「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
雄叫びとも悲鳴とも取れる声を上げて敵がなだれ込む
全員が全員接近戦ができるわけではないのだ
近づかれぬよう守る陣形を組み、戦う
しかしそうもいかないのが現実である
「誰か、忘れてんじゃないの?」
天井に立ち、こちらを見上げている、いや、見下ろす形で佇んでいる
「紫炎・紙爆遊戯」
燃えながら紙が落ちていく
黒く燃え尽きた紙は爆発し、誘爆する
それは敵味方を考えることもなく爆発する
そして紙ゆえに鎧の中、足元、どこにでも入り込む
「まずい!足が!」
「取ってくれ!取ってくれぇぇぇ!」
阿鼻叫喚
正にそんな言葉が似つかわしい
「精霊の盾!」
味方の爆発は盾が受け続ける
しかしそれも限界がある
「……!ヒビが!マズイ!あいつを止めろ!」
「無理だ!くそ!畜生!」
そう叫んだ時紙はもう降り止んだと気づいた
「……なんでだ?」
静寂の中にポツリと一言
クレイの姿はなく、敵兵の死体のみが道を占拠している
しかし道の真ん中にはぽっかりと空洞があり、誘っているかのようだった
「……進めってことか」
危険承知で進む
そして時々敵が襲いかかってくる
武器は刃が溢れ、防具はヒビだらけになる
全員が体力を消費しきっていた
ユキが陣形を貼り
バリケードを作る
その間に少しずつ体力を回復する
しかしどう足掻いても、ここまでだ
だが、ここで全てが終わる
しかし全員の士気は下がるばかりだ
息を荒げ、何とか呼吸しようと息を大きく吸い込む
まずく、何かが口に残る
つばを吐き捨て先を見据える
まだ、終わってない
柱が大量に立った広間へと誘われる
気づくのが遅かった
出口は縦持ちの兵隊に阻まれ前方には玉座
そして玉座には黒い軽装の男が佇んでいた
その隣にはクレイ
じっと見つめているだけだった
「……旅人よ……」
少し震えた、重い声
「0と1の旅人よ、お前たちは我らの同胞を殺した……しかしそれは正当な行為だ」
皇帝の意見だった
全員が顔を見合わせた
「だが、確かに、正当だ、だが私にはわからないことがある」
「貴様らは、なぜ、なぜ愛される、我らは一瞬にして全てがかき消されるのになぜ貴様らは!貴様らだけが!何も!失わない!私達だけが!すべてを今のいま!この場で!何もかも失う恐怖に怯えなければいけない!」
咆哮
獣の咆哮の様な声はやはり震え、どこか悲しげだった
「貴様らは!同じだというのだろう!失うと!しかしこの小さき世界は!お前たちを永劫に記録せねばならぬ!私たちを捨て置き!私たちを抹消し!貴様らだけは!大事なものだと残されるのだ!」
狂王の声は広間に響き、どこからともなく大勢の雄叫びが木霊する
「いいか!貴様らは!私達が記録されるための道具として死ぬのだ!」