木の葉を照らす朝日   作:燐黒龍

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更新クソ遅くなりました。まあ最初に断っておいたとおりこの小説の更新は超不定期です。それでも構わない方はどうぞご覧ください。


第6話 歴史

「よーし!行くか!」

 

「……ああ」

 

元気なさすぎワロタ。こんにちは、アサヒです。今日はイタチと一緒に里の外に出て火の国の散策をしようと思ってます。つーか向こうから誘ってきたのになんなんだこのローテンションは。そりゃこの歳でここまでテンション低かったら友達もできないわな。

 

「……なんか言ったか?」

 

「いや!なにも!」

 

心読めるのかお前、いよいよチートだな。

 

とりあえずイタチは手付かずの遺跡みたいなものを回りたいらしい。どうせなら忍者じゃなくて歴史学者とかになってくんねーかなー、そうしたらサスケもハッピーなのに。

 

「で、お前は遺跡に行ってなにするのよ」

 

「……俺は戦争をとめたい」

 

「それが遺跡となんの関係があるのさ?」

 

「戦争を止めるには里とはなにか、忍者とはなにか、千手とはなにか、うちはとはなにかを知る必要がある。そしてそれを知るには歴史を知ることが必要不可欠だ」

 

「へえ……そういうもんかね」

 

「まあ見に行って損はないはずだ。先人から学べることはたくさんある」

 

つーかコイツの口から戦争を止めたいとかいう言葉が出てくると思ってなかった。どこでダークサイドに落ちたんだお前は。

 

「……この間、弟が生まれたんだ。俺はその子が幸せになるなら何でもするつもりだ」

 

やっぱり心読めるんじゃねーかお前。つーか九尾事件までもうほとんど時間なくね?マズイっしょこれ。せめて九尾の居場所さえわかればなんとかなりそうなんだけどな……

 

「……どうした?」

 

黙り込んだ俺を見てイタチが話しかけてきた。未来を知っていることがバレちゃマズイので俺は急いで話を取り繕った。

 

「いや、俺も弟がもうすぐ生まれるらしくてさ、兄貴になるってどんな感じなのかなーって思っただけだよ」

 

「見ればわかるさ」

 

「は?」

 

イタチの答えともならない答えに俺は聞き返した。

 

「俺は弟を一目見た瞬間に、この子を死んでも守りたいと思った。理屈なんかじゃないんだ」

 

「へえ……」

 

俺は短い返事をした。本当にどこでダークサイドに堕ちたんだコイツは。なにかどうしようもない理由でもあったのか?だからって親を殺すかフツー。あー、頭がぐちゃぐちゃになってきた。

 

「着いたぞ」

 

そうこうしている内に目的地に到着したようだ。イタチの声で顔を上げるとそこは洞窟だった。洞窟の入り口までまっすぐとした石畳の道があるが、ところどころ欠けたりしている。そしてその道の両脇にはなにかの祭りにでも使われていたのだろうか、大きな燭台が等間隔で並んでいた。

 

「すげえなこりゃ」

 

「中に入る」

 

そう言ってイタチはスタスタと中へと歩いて行った。おい、誘っておいて俺を待つ気はねーのかよ。

 

洞窟の中は真っ暗になっていたので、イタチはロウソクをカバンから取り出すと簡単な印を結んで口から火を出しそれに火をつけた。

 

「便利だな、火遁」

 

「本来はこんな使い方はしないがな」

 

そう言うとまたスタスタと奥へ歩いて行った。俺はそれに置いてかれないように急いで追う。

 

洞窟の中は真っ直ぐな道が続いており、足元も整備されていたのか真っ平らだった。そしてしばらく奥に進むと、ドーム状の大広間に出て、そこで行き止まりになっていた。

 

「行き止まりじゃん」

 

「目的のものはあった。これだ」

 

そう言いながらイタチは大広間の中心にある岩に近づいた。

 

「なんじゃこりゃ」

 

「昔の人達が記した石碑だ。今日はこれを読みに来た」

 

「んで、これお前読めんの?」

 

というのも、石碑にはまるで訳のわからない記号が並んでいるだけであり、読めるような代物ではなかったのだ。

 

「確かにこのままじゃ読めないが、これにはある仕掛けがある」

 

「なんだ?もったいぶらずに教えろよ」

 

「今から説明する。まずこの大広間の天井に円を描くように燭台が並んでいるのはわかるな?」

 

そう言われてドーム状の天井を見上げると、確かに小さな燭台が等間隔で並んでいた。

 

「ああ、あれね」

 

「まずあの燭台全てに俺が火遁で火をつける。そしたらお前の風遁でその火を全て青くしてほしい」

 

「ああ、ガスバーナーの原理ね」

 

「なんだそれは」

 

やべ、この世界にはガスバーナーないんだっけ?コンロあるのにな。理科の実験とかどうすんだ。

 

「いや、なんでもない」

 

「まあいい、この石碑はその青い火の光で照らして初めて読めるようになる。だからお前には俺が読み終わるまで風遁で火を青く保ってもらいたい」

 

 

「…………………………」

 

 

 

 

 

ホンマにキレタ

 

 

 

 

 

 

「パシリじゃねーか!!!」

 

「まあそうなるな」

 

イタチは悪びれもせずに言った。てめーぶっとばすぞマジで。

 

「身近な人で風遁を扱えるのはお前しかいなかった。頼む」

 

「……ったく、しょーがねーな、お前にはこの前の借りがあるしな。やってやるよ」

 

「感謝する」

 

そう言うとイタチは印を組み始めた。つーかコイツの印速くね?やっと目で追えるレベルなんだけど。

 

━━━━火遁・鳳仙火の術!

 

イタチの口から複数の火の玉が飛び出し、ドーム状の天井にある12の燭台全てに命中して火が灯った。

 

「よし、俺の出番か」

 

俺はそう言いながら印を1つ1つ思い出すように結んだ。

 

━━━━風遁・風玉(ふうぎょく)の術!

 

そう心の中で唱えながら俺は1つずつ風の弾丸を放った。そしてその弾丸が燭台に到達すると、燭台に灯っていた炎は鮮やかな青色になった。

 

「思いっきりチャクラ練り込んだけど、炎に酸素が供給されるのはせいぜい20秒だかんな!さっさと読めよ!」

 

俺はイタチに向かってそう叫んだが、当の本人は無言で石碑とにらめっこしている。そして10秒が経つか経たないかでこちらに振り向いた。

 

「解読完了だ。協力ありがとう」

 

俺はそのイタチの言葉を聞いてポカンとした顔になった。

 

「……どうした?」

 

「いや、お前、ちゃんと『ありがとう』って言えるんだな」

 

そう言うとイタチは少しむくれた顔になった。

 

「当たり前だ。バカにするのも大概にしろ」

 

「はっは!悪い悪い」

 

俺はイタチのちょっと怒った顔がおかしくて笑った。当のイタチは不機嫌なままだが。

 

「ところでお前、あの石碑10秒くらいで読めたのか?」

 

「ああ、昔から速読と記憶力には自信がある」

 

へえ、なるほどね。それが印のスピードにも関係してるのかね。

 

「で?なんて書いてあった?」

 

「内容はこうだ。『我、ここに記す。六つの道を修めける者は既に死せり。我、彼の者の弟子なり。彼の者死すとも彼の者の教えは死せず。彼の者の子二人、教えを改変せり。この御業は人を傷つけるものにあらず、人の心と心をつなぐものなり。我、汝にこの希望を託す』」

 

「は?全然わかんねーな」

 

俺は一応前世の古文の知識はある。でも六つの道を修めける者ってなんだよ。教えとか御業とか言われてもわかるわけねーだろ。

 

「おそらく『六つの道を修めける者』っていうのは六道仙人のことだ。お前も御伽噺とかで聞いたことあるだろう」

 

「御伽噺とか興味ないから知らん」

 

「ハァ……御伽噺とかっていうのは昔から伝えられる物語のことだ。半分以上は嘘っぱちだが元は実話であることが多い。少しくらいは興味を持て」

 

「はいはい」

 

俺は元の世界に帰ることしか興味ないから適当に聞き流した。術さえ極められればその他はどうでもいい。

 

「で、内容を簡単に言うと『六道仙人は既に死んだ。私は六道仙人の弟子である。六道仙人が死んでも彼の教えは死なない。しかし六道仙人の子ども2人は教えを変えてしまった。この教えは人を傷つけるためのものではない。人と人の心をつなぐものである。私はこれを読んでいるあなたに真実を皆に伝え直す希望を託そう』」

 

ふと気づくと青かった炎は赤い色に戻っていた。

 

「ふーん、お前、その年で古文読めるのかよ。だいたいわかったけど、教えってなんだ?」

 

「おそらく忍術のことだな。忍術は元々忍宗という宗教のようなものだったと聞いたことがある」

 

「なるほどね」

 

「わかったなら帰るぞ。目的は済んだ」

 

イタチがそう言うとちょうど燭台に灯っていた火も消えた。

 

「待て、何かおかしいぞ」

 

俺は違和感を感じ、イタチを制止した。

 

「なんだ?」

 

火がないので真っ暗であったが、イタチもすぐに臨戦態勢に入ったことが気配でわかった。

 

「俺たちが入ってきた方向と逆からの風を感じる」

 

「あっちか?」

 

そう言うとイタチは自分で持ってきた燭台に火を灯し、俺の言った方向を照らした。

 

「……何もないが」

 

「おかしい、風が止まったぞ」

 

実際にイタチが照らした方向には何もなく、壁があるのみだった。そして照らすと同時に風も止まった。

 

「なるほどな」

 

イタチはそう言いながら燭台の火を消した。そうすると再び風が吹き始めた。

 

「風が吹いてるのはわかるが、正確な方向がわからないな。アサヒ、風の方向に案内してくれ」

 

「おっけー、こっちだ」

 

そう言いながら俺はイタチの手を引いた。そのまま風を感じる方向へ進むと、やはり壁があった。

 

「ここだけど、行き止まりだぜ?」

 

「いや、とりあえずその壁蹴ってみればわかる」

 

そう言われて俺は足の裏で壁を蹴飛ばした。すると壁がゆっくりと開き、地下に続く階段が現れた。

 

「うわ、なんだこりゃ」

 

「恐らくあの石碑はこれを隠すためのダミーだ。この先に更なる情報があると思っていいだろう」

 

「降りんの?」

 

「無論」

 

おいおいマジか。こんな得体の知れないところに子供2人で入るのかよ。

 

しかし俺が躊躇している内にイタチは階段を降りていってしまったので、俺も急いで追いかけた。

 

「おい待てって!」

 

しかし階段はすぐに終わり、行き止まりになった。

 

「おい、行き止まりじゃねえか」

 

「よく見ろ。これは……石像と絵画だ」

 

そうして壁だと思っていた場所を、岩を仰ぎ見ると、それは大きな女神像だった。その後ろには丸い大きな岩と2人の人が描かれた絵があった。

 

「なんだこれは……?」

 

ここに来てさっきまでずっと落ち着いていたイタチが困惑の声を上げた。

 

「なんだ?お前でもわからないのか?」

 

「俺が今まで聞いたどの話にも当てはまらない。強いて似てるものを挙げるなら六道仙人が作ったと言われる月の話くらいだが……」

 

は?月を作った?人が?そんなの架空の話だろと思ったが、別に今はそんなことどうでもいいので言わなかった。

 

「具体的にどこらへんが違うのよ?」

 

「まず背中に波紋状のマークがあるこの人物は六道仙人だとしても、この隣にいる人物、これが誰なのか皆目見当がつかない。そしてもう一つ。この女神像だ。忍界の神話の時代に女神はいない」

 

「へえ……」

 

実は俺はこういう謎の多いものが好きだったりする。前世でもツタンカーメンの謎とかなんとかいうテレビよく見てたし。

 

「そういやさっきから気になってたんだけどさ」

 

「なんだ?」

 

「この絵の端にいる真っ黒な奴だれ?」

 

俺が指さす先には、一見するとただのシミにしか見えない、しかしよく見れば確かに意図的に描かれた黒い人型があった。

 

「なんだこれは……」

 

イタチはそれに近づき、その黒い人型の上を指で撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、地響きがした。

 

 

 

 

 

「なんだ!?地震か!?」

 

俺は予想外の出来事に少し慌てる。

 

「マズイ……今すぐここから出るぞ!」

 

イタチは何かを察知したのか、普段出さないような焦った声で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、おいマジかよ」

 

俺は隣のイタチに言うでもなく呟いた。

 

「まさかあんな仕掛けがあるとは思わなかった。俺の不注意だ。すまなかった」

 

イタチは俺に謝る。俺達の前には天井が完全に崩れ落ちて塞がった洞窟の跡があった。

 

「いや、普通わかんねーよ、まさか絵に触れたら天井が崩落する仕組みなんてな」

 

イタチと俺の見解では、あれは地震ではなく洞窟の仕掛けということになっていた。大体洞窟が崩れ落ちるほどの地震が起きたらもっと森の動物とか騒がしいはずだし。

 

「まあ、とにかく2人とも何ともなくてよかった。とりあえず今日はここで解散にしよう。それと……」

 

イタチは疲れた顔で話す。

 

「今日のことは他言無用、オレ達の間での秘密にするぞ」

 

「は?なんで?」

 

「遺跡を壊したと知られたら色々マズイだろう」

 

苦々しい顔をして言うイタチの言葉を聞いて、俺は笑った。

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