木の葉を照らす朝日   作:燐黒龍

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早速更新不定期になりました笑
まあマイペースでほどほどに頑張ります。

気づいている人もいるかもしれませんが、前話から少し時系列がズレてます。神無毘橋の戦いはカカシが上忍になってから半年ほど経ってます。今回は時系列的に言うと、劇場版ロストタワーの後あたりです。

あ、あと感想ありがとうございます。頑張ります。


第4話 バカな奴ら

鬱蒼と茂る森の中、2つの人影が木から木へと飛び移り、ある場所へと向かっていた。1人は大人、金の髪と【木の葉の黄色い閃光】という異名を持つ忍である。もう1人は赤く煌めく髪を持つが、まだ忍でもない只の子どもである。

 

「父さん、どこに向かってるの?」

 

俺は前を行く父親に声をかけた。今日の朝、父さんに「ついてきなさい」とだけ言われ外に出たが、全く行き先を知らないので正直困っていた。

 

「ん、そうだね……目的地には着いたよ」

 

父さんがそう言うと、薄暗い森から急に開けた草原に出た。草原とまばらにある岩以外に何もない場所だ。

 

「ここは……?」

 

「周りをよく見てごらん」

 

俺が父さんの意図を掴めずに困惑していると、そう言われた。そして周りをよく見回すと、そこかしこに黒く変色したクナイや手裏剣、更には忍の死体が転がっていた。

 

「うわ……」

 

俺は思わず声を上げた。前世で読んだ漫画などで見る死体とは違う、そこには生々しい現実があった。腸は飛び出し、臭いはひどい。よく見れば死体には蟻やハエが群がっており、ところどころ白骨化しているところもある。

 

「ここはついこの前終わった戦争の大規模戦闘があった場所だよ」

 

父さんは遠くを見ながら呟いた。

 

「ここで倒れている人達は木の葉と岩の忍。僕たちはこれだけの犠牲を出してようやく戦争を終わらせることができた」

 

「バカだね」

 

「なんだって?」

 

思わず口をついて出た言葉に、父さんが声のトーンを低くして聞き返した。

 

「いま何て言ったんだい?」

 

父さんの顔を見るとすごい形相をしている。声にも今までに聞いたことのないような怒気が含まれている。

 

俺は一回言ってしまったことだし、誤魔化してもすぐに父さんに見破られるだろうと思い、正直に話した。

 

「バカだって言ったんだよ。こんなに人を殺さないと戦争をやめられない奴らがバカにしか思えない」

 

実際に前世で外国の戦争とかを写真で見せられても、バカだとしか思うことができなかった。肌の色が違うからとか訳のわからない理由で差別し、殺す奴らはバカでしかない。それが俺の考えだった。

 

「確かにそうかもしれない」

 

父さんは言葉を絞り出すように言った。

 

「でも、だからこそ、僕たちはこの犠牲を忘れてはならない。次の世代にこの痛みを教えてあげなければならない」

 

どこかで聞いたような言葉だ。ああ、そうだ。原爆だ。元の世界のテレビの中でよく爺さん婆さんが「戦争の痛みを知ってほしい」とか言ってた気がする。

 

「でも俺はそんな痛みわからない」

 

父さんがこちらを見た。薄々気づいていたが俺はどうやら思った事は口に出してしまう性のようだ。

 

「そうか。確かに経験しない者たちに痛みを理解しろなんて言うのもナンセンスなのかもしれないね。だけどね、少なくとも君はこの痛みを未来の世代が経験するべきではないと思ってくれると思う」

 

俺は少し間を空けて、小さく頷いた。それを見た父さんも、満足そうに頷いた。

 

「ん!じゃあ、次の目的地に行こうか。僕に触ってくれ」

 

そう言われたので俺が父さんに触れると、一瞬で周りの景色が変わった。開けた草原から鬱蒼と森が茂る峡谷へと視界が変わる様は、世界が変換されたようにも錯覚した。

 

「これが瞬身の術……」

 

「ちょっと違うな。これは飛雷神の術。君が知りたがっている時空間忍術の1つの完成型だよ」

 

なんと今のは時空間忍術だったらしい。時空間忍術とは2つの世界に干渉する忍術だと思っていたが、どうやらそれだけでもないらしい。いや、それは結論を出すのが早すぎるか?とりあえず帰ったら考察しないと。

 

思考の海に沈んでいると、父さんはいつの間にか少し離れた岩場に移動していて、何やら手を合わせていた。

 

「これは?」

 

俺は父さんの横まで跳び移って訊いた。どうやら見たところ誰かの墓のようである。父さんは合わせた手を降ろし、ゆっくりと目を開けて答えた。

 

「この墓は僕の教え子の墓だよ。先の大戦で命を落とした」

 

「……うちはオビトさんのこと?」

 

父さんは驚いたように眼を見開いた。

 

「彼を知っているのかい?」

 

「うん。いつも母さんが話してたよ、『あの子はまっすぐなところがいい』って」

 

「そうか……母さんもオビトの訃報を聞いたときは痛く落ちこんでいたよ。でも……」

 

「でも?」

 

ここで「でも」という言葉は予想していなかった。俺は父さんを見上げながら首を傾げた。

 

「彼の意志は、まだ生きてる」

 

「?」

 

父さんの言葉の真意を掴みかねた俺はさらに首を傾げることになった。でも父さんは満足したような顔をして、その会話を切ってしまった。

 

「父さん」

 

「ん?なんだい?」

 

言わなきゃならないことがある。

 

「さっきは戦争する奴らがバカだとか言ってごめんなさい」

 

俺は父さんに深く頭を下げた。さっきは勢いでそんなことを言ってしまったが、今思えば明らかな浅慮であった。教え子を失ったという気持ちを考えればあの顔にも説明がつくし、とても申し訳ない気持ちになった。

 

「いや……いいよ。彼は戦争の被害者だ。大人のくだらない諍いに巻き込まれてしまった1人の被害者だよ。君の言ってることは正しい。戦争なんてバカバカしい理由でしかやってない。でも……だからこそ、未来の子ども達のために僕は戦争のない世界を作りたい」

 

「でも、そんなの1人でできるわけないよ」

 

「うん。わかってるよ。なにも1人でやってやるなんて言ってない。足りない分の力は皆に借りるさ」

 

「でも、それでも足りなかったら?」

 

しつこい質問かもしれないが、俺は問うた。

 

「そのときは、君にこの夢を託すかな」

 

父さんはニコッとはにかんだ。それを見た俺は呆気にとられて少しフリーズしてしまった。俺に託すって言ったって、俺は受け継ぐなんて一言も言ってない。はっきり言ってこの世界とは帰還方法がわかった時点でおさらばする予定だから余計な死亡フラグイベントに巻き込まないでほしい。

 

「じゃあ、帰ろうか。今日の夕ごはんは最近開いた一楽っていうラーメン屋さんにでも行こう」

 

父さんの言葉を聞いて、俺は怪訝に思った。

 

「あれ?父さんって母さんの手料理が一番好きなんじゃないの?」

 

それを聞いた父さんは、声を上げて笑った。

 

「確かにそうだけど、たまには母さんの好物も食べさせてあげないとね」

 

そうか、クシナの好物はラーメンだったのか、全然知らなかった。とりあえず覚えておこう。

 

「じゃあ行くよ」

 

そう言って父さんは俺の肩に手を触れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へい!らっしゃい!おっ……こりゃあ大変なお客さんが来たな」

 

あの後父さんの飛雷神の術で一瞬で木の葉に帰った俺たちは、クシナと合流して一楽というラーメン屋さんに来ていた。

 

「ははは……大変って、ただの木の葉の忍ですよ」

 

初老の男の言葉に父さんは苦笑しながら返す。

 

「なに言ってんだい!四代目火影が開店直後の店に来てくれるなんて、これほど光栄なことはないさ」

 

…………は?四代目火影だと?

 

「まだ決まってないですよ、次の任務が完遂できれば候補に上がれるというだけの話です。それに他にも優秀な候補はいるし……」

 

「大蛇丸さんのことかい?あの方はどうも不気味でな……俺はアンタが火影になった方が安心だけどな」

 

父さんはその言葉に苦笑を返すことしかできなかった。

 

それよりも四代目火影ってなんだよ!原作じゃ大蛇丸は火影になってないから父さんが火影になるのほぼ確定じゃねえか!うわ……それじゃあ九尾イベントに否が応でも巻き込まれるんじゃねえか?俺……そんで父さんは、もしかしたら母さんも死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父さんと母さんが……死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉はなぜか俺の頭の中に反響した。別に俺はこの人たちとは関係ない。元の世界に帰るんだったら完全に縁を切らなければならない人達だ。死ぬのなら好都合、後腐れなくこの世界ともおさらばできるってもんだ。

 

「どうしたの?アサヒ、食欲ない?」

 

クシナが心配そうな顔をして俯いていた俺の顔を覗き込んできた。俺はその瞳を見て心の中を見透かされた気がして、内心焦りながら無邪気な笑顔を作った。

 

「大丈夫だよ!さあ、早く頼んで食べようよ!俺すごいお腹ペコペコだよ!」

 

「おっ!元気がいいねえ!さあ、何を頼むかい?ラーメン、つけ麺、酒のつまみまで全部揃えてあるぜ!」

 

初老の男はハキハキと快活な口調で喋った。

 

「じゃあ僕は豚骨ラーメンと焼酎とつまみはお任せで」

 

「私は……うーん、私も豚骨ラーメンで!」

 

「僕はつけ麺の並盛りで」

 

3人でそれぞれの注文をすると、店主は「豚骨ラーメン二丁、つけ麺一丁に焼酎とつまみね!」と答えると後ろを向いて麺を茹で始めた。

 

「あなた、つけ麺が好きなの?」

 

「おうわあ!!!」

 

突然背後からかけられた声に俺はひっくり返りそうになりながらなんとかこらえた。

 

「こら!アヤメ!お客さんの邪魔しちゃダメだろうが!」

 

店主は後ろに振り返って怒声をあげた。

 

「いいですよ、僕たちは問題ありません」

 

父さんは笑いながら店主をなだめた。店主は「そうかい?じゃあすまないが相手してやってくれ」と言って、再び麺を茹で始めた。

 

「あら、かわいらしい娘さんね。何歳?」

 

クシナがアヤメと呼ばれた娘に微笑みながら問いかける。

 

「よんさい」

 

アヤメは手で4を作りながら答えた。

 

「アサヒと同い年じゃない、この子、友達少ないみたいだから遊んであげてね」

 

クシナは相変わらず微笑みながら俺の頭をくしゃくしゃと撫でて言った。

 

「やめてよ母さん、俺は波風アサヒ、よろしくね」

 

俺は笑顔を見せながら自己紹介すると、アヤメは真っ赤になって急に歯切れが悪くなった。

 

「あの……つけ麺、好きなの?」

 

アヤメは最初に訊いた質問を繰り返した。

 

「うん、ラーメンよりもつけ麺の方が好きかな」

 

俺がそう言うと、アヤメは「そう」とだけ言って顔を真っ赤にしたまま走っていってしまった。

 

「残念だったね、アサヒ。逃げられちゃったよ」

 

父さんは軽く笑いながら俺を励ますように背中を叩いてきた。俺は逃げられたことが少しショックだったので、素直にシュンとした態度を体で表してみた。それが父さんのツボにハマったのか、父さんはしばらく笑い続けてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は気づいていなかった。このとき母さんがすごい怪訝な顔をしていたのを。




次の投稿はいつになるかわかりません。ただ、凍結するときは何らかの形で報告します。
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