呼んでくださると嬉しいです。
わけのわからない誤字脱字が前やってしまっていたので、もし見かけましたらご報告よろしくお願いします。
Art 0 墓参り
2023年9月某日。第1層黒鉄宮《生命の碑》前。
この頃、ここを訪れる人は本当に少ない。そんな場所に1人の男がゆっくりと歩いて来ていた。
夏の終わりを告げ、熱された温度を冷やすように吹く風に俺のコートが1度だけ大きくはためいた。
風は腰を覆う程長い黒シャツを捲り、肌を冷たく凪いだ。
ぶるり、と1度身体を震わせると。腰に下げたチェーンに通された銀の指輪がチェーンを叩いた。その音がまた温度を下げた――気がした。
左二の腕を右の掌で摩りながらここの温度を遥かに下回る光を蓄えた黒鉄の碑にまた1歩近付いた。
とす……とす……。と綺麗に磨かれた石の床―大理石でも使っているのだろうか―を黒色のブーツの底で踏みしめる様に歩く。
踏みしめる様に、と言っても実の所その脚に力は殆ど入っていない、歩くだけと言う感じだった。
とす……とす……とす…………。
ようやっとたかだか数メートルの距離を普通の人の凡そ3倍程の時間をかけて歩き終えるとゆっくりと顔を、視線を、碑に移す。
碑にはアルファベット順に凡そ10000の名が白のフォントで掘られていた。
その名をA、B、C、D、E……と見ることは無く、今は既に見慣れた碑の一部へと視線をフォーカスする。
そして10秒とかからず探していた裏腹、何処かで見つけたくは無いと思っていたその名を見つけた。
【Sachi】
サチ。
丁度三ヶ月前にその命を散らしたその女の子の名。
「……サチ……」
何度訪れ、何度呼んでもこの声の震えは抑えられない。
「……また、来たよ」
そう言い、ゆっくりと膝をまげ腰を落とす。
左手に握っていた桃色の花弁を持つ花束を碑の麓に横たえ、黙祷。
「……サチ、俺……さ、悩んでるんだ、仇が前に、手の届く所にいるんだ」
かぶりをふる。
「やっと、やっと、近付けたんだ、アイツに俺の剣が届く距離まで」
顔をあげる。
「でも、あくまでも俺の考えなんだけどさ、仇討をした所できっと君は喜ばないだろう? 喜んでくれるかな?」
わからないけど。そう小さく呟いた。
「サチ……」
小さく、それでいて力の篭った声が喉から這い出た。
右手でサチをなぞる。親指でぐいっと横に拭うように滑らせる。
そして静かに冷ややかな碑に唇をそっと口付けた。
静寂。静寂だけがこの場にいた。
彼女の息遣いも、熱も、何も、いない。
触れていた時間はほんの数瞬だったけれど、長く触れていた気に陥る。
ゆっくりと顔を離し、そっと告げる。
「……また来るよ、その時に報告するよ、殺せたか……殺せなかったかを……じゃあね」
いつしか目尻に浮かんでいた涙をぐいっと拭いゆっくりと踵を返し、今度は本来の速さで、黒鉄宮の床を踏み出した。
呼んでくださると嬉しいです。
誤字脱字うんぬん。
ギャグかよ。
驚きだよ。