「敵軍!城内部侵入!このままではここまで到達するのに3時間ともちませぬ!」
「構わん!殲滅せよ!」
「狂王さま」
「いいだろう、行け!クレイ」
「ありがたきお言葉」
内部の構造は実際の世界より入り組んでいた
わかってはいたが異様に大きく、入り組んでいたのだ
少し周りを見れば柱から伏兵が襲い来る
曲がり角は常に出待ち、全員消耗を余儀なくされる
「行くぞ!続けェェ!」
『おぉぉぉぉぉぉ!』
精霊の盾を構えたパラディンに続く
マジシャンのバフはいつまで耐えられるのか
考えてる余裕はまるでない
どうにか、少しでも休める場所を見つけなくては
その一心で進む
精霊の盾を敵の攻撃は透過しない
その範囲の中にいる味方はどんな攻撃もダメージを受けない
まさに無敵
パラディンの突進に全員が続く
伏兵さえも出て来ても各個撃破されるだけだ
しかしスキル時間とクールタイム
そして回復待ちによりこの効果はどうしても途切れてしまうのだ
「効果切れるぞ!」
「進軍停止!後方警戒しつつ防衛線を張れ!」
的確な指示と共に前方には人形兵が展開される
人形兵が静かに前を見つめ、剣を構え、盾で身を隠す
総勢20万の防衛がいる城を攻略するのは容易ではない
通常、攻城戦には防衛側の三倍の人数が必要だとよく言われるものだ
なんて楽しそうな戦いだろう
そう思いながら壁を登る
ああ、ああ、ああ!この高揚した気持ちを抑えることはできない
「早く、その時を…!」
「進軍!」
何度も繰り返される
倒した敵は五千にも満たない
いや、千を倒せたのか、それさえわからない
数える暇などないのだ
「なあ、そういえばさ…一応、一応訊く」
「あぁ!?」
「あいつは、居ないのか?」
1人いないのは全員がわかっていた
それは誰も口にしなかった
「そっちは見てないのか」
「…こんなものを拾った」
亀の甲羅のような形の鉄のプレート
少し欠けていたり溶けているが…
文字が刻まれている
それを誰も見ようともしなかった
「…前方!砲兵!」
爆音がして通路全体に煙が立ち込める
「ヤバい!奇襲されるぞ!」
「壁壊せ!」
爆音が鳴り響く
フッと外から熱風が流れる
この空気がえらく綺麗に感じた
「頑張ってるネ…」
はるか前方から迫る軍団を見てそう言う
その軍団から矢が飛んで来た
一寸の狂いもない
「ヘェ?」
敵は、こちらを、静かに…
「ジャック…」
「もう奴は敵だ、気を許すな……………何が何でも仕留めろ」
「うわぁぁぁぁぁッ!?」
前方で悲鳴
そちらを見た瞬間に黒煙が舞い上がる
黒煙は目にも留まらぬ速さで足元を駆け回る
「サヨナラ」
足元がガラガラと音を立てて崩れ始める
「クレイ…!」
「落ちるぞ!」
「死なないように踏ん張れよ!」
どこまで落ちるのか、それはわからない