まる
「何止まってるの!?止まっちゃダメですよ!?」
ネロは一応走りながら音声入力しているらしい、ニアさん達も引いた、ここを早く離れないと間違いなく死ぬ
「あ!あぁ……!」
ウィンさんが……捕まった
十字架に磔にされ左腕を向けられる、その左腕の紋章
「「データドレイン…!」」
「誤射ったらごめんなさい!」
そう言って対物をスケィスの腕に打ち込む、データドレインをやめ、うぃんさんは落ちる、数メートルの高さから落ち、ボロボロだがなんとか離脱したらしい
どうやらタゲをもらったらしいが他はネロくらいで全員離脱している
「ブリーラー・レッスル!」
撃つ、撃つ撃つ撃つ
何発も何発も、目の前に操作ウィンドウが現れたからすぐに目を通す、石化があるから押す、しかし実行されない
「なら…!」
スケィスをオブジェクトにする
スケィスは固まった、一瞬だ、だがすぐに腕を振り、十字架を向ける
「グッバイ」
時間は稼いだのだ、もういい、次はプロテクトブレイクしてからやることなのだ、コマンドを打つ時間さえ稼げれば問題なんてない
hubワールド
「……」
「嘘だろ……どんだけエグいんだよ」
「カイトは偉大だわ」
「ゲームの話してる場合かよ!?」
「レベルさえあげればなんとかなるんじゃないですか?プロテクトブレイクは確実にある、きっと」
そう、あるのだ、どんなシステムにも弱点がある
どんなプロテクトも破れる
「ほら、本体やったら死ぬパターンかも、さっさと探しましょう」
明るく振る舞えば明るくなる
そう思う事にした
知りたいことは山ほどあるが……やつらは……なんなんだ
「自分らは…なんなんでしょうね」