この素晴らしい世界に祝福なんざいらない。 作:グリムリッパー02
「いやぁ、今日もいい天気だ」
この世界に転生を果たし、既に3ヶ月の月日が経った。
俺はこの街、アクセルを取り囲む外壁の上で汗を拭う。晴天の空にきらめく太陽。広い草原を揺らすそよ風が頬を撫でる。
あぁ、なんと素晴らしい景色だろう。この景色だけでも異世界に来た甲斐があったってもんだ。
「なぁお前らもそう思うだろ?」
穏やかな気分。俺には似つかぬ爽やかな声色で声をかけた先には ───
「「「「うっ、ぐふ……」」」」
全身をボコボコに殴られた挙句、素っ裸にひん剥かれた上に、亀甲縛りに縛り上げられ、露骨な悪意に満ちた恥ずかしい落書きが満遍なく施され、ケツに真っ赤な薔薇を咲かせ、股間に『不能』と書かれた男達が、数十人並んでいた。
さて、状況を説明せねばなるまい。
まず最初にこの不能共は前に俺様をカツアゲしてきた奴らだ。
こいつらはあれから毎日、俺を見つけ出しては復讐しにきて、その度こうして返り討ちにあっている。
そしてその度こうして至高の芸術品として生まれ変わっているのだ。
「やれやれ自分の才能が恐ろしいぜ」
そう言いながら外壁の外へと吊るしていく。
いやぁアサシンの魔法《クリエイト・ロープ》を手に入れてから俺様の芸術の完成度も鰻ライジングだ。
あ、因みに《バインド》なんて使わない。こと縛ることに関しては譲れないからな。
別に作者がこれ書いた後に《バインド》を知ったとかそんなことじゃない。いいね?
「と、もうこんな時間か」
鐘の音が響く。ま、このくらいにしておきますか。
途中、吊るされた男達が目を覚ましてワンワン言っていたがまったく耳に入ってこなかった。
そうして俺様はその場をクールに去ったのだった。
✳︎✳︎✳︎
始まりの街『アクセル』。
総人口は割と多く外壁に囲まれたこの街は多くの農民と商人、そして冒険者で賑わっている。
そしてそんな冒険者が一堂に会する場。それが
冒険者登録を済ました場所でもあるギルドである。
ギルドには主に二つの用途があり、一つは一般的なギルド ─── クエストや冒険者としての手続きなど ─── と、もう一つは冒険者達の酒場として利用される。
「ここに来んのも久しぶりだなぁ」
朝の製作業を終えた俺は一人呟いていた。
話的には1話分も空いてないが、ここ最近は別のことをしてたしな。来るのは三週間ぶりくらいだろうか。
そうしてやや懐かしいとうっすい感傷に浸りつもギルドの扉を開けると
「おぉ!!!すげぇや!」
「アンタみたいなのが案外魔王を倒しちまうのかもなァ!」
なにやら物凄い騒いでいた。なにごと?
「あ、トウヤ!こっちこっち!」
「ん?おぉクリスか、久しぶり」
そんな人混みの中、後ろの方でジャンプしながら中を覗こうとしている銀髪を発見する。なにあれ可愛い。
彼女の名前はクリス。盗賊の冒険者で色々不思議なところもあるが、俺の数少ない冒険者友達だ。
いや、別に俺がコミュ障とかじゃないよ?ほら、俺様ってばあんましギルド来てないからさーしょうがないよねー
「この騒ぎはなんなんだ?見たところなにか凄い奴が来たみたいだが」
「うん。なんか知力と幸運以外カンストした人が冒険者になったみたいだよ」
「なんだそれ」
いや、ほんとなんだそれ。カンストってどうなったら出来るんだよいや俺も器用度カンストしてるらしいけども。
しっかしこの始まりの街にそんなチート冒険者が来るなんてな。案外俺様とは違って女神(笑)に特典貰った転生者だったりしてな。
「 ??? どうしたのトウヤ。ニヤニヤしちゃって」
「いや、ちょいとフラグ建設をね」
「???」
どちらにしろ楽しければ俺はモーマンタイだしな。
そうこうしている内に周りの集団もまばらになる。ようやく顔を拝めるな。だからクリスは背伸びとかしなくていいぞ。
んじゃ、俺様も挨拶がてらに話しかけてくるかね。
人混みを掻き分けつつ中心部に行けば、綺麗な青い髪をした女生と茶髪の、ジャージみたいな服を着た男がいた。ん?一人じゃないのか。
女は男に渾身のドヤ顔でステータスカードを見せる。アレは酷ぇ。俺だったらアッパーカット決めてるな。
つかあの顔どこかで…………
「あ、ほら見てカズマ!私凄いくない?アークプリーストよ!アークプリースト!上級職なんですけど!」
「アーハイハイスゴイデスネー。ってかそれって普通俺の立ち位置だよな?」
「なに言ってんのよヒキニートのくせに」
「ニートじゃねぇつか引きこもりとニートを足すなと言ってるだろ!だいたい、こんなコントしてる暇ないんだよ!俺ら今日の宿泊費もないんだぞ!?」
「そんなの気にしなくて大丈夫よ!さっきはちょっと失敗しちゃったけど私は女神なのよ?それにさっきの大衆を見たでしょ?私のような優秀なアークプリーストならそこら辺に貢ぎたいって奴がいくらでも…………あ」
あ、やべこっち見た。
「あーーー!!!!アンタ!!」
目指し指差しで叫ぶアークプリーストの女。
いや、なんでお前こんなとこいるんだよ。
こうして俺は俺を転生してくれた女神(笑)さんと感動的な再会を果たしたのだった。まる
ちょっと話がはしょりすぎだって?ぎゃはは気にすんな。
✳︎✳︎✳︎
「ぎゃーーはははははッ!? ちょ、お前、特典で女神連れてきたってマジかよはははははっ!」
ギルド内の酒場に俺の笑い声が木霊する。
俺、巻き込まれたクリス。そして女神と転生者くんを入れた四人は積もる話もあるってことで酒場エリアに来ていた。が、話を聞いて笑いが止まらない!!
「ちょ、失礼じゃないのアンタ!これでもアンタを転生させてあげたの私なんですけど?もっと私を敬ってよ!崇めてよ!」
「いーや!もっと言ってやってくれ!こいつほんと使えないんだよ。女神のくせにギルドの場所も知らないし金も持ってないし、おまけに後輩女神の信者にお情けで金をもらうし」
「ひーっやめろやめろやめろ!!俺の腹の皮よじり殺す気かぎゃははははははははっ!やめて苦しい助けてママァ!」
「うわーーん!!ちょっとやめてよぉそのことは言わないでー!!!」
「あ、あはは。みんなそのくらいで…」
ふー、ふー、あーやっと落ち着いてきた。
クリスの苦笑と哀れむような声。ついでに「あーまた私の仕事が…」とか聞こえたけど。まぁ無視でいいな。
にしても特典に女神を所望するとか、俺様ですら考えつかなかったぞ。
目の前の転生者、名前はカズマだったか。見た目は普通の高校生くらいだが、なるほど気に入ったぜ。
「んじゃま改めて…。俺の名前はハルノ トウヤだ。トウヤでいいぜ」
「あ、おう!俺の名前はサトウ カズマだ。カズマって呼んでくれ」
「そして私がアクシズ教団の御神体にして水を司る女神「(笑)」アク、って!誰が(笑)よ!」
「(爆笑)のほうが良かったか?」
「やめてよ!そこじゃないわよ!」
「いやいやいや、こいつはそんな大層な奴じゃないよ」
「そうだな良くて(微笑)か」
「ちょ、ほんとにやめてよ!泣くわよ!?」
「「(嘲笑)」」
「うわぁぁぁぁあん!!!カズマ達が虐めるぅ!」
「あー、アクアさんよしよし。もうダメだよ二人ともちゃんと話を聞いてあげないと」
そう言ってアクアの頭を撫でるクリスだが、脂汗が浮いてるのはなぜだろうな。
ま、そんな事は置いといてこっちは仕切り直させてもらおう。
「トウヤも転生者なんだよな?」
「おうまぁな。それとあんましここでそれを言うなよ?クリスは比較的スルーしちゃいるが、他の奴なら痛い子認定確実だからな」
「お、おうわかった。それでトウヤはここに来て長いのか?」
「三ヶ月くらいだな」
「へー、そんなにか。それじゃレベルもけっこう上がってたりするのか?」
「うんにゃ、レベルは未だに6だな」
「はぁ!?三ヶ月もここにいてそのくらいしか上がんねーのかよ!」
立ち上がり驚嘆の声を漏らすカズマ。だが俺はそれを手で制しつつ訳を話す。
「実際はそーでもねえよ。俺は3回しかクエストに行ってないしな」
「3回だけ?他は何してたんだよ」
「主にこの世界の情報集めだな」
「そーいえば初めて私にあった時も図書館の場所とか聞いてたね」
「歴史、政治、文化、魔法。この世界は俺らの元の世界とは全然別物だからな。図書館の本を読み尽くしたり街を歩き回ったりなんかしてたら結構時間かかった」
「……す、すごいな」
「ま、ゲームと同じにいかないのがリアルだからな。知識はそれだけで力になる。あって困ることはないしな」
「耳が痛いな」
俺としては今日改めて冒険者業に専念しようと思っていたところだ。クリスにも俺のクエストについてきてもらう約束だったしな。
結果はご破算だったが、嬉しい誤算だったので良しとしよう。
しかし、やはり俺のような考えはあまりないようだな。つか冒険者自体学がないやつが多い。
力を持つ冒険者なんてのは勿論。チートを持ちの転生者共は悪・即・斬でクーガー兄貴並みの速さで終わるから知識なんて関係ないんだろう
。
「ま、俺はチート能力とか持ってねぇしな」
「は?」
「変わりにこれ貰った。ほれ」
そうして俺はポケットから特典を取り出す。
「ティッシュ?」
「そうだ」
「なんでティッシュ?」
「あると便利だろ?」
………………。
俺たちの間に沈黙が流れる。
「ま、まぁ!こうして転生者の先輩に会えて良かったぜ!あの馬鹿女神だけだと不安しかないからな!」
明るい声で話を切り替えるカズマ。おい何か言いたいことがあるなら聞こうじゃないか?
「これからよろしくなトウヤ!」
スッとカズマの右腕が伸びてくる。
……ま、楽しければそれでいいか。
「あぁよろしくなカズマ。お前とは何かと面白いことに巻き込まれそうな気がするぜ」
そうして握手に応じた。
─── 後にこれが、アクセル中を震撼させる恐怖の鬼畜コンビの誕生であるとは、今は誰も、女神さえも知らない。
「つきましては、お金を貸してくれると嬉しいです」
「ぎゃはははは。利子つけて返せよ?」
知らないったら知らない。
正直最後の方クオリティが落ちたことが否めない。
クリスとの馴れ初めはまた今度書こうと思います。なんかその方がしっくりくるからね
ここダメだぞクソ作者とかありましたら感想へとどうぞー