鯖民がリアルデジタライズしたようです   作:棃音

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最終話 最後に見たもの

影に襲いかかられ防戦一方の戦い

長く持つわけはない

喰われる前にどうにかするしかないのだ

 

だが手段はない

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に?

 

何人かが気づいた

もしかしてなんとかできるんじゃあないか

って

 

 

 

 

 

 

 

何を喰わせても、どんな攻撃も効かなくても

 

 

書き換えればいいんじゃないか?

 

全員には行き渡らなかったが数人がブリーラー・レッスルを構え撃ち込む

やはりだ

動きは止まった、そして石となる

いける、いや……勝った

 

あとはただ処理するだけだ

 

 

 

 

「つまんねー……つまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんない!!!!」

 

玉座を見る

イラついた表情を向けられているのに気づいた

 

「ハァ?巫山戯んなよ?もうそんなつまんねぇことしてんの?楽しませろよ、もっとさ、もっともっともっと!もっとくれよ!」

 

 

ふわりふわりと浮き上がる

息を呑み、全員が武器を向けながら距離を詰める

 

じわりじわりと近づき

そして汗を垂らし、今にも射殺さんと睨みつける

火蓋を切って落とすのは

 

否、そんなものはない、すでに敗北していた

 

左手を前に向ける

そしてその腕に謎の紋章が浮かび上がる

 

「……え?」

 

「なんだあれ…」

 

ここにきての隠し球、ここにきての……

 

 

「「ドレイン……ハート…!!」」

 

次の瞬間その左手から大量のエネルギー波を矢印にしたたようなものが放たれる

それは縦横無尽に色々な場所を駆け巡り

通り過ぎ、回転し謎の挙動をする

 

「なんだ…なんだこれ…!」

 

誰も油断しなかった、いや、できなかった

これは日々口にする恐ろしいなんてレベルではない

本能を制圧する恐怖

誰もが抗えない恐怖

 

ただ立ち竦む者

必死に動き回る者

そしてなんとか、勝ち筋を見つけようとする者

 

 

犠牲者が出るのに時間はそこまでかからなかった

 

「うわっうわぁぁぁぁぁぁっ!」

 

ドレインハートに貫かれたものを半透明な六角形が卵のように包み込む

そして間も無く消滅した

データを全て抹消された、故に復活のない消滅

 

貫かれた

消滅した

貫かれた

消滅した

 

「ここまでかッ……!」

 

ドレインハートにまた1人貫かれる

 

「hiroさんッ!!」

 

「畜生ッ…!ここまできて!畜生ッ!!」

 

「win!!!」

 

ニアも、ユキも紫蘭も、太刀打ちのできない、この戦い

いや一方的な殺戮

これにもはや対処など不可能

 

貫かれる

貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる

 

「ハハハハッ!もっと!もっとだ!」

 

 

絶望の顔色をしたまま立ち尽くす

勝ち目はないのかと考える余裕もない

仕方ないのかもしれない、仲間がほぼ、全滅ときた

どうやら順番が来たらしい

少女に迫る

 

そして貫いた

 

ああどうして…

ああどうして……!

どうして!!!

 

少女はドレインハートに貫かれなかった

 

 

「ほら、やれよ……最後は双剣士が決まるもんだろ…?せっかく譲ってやんだからカッコつけてこいよ」

 

銃士は貫かれた胸を押さえて倒れた

 

 

 

 

再び迫る

再びドレインハートが迫り来る

しかし少女の目は闘志に満ちていた

 

 

「あきらめて…たまるかぁぁぁぁぁっ!!」

 

振り返り、玉座へ向け走りだす

ドレインハートの勢いは落ちず貫かんとする

それをステップを踏むかのようにかわし迫る

ドレインハートをかわせるのか、それは不可能だろう

なぜならこれは回避不能な追尾スキルだ

 

しかしそれをかわして見せる

これは最早特権だろう

双剣士は女神に愛された

それ故の、このイレギュラー

イリーガルなこの場所において一番のイレギュラー

少女そう成り果てたのだろう

つまづき、こけそうになりながらも

貫かれそうになりながらも

それをかわし、確実に迫り

ここで倒ささんと迫る

 

「あぁ!?ふざけんなっ当たれ…当たれッ当たれって!当たれェェッ!」

 

そんな叫びなんて聞こえない

疾る

疾る

 

そして飛び上がる

 

「同じ高さになった」

 

ニマッと笑いそういう

 

「ハッ!」

 

くるりと回転しかわし

空を蹴り

凄まじい勢いで迫る

 

そして少女が最後に見たのは

彼女に刃を突き立てたニアの笑顔だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さばでじ
完結になります
しかし物語はここでは語られなかったことばかり
そんなあなたに
デジタルリアライズ
https://syosetu.org/novel/153532/
これをお読みください

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