「……」
全員の闘志がみなぎる
この階段が見せるのは、ほんの少し前の過去
登るにつれて嫌な過去から、決意の今を見ることができた
決意は固い
誰も言葉を発さず息を飲んだ
紫の炎が止まったろうそくがある、それだけだ
怪奇現象?違う
ヤツがいる
「どーも、どーも」
思ったより軽めの口調だがそれにより全員にビリビリとした空気が流れる
「こんにちは、いい天気……とは言い難い、姫君、どうか大人しく投降してはくれまいか、君のせいで何人も死ぬのは、嫌だろう」
「いや?それはない」
「ほぅ、全員死んでもいいと?」
「いや、この者たちは……わたしの駒ではない、自分の意思を持った戦士でありながら兵士でもある」
「なんとすばらしきカナ……ねェ?ヒ、メ」
「……お前とは決別の時だ、クレイ」
「残念残念、ここで終わりニしたかったのにナァ」
ニアは半分しかない仮面を取り出し、指先でなぞる
「その仮面持ってたんだ?それジャ、決別できてないじゃなイ?」
「決別にも色々な形がある、私が選ぶのは、これだ」
顔を伏せ、手を当てる
次に顔を上げた時には顔半分は仮面により埋まっていた
「ン?ンー?ドウイウコト?説明してほしいナァ?」
「今のお前を否定する、過去のお前は認める…いや、認めていた、過去のお前のみを私の記憶に残し、今のお前とは、違う道を歩む」
「そうか、ソウカ!ソウカソウカ!スバラシイ!」
声が反響し、地響きが怒ったような錯覚に陥る
「ナラバ、俺も本気で行くぞ、ニア」
仮面は本来顔半分を隠すものではない、顔の輪郭や目元、いろいろあるがその人だ、と分からなくしてやっと意味がある
そしてクレイの仮面も同じ、意味が仮面にある
クレイの仮面はニアの持つ仮面の対照的なもの
色は真逆、そして十字の交差から風景を読み取るニアの仮面とは違い何かを見る穴はない
「俺、スペアなら持ってたんだ、でも、本物の方が、好きだなぁ……」
ガラリと変わる雰囲気に息を飲まずにはいられなかった
「だから、ちょうどいい、それ、返せよ」
言葉を発するとともに両手に双剣を握る
しかし刀身はなく、あるはずのそこにはトランプがバラバラと降り注ぐのみだ
まるで、刃を形成するかのように舞い踊る
「さあさあ!始まりましてはしがない道化師のナイフショーにござい!今回のお相手はこの方……いや、観客の皆様もお相手願います!地獄の殺戮ショーを始めましょう!」
どこからか歓声と拍手、それとともに大量の敵が降り注ぐ
「……地獄か、ここは!」