~~前回までのあらすじ~~
臨海学校での一件も終え、とうとう夏休みに突入した一夏と機龍達
そんな中で一夏の家に遊びに来た機龍達と箒たち
織斑家に8人全員が集まり、ゲームをしたり、一緒に調理した夕食を
食べたりとして、全員で楽しい思い出を作っていた
そんな中、母国であるイギリスに帰国する事になっていたセシリアは、
その帰省に際して機龍を誘った そして、機龍は初めての外国、
『イギリス』へ行く事を決めたのだった
ある日の朝 IS学園にほど近い空港のターミナルに、カバンを持った
私服姿のセシリアと機龍、そして、二人を見送りに学生服姿の簪が居た
簪「それじゃ、機龍、セシリアさん。行ってらっしゃい。」
機龍「うん。行ってくね。簪。お土産、期待しててね。」
セシリア「では、そろそろ時間ですし、機龍、行きましょう。」
機龍「うん。」
簪と別れた機龍とセシリアは、カバンを持ったまま、飛行機の中へと
乗り込んでいった
カバンをしまい、ファーストクラスのゆったりとしたチェアに背中を預ける
機龍
「わ~……椅子がフカフカだ。」
セシリア「うふふ、そうですわね。あ。機龍は何か飲み物は要りますか?
機内で頼むこともできますわよ?」
機龍「う~ん……今はいいや。それより…僕はセシリアの国、イギリスの事が
聞きたいな。」
セシリア「な、成程!では、私の祖国のすばらしさを機龍にも教えて差し上げますわ!」
と、息まくセシリアだった
そこから、数時間とセシリアのイギリスのついてのうんちくが続いた
「それに加えて、我がイギリスでは……」
機龍「………」
セシリア「?…機龍?」
前を向いたまま喋っていたセシリアは、機龍が無反応な事に気づいてそちらに
視線を向けた
機龍「すぅ……すぅ……すぅ……」
そこでは、機龍がかわいい寝息を立てながらチェアに頭を預け、眠りについていた
セシリア「あらあら……かわいい寝顔ですわ。」
と言って、機龍のぷっくりとした頬をつつくセシリア
と、そこにCAが通りかかった
「あ、すみません。」
CA「はい?どうかされましたか?」
セシリア「毛布を一つお願いできますでしょうか?連れのこの子が
眠ってしまったので……」
そう言われて、機龍の方に視線を移すCA
CA「はい。分りました。少々お待ちください。」
数分後、CAが持ってきた毛布を機龍に掛けてから、額にかかった銀髪を
払うセシリア その表情は、まさに愛しい息子を見守る母親のそれだった
セシリア『もし、私が機龍を好きと言ったら、この子は受け入れてくれるでしょうか?
もし……許されるなら、私は機龍と………』
「…いつまでも……」
そう言いながら、窓の外を流れる青空に視線を移すセシリアだった
やがて、数時間後
「…龍……機龍。」
眠っていた機龍を、セシリアが起こした
機龍「う……う~ん……セシリア、お姉ちゃん。…どうかしたの?」
瞼をこすりながら、上半身を起こす機龍
セシリア「ほら、御覧なさい。我が祖国が見えてきましたわ。」
機龍「え?」
驚きつつ、機体の窓に顔を近づけると、眼下に陸地が見えて来た
平原などが広がる中に、銀や茶色の色…建物が見え始めた
「ここが……お姉ちゃんの故郷……イギリス。」
セシリア「はい。ようこそ、我が祖国へ。」
機龍はそんな言葉を聞きながら、窓の外の異国の景色に見入っていた
それから数分後、機龍達を乗せた飛行機が空港へと着陸し、貨物室に預けた
荷物を受け取ってから、空港の外へと出た
と、そこに一人の女性が近づいて来た
???「お帰りなさいませ、お嬢様。」
スーツ姿の女性がセシリアの前で恭しく礼をした
セシリア「ただいま戻りました、チェルシー。あ、機龍。ご紹介しますわ。
私の専属メイドである……」
チェルシー「『チェルシー・ブランケット』と申します。以後、お見知りおきを。」
と言って、今度は機龍に向かって礼をするチェルシー
機龍「は、初めまして。僕は篠ノ之機龍と言います。よろしくお願いします。
えと、お世話になります。」
と言って、ペコリとお辞儀する機龍
チェルシー「はい。お嬢様から聞き及んでいます。さぁ、どうぞお乗りください。
まずはお屋敷までご案内します。」
そういって、白のロールスロイスに乗り込むセシリアと機龍
だが、この時二人を監視している無数の人影があったことを、本人たちは
気づいていなかった
二人を乗せた車は、空港を離れた後、都市部を抜けて、街の郊外にある草原地帯
へと進んだ やがて、そんな草原地帯の一角に周囲を塀で囲まれた敷地が見えてきた
そして、その敷地の中に通じる門の前で車が停車すると、待っていたかのように門が
自動で開き、車を中に入れた
機龍「ここって……」
セシリア「はい。この塀の中はすべて、オルコット家の所有する土地となっていますわ。」
門を潜り、中央に見えた屋敷に向かって草原の中の道を進んでいく車
そんな車窓から外の景色を眺め、初めて見る景色に機龍は目をキラキラ
させていた と、そんな景色に見とれる機龍の後ろで、セシリアは内心で
ガッツポーズをしていた
『どうやら機龍の第一印象は抜群のようですわね!
ハァ、機龍。私たちはいずれここで二人で……』
~~セシリア妄想中~~
一つのベッドに二人で横になっているセシリアと機龍
機龍「お姉ちゃん。僕、その……」
セシリア「どうかしましたか?」
機龍「もっと……もっとお姉ちゃんと仲良くなりたいの。だから……」
そう言ってセシリアの胸に顔をうずめる機龍
「……僕と、――――して。」
~~妄想終了~~
セシリア『い、いい、いけませんわ!機龍とあんな事やこんなことなんて!
で、でも……もし機龍にその気があったら!?二人で一つのベッド、
静かな夜に、二人っきり。満月の光に照らされたロマンチックな部屋で……』
と、イメージを膨らませるセシリア
『あぁいけませんわ。私の方が機龍を襲ってしまうかもしれませんわ。』
と言って顔を赤くしてから両手を頬に添えてエッチなイメージを浮かべている
セシリアだった
他にも、プールサイドで水着姿の自分たちのエッチな事を想像したり、
一緒に料理していた場面や何やらを想定していて、
車が屋敷の前につくころにはセシリアは顔を真っ赤していた
その後、屋敷の大きな扉を開けて、中へと案内された機龍
機龍「うわ~~。広~~い!」
中央の玄関先には大きなエントランスが広がっていて、シンメトリーに広がった
玄関 天井からは大きなシャンデリアもぶら下がっており、あちこちにはきれいな花も
飾られていた
外以上に、初めて豪邸を見る機龍の目は輝いていた
そんな機龍をしり目に、何やらヒソヒソ話を始めたセシリアとチェルシー
チェルシー『お嬢様、どうやら機龍様は大変ご機嫌のようですね。』
セシリア『えぇ、わたくしもあの子が喜んでくださって何よりですわ。』
チェルシー『確かに。…それと、お嬢様。』
セシリア『何ですの?』
チェルシー『機龍様も子供とはいえ、一人の男性。夜、もしもの事が
起こった場合は、我々も察するように気を配っておきますので。』
セシリア『な!?ななな何を!?』
チェルシー『お嬢様もそういったことに興味を持つお年頃。
愛する殿方に体を預けるというのも、経験してみる価値はありますよ。』
セシリア『チェチェチェ、チェルシー!?何を言ってますの!?』
チェルシー『ご安心ください。この私が、お嬢様に似合う最高の勝負下着を
あつらえます。』
そういわれて、顔を真っ赤にするセシリアだった
ちなみに、機龍は二人が話している内容は豪華な内装に夢中で全く聞こえていなかった
その後、屋敷の中をチェルシーやセシリアに案内された機龍は今は二人で
チェルシー達メイドが作った料理を食していた
広い部屋に通されたと思ったら円形のテーブルが置かれ、中央には豪華な花瓶と花が
置かれていた さらに、外の景色が見えるようにと壁一面がマジックミラー式の
防弾ガラスになっていて、食事をしながら外の景色を安全に眺められるようになっていた
機龍が窓の外の景色に見惚れていると、料理を乗せたワゴンを押しながらメイドたちが
入ってきた
セシリア「さぁ機龍、ランチにしましょう。」
機龍「あ、うん。」
普段とは異なりすぎる事に驚いてばかりの機龍
メイドの人に椅子を引かれたり、初めてのコース料理やテーブルマナー、
ナイフやフォークの使い方に四苦八苦していた
そして、そんな初々しい機龍にも魅力を感じているのか、セシリアや
一部のメイドたちの機龍を見る視線が妙な熱を持っていた
そして夕食の後、機龍はセシリアに『屋内プールで泳がないか』と
聞かれたのだった
興味を持った機龍がセシリアに案内してもらってそこに行くと、
そこには先ほど食事をしたのと同じマジックミラー式で外の景色が見える
屋内プールが広がっていた
機龍「すごい。部屋の中にプールがある。」
と言って目をキラキラさせる機龍にまたしてもガッツポーズをするセシリアだった
セシリア「どうです?遊んでみますか?」
「うん。……あ。でも、僕水着は……」
持ってきていないとセシリアに言おうとして彼が振り返ると、
そこには……
セシリア「それなら大丈夫ですわ!様々な水着を各種取り揃えておりますわ!
好きなのをお選びなさいな!」
大量の男物の水着が用意されていた
機龍「えっと……じゃあ、これを。」
と言って、ブルーの水着を選ぶ機龍
セシリア「そ、それでは私も着替えてきますので!少々お待ちになってて
くださいまし!」
と言って猛ダッシュでどこかへと行ってしまうセシリアだった
残された機龍は少し考えてから、プールに入る前の準備体操を始めた
しばらくしてプールの縁に座りながらバシャバシャと足を水につけながら待っていると
セシリアが戻ってきた
足音に気付いて振り返ると、そこには海の時とも違う、黒い水着を着たセシリアの
姿があった
黒いビキニ姿で、下はスカートのようなフリルがついていた
その姿を見て、機龍は顔を赤くしながらセシリアに見惚れていた
セシリア「ど、どうですか?変、ではありませんか?」
機龍「う、ううん!そんなことないよ!すごく似合ってるよ!」
セシリア「ッッ////」
と言われて、セシリアは顔を赤くしながら口元を覆った
『いい、いけませんわ。機龍に褒められただけで……にやけてしまう
顔を見られないようにしませんと……』
そんなことを思いながらセシリアは機龍に背を向けたのだが、
当の機龍も……
機龍『なんで……なんで僕、セシリアお姉ちゃんの水着を見ただけで……こんなに
ドキドキしてるんだろう。………これも、恋…なのかな?……わかんない。』
と、人として、人間として、一人の男として生まれた事で生じた新しい感情…
『性欲』について、まだよくわからない機龍だった
その後、自分の中の疑問を振り払い、セシリアとプールで二人っきりで
遊び始めた機龍だった
彼女と泳ぎで競争をしたりと様々な遊びをしていた時だった
「プールの中でバレー?……でも、僕たちだけじゃ……」
セシリア「そこは心配には及びませんわ。」
そう言ってパチンと指を鳴らすセシリア
すると、いきなりプールサイドに競泳水着のような姿に白いエプロンを付けている
チェルシー達メイドが集まってきた
「人数ならみんながいるから心配ありませんわ。」
チェルシー「では、僭越ながら、我々も参加させていただきます。」
ということで、水着姿のメイドさん達も交えて、プールの中でバレーをすることになった
水中という動きにくい環境の中ではあるが、あっちこっちを行きかい、上を飛ぶ
ボールを追っては弾いて、たまにこけて水中に倒れる事もあったが、
それ自体は機龍にとっての楽しい遊びの一つだった
そんな時だった
「お嬢様!行きますよ!」
チェルシーがセシリアに向かってトスをしてのだが……
セシリア「はい!」
意気込み、上を見ながら移動していたセシリアだったが、足を滑らせて倒れてしまった
機龍「お姉ちゃん!大丈夫?」
すぐさま機龍が近づくと、海面下からセシリアが浮かび上がってきた―――のだが……
セシリア「ふぅ、少し驚きましたが、大丈夫ですわ。」
機龍「…………」
機龍はセシリアの体を見て、顔を真っ赤にしながら茫然としている
セシリア「?機龍?」
チェルシー「お、お嬢様。」
機龍の無反応に疑問符を浮かべたセシリアだったが、チェルシーが呼んだので
そちらを向くと、彼女や、彼女の後ろのメイドたちが顔を赤くしていた
そんな中でチェルシーは無言のままセシリアに『下を見て』と言いたげに
指を下に向けた
セシリア「?……ッ~~~~~~~!!」
流れるように下を見たセシリアの顔は、真っ赤になった
なぜなら――――倒れた衝撃でブラの紐が緩んでブラがとれてしまったのだ
つまり……今の彼女は乳房をまんべんなく晒していたのだった
それを見た機龍も、どうやら思考がショートしてしまったようだった
慌てて首から下を水の中に潜らせるセシリア
「機、機機……機龍?……見ました?」
その問に、顔を真っ赤にしながら明後日の方向を向きつつ、コクンと頷く機龍
それを見て、セシリアの方も顔を真っ赤にしてしまった
機龍「ご、ごめんなさい。その……お姉ちゃんの…胸。見ちゃった。」
そう言いながら、顔を真っ赤にしたまま互いの背を向け合う機龍とセシリア
『やっぱり……僕変だ。さっきから、ずっとドキドキしてる。
ひょっとして……僕、病気なのかな?
苦しい。胸と、お股の辺りが……ドキドキして苦しい。
僕の体…どうなってるの?』
セシリア『ままま、まさか……機龍に胸を見られてしまうなんて!
は、恥ずかしいですけど……どうやら機龍も一人の男性。
私の体で、その……興奮してくれたようですし……
これは私にもチャンスがありますわ!』
と、一人意気込むセシリアだった
その後、プールから上がった機龍達 そのあとは普通に夕食などを
取って、機龍は自分のために用意されたという部屋に案内され、
そこのベッドに入ったのだが………
機龍「……広すぎて落ち着かない。」
余りの大きさのベッドに慣れないのだった
しかし……そんなハプニングもありつつ、楽しい日常は、長くは続かなかった
機龍がオルコット家にやってきて、3日目のある日の事だった。
早朝、機龍とツーリングに出かけたセシリア
そして帰宅後、シャワーを浴びた後の事だった
チェルシー「お嬢様。お電話が入っております。」
セシリア「電話ですか。どなたからですか?」
チェルシー「……空軍の将校です。」
その言葉に、髪を拭いていたタオルの手が止まった
セシリア「確かに……IS持ちは軍隊、空軍の所属ですが、
ISについての事は明後日のはず。なぜ今日……」
チェルシー「わかりません。が、相手の声の中に、何やら黒い物を
感じました。お気を付けください。」
セシリア「チェルシーがそこまで言うのなら……最大限の警戒を持つべきですわね。
電話を私の部屋に回してください。そこで受けます。」
チェルシー「かしこまりました。」
手早く体を拭き、バスローブを纏ったセシリアが電話に出た
セシリア「お電話変わりました。セシリア・オルコットです。」
≪はじめましてセシリア・オルコット代表候補生君。
私は、イギリス空軍でIS関連の指揮を任されている、『エル少佐』
と言う者だ。≫
出た相手は女性のようだ。イギリスではISは空軍の所属となっている。
つまり、最近の空軍のトップはISが扱える女性が選ばれることが多い。
今、電話の相手が女性で将校なのも、そこから来る理由だろう。
セシリア「少佐自ら、と言うのは光栄な事なのですが、私に何か、御用でしょうか?」
エル≪あぁ、実は、我々の情報班が君のところに篠ノ之機龍なる人物がいるのを、
見たというのでね。≫
セシリア「ッ……」
『まさか……狙いは機龍!?なぜイギリス政府が……いえ、ISを持つ
先進国となれば、開発者である束博士の血縁者と目される機龍を
狙うのは当然。各国も、表立って狙ってはいなくとも、裏では
非合法を問わずに博士を狙っているのが現状。まさか、機龍を
人質に?そんな事をすれば、あの人を本当に怒らせかねないというのに。
ここは……』
「はい。確かに、機龍は私のご学友であり、私の誘いで
イギリスに来ていて、オルコット家に滞在していますが、何か?」
『できるだけ、相手の真意を探る。』
エル≪いやなに。彼の持つISは実に興味深いんだ。以前学園で起こった問題の
大半を、彼の機体が解決しているからね。聞いた話では、君も彼に
救われたことがあるそうじゃないか。大切な候補生を守ってくれた事、
上官としてお礼がしたくてね。≫
セシリア『チェルシーの言っていた黒い感情とはこの事ですわね。
表向きは機龍に対する謝礼を述べる気でも、裏では
あの子を利用しようとしている。』
その事実に、相手にバレないように密かに唇をかむセシリア
「そうでしたか。では、私の方から機龍にもその事を伝えて―――」
エル≪いやいや。実は我々から彼に謝礼を渡そうと思っていてね。
どうだろう?君も色々と報告があることだし、我々の元に
彼を連れてきてくれないかな?≫
セシリア「な、なるほど。ですが機龍はどこの国にも属さない人物ですし、
安易にそのような事をしては、諸外国に何を言われるか……」
エル≪そんな事は君の考える事ではない。……あぁそうだ。そういえば、
君は独自に新装備をブルー・ティアーズに積載したそうだな?≫
セシリア「ッ……はい。仰る通りです。」
エル≪聞いた話では、その装備の提供者は篠ノ之機龍、だそうだね?
……現地での応急的な改造は君たち候補生に対しても我々は認めている。
しかし、それにも限度がある。わかるかな?
ISは武装を拡張領域に放り込むだけでなく、機体の一部を改造した。
さすがに、そこまでの事に目をつむるのはかなり難しいな。≫
セシリア『つまり……私の機体の勝手な改造を帳消しにする代わりに、
彼を連れてこいと。……くっ!機龍がこんな人間を見たらどう思うか!』
そう思っている彼女の脳裏に、束の一言が浮かび上がった
『リュウ君はね。身勝手な人間に生み出されて、身勝手な人間に殺されたんだよ。』
『今私と話しているのも、その身勝手な人間と言う事ですか。』
セシリア「わかりました。ただ、彼の本意を聞きますので、10分ほど後に
こちらからかけなおしますので、よろしいでしょうか?」
エル≪あぁ、良いとも。良い返事を期待しているよ。≫
そういうと、相手は電話を切った セシリアは、電話をつかみ、カタカタと
怒りに体を震わせていた
その後、事の次第をチェルシーに相談してから、セシリアは朝食の時に
その話を切り出した
機龍「僕に会いたい人がいるの?別に構わないけど……」
セシリア「機龍。あなたに会いたいといっているのは……空軍の
将校なのです。そして……その将校はおそらく……」
機龍「……そっか。僕の情報がほしいんだね。」
セシリア「ごめんなさい!私が、私が断われていれば……」
そう言って肩を震わせるセシリア それを見かねた機龍が席を立ち、
セシリアに近づき、その体を抱きしめた
機龍「大丈夫。もしもの時は、僕がお姉ちゃんを守るよ。
これでも僕は……元は……怪物だからね。」
そう言って、悲しそうな笑みを浮かべる機龍
だが、その言葉は、セシリアの心に突き刺さっていたのだった
そしてその後、チェルシーの運転する車で軍部の施設にやってくるセシリアと機龍
チェルシー「お嬢様、機龍様。どうか、お気をつけて。」
セシリア「……行ってきます。」
機龍「はい。」
車を降りた二人は、少しでも安心できるようにと、手をつないだまま
歩き出した
やがて、煌びやかに装飾された部屋へと案内された二人
その部屋には合計で5人の人間が居た
セシリア達の前に現れた将校と思われる女性が3人
入口を守るように立っている女性兵士が2人
そして、その兵士たちは小銃を携えていた しかも、肩にかけるのではなく、
グリップを握りしめていた すぐにでもセーフティを外して
撃てる態勢と言う事だ。さらに言えば待機状態のISを保持している可能性が
ある。セシリアのブルーティーアズはメンテナンスと言う理由で先ほど
取り上げられてしまった。さすがに機龍のシルバーウルフまでには手を出さなかったが…
セシリア『狙っている。……自分たちの権力や地位のために……道具として
利用するために機龍を狙っている。』
この施設に来てからずっと感じていた悪意に吐き気を催すセシリア
『そう。……これが、機龍の前世で感じた悪意。……
人間不信どころか、恨むのも頷けますわ。ましてや、こんな人間たちしか
知らなければ……機龍は、こんな苦しみをずっと……』
そう思いながら、手を繋ぐ機龍の事を見ていたセシリアだったが……
エル「やぁ、よく来てくれたね二人とも。」
その声を聞き、前を向いた
そこでは、機龍を品定めするような視線が3つあった
先ほどセシリアに電話をしていたエルと、さらに二人の女性将校の物だ。
その視線のせいで、深層意識の奥底に眠っていたゴジラを起こしてしまった
ゴジラ『……なぁ、こいつら殺していいか。』
機龍『……考えておくよ。……やっぱりこの視線は嫌いだ。
早くセシリアお姉ちゃんとお家に帰りたい。』
ゴジラ『珍しいな。俺のお前の意見が合うなんて。……ソイツには癪だが賛成だ。
こんな巣窟よりあの家の方が数倍ましだ。』
機龍『君も……少し変わったね。そんな事を言うなんて。』
ゴジラ『……比べればの話だ。』
そんな意識の中での会話は周りに聞こえるはずもなく、機龍達の前では
エルが機龍のセシリアを助けた行為を『形だけ』称賛した。そして……
エル「そう言えば……機龍君。君はあの篠ノ之博士と同じ苗字を持っているが、
彼女は君の母親なのかな?」
機龍「僕は束に拾われた。その時に、機龍と言う名前しか覚えていなかった。
だから束は僕の家族になるって言ってくれた。だからその名前を僕にくれた。
それだけ。」
エル「成程。……そう言えば、君はどこの国にも所属していないのだったね?」
機龍「……一応。」
エル「成程。では……篠ノ之機龍君。我がイギリス軍に入る気はないかな?」
その言葉にセシリアは驚愕しつつ、やはりと言いたげな顔をしている
機龍の方は……
ゴジラ『……あいつらの目、腐った人間どもと同じだ。
自分たちで俺達を生み出しておいて、脅威になると思うとすぐ排除に
かかる。あいつらの目はそんな人間と同じだ。俺達を道具として見てやがる。
……相棒、俺はもうあんまり我慢できねえぜ。』
機龍は震えだした右手を左手で抑えてから、前を見つめた
機龍「お断りします。僕はどこの軍隊にも着くつもりはありません。
僕は軍隊が嫌いです。どこかの国の言いなりになる気もありません。」
そう言ってきっぱりと否定する機龍 そして……
エル≪ちっ、子供のくせに、大人に逆らうんじゃないよ≫
機龍の耳だからこそ聞こえたエルの小言 そして、急に指を鳴らすエル
その時、天井から二体の兵士が降下してきてセシリアを取り押さえた
咄嗟に助けようとする機龍の横にいつの間にか現れた兵士が機龍の側頭部に
銃を突き付けている
「君たちの選択の余地はないよ。あるとすれば、ここで二人とも死ぬか。
彼女のために君が我々に協力するかだ。アハハハハ!
こんな所で大切な友人を失いたくないだろう!それに……」
エルがセシリアの方を見て笑みを浮かべると……
『ビリビリビリ』
セシリア「い、いやあぁぁぁっ!」
彼女を押さえつけていた兵士の一人がセシリアの服を引き裂いた
エル「このままだと彼女は兵士たちのおもちゃにされてしまうよ!
アハハハハ!」
高笑いを浮かべるエルと、歪んだ笑みを浮かべる将校や兵士たち
その行為が……≪ゴジラ≫を覚醒させるとも知らずに……
次の瞬間、機龍の瞳は真っ赤に染まり、輝くような銀髪は瞬く間に常闇の如く
黒に染まった。飛び上がり、自分に銃を向けている女性兵士を押し倒し、
その顔を鷲掴みした。余りの事の全員が唖然となるなか、兵士の顔を掴んだ
機龍……もといゴジラの人格に移り変わった事で、肉体、正確に言えば
右手が変化した。それは機龍のそれではなく、万物を破壊する4本爪の
破壊者の手だった。
そして……4本の鉤爪が女性兵士の皮膚を突き破って、骨さえも砕き、
肉を抉り、そして……
『グシャッ!』
女の顔が握りつぶされた つぶれた顔を壁に投げつけるゴジラ
ゴジラ「ふぅ……ふぅ……グルァァァァァァァッ!」
獣のような雄たけびを上げると、もう一人の銃を構えた女性兵士に肉薄する
その兵士は持っていたアサルトライフルをゴジラに向けて発砲するが、その銃弾は
ゴジラの服に穴をあけるだけで何の効果も無かった
右手を突き出し、壁際に立っていた兵士を壁に縫い付けた。さらに体を
貫通した腕が壁に突き刺さり、クモの巣状のヒビが壁に走った
口から大量の血を吐きながら痙攣する女性兵士 しかしそれで終わりではなかった。
腕を突き刺したまま、兵士の体を自分の上に掲げたゴジラは空いている左手で
兵士の首を持ち……胴体から上下に肉体を2つに引き裂いた
ゴジラ「GYAOOOOON!」
血の雨を浴びながら、獣の咆哮を上げたゴジラ
そして、怒りがその体をさらに破壊神へと進めて行った
背中から服を突き破るように背びれが現れ、皮膚は所々黒く変色し、
瞳孔は獣のように縦に長く変化した。腰からは尻尾も現れた
その姿はまさに『半人半獣』。そして、ゴジラが次に狙ったターゲットはセシリアを
拘束している兵士2人 床が崩壊するような勢いで跳躍し、鉤爪に変化した
両手で兵士2人の頭を掴んで壁に激突させた
その攻撃で死亡する兵士たち だが、ゴジラの怒りは収まらない
死した肉体をさらに爪で切り裂いて人体を挽き肉に変えていくゴジラ
その光景を見ていた女性将校の一人が机の中から拳銃を取り出し、表情を蒼白にしながら
ゴジラに向かって引き金を引いた 乾いた音と共に銃弾がゴジラの体に当たるが
そんなのはゴジラにしてみれば豆鉄砲以下、唯々気を引いただけだった
ゴジラがエルと二人の将校の方を向くと、拳銃を持った将校が入口の方に向かって
悲鳴を上げながら走り出した。 しかし、それを逃がすゴジラではない。
その前に先回りし、突き出した爪が将校の体、将校の左胸に突き刺さった
そこから手を引き抜いたゴジラの手に握られていたのは、今しがた殺した将校の
心臓だった。それをひと思いに握りつぶしてから、残った獲物に視線を向ける。
すると、エルがもう一人の将校が持っていた待機状態のISを奪って作動させ、
イギリス国産の青がメインカラーのIS『タイフーン』を起動させた。
すぐさまタイフーンの手持ちのレーザーライフルをゴジラに向けて発砲する、が……
ゴジラはそのレーザーを片手で受け止めた。そして、エルがISを奪った将校の
方に飛びかかり、押し倒したゴジラは、怒りに任せたまま女性将校の四肢に
噛みついた
「ぎゃあぁぁぁぁっ!」
『バキッ!ボキッ!』
と、悲鳴と同時に骨を砕き、クチャクチャと肉を喰らう音が部屋の中に響いた
そして、最後の獲物に狙いを定めるゴジラ
その視線はまさに獣 前傾姿勢のまま、本能の赴くまま目の前の『敵』、或いは
『獲物』に襲い掛からんと隙を伺っている。 そして、恐怖に支配されたエルが床
に出来た血の池に足を滑られバランスを取られたとき、そのエルをISごと
押し倒した 血まみれの体と獣ごとき牙が生え、唸り声を発する口、
肉食獣の如き、殺意と憎悪に満ちた瞳 変色し、血塗れた腕
その全てがエルを恐怖させた
エル「ひっ!た、頼む!助けてください!お願いします!地位でもお金でも
なんでもあげます!だから命だけは―――」
ゴジラ「GYAOOOOON!!!」
エルの言葉を上書きするかのように、咆哮を上げるゴジラ
「イラネエヨ!ソンナモン!!」
もはや人ではなくなった口から発せられたのは、憎悪に満ちた呪詛の如き言葉
「テメエノキタネエカネデオレヲウゴカセルカ!」
そう言うと、ゴジラは大きく口を開け、エルののど元に喰らいついた
大量の血しぶきが上がる中、暴れるエルだったが、怪獣王の力に勝てるはずもなく、
次第に弱っていき、数秒後には死んだ
そんなエルから起き上がり……
「GYAOOOOON!!!!!!!」
ひと際大きな咆哮を上げたゴジラは、光に包まれ、元の機龍の姿になって、
いつも間にか気絶していたセシリアの元へと、歩み寄ったのだが、
すぐに気絶してしまった。
そして、薄れる意識の中で、一人の少女が、部屋に入ってきて機龍達を見るなり
駆け寄ってきたが、そこから先は機龍は覚えていなかった
その後、セシリアが目を覚ましたのは自宅のベッドの上だった
セシリア「………チェルシー?」
半覚醒な頭を巡らせ、傍らに控えていた自分のメイドの姿を見て、声に出るセシリア
それを聞いてチェルシーもはっとなってセシリアの方に顔を向けた
チェルシー「お嬢様!よくぞご無事で!」
セシリア「……私………ッ!機龍!」
咄嗟にあそこでの事を思い出し、飛び起きたセシリア
「チェルシー!機龍は!?あの子はどこに!?」
それを聞いて息をつくチェルシー
チェルシー「自身の横を、よくご覧になってください。」
セシリア「え?」
そう言われて左右に視線を振ると、自分の右側、ちょうどチェルシーの居る位置の
反対側に妙に膨らんだ部分があったので、セシリアが布団を退けると、そこには
セシリアと同じようにバスローブを身にまとい、眠っている機龍の姿があった
やがて、機龍の体や自分の体を確かめ、傷や痣がない事を確認したセシリア
『私の記憶では……機龍の髪と瞳の色が変わった後までは覚えていますが、
その後の記憶が一切ない。……そう言えば、私はどうして自宅に?』
「チェルシー、私は一部の状況を把握していませんの。何かわかる範囲で
私に―――」
???「その事でしたら、私が説明します。」
セシリアの言葉を遮るように、部屋の入口から一人の銀髪の少女が入ってきた
セシリア「……あなたは?」
初めて見る相手に警戒を強めるセシリア
クロエ「申し遅れました。私の名はクロエ・クロニクル。
束様の使いです。」
セシリア「篠ノ之博士の?」
クロエ「はい。よろしければ、あの部屋で起こった事を説明しましょうか?」
セシリア「……お願いします。」
クロエ「わかりました。……あぁ、そうだ。…確認なのですが、映像は必要ですか?」
セシリア「映像?」
クロエ「はい。あの部屋の天井にあった監視カメラの映像が全てを記録していました。
……ですが、かなりショッキングな映像です。……今のあなたには、
映像無しでの方をお勧めしますが?」
セシリア「……構いません。……この子の出生を知った日から、真実から目を背けないと、
誓いましたから。」
クロエ「……わかりました。メイドの方は退室を。あまり良いものではありませんよ。」
チェルシー「私はお嬢様の専属メイドです。主の傍に可能な限り控えるのも、
また務め。お気になさらず。」
クロエ「……わかりました。」
そしてクロエは、空中にディスプレイを投影し、そこに部屋で起こった事の全てを
流した。エルの卑劣な交渉。ゴジラの覚醒と惨殺、エルの死と気絶するゴジラ
そして、部屋にクロエが入ってきて機龍とセシリアを回収したところで映像は
終了した。
映像を見てから、深呼吸をするセシリア
セシリア「……ふぅ……あんな事があったのですね。」
クロエ「その後、脱出した私はそこのチェルシーさんと合流し、
密かに二人をここに運び込みました。
それと、機龍……もといゴジラが屠った人間の事はお気になさらずに。
反政府組織の仕掛けた爆弾が爆発したとして、あの部屋と
周囲15メートルを跡形もなく吹き飛ばしました。
近く、英国政府からそのような発表があるでしょう。
あなた達があそこにいたという証拠も一切残っていません。
MPの記憶操作も完璧です。あの時二人は、『あそこにはいなかった』
事になります。発言にはお気を付けください。」
セシリア「なぜ、そんな事をしてくれたのですか?」
クロエ「……第一に、これは私の主人でもある束様の意向です。
あの方の他人への接し方が機龍との出会いで変わったとはいえ……
いえ、むしろ機龍を溺愛しているがゆえに、あのような自身の利益しか
考えない人間が大嫌いなのです。……あの人たちの運の尽きはそこです。
機龍に手を出せば束様が黙っていないのを見抜けず、内なるゴジラまで
呼び出す羽目になって。……自業自得です。
第二に……私も機龍が好きです。純粋で、優しくて、まっすぐで……
そんな機龍で私腹を肥やそうとしたあの屑たちが許せなかった。
それだけです。それと、これをお返ししておきます。」
そう言ってクロエがセシリアに渡したのは、基地で押収されてブルーティアーズだった
セシリア「一つ……聞いてもよろしいでしょうか?」
クロエ「何でしょう?」
セシリア「なぜ、あの時機龍の容姿が変わったのですか?
何というか、別人になったような……」
クロエ「それはそれで正解です。」
セシリア「え?」
クロエ「……事態を呑み込めていないメイドさんもいる事ですし、
予め最初から話しましょう。
まず、機龍とは厳密に言うなれば『人間』ではなく、『人の形をした
器に異世界の怪獣の力と記憶を埋め込んだ人物』と言うのはわかりますね?
質問を予測していうならば、機龍の前世の名前は『ゴジラ』と言う
50メートルを超える怪獣でした。しかし、ゴジラは人間に敗れ、
海の中に骨を残して消えました。しかし第二のゴジラの危機に晒された
人類は初代ゴジラ、つまりゴジラの骨を使って生体ロボット、
メカゴジラを建造し、対G兵器……『機龍』と名付けました。」
チェルシー「それが、まさか篠ノ之機龍様、だと?」
クロエ「そう。そして機龍はゴジラとの3度の渡る決戦ののち、ゴジラごと
海に沈んだ、はずでした。しかし機龍は何の因果か人の姿となり、
この世界へと迷い込んでしまった。そしてそれを見つけたのが
束様、私の主と言う事です。やがて目覚めた機龍は束様の勧めで
IS学園へとご入学し、今に至るわけです。……では、質問の答えに
入りましょう。……あの姿の機龍は一体何なのか、と言う質問でしたが、
まず第一に、機龍はゴジラであり、ゴジラが機龍なのです。」
セシリア「えと、つまり?」
クロエ「敢えてこの場では機龍と言いますが、彼の体には、2つの人格が存在します。
一つは、人を愛し、慈しみ、優しく、心強い、今の姿、機龍としての姿です。
もう一つは、人を憎み、蔑み、厄災と呼べるほどの力を持った、
ゴジラとしての人格です。……機龍は一つの体に2つの人格を持っているのです。」
チェルシー「二重人格、と言う事ですか?」
クロエ「一言で言えばそうなるでしょう。セシリア様が目撃した瞳と髪の色の
変化は、視覚的に性格の逆転を表すものだったのです。
銀の髪と黄色の瞳が機龍、黒髪と赤の瞳がゴジラ、と言うわけです。
そして、そのスイッチの役割を果たすのが、機龍の感情の起伏です。
機龍は何よりも他者を傷つける者に対して怒りを露わにします。
そして、人を道具としか思わないような人間にも……。その怒りが
限界を超えた時、ゴジラとして人格が全面に押し出されるのです。
そして、ゴジラは本能の赴くまま、『獲物』たる我々人間を『狩る』。
……愛と憎しみは裏表とは、よく言った物です。
機龍の愛が深いように、ゴジラの憎しみも同等。
人を愛し、人を憎む存在。……それが機龍でありゴジラなのです。
……セシリア様、あなたは今の機龍をどう思いますか?」
セシリア「どうとは……」
クロエ「怖いですか?あんな風に人を引き裂いた彼が、
人を超えた彼が、いえ……世界さえも滅ぼしかねない彼を、
あなたはどう思っていますか?先ほどの血みどろの戦いを見ても、
まだ彼を愛せますか?」
セシリア「それは………」
クロエ「私は……それでも彼を愛してしいます。
彼は誰よりも優しく、強く、そしてとても愛おしい。
そんな彼が例え破壊神だったとしても、私は彼を愛するでしょう。
あなたに同じような事が出来ますか?破壊神の彼を愛する覚悟がありますか?」
その問に、しばし俯くセシリア
チェルシー「お嬢様……」
セシリア「……あります。」
そして、毅然とした態度で答えるセシリア
「私も、この子を愛しております。……私がこの子にしてあげられる事など、
微々たるものなのかもしれません。それでも私は一人の女として、
神の妻になる覚悟はあります。例え、破壊神だったとしても……」
それを聞くと、クロエは笑みを浮かべた
クロエ「わかりました。では、束様にこの事を報告するため、私はこれで
失礼します。……それと、機龍。」
そう言われ、3人の視線が一斉にベッドで眠っている『はず』の機龍に向けられた
「狸寝入りとは感心しませんよ。」
機龍の体が、ビクッと動いたかと思うと、もそもそと毛布の中から機龍が
現れた そして、その顔は悲しそうな顔をしていた
「……聞いていたのでしょう?」
機龍「…うん。……クロエが2人に全部話したことも……あの時の、
僕自身の、したことも……」
そう言って両手を震わせる機龍
「あそこにいた人……全員、僕が、殺した。」
やがて震えが全身に行きわたり、ガタガタと震えだす機龍
そんな機龍を優しくセシリアが抱きしめた
セシリア「大丈夫。大丈夫ですから。ゆっくりと深呼吸してください。」
機龍「僕は……僕はまた、人を、殺した。……殺したんだ。この手で……
なのに……僕は!」
クロエ「機龍。……あなたの怒りはとてもシンプルです。
大切な人を傷つけられた怒りと憎しみが人を獣に変える。
それは感情と思考を持つ生き物なら当たり前です。
ですが、あの人間たちは金や地位と言った物の縋り付いた
獣以下の屑。機龍が彼らの命に涙を流す必要などありません。
その怒りはとても大きく、美しいまでの純粋な感情。
あなたは何も間違ってはいません。……私は、これで失礼します。
機龍。人の愛は、与えるだけではなく受け入れる物です。
あなたも、人を愛すだけではなく、人から愛されてみなさい。」
そう言うと、クロエは部屋を出て行った
残された機龍、セシリア、チェルシー
しかし、セシリアに抱きしめられた機龍はいまだに震えていた
機龍「……結局……僕は破壊神でしかなかった。……守るって決めた
人間を…この手で殺してしまった。……情けないよね。
こんな、僕なんて……」
そう言って涙を流し始めた機龍
それを聞いたセシリアは、いきなり機龍をベッドの上に押し倒し、
その上に跨るようにするセシリア
「お、お姉ちゃん?」
泣きながらも、驚きつつ、セシリアを見上げる機龍
セシリア「……機龍、これから私は、あなたにエッチな事をします。」
機龍「え?」
『エッチ』の意味を理解できずに疑問符を浮かべる機龍
セシリア「あなたの辛い事、悲しい事、苦しい事、その全てを、私が
忘れさせてあげますわ。チェルシー……」
チェルシー「わかっております。お嬢様の健闘をお祈りしております。」
そう言うと、彼女は退室していった
それを見たセシリアはゆっくりとバスローブを脱ぎ捨て、裸を機龍の前に
晒した
※ ここから先はR18シリーズとして別に投稿します
営みを終えた二人は、ベッドの上でぐったりとしていた
機龍「……ごめんね。お姉ちゃん。」
セシリア「どうして、謝るのですか?」
機龍「お姉ちゃんは、僕の事を元気づけようとして、あんな事、してくれた
んだよね。……そしたら、何だか、泣いてた自分が情けなくて……」
セシリア「…機龍。私はあなたを愛しています。それは、あなたも同じですよね?」
機龍「うん。僕もお姉ちゃんは大好きだよ。」
セシリア「でしたら、何も謝る事はありませんわ。
お互いが好き。だから、困っているとき、辛い時、悲しい時、
傍で寄り添い合い、支える事は普通な事。
だから、私たちはお互いを支え合って生きていく。
それは、ダメですか?」
機龍「ううん。……そうだね。僕は一人じゃない。みんなが、お姉ちゃんが居る。
……ありがとう。セシリアお姉ちゃん。」
セシリア「どういたしまして♪」
そう言って機龍にキスをするセシリアと、それを受けて顔を真っ赤にする機龍だった
こうして、急速に仲を深めていった機龍とセシリアだった
そんなこんなで無事に滞在期間の一週間を過ごした機龍
その日の国際空港では機龍の見送りにセシリアとチェルシーが来ていた
機龍「それじゃ、お姉ちゃん。僕は一足先に学園に戻ってるから。」
セシリア「はい。また再び、学園で。」
機龍「うん。…チェルシーさんも、お世話になりました。」
チェルシー「いえ。またいつなりとお越しください。主共々、
いつでも機龍様のご来訪を心待ちにしております。」
機龍「はい。それじゃ、お姉ちゃん。また今度、学校で。」
そう言って機龍はセシリア達とターミナルで別れ、歩き出したのだった
残されたチェルシーとセシリア
チェルシー「それにしても、お嬢様のあの行動には少々度肝を抜かれました。」
という言葉に顔を赤くするセシリア
「まさか、お嬢様があそこまで大胆になるなんて、
あの方にはそれほどの魅力があるという事でしょうか?」
セシリア「う!……そ、それより、早く戻りましょう!」
チェルシー「うふふ、あからさまに話題を変えようとすると、ますます疑われますよ。
でも、機龍様は確かに魅力的でした。私のハートも奪われて
しましそうでした。」
セシリア「もう!チェルシー!」
という話をしていたとか。
一方、機龍はと言うと、日本行きの飛行機の搭乗口を探していたのだった
機龍「え~っと……11番…11番……」
と、搭乗口を探していた時だった
先を歩く人々の合間に、知った服装が見えた気がしたのだった
歩く足を止め、そちらを向く機龍
やがて、人の波が途切れた時、そこに一人の少女が立っていた
それは……
「ラウラ、お姉ちゃん。」
機龍の義姉、ラウラ・ボーデヴィッヒだった
ラウラ「ふふ、迎えに来たぞ、機龍。さぁ、行こう。我が祖国ドイツへ。」
そう言って右手を機龍の方へと差し出すラウラだった
機龍の異国巡りの旅は、まだまだ続くのだった
イギリス編 END
次回はラウラとのドイツでのお話です。
その次にさらに簪との話を書いてからアニメ第二期の
話に移っていきます。