東方異聞譚   作:ユウジン

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第一章 紅魔郷編
紅い霧


「いやぁ……いい天気だなぁ」

「これをいい天気と言える父さんは流石ね」

 

季節は夏……最早お約束といっても過言じゃないジリジリと太陽が輝き……はせずなんと紅い霧に包まれていた。その下には博麗神社……そしてその縁側には男女がいた。

片方は縫螺……そして傍らには十代半ば頃になった霊夢……霊夢はすっかり大きくなったが縫螺は妖怪ゆえに変わらない。

 

そんな二人は天を被う紅い霧にため息をつく。

 

「いやぁ、良い霧だなぁ……妖気とか瘴気とか混じってるお陰で調子良いや」

「裏を返せば普通の人間には毒ってことね」

 

と、何時もより顔色が良い縫螺とそんな毒が充満したような状態だと言うのに霊力で浄化することで何ともない霊夢はお茶を啜る。そして、

 

『平和だ……』

「んなわけあるか異変だよ!」

 

っとそこに黒いとんがり帽子から金髪を覗かせ全身白黒の服で身を包む少女……背は大きくなったが今でもちょくちょく博麗神社に遊びに来るので知っている。

 

「あら魔理沙じゃない。いらっしゃい、お茶飲む?」

「そんなことしてる場合じゃないだろ!」

 

そう言いつつも霊夢が差し出した湯飲みを取る魔理沙。お茶で口を湿らせた魔理沙は口を開いた。

 

「こんなヤバい紅い霧……普通じゃねぇぜ。ここに来る途中でも何度か興奮した妖怪に襲われたし……」

「だろうな……弱い下級の妖怪ならこれだけの妖気と瘴気を浴びたらまともな精神状態じゃねぇだろうさ」

「と、いってるけどおっちゃんは平気なんだな」

 

そう魔理沙が言うと縫螺は煙管を取り出す。一般的なものより若干大きくそれでいて鮮やかな装飾だった。別段金銀を塗ってある訳じゃないが煙管につけられた彫り物の細やかさをみるにそうとう高価なものなのは間違いないだろう。

 

魔理沙が昔どこで手にいれたのか聞いたのだがそのときはとある女性からの贈り物であり形見らしい。

 

女性と言う点では紫とかもいたが形見と言うことはすでにその女性は死んでると言うことだ。

 

まあそんなことはお構いなしに縫螺はニヤリと笑う。

 

「長く生きてるんでね」

 

そう言いながら煙管に刻みたばこを摘めようとするが霊夢にピシャリと手を叩かれた。

 

「一日三本まで……約束でしょ」

「んな殺生な……」

 

縫螺は不満げな顔を浮かべるが霊夢に勝てるわけがないので大人しく煙管を懐にしまう。とことん霊夢に甘い。霊夢も父である縫螺を顎で使うが……まあ霊夢なりの甘えかたと言うやつだ。

 

父を困らせることで自分に意識を向けようと言う単純なもの……霊夢は素直じゃないのだ。

 

「ねえ魔理沙。今なんか言った?」

「うんにゃ。で?どうするんだよマジで……いかないんなら私だけで行くぜ?」

 

そう言われ霊夢は眉を寄せた。それは危険だ。別に魔理沙を信用してない訳じゃないし、魔理沙の才能も努力も認めている。攻撃力と速さなら自分を凌ぐくらいだ。とは言え……

 

「分かったわよ。行けば良いんでしょ」

 

十年以上もある付き合いの友人である魔理沙を放っておくわけにはいかない。

 

「勘だけど……犯人はあっちよ」

「じゃあ動けよ博麗の巫女さんよ」

 

魔理沙が半眼でそう言うが霊夢は札を持ち、陰陽玉を懐にしまった。この陰陽玉は博麗の巫女の武具であり御守りみたいなものだ。

 

「じゃあ行くわよ」

 

そう言って霊夢は首を軽く回す。それを見て縫螺は、

 

「行ってらっしゃい。ご飯作っとくからな」

 

と、縫螺は言う。異変解決は巫女の仕事……まぁ魔理沙は……友人だし特別ってことにしておこう。しかし、

 

「は?父さん何いってんの?」

「おっちゃんも来るんだぜ?」

「え?」

 

縫螺が首をかしげたところに霊夢と魔理沙は縫螺の両腕を掴み、霊夢は序でに縁側には置かれていた縫螺の白鞘に納められた刀を持つと、

 

「立ってるものは親でも使え……って言うけど私は使えるものは親でも使えって言うからね」

「つうわけで、この紅い霧の異変……略して紅霧異変の解決しにいくぜ」

「おーい娘さんたち~、俺の意思はどこに行くのかな?」

『そんなもんはない(わね)(んだぜ)』

「ひでぇ……」

 

と言うわけで人間二人に妖怪一体の混成チームが異変解決に乗り出したのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

「お嬢様。パチュリー様による霧が幻想郷を包みました。暫くすれば巫女が動くでしょう」

 

紅い絨毯に紅い壁……そもそもこの館事態が紅を基調としているのだがそんな屋敷にて、メイド服に身を包んだ少女……霊夢たちより若干年上だろうか?見た目は……恐らく人間だ。その少女が顔を向ける先には凡そ十歳前後の女の子……だがその背中から生える蝙蝠のような翼と口から覗かせる鋭利な牙……そしてその全身から発する圧力のようなものが語る……人ではないと……

 

それはそうだろう……彼女は吸血鬼である。パワーとスピードに魔力にも秀でたこの幻想郷ないでも並を遥かに越える妖怪だ。

 

そんな彼女はこの館とその住人たちと共につい最近幻想郷へとやって来た……そしていきなりこの異変である。その中にどんな意図があるのかは分からない……が、

 

「さぁ……幻想郷を取るわよ」

 

ニヤァっと不気味で……吸血鬼……レミリア・スカーレットは翼を大きく開き、そう言ったのだった……

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