「ッシャァァァァァァ!!!」
飛びかかり地面に向けて槍を突く
地面が大きく割れ、足元が不安定になる
「やれ!」
侍と忍の前後からの同時攻撃
1対多数の有利な状況を利用した多方面からの攻撃
それが弾かれる
憑き物の落ちたような狂王は瞳を絶え間なく動かし
槍を寸分の狂いなく突き刺す
「無理だ!かわしきれない!」
「あの槍を受けきることなんか無理だ!」
「くそが…だが……」
紫の炎が上がる
ぼうっと火が燃え続ける
「コッチコッチ!」
ふわりふわりと遊ぶように近づき斬りかかる
だがそれを交わすのは容易だ
「……」
無言のアイコンタクト
クレイを無視し、まず狂王を!
それを崩したのは2人だった
トランプを切り裂き撃ち抜く
2人がかりの攻勢にクレイの足は止まる
「……イイノ?」
「放っておけばのちに何か起こりかねない…遊んでやりましょう……盛大にね」
「同じ双剣使いとして私がやらなきゃね!」
カチャリカチャリと音を鳴らして立ちはだかる2人に満足げな笑みを浮かべ、剣を構える
なラ…ここデ、全テを……
「槍を見切ることができるものはおらんようだなッ!」
ぶぅんと払い、一瞬の静寂が訪れる
「……は……いる…」
錬装士が呟く
「…ん?…どうした…」
狂王が槍の先を向ける
「俺が相手してやる…そう言ってるんだ!」
飛びかかり
空中から斬りかかる
「なぜこんなことを…許せんな、貴様のその甘い考えが、私に負けることを躊躇わんのか?死を恐れんのか?やはり、記録される、記憶に残る、それはそれほどに幸福で尊いものだというのだろう……だからこそそれをこのように扱う貴様を許すわけにはいかん!」
槍を突き刺すそれは何もかもを貫くはずだった
まばゆい光を放ち、金属音を鳴り響かせ火花が舞い散る
「これは…!なんと……!」
錬装士は本来複数の武器を扱う
しかし、一つしか扱えなかった
それは力へと向き合う時間の不足
力の扱い方を知らなさすぎたが故に
それを知った者の手には大きな大剣が握られていた
チェーンソーのように小さな刃が回転し、なにもかもを切り裂く、恐ろしい威力を発揮する
「ジョブエクステンドォォッ!」
槍と交わったその刃は槍を削り切る
たまらず槍を引いたその瞬間が全てを変えた
一歩下り
そして再度飛びかかる
大きく振りながら回転し斬りかかる
遠心力を使ったその斬撃は受けるには重く
交わすには早い
狂王は槍を下げるべきではなかったのだ
槍を前へと押し出す
そうすればお互いは傷つきながらも仕留めることができたはずだったのに
「勝てた闘いか…いや、違う、私は彼らに負けていたんだ、彼らは、失うことを恐れていないわけではない、恐れて、でもそれを呑み込んで生きていた……という事だな」
斬撃は大きく体をえぐり
吹き飛ばす
回転をしながら地面へと吸い込まれる
暖かく、眠い
電子にしてはいささか瑞々しい、そして柔らかく包み込む
土一つがこんなに、優しいものだとは思っても見なかった
「女神の軍勢は狂王を見事討ち取ったわけだ」
女神はその言葉に顔を歪める
「なぜ笑っている、なぜそんな事が言える?本心は、辛く、苦しく、泣きたいはずだ、泣き叫び、泣き喚き、悔いるはずだ、死の間際とはそういうものだ」
「……泣かないんじゃない、泣けないんだ、私は何一つ成し遂げられなかった、私がすべての根源ではないのだ、君たちを引きつけることが私の役目……それだけだった…私は怖くて、受け入れられていたくて、信じていたくて……」
フッと鼻で笑う
「彼は…今、歴史にその名を刻む瞬間を作ろうとしている、人類を内側から支配するそれが望みだ、人々に自分の存在を知らしめる事、自分が生きた証を……」
「案ずるな、記録に残らずとも、貴様はこの戦いで皆の記憶にしかと刻まれた、だが、それは悪しき記憶……わかるか、このままでは、悪しき記憶のまま、終わるのだ、全高を最後に積むのも、悪くはないんじゃないか?」
沈黙
「彼に……最期を…」
その目は強くクレイを見つめていた