誰も彼も喋らない
いや、爆炎に呑まれ、重傷を負った
回復をすることができる人間はおらずもう全員の意識がぼうっとしたもので言葉を発することさえできなかった
「………」
クレイと呼ばれた存在はジャックの遺品と言えるだろう仮面を拾う
欠けた、ヒビだらけの
「……!」
膝をつき、血を吐く
改めて自分を見ると体は傷だらけで大量の血が流れている
このままというのもよくない
手に持った仮面を顔につける
すぅっと息を肺に取り込む
なんとも新鮮でいい気分だ この痛みを除けば
「……」
炎に包まれるとともに存在は姿を消す
ニアの目は虚ろながらもその存在を捉え続けていた
スタッと音を立ててこの惨劇の舞台にたどり着いたのは数十秒後だった
しかし、冷静物事を判断した彼女は即座に回復をかけて全員の傷を癒し刺さった破片を取り除いた
全員の傷はひどくまともに喋れるものはおらず全員がゼェゼェと息をしていた
回復にはどれほどの時間がかかるのだろう
これはHPを削られただけのダメージではない
なにが起きているのかわからない
いや、これはもしかすると日にちが経ち過ぎたのか?
リアルに近づき過ぎたのか?
そう考えるともう待つ余裕はない
1人ででも行かなくては
「待て……」
察したのであろうニアが息を荒げながら声をかけた
「行くな……もう…2人………死んだ………」
「2人?」
「……頼む…行くな……」
大穴を覗き込む
川に血がこびりついたようなどす黒い赤だけが残っている
「……感覚が麻痺しちゃった…あはは…」
そう言って不快感を覚える
脳にこびりついた不快感を振り払い向きなおる
「こんなことになったなら……なおさら急がないといけない」
「やめ…___
言葉は遮られた
「姫、これ以上の時間の浪費は彼女達のためを思うのであればおやめください」
「……紫蘭」
「私の役目は護衛です共に行動はできませんがこの方達の介抱はさせていただきます」
「……ありがとうございます」
彼女が真っ先に向かったのは屋上とは名ばかりのガラス張りの天井
猛ダッシュで走り続ける
ダンッと地面を蹴り風を切り登り切る
何かがあるわけではない
ガラスは落ちてしまい天井などなかったかのような空間だ
バカと煙になりたかったのだ
跳躍し上に上に飛ぶ
あぁ…とつぶやき虚空を見つめる
「この世界に居続けちゃいけないんだ……私は」
肯定も否定もない
静寂だ
フッと何かが切れた
天井のない空間へと飛び込む
落ちる
堕ちる
落ちる
落ちた先はhubワールド
「どこにいけばいいのかな……」
一言言うと迷いなく赤石の方へ歩く
禍々しい紫のゲートを見る
迷いなく進むと同時に足元が爆発した
バックステップした先に振り返り剣を振るう
雑魚がバラバラと崩れる
「なんでこんなのが……」
ダッと足元に何かが当たる
穴が開いていた
銃弾で開けられたような……
振り返ろうとした時首に衝撃を感じ意識が沈んだ
「さて、邪魔者は消えたな」
少女を放り投げる
「ああ……あー……そうだな、いくか」
「もう全員殺してやるよ」
「ははは、これも殺しとくか」
「後で嬲り殺せばいいさ、目も覚めんだろう」
「……はぁ、いくか」
紫色のゲートを砕き
誰も入ることができなくなったことを確認し彼らは動いた