「……へ?今なんて言ったの……?」
俺は家で呆気に取られていた。父さんは困ったように笑いながら先ほど言った言葉を繰り返した。
「だから、君の弟の名前は【ナルト】に決定したから」
流石に俺は焦った。まさかこの世界の主人公の兄になるなんて。あれ?でも俺の苗字は【波風】であって【うずまき】じゃないぞ。そうだ、俺が転生したから少しイレギュラーが起きてるのか。
「でも、どうして【ナルト】なんて名前に……」
俺は既に決められたであろう運命に少しでも抗おうとした。ナルトの名前が【ナルト】でなくなったとしても未来が変わるとは限らないのに、でもどうしても抗わずにはいられなかった。
「そうだ、君には由来を言ってなかったね」
父さんは後ろにあった本棚から本を取り出した。
「あ、それ……」
「ん、確か前に君にも紹介したよね。この【ド根性忍伝】、実はナルトって名前はこの主人公の名前からもらってるんだ。あ、もちろん著者にも許可を取ってる」
父さんの目を見るともう何を言っても変わりそうになかった。そんなに気に入ったのか、その本の主人公が。
「その反応を見るに、どうやらまだ読んでないみたいだね。前にも言ったけど、この本は君にもぜひ読んでもらいたい。まあ強制はしないけどね」
父さんにしては珍しく強く勧めてきた。まあ今はそれよりもやりたいことがある。ナルトの兄になってしまうというのならなおさらだ。俺は早くより強くならなければならない。そうしないと早々に死ぬ。
「ところで父さん、風の性質変化は大方できるようになったんだけど、次はどうするの?やっぱり火の性質変化?」
「そろそろそう言う頃だと思ったよ。流石は僕と母さんの子だ」
父さんはそう言って俺の頭にポンと掌を乗せた。俺は少し照れくさくなって、次の言葉をせかした。
「いいから、早く」
「まあまあ、そう焦らないで。今から君に習得してもらうのはこの術だ」
そう言って父さんは俺の頭に置いていた手を離して掌を上に向けると、そこから球状に渦巻くチャクラが出てきた。
……主人公の必殺技じゃねーか!!!!!
正直もうドッキリはお腹いっぱいである。これ以上驚かされたら吐き気を催しそうだ。
「この術は【螺旋丸】と言ってね。この術には三つのポイントがあるんだけど、なんだと思う?」
「回転と威力と……圧縮?」
「そう!よくわかったね!」
父さんは驚いたように声をあげた。まあ原作で少しカンニングしてるんだから当たり前なんだけど。
「チャクラを扱う上で大きく二種類に分かれるのが、この螺旋丸で習得してもらう形態変化と君が習得した性質変化だ。その名の通り、性質変化はチャクラの性質自体を五つの自然現象の形に変化させる。形態変化はチャクラの形自体を色んなものに変えることだ」
「でもその術、かなり難しいよね?」
「まあね、習得難度は上から2番目のAっていったところかな。まあ君ならすぐできるでしょ」
「なんだよその根拠のない自信……」
俺はため息を漏らした。
「自分の子どものことは信じるのが親ってものさ」
父さんは軽くウインクしながら答えた。それを見た俺はさらにため息を深くするのであった。
「あー、割れねーな」
俺は掌の上で水風船を転がしながら呟いた。最初の修行は原作通り、水風船を割るものだった。簡単にできると思ったが意外にチャクラを乱回転させるのが難しい。
「そーいやあのオッサン誰だったっけ?」
俺が家を出る時に入れ替わるように訪ねてきた白髪の大男のことを思い出しながら呟いた。なんか結構重要人物だった気がするんだけどな……本当に原作忘れてきてる。とりあえずここらへんで今覚えてる知識を書き出しておくか。
《1、アカデミーから下忍編》
たしかイルカだっけ?なんか先生がナルトを忍者として認めてくれたよな。敵キャラもいたような気がするけどアカデミー生だったナルトにやられるくらいだから心配しなくていいだろ。
《2、波の国編》
これはよく覚えてる。再不再と白だよな。再不再はホンマにヤバイって記憶がある。俺の覚えてる敵キャラの中では3本の指に入るか入らないかってレベル。
《3、中忍試験〜木の葉崩し編》
たぶんここらへんは俺が関わる事は少ないだろ。だってナルトの試験だし。手を出したくたって出せないはず。でも木の葉崩しはどうする?あれで確か三代目のじいさん死んじまったよな。俺がオカマ丸と戦う?イヤイヤイヤムリだろ。とりあえず保留。
《4、綱手搜索編》
えーと、これはナルトがエロ仙人と旅に……あ!エロ仙人!あのオッサンエロ仙人かよ!なるへそ。まあこれもあんま気にしないでいいかね。
《5、サスケ奪還編》
んー、これは手を出そうかと思ってる。実際のところあのオカマがサスケの身体を乗っ取って写輪眼を手に入れたらいよいよ手がつけられなくなる。ナルトとの戦いの後らへんにボロボロになったサスケをヒュっと捕まえて連れもどしゃいいだろ。
まあザッとこんなところか。まあ俺が元の世界に帰れば全く関係のないことだけど確認しておくに越した事はない。
とりあえず最優先で考えるべきは九尾か。たぶんもう避けられないだろ。この事件で父さんはナルトに九尾を封印したけど死ぬんだよな。でも母さんの死因ってなんなんだ?父さんは戦って重症を負って死んだってことで辻褄あうけど母さんは全く見当もつかない。少し事前調査しておく必要があるか。
「あ、アサヒくん!」
俺は自分の名前を呼ぶ声に顔を上げると向こう側に手を振ってるアヤメが見えた。俺もそれに答えるように手を振ると、アヤメは嬉しそうな顔をして走って近づいてきた。
「あのね、お父さんが少しつけ麺のレシピを変えたらしくって、アサヒくんに味見してもらいたいらしいんだ。今時間ある?」
「ああ、大丈夫だけど」
ちょうどいい、あのオッサンなら歳も結構いってるはずだし九尾について何か知ってるかもな。
「じゃあついてきて!」
俺はそんなことを考えながら、笑顔で前を歩くアヤメの後をついていった。
「へい!らっしゃい!よく来てくれたな。当たり前だけど今日は味見役だからタダだ!」
「ありがとうございます」
俺は準備中と書かれた看板を出している一楽の厨房の中にある椅子に座っていた。
「じゃあ今からパパッと作るから待っててくれ!」
そう言うと、オッサンは麺を茹で始めた。
「ねえアサヒくん」
横にいたアヤメが小声で話しかけてきた。
「今アサヒくんって好きな人とかいる……?」
ちょうどオッサンには聞き取れないくらいの声で聞いている。まあ普通恋バナとかは親に聞かれたくないか。
「ん、別に」
俺が短く答えると、アヤメは小さな声で「そっか」と呟いた。
それよりも今は聞かなきゃいけないことがある。俺はオッサンに声をかけた。
「なあオッサン、九尾って知ってる?」
俺が声をかけると、オッサンの手が止まった。
「知ってるんだね?」
オッサンはこっちを見ずに作業を止めたまま口を重そうに開いた。
「知ってるが、俺の口からは話せねぇ」
「なんで!」
「九尾は里の歴史に深く関わる妖獣。どうしても知りたいなら、一番近くにいて、里を最もよく知る存在……『火影様』に聞くのが一番なんじゃないのか」
「でも……」
俺が食い下がろうとしたが、オッサンはまた作業を始めてしまった。たぶんもう聞いても答えてくれねえだろうな。父さんに聞いてみるしかないか。
俺はその後、出されたつけ麺の塩気の強さが気になったので、そのこととお礼を伝えて店をあとにした。
「父さん」
俺は目の前で大量の書類を処理している男に話しかけた。
「なんだい?」
その男はこちらに目を向けることもなく作業を続けながら答えた。ここはミナトの自室である。四代目火影に就任した際に作業部屋として新しく作ったのだ。だからこの部屋で少々雑な扱いを受けても文句を言うのは筋違いってものだが、それでも俺は一抹の寂しさを覚えた。
「九尾って知ってる?」
男の手が止まった。ゆっくりとこっちを向く。目の前の父親は今までで見たことないような顔をしていた。
「どうしたんだい急に……見れば分かると思うけど今僕はちょっと忙しいんだ」
「いや、どこにいるかだけを教え「すまない、今手が離せないからまた今度にしてくれないかな?」」
言葉を上から重ねるようにして遮られた。なんでだ?なんでこんなに突き放すんだ?俺はただ疑問に思うことを聞いてるだけなのに。なんで?
「……もういいよわかった」
俺は目の奥の方から何かがこみあげるように熱くなるのを感じて、部屋を出た。
「(なんでだ?なぜこのタイミングなんだ?)」
ミナトは目の前に山積みにされた書類を睨みながら自問していた。先ほど息子に聞かれたことが胸の奥に引っかかっていた。
九尾とは時代の節目に現れる妖獣である。その神出鬼没さからよく天災に例えられることが多い。しかしながらミナトは知っていた。九尾はおよそ100年ほど前のうちはマダラの襲来の際にマダラに従えられた状態で現れ、マダラの敗北後は代々渦の国出身の女性の身体に封印している。
そもそも時代の節目に現れるというのは、九尾が現れた際にその当時の勢力が壊滅的な被害を受けた結果の話である。後から見ると時代の節目になっているだけである。
しかし時代の節目に一番敏感なのは子どもだ。子どもは大人にわからない微妙な変化を感じ取る。火影たるものそれに気づかなければならない。
「(もうクシナは臨月だ……来週にも生まれておかしくない。このタイミングで九尾のことを聞いてくる……話がうまく出来すぎだ)」
女性の人柱力にとって出産時が一番無防備になる時であり、危険である。封印の力は弱まり、さらに出産による体力の消耗でろくに動くことができない。だから今回の出産も三代目夫婦とその直属の一部の暗部、そして相談役しか知らない。そして更に四代目火影であるミナト自身もクシナの側につく。万全の上に万全を敷いた布陣である。でもやはり引っかかるものがある以上、独自にいくつか手を打っておいた方がいいだろう。独断は火影の権限でなんとかなるはずである。
「アサヒ……すまない……君にはまだ早い」
波風ミナトは誰にも聞こえないような声で呟いた。
ヒロインどーしよー
自分で作るのキツイ……女性経験が少な(ry
アニオリから連れてくるかな……クロスオーバーで他作品から……?
正直NARUTO原作のヒロインはあまり好きじゃないっす(小声)