インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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今回はファントムタスク襲撃回の後半です。


インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍 第15話

――前回までのあらすじ――

機龍、ゴジラの記憶と邂逅し、更なる絆を結んだ機龍と一夏達。

そんな折、学園の生徒会長であり簪の姉でもある≪更識楯無≫が

一夏と接触。彼のコーチを買って出た。しかし、本当の殺し合い

を知ってしまった一夏にとっては、力の大きさ=強さの大きさ

という図式は間違いであり、一夏達7人は本当の強さとは何なのかを

考え、それはただ大切な人を守りたいという意思と覚悟であり、

自分の意思で鍛錬を始めていた。それもあり一夏は楯無のコーチの件を蹴った。

そして、その際に一夏は機龍が楯無よりも強いと言ったため、

楯無は機龍に興味を持ち、半ば強引に彼の秘密を知ろうと

迫ってしまうが、それがかえって姉妹である簪との間にある亀裂を

より深くしてしまった。

やがて、学園祭の当日となり、楯無によって演劇に参加させられてしまった

一夏と機龍、簪たち女性陣7人。

だが、そんな中、一夏と機龍の前に≪ファントムタスク≫の

≪オータム≫と名乗る女性がIS≪アラクネ≫を駆って現れ、

一夏と機龍の白式と銀狼を狙って襲い掛かってきた。だが、

そのさなかに機龍の中に眠るゴジラの意識が覚醒してしまったのだった。

 

 

今、暗いロッカールームの中で、ゴジラの意識が3式機龍を操っている

状態、黒龍とオータムのアラクネが対峙しており、黒龍の後ろには

一夏が雪片を構えながらも事の次第をただ見守っていた。

 

ゴジラ「さぁ、来いよクソババア。こっからが本当の戦いって奴だ!

    格の違いって奴を教えてやるぜぇ!」

そう言うと、高機動形態の黒龍がスラスターを吹かしてアラクネめがけて

突進し、右手をスパイラルクロウへと変化させ、突き出してきた。

それを横に大きくジャンプして躱すオータム。

先ほどまでオータムが立っていた場所の後ろにあった壁に、クロウが

命中し、爆音と砂塵が周囲を覆った。 

煙が晴れると、黒龍が壁からクロウを抜いたが、その壁はまるで

砲弾でも命中したかのように尽く破壊され、壁の中のフレームや

配線までもがむき出しになるほど壊されていた。

オータム『ちっ!?何なんだあのパワー!?あの攻撃、下手したら

     一撃でシールドエネルギーを持って行かれる!?

     いや、それ以前に奴の拳は生身でアラクネのシールドを

     貫通したんだ!あんなのを腹に受けたら……』

そこから先を想像したオータムの背筋に悪寒が走った。

    「ちっ!!この化け物がぁ!」

ゴジラ「あぁそうさ!俺は化け物さ!テメェらゴミの人間共より

    何百倍も強い化け物なんだよぉ!」

スピーカー越しにそう言ってから今度は口からラウラ戦の時と同じように

メーサーではなく青白い熱線を発射し、逃げるオータムを追うように

ロッカールームを薙ぎ払った。

熱線が命中したロッカーは溶けてなくなり、壁はボロボロに壊れ、

何もかもを蹂躙していくゴジラ。終いにはロッカールームの配電盤を

破壊してしまい、予備の電力によって床が仄かに光るだけとなってしまった。

   「どうしたぁ!逃げてばかりかぁ!出て来いよ雑魚がぁ!」

相手を煽る言動を取りながら、周囲を見回すゴジラ。

と、その時、瓦礫の陰からゴジラの背めがけてオータムが飛びかかってきた。

オータム「喰らいやがれぇ!」

ゴジラ「そっちがなぁ!」

次の瞬間、鞭のようにしなった黒い尻尾がオータムの腹部を捉えた。

オータム「ぐはっ!!」

圧倒的質量の打撃を腹部に喰らったオータムが吹っ飛び、まだ

残っていたロッカーに激突した。

倒れ、咳き込むオータムに歩み寄ったゴジラは左手でオータムの

頭を掴んで持ち上げ、右手で8本ある足を一つずつへし折って行った。

 

ゴジラ「……弱い」

   『ボギッ』

1本、足が折れた。

   「……脆い」

   『ゴギャッ』

2本、また折れた。

   「……つまらん」

   『バギャギャッ』

4本、まとめて折れた。これで残りの足は2本だけだ。

   「あれだけ息巻いておいて所詮この程度か。期待した

    俺がバカだった、なぁ!」

オータム「がああっ!!」

そう言ってオータムの頭を壁にめり込ませるゴジラ。

    「この、クソ野郎、がぁ」

ゴジラ「ほう、まだそんな口が、聞けるとはなぁ!」

そう言ってオータムを床の上に引き倒し、その腹部を自身の

重厚な脚部で押さえつけた。

   「ククク、無様だな。人間」

オータム「クソ、その足を、退けやがれ、化け物、がぁ」

掠れるような声を出しながらも抵抗するオータム

ゴジラ「何だ?足を退けてほしいのか?」

すると、まるでオータムの言う通りに足を退けようとするゴジラ。

だが、それはそう見えただけだ。実際には……。

   「ほらよ!これでどうだ!」

オータムを抑えていた足を振り上げ、サッカーボールのように

彼女の脇腹を全力で蹴り上げた。

オータム「ぐはっ!!!」

その反動で再び胃液と血が混じった吐しゃ物を吐きだすオータム

だが、まだゴジラの攻撃は終わらなかった。

 

浮かび上がったオータムの体をさらに下からアッパーで打ち上げるゴジラ。

オータムの体は天井を突き破り、アリーナの方へと飛ばされていった。

ゴジラ「へへへ、逃がさねえぞ雌豚。まだまだ足りねえんだからなぁ

    もっとテメエの悲鳴を聞かせろやぁ!」

そう言うと、ゴジラはスラスターを使ってオータムを追いかけて行った。

 

そして、唯一残された一夏。

一夏「……。やっぱり、次元が違いすぎる」

一人そう感想を漏らしながら破壊しつくされたロッカールームを見回す一夏。

楯無「あらあら、これは凄い事になっちゃってるわね~」

と、その時、そこに制服に着替え、扇子を持った楯無が現れた。

一夏「ッ!楯無さん!どうしてここに!?」

楯無「……ねぇ一夏君、私はどうしていきなりあなたの

   コーチ役を買って出たと思う?」

一夏「え?」

そう言えば、と思い返す一夏。

  「確かに、理由とかは聞いてませんでしたけど、それが

   なんだって言うんですか?」

楯無「私の元々の使命。それはファントムタスクに狙われていると

   思われる白式。つまり一夏君の極秘の警護が目的だったの。

   だから一夏君の傍に居る理由が必要であり、万が一あなたが襲われた時

   少しでも戦えるように鍛えてあげようって思ったんだけど……」

と、言いつつ辺りを見回す楯無。

  「これじゃ私の居る意味なかったわね。それにしても、

   確かに私でも『あれ』には勝てないわね」

次に、ゴジラが開けて行った穴を見つめる楯無。

  「…ねぇ一夏君、聞きたい事があるんだけど。機龍君って何者?」

それを聞かれ、心臓が跳ね上がる一夏。しかし……。

  「と言いたい所だけど、このまえそれやって失敗しちゃったし、

   とりあえずその事は後回しにしておいた方が賢明よね。

   今はあの二人を追いかけないとね。ここからは、お姉さんも

   参戦よ」

一夏「え?」

と、呆けた声を出す一夏。次の瞬間、光が楯無を包み込み、彼女の体には

彼女自身の専用IS『ミステリアス・レイディ』を纏った。

  「楯無さんの、専用機」

楯無「そうよ。…さ、早く彼を追いかけましょ。でないとあのISの

   女性、殺されちゃうかもしれないし。…流石に私も

   スプラッター映画張りの惨殺死体なんて見たくはないから」

一夏「は、はい」

そうして、二人はゴジラの開けた穴から外へと出て行った。

 

一方その頃、ゴジラは逃げたオータムに追いつき、その後頭部を

掴んで近くにあったお城のセットの壁に彼女の顔面を叩きつけた。

当にアラクネは動かない鉄くずとかしていて、ゴジラはオータムの

体を機体の中から引きずり出した。

 

ゴジラ「ククク、どんな気分だ?あれだけガキ呼ばわりしてた奴に、

    散々いたぶられる感想はよぉ!俺は楽しいぜぇ!テメェを

    ボコボコにするのがなぁ!」

そう言って、今度はオータムを背中から地面に叩きつけた。

オータム「うがっ!!!この、クソ野郎、がぁ」

ゴジラ「へへへ、そうだ。もっと鳴いて見せろやぁ!屑がぁ!」

さらにオータムを踏みつけてから蹴飛ばすゴジラ。

蹴飛ばされた彼女の体がゴロゴロと地面の上を転がった。

何とか立ち上がろうとするオータムだったが、その体は当に限界を

迎えており、まともに動けなかった。

そのオータムに近づき、その背を踏みつけるゴジラ。

ゴジラ「ほら、どうした?もっと足掻いて見せろよ。

    虫けららしくなぁ!」

グリグリと体重をかけるゴジラ。今のゴジラの体重は数百キロを超えている。

そんな体重でのしかかられたのでは、彼女の臓器や骨が潰れるのは時間の問題

だった。

 

だが、その時。

   『バシュッ!』

唐突にアリーナの天井を突き破ってビームがゴジラの背中めがけて

飛来した。だが、そのビームはゴジラの背びれに吸収されるようにして

霧散した。

   「あぁ?」

オータムを足で押さえつけながら後ろに振り返るゴジラ。

 

天井の空いた穴の先には、紫に近い青に機体、『サイレント・ゼフィルス』が

浮かんでいた。しかし……。

ゴジラ「ほぅ?新手か。……面白い。…なぁ、お前はこいつより強いのか?」

彼にとっての新たな『玩具』の出現に、収まりかけていた闘争心が

再び沸き立った。

するとゴジラは唐突にお城のセットに腕を突っ込み、中から鉄骨を

引きずり出してそれをU字型に曲げ、それを使ってオータムの胴体を

セットの壁に磔にして固定してしまった。

   「そこで大人しくしてろ。あの新手を倒した後、またじっくり

    いたぶってやる」

と、その時、ゴジラの近くに一夏達と生徒の避難誘導を行っていた

箒、シャルロット、ラウラ、簪、モーラが現れた。

 

ゴジラはその6人に一度視線を送ってから、ゼフィルスと睨みあった。

   「よぉ、新手さんよぉ。こんなお遊びの舞台に随分物騒な

    玩具を持ってきたもんだぁ」

相手を挑発するようにスピーカー越しに喋るゴジラ。

 

簪「き、機龍?どうしたの?」

一夏「違う。今のあいつは機龍じゃない。ゴジラの人格が体を

   操ってるんだ」

箒「何だと!?ではあの黒い姿は!」

モーラ「…ゴジラとしての人格が、目覚めている証と言う事でしょう。

    皆さん。今は動いてはダメです。彼を下手に刺激すれば、

    あの正体不明の敵と戦う前に、ゴジラによって私たちの方が

    先に殺されてしまいます。…ゴジラにとって、人類は

    憎悪と排除の対象です。できるだけ、彼を煽らないでください」

と、言いながらも内心ではハラハラしているモーラ。

   『願わくば、あの破壊神の荒んだ心も、この世界に訪れた事で

    変わっていますように』

そう、密かに祈るのだった。

 

空中に浮いたゼフィルスはゴジラ、黒龍を無表情なまま見つめてから、

その後ろで押さえつけられているオータムに視線を向けた。

???『ふっ。間抜けめ。こんな奴を相手に散々なやられ方をした物だ。

    あんな奴を助けるなど、アイツの気が―――』

ゴジラ「……おい」

と、その時、唐突にゼフィルスの目の前にゴジラが現れた。

一瞬の油断が彼女、ゼフィルスを操っていた『M』にあったからだ。

   「この俺を無視ってのは―――」

今、目の前にはエネルギーを充填したゴジラの口があった。

   「良い度胸だなぁ!」

次の瞬間、その口から全てを焼払う青白い熱線が放たれた。

何とかそれを横に飛んで回避するM。

そして、目標を外れた熱線は海の上に命中し、白い大きな水柱を

作り上げたのだった。

 

それを見て、Mはすぐに攻撃に移った。Mの駆るサイレント・ゼフィルスは

イギリスが開発したBT兵器を運用する機体。つまりセシリアの

ブルー・ティアーズとは姉妹機なのだ。ティアーズは1号機であり、

ゼフィルスはそのデータをフィードバックした2号機なのだ。

つまり、この機体もBT兵器を内蔵していたのだ。

ティアーズよりも多い6機のビットが全方位からゴジラに向かって

ビームを放った。だが……。

   『バシュバシュゥゥゥ……』

初撃と同じように霧散して全く効果を持たなかった。

ゴジラ「クハハハ!雑魚!雑魚が!そんなんで俺を殺そうなんて、

    数十年早えんだよ!バカが!」

そう言うと、黒龍の背びれが青白く発光し始めた。

そして、チャージが臨界点に達したその時。

   『GAOOOOON!!!』 

黒龍が大きく吠えた。そして、その体から全方位に向けて

圧倒的なエネルギーの波が打ち出された。

―――『体内放射』―――

かつてのゴジラでは使用例がない近接戦闘における絶対の切札。

 

しかし、圧倒的なエネルギーと人の知識を得たゴジラが半ば強引に

この技を編み出したとしても、ましてや分岐世界の同族が使っていた技を、

今この世界に存在しているゴジラが使えない道理はない。

そして、その射程は圧倒的に伸びていたのだ。

 

体内放射から繰り出されたエネルギーはシールドを持たないビットを

尽く撃ち落として行った。

M「くっ!!」

そして、Mもそのエネルギーの余波を喰らい、一瞬だけゴジラから

目を離してしまった。

 「ッ!奴はどこだ!」

周囲を見舞わすM。だが、死神の手は、すぐそこまで迫っていた。

不意に、Mの体を影が覆った。すぐさま振り返ったMが見たのは、

自分に向かって伸びる鋭利な爪を保持した漆黒の掌だった。

 

一瞬の隙をついてMの背後に回り込んだゴジラは、振り返ったMの

頭を掴み、一気に降下。

アリーナの天井を突き破ってなお落下し、ゼフィルスをアリーナの床に

叩きつけた。

その場所に近づく一夏達。さらに、そこにゴジラより前にゼフィルスと

戦っていたセシリア達が合流して、ゴジラの様子を見ていた。

 「うぐっ!!!ゲホッゲホッ!!!」

余りの衝撃に、肺にたまっていた空気を吐きだすM

だが、まだ終わりではない。倒れているMの首を鷲掴みにして、持ち上げるゴジラ。

 

ゴジラ「はっ。テメエも大概雑魚だな。知ってるか?戦場ではな、相手を

    見くびって油断した奴から真っ先に死んでいくんだよ。

    よ~く覚えて、ん?」

と、相手、Mから何かを感じ取ったゴジラ。

   『この感じ。……成程。道理でこいつは≪臭い≫わけだ。

    こいつは……』

そう思いながら、黒龍は空いている右手でゼフィルスのヘルメットを握り、

それを一気に握りつぶして壊した。そして現れた素顔を見て、

箒達は――特に一夏は――、驚愕した。何故なら…。

 

一夏「千冬、姉?」

Mの顔は、一夏の姉であり世界最強のIS乗り、『ブリュンヒルデ』の

称号を持つ、言うなれば世界最強の女性と瓜二つなのだ。

そんな顔立ちの者が今、ゴジラに掴まっている。

箒「どういう事だあれは!?」

楯無「織斑先生、じゃないのは確かだけど、他人の空似にしては、

   納得できないわね」

驚く9人。と、その時。

ゴジラ「やはりな。貴様からは人間の『罪』と『欲望』の臭いが

    プンプンする。…成程、わかったぞ。貴様は――」

M「やめろ!言うな!」

ゴジラ「貴様は織斑千冬の『クローン』なんだろう!」

9人「「「「「「「「「ッ!!???」」」」」」」」」

ゴジラ「大体想像はできる。……貴様らの持つ玩具、ISには数に

    限りがある。ゆえに物量戦はまず不可能だ。だったら何を求めたら良い。

    簡単だ。量が少ないなら一人でも『質』の高いパイロットが必要だ。

    だが多くの人間を集めテストし篩にかけるのには時間がかかる。

    そこでお前達はどうしたと思う?なぁ、人間さん達よぉ!」

と、ここで一夏達の方に話を振るゴジラ。

   「わかるだろぉ!お前達罪人たる人間ならなぁ!」

一夏「………」

ゴジラ「簡単な話だ!強いパイロットを作ればいいのさ!機械を、

    ロボットを作るみたいになぁ!それがこいつって訳だ!」

そう叫んだゴジラ。数秒だけ、静寂が流れた。

 

と、その時、ゴジラはMを掴んでいた腕を離した。

M「貴様!何のつもりだ!!」

ゴジラ「へへへ、どうもこうもあるか。俺はお前が『気に入った』。

    それだけだ」

そう言ってMの胸に指先を突き付けるゴジラ。

   「お前のその目。自分以外が全部屑に見えるその目だ。

    その奥底に見える、自分以外は全部ぶっ壊れろって考えてる

    その感情。良いねぇゾクゾクする。自分に楯突く奴は

    全員殺したい。結構じゃないか。気に食わない奴は全部殺して、

    やりたい事をやる。お前は獣と同じだ。理性なんてものは

    持たない。本能の赴くまま、やりたい事をやる獣そっくりだ。

    そこが気に入った。お前は俺そっくりだ。だから見逃してやる」

そう言うと、ゴジラは黒龍としての変化を解除して普通の姿に戻った。

   「後は好きにしな。そこの玩具ももう要らねえ。持って帰るなり、

    見捨てるなり好きにしな」

そう言いながら一夏達の方に歩み寄るゴジラ。すると、先ほどまでの

歪んだ笑みではなく、真剣な怒りの表情になりながら一夏達を

睨みつけるゴジラ。

   「貴様らは何度命を冒涜してきた。何度生命の理を踏みにじってきた。

    何が地球を支配する種族だ。己が利益しか考えない愚者共め。

    虫にも劣る屑が。これだから人間なんぞ信頼できないんだ」

ゴジラは吐き捨てるようにそう言うと、どこかへと歩き出した。

 

そして、一夏達が呆然としている内にM、マドカはアラクネのコアと

オータムを回収して早々に離脱した。そんな中、彼女は笑って居た。

何に対して笑ったのかは分からない。だが、確実にその顔は笑って居た。

 

 

その後、何とか事態を収拾した一夏達は千冬、真耶に呼び出され、

会議室のような場所に呼び出されていた。

そこには一夏達8人と生徒会長である楯無。そして、今だ人格が

ゴジラのままの機龍が集められていた。

千冬「さて、お前達に集まってもらったのは知っての通り、

   サイレント・ゼフィルスに乗っていたパイロットについてだ。

   山田先生」

真耶「は、はい!」

千冬「あのパイロットと機りゅ――」

ゴジラ「俺をその名前で呼ぶな。俺はゴジラだ」

千冬「……。ゴジラとパイロットの戦闘地点からパイロットの物と

   思われる髪の毛が見つかったそうですが、検査に回したはずです。

   結果は、どうでしたか?」

真耶「検査、結果についてですが、事前に提出されていた織斑先生の

   DNAデータと照合した結果、その……。100%、一致しました」

その事に驚き沈黙する一夏達。

ゴジラ「やはりそうか。……自分たちの命すら科学で作り出そうとは。

    もはやここまで来れば病気だな!反吐が出る!」

そのセリフに、反論できる者はいなかった。

千冬「それはそうと、お前はいつまでゴジラのままでいる気だ?」

ゴジラ「はっ!こちとらやっとまともに肉体を手に入れたんだ!

    いつまで俺がこの体の主導権を握ってようが、俺の勝手だろうが。

    話ってのがあのクローンの事についてなら、興味ない。

    俺は降りるぜ」

そう言って部屋を出て行こうとするゴジラ。と、その時、

彼の背に千冬が瞬く間に距離を詰め、何かをその首筋に打ち込もうとした。

だが、瞬時に振り返ったゴジラの腕がそれを阻止した。

   「俺も、舐められたものだな。同じ手が何度も通じるなどと

    思うなよ」

と言って、千冬の手首を握りつぶそうとしているゴジラ。だが、

それでも千冬は笑みを浮かべた。

千冬「そんな事。とうに理解している」

次の瞬間、千冬の左手にもう一本のアンプルが現れ、それをゴジラの

胸に突き刺した。

ゴジラ「ぐっ!!……ちっ。これじゃ、また、逆戻りかよ」

そう言いながら、ゴジラはその場に倒れた。

モーラ「機龍!」

咄嗟に倒れたゴジラに駆け寄るモーラや一夏達。

モーラが彼の体を起こそうとしたとき、ゴジラの黒い髪の色が

脱色するように、機龍の銀髪へと戻って行った。

   「どうやら、ゴジラの意識が深層心理に戻ったようです。

    それより、織斑先生。先ほどゴジラの打ち込んだ薬は一体…」

千冬「あれは束から受け取った物だ。万が一、ゴジラの意識が表面化した時、

   その意識を封じ込めるためのな。まぁ、一種の鎮静剤だ。

   それより、お前達は言っておく事がある。あのゼフィルスの

   パイロットが私のクローンだという事はわかったな?

   今後、その事実を公表を禁止する。異論は認めない。良いな?」

彼女の言葉に、一夏達9人は無言で頷いた。

  「なら良い。…それにしても、私のクローンを作ろうなどと。

   ……随分やりたい放題してくれた奴らが居たもんだ」

真耶「それにしても、なぜ機龍君。もといゴジラはその、パイロットを

   見逃したのでしょうか」

モーラ「…同じだからですよ。あの子と、ゴジラが」

真耶「え?」

 

モーラ「ゴジラも、あの子も、結局、人のエゴによって生み出された存在なのです。

    兵器として、怪物として、望んでもいない姿で生み出されて、

利用され。ゴジラと彼女にとっては、人間とはその存在全てを

消し去りたいと願うほど、強烈な憎悪の対象なのでしょう。

だって、人間という存在に運命を狂わされたのですから」

そういうモーラの言葉を聞き、一夏達は押し黙ってしまった。

と、その時。

 

機龍「う、う~ん。…ここは」

一夏「ッ!機龍!!」

機龍「一夏お兄ちゃん。……僕は。………あ」

ここに来て、自分のしたことを認識した機龍。

  「また、僕は暴走しちゃったんだね」

例え人格が違えども、同じ体を共有する機龍とゴジラ。

2人の記憶もまた、共有されているのだ。

  「すみません。色々、ご迷惑をおかけしてしまったみたいで」

少しばかり悲しい表情になる機龍。しかし…。

真耶「大丈夫ですよ機龍君」

機龍「先生」

真耶「機龍君は戦う事が嫌いなのは私達が一番よくわかっています。

   それに、ゴジラ君が戦わなければ、他の生徒にも被害が

   出ていた可能性があります。機龍君はこの学校を護ったんです。

   それ以外の何物でもありません。だから、そんなに落ち込まないで

   ください」

機龍「先生。…ありがとう、ございます」

真耶「はい。…それでは、織斑君たちはもう戻ってもらっても結構ですよ。

   後の事は、先生たちに任せて、今日はゆっくり休んでください」

で、一夏達が会議室を去ろうとしたのだが…。

一夏「あ、そう言えば、生徒会の演劇ってどうなったんですか?

   王冠は確か……」

楯無「あ、一夏君のはここにあるわよ」

一・箒・鈴・シャ「「「「え????」」」」

と、何時の間にか楯無の手に一夏の王冠があった。

楯無「私の王冠は一夏君のだから、これから一夏君は私と

   相部屋よ」

箒・鈴・シャ「「「そ、そんな~~~」」」

と、一夏との相部屋を願っていた3人は崩れ落ち、ラウラや簪は

彼女たちに同情しつつ苦笑する事しかできなかった。

楯無「あ、でも機龍君の王冠の行方は知ら無いから、『意外な場所』に

   あるかもよ。それじゃ一夏君、お姉さん待ってるからね」

というと、楯無は一足先に会議室を出て行ってしまった。

 

その後、機龍と簪は自分の部屋に戻ったのだが…。

簪「え?嘘、なんでこれがここにあるの?」

機龍「簪?どうかしたの?」

何やら驚いている簪に気づいて近づく機龍。

簪「実は、これが机の上に置いてあったの」

そう言って彼女が機龍に見せたのは…。

機龍「あれ?それ、僕が劇の時にかぶってた王冠だ。どうしてこれが  

   僕達の部屋に?」

王冠がここにある事を悩む機龍だったが、簪は薄々気づいていた。

誰がここにこれを置いたのか。

簪『……お姉ちゃん』

 

その後、学園祭も終了し、予てより女子たちの注目の的だった

出し物の選挙の結果、すなわち一夏と機龍がどの部に入部するか

を決定する結果発表が行われたのだが……。

 

1位は生徒会が主催した演劇となってしまった。理由は、参加者は

生徒会の出し物に票を入れるというルールがあったらしく、大勢の

生徒達は一夏、或いは機龍と相部屋になるべく奮闘して、結果的に

多くの票を生徒会に取られてしまったのである。

しかし、生徒会の所属となった一夏と機龍だが、楯無の提案で一夏と機龍は

様々な部に対して生徒会から『貸し出される』レンタル部員となって

しまった。

 

それを聞いて、一夏はため息を付き、機龍は余り分かっていないのか首を

傾げるのだった。

 

     第15話 END

 




と、言うわけでM、マドカの設定は、千冬のクローン
という独自解釈となり、彼女を気に入ったゴジラでした。

※ 1月12日 17時50分
  R18シリーズを投稿し始めました。
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