東方異聞譚   作:ユウジン

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紅い舘の門番

「いってぇ!」

 

後方に吹っ飛ばされながら縫螺は鼻を擦る。おもっくそ殴りやがった……

 

「はぁ!」

 

そこに、紅い髪の少女……いや、紅 美鈴は間合いを詰めてからの正拳……

 

「あっぶね!」

 

それを回避しつつバックステップ……しかしそれを追撃するように美鈴のオーラが手に集約されると球体状となりそこから放たれる……

 

「ひょ!」

 

それをまたヒラリと躱す……それを見て美鈴は舌打ちした……

 

(こいつ……見切ってる!)

 

先程からふざけたような態度だがこの縫螺と名乗った男は自分の攻撃を見切っていると感じていた。ふざけたような動きをしているもののさっきから危険なものだけはきっちり回避している。

 

「おぉ~、こわぁ」

 

何て感じでおちゃらけてるがさっきからどこか余裕をうかがわせる……そんな感じで美鈴を苛つかせた。そして、

 

「なら……」

「ん?」

 

そう言って美鈴は懐から何かを取り出す……ってアレは!

 

「うげげ!スペルカード!?」

 

縫螺の顔が青くなる……だが美鈴はお構いなしに……

 

「これでどうだ!スペルカード!!」

 

美鈴はそのスペルカードを空中に投げると拳で打つ……それと共にカードは砕け同時に力の本流が起きた。

 

「華符【芳華絢爛】!!!!」

 

四方八方から縫螺に襲いかかるオーラの弾丸……激しい爆発と閃光が辺りに響き渡る……

 

十秒ほどでそこには土煙と焦げたような臭いが立ち込める……しかし、

 

「おぉ~、壮観」

「っ!」

 

突然背後から発せられた声……美鈴は理解するよりも早く振り返り様に裏拳を放った……が、

 

「おぉ~、フッカフカだぁ」

「…………キャアアアアアア!」

 

叫ぶのも無理はない。何せいきなり縫螺は振り返り様に放たれた裏拳を伏せて躱すとそのまま両手で美鈴の胸をモニュっと揉んだのだ。

 

「なっ!いきなりなにを!」

 

美鈴は縫螺を振り払い距離をとる。胸を両手で隠す辺りは女性的だと思ったのは秘密だ。

 

「いやぁ、そこに揉み心地の良さそうな胸があったら揉むでしょ?」

「揉むか!」

 

ウッシャッシャ!と笑う縫螺に美鈴は吠える……さっきからこっちの攻撃を簡単に見切る辺り凄腕かと思えば突然のセクハラ行動……意味がわからない。

 

「そんな怒んなって。軽いスキンシップさ」

「………………」

 

キッとにらむ美鈴……どう考えても軽くないスキンシップで彼女が怒るのは当たり前であるが縫螺にはどこ吹く風である。そして、

 

「あのさぁ~お嬢ちゃん。俺たちは別に殺し合いしたい訳じゃないんだぜ?この霧止めてくれってだけだ。敵意なんて無い。まあ喧嘩なら大歓迎だけど喧嘩ってのはもっと楽しくやるもんだぜ?」

「……………………」

 

そういった縫螺に対し美鈴の眼に炎が点った。

 

「そう言うやつは腐るほど見てきた」

「うぇ?」

 

明らかに声音が低くなってる……いわゆるアレだ。地雷踏んだっぽい。

 

「そして……そいつらは決まって背後に武器を隠し持つ」

 

美鈴の体をオーラが包み込む……さっきと明らかに雰囲気が違う。

 

「私たちは何にも期待しない。お前の言葉も信用しない……自分の場所は自分で作る!スペルカード!」

 

そう言うと美鈴は二枚目のスペルカードを出すと拳で打ち砕いた。

 

「彩符【極彩颱風】!!!!」

 

縫螺に襲いかかる鮮やかなオーラの弾丸……こいつのスペルカードは割りとこういう無差別発射のが多いな……つまりこれは……これで倒すことが狙いなんじゃない。これだけ派手で量が多いと言うことは!

 

「おぉ!」

 

縫螺の予想通り美鈴が飛び出してくると共に飛び蹴り……その蹴りによって起きる風圧だけでも殺傷力があるそれに縫螺は逆らわず風に乗る。やはりそうだ。彼女のは自分の体術を叩き込むためにスペルカードを使う戦法をとる……

 

「やれやれ……こりゃ一筋縄じゃいかなさそうだな……」

 

地面に着地すると縫螺は遂に刀の鯉口を切る……それと一緒に煙管にまた刻みタバコを詰めると火を着けた。その間も美鈴の猛攻は続くがどれもぬらりくらりと躱す。

 

「だいたいお前さんの能力はわかった。大方オーラ……いや、氣を使う能力だな?シンプルだけどそのぶん単純で強力だ。妖怪の身体能力に氣の強化を上乗せすれば大抵の相手なんか目じゃない」

「くっ!」

 

美鈴は内心悪態をついた。縫螺の言う通りで大抵の相手なら早々遅れはとらない。無論……身体能力が化け物な人外は腐るほどいるのでそういった手合いにはキツいが自分の能力は癖がなくオールラウンダーな能力だ。しかし、

 

「だけど俺の能力にはちょいと相性が悪い能力だ」

「っ!」

 

美鈴は脇腹に走った痛みに顔を歪めた……

 

「安心しな……峰打ちさ」

 

見てみればいつの間にか抜かれた刀の峰が美鈴の脇腹にめり込んでいた……

 

「くっ!」

 

だが美鈴は妖怪だ。故にこれくらいじゃ止まらない……強引に攻撃に……

 

「よっ!」

「ぐっ!」

 

繋げる前に縫螺の左手に持っていた鞘が彼女の足を打つ……

 

「ほれ」

 

そこからの足の裏を相手にぶつけるだけの型もなにもない所謂ヤクザキックと呼ばれる蹴り……それによって美鈴は後方に吹っ飛んだ。

 

縫螺の身体能力は……並だ。妖怪としてそこまで突出したもんじゃない。だがそれでもここまでとなると……間違いない。能力が厄介なのだと判断した。

 

それをみた縫螺は笑う。

 

「俺の能力が厄介とふんだか?正解だ。俺の能力は……ちぃっとばっかし反則ぎみなのさ」

 

そう言って抜き身の刀を肩に担ぐ……

 

「お前の能力は氣を使う程度の能力……だとしたら俺の能力は……」

 

トン……っと縫螺は地面をふむ……美鈴は突然意識が遠くなっていくのを感じる……だがその中信じられない顔をして背後をみた……いつの間にか縫螺は後ろにいた……いつ後ろに回ったんだ?と言う顔だ。

 

「何時の間にって顔だな……今だよ。今横を通ってきたのさ……お前さんに攻撃しながらね……」

 

そう言って刀を鞘に納める。チンっと言う音ともに美鈴は地面に倒れた。

 

「お前さん何で攻撃当たらないか不思議だっただろ?そりゃそうさ……お前さんは俺に攻撃を放ちながらも実際は……少し外れたところを狙ってた」

 

もう意識はないが……まあ種明かしをしよう……実際には美鈴の攻撃は少しばかり縫螺から逸れていた。顔を狙っているつもりが顔を横を狙ったりしていた……彼女の攻撃は油断して喰らったのもあるが基本ほとんど当たらなかったのはそれである。

 

「俺の能力はな……【認識から外れる程度の能力】……だ」

 

無論……色々条件もあるが用は相手から認識されないようにできる能力……である。ある程度縫螺の意思で強弱をつけられるので美鈴は縫螺をみているが位置が微妙にズレて認識していたのだ。

 

と言うかぶっちゃけると当たったのも実は認識外すことで攻撃の芯をずらしてクリティカルヒットがでないようにはしていたんだけどね……ま、それも認識していなかったみたいだけど。彼女はね。

 

縫螺の攻撃に美鈴が反応できなかったのも同じ感じで縫螺が攻撃してくる……と言う行動を認識を外す能力で攻撃したのだ。

 

「ま、認識はずせてもそこに存在はするわけだから広範囲爆撃みたいなのとかには弱いし……色々弱点もあるんだがまぁ……君みたいなタイプには効果抜群な能力でね」

 

そう言いつつ美鈴の乱れた服装を直してやると縫螺は立ち上がる……

 

「さて……入るか」

 

そう言って縫螺は鞘にしまった刀を肩に担ぎつつ屋敷の中に入っていったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

「うっひゃ~、こいつはすげぇぜ」

「楽しそうね」

 

そう言って屋敷の地下にある図書館にて魔理沙は驚喜し、それを霊夢は冷めた目でみていた。

 

なぜここに彼女達がいるのかと言うと、先程縫螺を置いてきたのは良いが広すぎて絶賛迷子なのである。

 

「しっかし霊夢。この屋敷広くね?明らかに外観とあってないぜ?」

「そうね。大方空間拡張でもかけてんでしょ。違う?そこのあんた」

 

そう言って霊夢は振り返りながら言う……するとその人物は音もなく現れた……

 

銀髪の髪を三つ編みにし、メイド服を身に付けた長身の少女……大人っぽく見えるが実年齢は霊夢達より2、3上が精々だろう。

 

「うぇ?いつも間に……」

 

突然音もなく現れたため魔理沙が驚くが霊夢は特に反応はせず続ける。

 

「あんたここのメイド?じゃあ主にこの霧止めるように伝えるか私をつれていきなさい」

 

そう言うとそのメイドはフッと笑った。

 

「何がおかしいの?」

「あなたバカじゃないの?そういわれて会わせるやつがいると思う?」

 

はじめてそう口を開いた彼女がそう言うと霊夢が確かにと言った。そして、

 

「じゃ、力付くね」

 

そう言って霊夢は札を出す。魔理沙も魔法の準備を済ませた。

 

「全く……悪いんだけどうちにはお客様を出迎える準備はないわ……基本的に強制退去よ」

 

「構わないわよ」

 

霊夢はそう言うと地面を蹴り飛び上がるとそのまま銀髪の少女に札を投げ着けた……しかしそれに合わせ銀髪の少女の方も太股のナイフホルダーからナイフを素早く抜くと霊夢の札を貫く……同時に爆発がおきその閃光に魔理沙は目を細めた。

 

「名乗り忘れていたから冥土の土産教えておくわ。私の名前は十六夜 咲夜……この紅魔館の主であるレミリア・スカーレット様に仕えていてメイド長をしているわ」

「んじゃ、私も名乗っておくわ。私は博麗 霊夢よ。この幻想郷では博麗の巫女って言うめんどくさい仕事をしているわ」

 

そう言葉を交わすと再度爆発……その閃光に紛れて霊夢が飛び蹴りを放つが瞬きほどの一瞬の間に咲夜と名乗った少女はその場から消えた……しかし、

 

「魔理沙!後ろ!」

「え?」

 

魔理沙はほとんど条件反射で振り返った……霊夢の言葉に無意識だった。その結果助かったのだが……

 

「うぉ!」

 

逆手に持ったナイフの横薙ぎ一閃に魔理沙は慌てて伏せて回避した……

 

「あぶねぇぜ……」

 

そのまま魔理沙は下がるが咲夜のナイフ投げがそれを追う。

 

「あわわ!」

 

だが魔理沙はとっさに横に転がってギリギリ回避……

 

「逃げ足は早いみたいね……」

「速さだったら霊夢にだって負けないぜ!」

 

そう言って魔理沙は腰から五角形の魔道具……八卦炉を抜くと、

 

「喰らうが良いぜ!」

 

そう言って八卦炉から魔理沙の魔力が形を変えて撃ち出された……

 

魔法名は【マジックミサイル】……一直線にしか飛ばないが威力は充分な魔法弾である。だが、

 

「うぇ?」

 

また咲夜は消えた……この至近距離で撃ったのに忽然と消えたのだ。すると、

 

「ウラァ!」

「っ!」

 

ドガッ!っと霊夢の飛び蹴りが今度こそ全くの別方向に現れた咲夜を捉え炸裂したのだ。

 

「ちっ……」

 

とっさにガードしたが咲夜は小さく舌打ちした……

 

「何でここに出るってわかったの?」

「勘よ」

 

そう言って霊夢は更に札を出すと投げ着けた。咲夜はそれをまたその場から消えることで回避する。

 

「魔理沙!こいつは私が相手するから気を付けていないさいよ!」

 

そう言って霊夢は飛び上がると空を飛んで咲夜を追いかける……

 

「なんなんだよアイツら……」

 

そう魔理沙がため息をつく……完全に自分ではあの十六夜 咲夜には勝てそうにはない。能力が未知数ってのもあるだろうが……しkしまだまだ霊夢との距離はありそうだ。

 

「ま、とりあえず5、6冊位借りていくか……」

 

そう言って本に手を伸ばそうとした瞬間……

 

「いでぃ!」

 

バチィっと電流が走り魔理沙は後ろに降っとんんだ。

 

「いででで!なんだ!?さっきまでなにもなかったのに!」

「悪いけどここの本は……貸し出しはしていないわ」

「あ?」

 

魔理沙が背後から聞こえた掠れ声に振り替えるとそこには寝癖か何かでボサボサの紫の髪をした少女がいた……見てみれば可愛らしい人形のような容姿だがその顔には似つかわしくない声音とオシャレ何て微塵も考えていない髪型やパジャマのような服……だが魔理沙は感じていた。彼女の体から漏れ出すその強大な魔力に……

 

「お前……魔女か?」

「ええ、さすがに一目で見抜くくらいの眼はあるみたいね」

「アタシの魔法の先生も魔女だったからな」

 

クルリと箒をペン回しのように回し八卦炉を彼女に向ける。

 

「ならわかるんじゃない?私とあなたの圧倒的な力の差を……高々人間の魔法使い程度じゃ私には勝てないわよ」

「んまぁわかるぜ?お前さんは強いよ。滅茶苦茶な……だけど相手が強い=逃げるじゃないんだぜ?少なくとも……人間踏ん張んなくちゃいけない時ってのはあるんだ……」

 

それが今だぜ?……そういう魔理沙に彼女はため息をつくと同時に何個もの魔方陣を展開した……

 

「まあ……これから死ぬかもしれない人間に言っても意味はないかもしれないけどいっておくわ……パチュリー・ノーレッジよ」

「霧雨 魔理沙……だぜ?あとここじゃ死なない。なにせアタシは畳の上で大往生って心に決めてるからな」

 

そう言葉を交わした次の瞬間……二人の魔法がぶつかり合ったのだった

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