が、ベースになったのは序盤だけで後は殆どオリジナルです。
そんでもって機龍がある姿に覚醒します。
あ、別にバトルに有利な力が覚醒するとかじゃないんで
そこは期待しないでください。ほぼ、私の趣味です。
――前回までのあらすじ――
一夏の誕生日がやってきたある日。機龍達の提案で大まかな誕生パーティーが
行われた。そんな中で、機龍の誕生日が無い事に気づいた簪たちの機転で、
一夏と同じ誕生日、9月27日を機龍の誕生日にする事が決まり、
機龍は初めて祝われた自分の誕生日に涙を流しながら喜んだ。
そして、再び機龍や一夏達の前に現れたマドカ。彼女は一夏達の前で
ゴジラと同等の人間に対しての憎しみを吐露した。
しかし、機龍はそれでも彼女を笑顔にするための決意を固めたのだった。
一夏のパーティーから数日後。
今、一夏、機龍、シャルロット、モーラの4人が、それぞれ白式、銀狼、
リヴァイヴ、アイギスを纏った状態で、夜の埠頭に停泊しているタンカーの上
に立っていた。
一夏「IS装備の護送任務か」
そう。4人がタンカーの上に居る理由。それは学園に搬入されるIS装備を
守る事だった。
シャル「そう。各国の企業から試作装備のテストを頼まれたんだって。
でも……」
モーラ「他の皆さんは別件で忙しいため、手が回らなかった。と言うわけですね」
シャル「うん。…でも、何も一夏や機龍達が来なくてもよかったんだよ?
特に二人は、この前襲われたばかりなんだし……」
一夏「だからって、シャルロットに押し付ける訳には行かないだろ?」
機龍「うん。僕達は大丈夫だから。気にしないで」
モーラ「万が一の時は、我がアイギスが皆さまの盾となります。ご安心ください」
シャル「わかった。……でも、どうしてモーラまで?流石に4人も
いらないと思ったんだけど……」
モーラ「夫が戦場に立つのであれば、その傍に寄り添いその背を守るのも
妻の役目ですから」
と言ってほほ笑むモーラとその答えにシャルが苦笑した。その時。
『バゴォォォンッ!』
近くのコンテナ群の所で爆発が起こった。
一夏「爆発!?……ちょっと俺見て来る!」
モーラ「お待ちください、一夏さん」
一夏「え?」
シャル「モーラの言う通りだよ、一夏」
モーラ「古来より、奇襲と言う戦法を取るに当たり、まず打たれるであろう
第一手は、何等かの形による陽動です。そしてあの爆発はおそらくその
陽動です。恐らく、相手はすぐに第二手を指してくるでしょう」
彼女の指摘通り、フェンスを突き破って一台のトラックが現れ、そのコンテナが
開いて中から2機のIS、濃緑色のリヴァイヴが現れた。
「やはり。賊が現れました」
シャル「よし。3人とも、行こう」
一夏「あぁ」
機龍「うん」
モーラ「はい」
シャルの言葉に頷いた3人。
そして、機龍は今日初めて、以前束から貰った銀狼の追加武装を使った。
それは……。
機龍「お願い!しらさぎ達!」
次の瞬間、銀狼の周囲に光が生まれ、そこから人間大の大きさの
飛行機が現れた。
それは、かつて機龍が居た世界で特生自衛隊が導入していた支援機、
AC-3しらさぎと同じ形をしていた。
そして、銀狼の拡張領域から展開された3機のしらさぎは、機龍の思念波
によってコントロールされ、三方向からのバルカン砲の雨がリヴァイヴ2機に
襲い掛かった。
パイロット「クソ!?何だこいつら!」
悪態を突きながらも手にしたアサルトライフルを発射するパイロットたち。
しかし、その機動性は支援機でありながら、現役のジェット戦闘機に
匹敵する物があるのだった。
背面部にも装備されたスラスターを生かした高機動によってひらりと
銃弾を回避するしらさぎ達。
そして、リヴァイヴ達がしらさぎに気を取られている内に接近した
一夏が片方に切りかかり、それを掩護する機龍。もう片方には
シャルロットが仕掛け、それを援護するモーラ。
パイロット「はあぁぁぁっ!!」
上空でシャルロットと撃ち合っていた片方が大量のミサイルを放った。
シャル「ッ!」
モーラ「アイギス!」
咄嗟に後ろに引いたシャルロットのリヴァイヴを庇うように4機の
シールドビット、イージスが彼女の前に展開。4機が合体して一つの
大きな菱形になり、シールドジェネレーターを直結させて大型の
エネルギーシールドを作り出し、ミサイルを防いだ。
一方、一夏と機龍も戦っていたが、決着はすぐについた。
一夏「はぁぁぁぁっ!」
白式の雪片が相手の武器を弾き飛ばした。
機龍「一夏!下がって!」
一夏「おう!」
咄嗟にバックステップで距離を取った一夏。そして、彼の背後に控えていた
機龍の銀狼のバックユニットから特殊弾頭のミサイルが数発発射された。
発射されたミサイルは敵リヴァイヴの眼前で炸裂。内部に格納されていた
特殊ネットが展開。ネットは蜘蛛の巣状に広がり、発射された勢いを
利用してリヴァイヴをコンテナの壁に押し込む形で止まり、先端部にある
杭がコンテナやコンクリに食い込んで敵の動きを止めた。
機龍「よし!」
元々、この弾頭は機龍ができるだけ非殺傷をと考え作った特殊ネット弾だったのだ。
と、動けなくなったリヴァイヴの近くに、シャルロット、モーラと戦っていた
もう一機がリヴァイヴカスタムⅡのグレー・スケールを喰らって
吹っ飛ばされてきた。
一夏、機龍の近くに着地するモーラとシャルロット。
だが、吹っ飛ばされてもなんとか意識を保っていたパイロットの
苦し紛れの銃撃がタンカーのコンテナに命中。爆炎が上がり、その近くには
シャルロットが居た。
一夏「シャルゥゥゥゥッ!」
機龍「間に合えぇぇぇぇっ!」
咄嗟にシャルロットを護るために飛び出した一夏と機龍。
やがて、翌日。
モーラ「本当に申し訳ありませんでした、一夏さん」
一夏「い、いいよ気にしなくて。もう何度も謝ってもらったし」
モーラ「ですが。…皆を護る盾となると言っておきながら、肝心な所で
盾としての役割を怠るなど、言語道断。本当に
申し訳ありませんでした」
と、白式の一部システム障害などを除いて目立った被害はなかった物の、
今朝からモーラはずっとこんな感じだった。しかも……。
機龍「モーラお姉ちゃん、もう良いんじゃないかな。僕もお兄ちゃんも
別に怪我をしたわけじゃないんだし」
モーラ「うぅ。ですが、一夏さんだけではなく、機龍にまで≪そのような≫
被害を」
と言って、半ば涙目のモーラが視線を向けた先の機龍には……。
いつも通りの穏やかな笑みを浮かべている機龍。しかし、あの時の爆発に
巻き込まれたせいで変わった事があった。
それは……。
―――機龍の頭と腰元に猫耳と猫の尻尾が生えていたのだった―――
頭の癖っ毛の少し後ろに生えた銀色の猫耳と、制服の間から伸びる銀色の尻尾。
それを見ただけでクラス、と言うか学校中の女生徒たちは顔を赤らめ、
廊下には≪獣っ子状態≫の機龍を見て、写真に収めようと大勢の生徒達が
集まっていた。
で、機龍はこうなった理由について、知らせた束が調べた所……。
束≪多分だけど、機龍君の3式としての姿が歪な感じで実体化してる
んじゃないかな?≫
箒≪歪?どういう意味ですか?≫
束≪調べてみたけど、あの時攻撃を受けて爆発したコンテナの中には
量子変換の速度を向上させるためのオプションパーツが入ってたみたい。
それが銃撃を受けて暴走、爆発。その至近距離に居たリュウ君たちが
影響を受けたみたい。多分、尻尾はいつものトゲトゲ尻尾が不安定な
形で実体化。頭の耳は……。多分3式の側頭部にあったでっぱり、
だと思うよ?≫
モーラ≪それで、機龍は大丈夫なんでしょうか≫
束≪うん。もうリュウ君の中で自己判断プログラムが走ってるみたい
だから、最低でも一週間程度経てば自然に戻ると思うよ≫
と言う彼女の報告に安堵する一夏達だった。
≪それよりリュウ君!お願い!色々ポーズをとった写真を送って~!
お願い!プリーズ!≫
と、画面越しにそんな事を懇願してくる束。
機龍「う、うん。わかったよ束」
そんなこんなで時間は現在に戻る。
あの時、咄嗟にシャルロットを庇った一夏を更に機龍が庇ったため、
機龍自身が一番その被害にあっていたのだった。
しかし、猫耳と猫尻尾が生えただけで体に目立った外傷や不可もないため、
機龍は普通に授業を受けていたのだった。
……のだが。
真耶「で、ここがこうなるわけですから……」
≪カクン……カクン……カクン≫
もう既に10月と言えど、晴れた日に窓から差し込む光は暖かく、
それによって眠気を誘われる生徒達も多い。そしてそれは……。
唐突にこっくりさん状態だった機龍は目を覚まして、手の甲で瞼を
擦った。が、それでも眠気は消えず、未だに覚醒と半覚醒の間を
行きかっていた。
しかし、この行為は結果的に機龍以外の生徒全員の眠気を吹っ飛ばす
と言う役割を担っていた。
殆どの生徒が機龍の行動の全てに注目していたのだ。
ある者は瞬きさえ忘れ、先生である真耶と電子黒板ではなく機龍の背中に
注視していた。
真耶「はい。それではここの部分を誰かに……。って。
み、皆さ~ん!授業に集中してくださ~い!」
と、ここに来て振り返って真耶が見たのは、誰も黒板を見ていないという
現実だった。
そして、その声でハッとなった機龍は再び手の甲で瞼を擦って
何とか眠気から復活したのだった。
しかし、その後も襲い来る眠気には勝てず、午後などは机に突っ伏す
形でスヤスヤと眠りながら耳をピクつかせたり、尻尾を振り振りとして、
ある意味でクラスメイト達の集中力をマックスにしたのだった。
そんなこんなで放課後。
未だに廊下に居る生徒達の波は絶えず、まるで一夏と機龍の編入当初の
状況に逆戻りしているようだった。
一夏「しっかし、まさか機龍に猫耳が生えるなんてな~」
そう言いながら、機龍の頭を撫でる一夏。
機龍「う、うん。ぁ。そう、だね」
対して機龍も、どこか顔を赤くしながら目をトロンとさせていた。
理由は……。
一夏「ん?機龍、顔が赤いけど大丈夫か?」
そう言って頭から右手を離そうとする一夏だが、機龍の手がそれを止め、
自分の頬に移した。
一夏「き、機龍?」
機龍「お兄ちゃんの手……暖かい」
そう言ってトロンとした瞳と赤い顔で一夏を見上げる機龍。
その視線に、一夏さえ赤面し、廊下でその甘々ボイスを聞いた女子たちは
血と欲望と妄想の海に沈んでいった。
女生徒「だ、誰か、紙とペンを持って来て。い、今なら、最高の
絵が、描け、る」
と言い残して(鼻)血の海に沈んだ生徒が居たとかいないとか……。
同じく、近くに集まって赤面している箒やセシリア、モーラ達7人。
箒「………。なぁ、一つ聞いていいか?」
ラウラ「どうした?」
箒「今、思いっきり機龍を抱きしめてモフモフしたいって言ったら私は
おかしいのか?」
ラウラ「傍目にはおかしいだろうが……。みんなそれをやりたがってる目だ」
そう言って周囲の女生徒を見るラウラ。
もはや彼女たちの瞳には今、機龍と一夏の絡みしか映っていなかった。
「それに、シャルロットは既にこれだ」
そう言って横目でシャルの方に視線を移すラウラ。今のシャルは……。
シャル「可愛いよ機龍可愛いよ機龍可愛いよ機龍」
と、目をハートマークにしながら周りの事など気にせずそう連呼していた。
それに、セシリアや簪も機龍を抱きしめたくてうずうずしている様子だった。
と、そんな時だった。
楯無「はいは~い!ちょっと通してね~」
そう言いながらドアから入って来たのは生徒会長の楯無と、同じく
生徒会の会計担当の布仏虚だった。
一夏「楯無さん。それに虚さんも。どうしたんですか?」
楯無「こんにちは一夏君、機龍君。早速で悪いんだけど、実は機龍君に
部活動から依頼が来てるのよね~」
機龍「ふぇ?僕に、ですか?」
そう言って疑問符を浮かべる機龍。
改めて現状を説明すると、今の一夏と機龍は生徒会所属の副会長と
書記補佐、と言う立場にある。これは少し前、開催された
学園祭の時に色々あって決定したものなのだが、その際に楯無に
よって、一夏と機龍は部活動から生徒会に対し申請を出し、楯無が
許可すれば二人の内どちらかを部活動に期限付きで参加させる、
所謂レンタル部員となっていたのだった。
そのため、最近では2人にその参加申請が多く寄せられていた。
そして、今回のと言うのが……。
楯無「そうなの。はいこれ」
と言って、後ろに控えていた虚から申請書を受け取り、機龍に
渡す楯無。
機龍「えっと……。服飾部、情報処理部、写真部、新聞部、合同申請書。
ですか?」
楯無「そうなの。詳しい話は部員の人たちから聞けるけど、どうする?」
機龍「……。わかりました、やってみます」
と言って合意する機龍。しかし、次の瞬間。
楯無「と、言うわけで本人の同意が得られました~」
そう言いながら、『了承!』と書かれた扇子を広げる楯無。
すると……。
「「「「「は~い!!!」」」」」
機龍「え?」
女生徒「さぁ行きましょう!機龍君!時間がもったいないわ!」
機龍「え?え?」
大勢の返事と共に無数の生徒達が教室に入って来るなり、
事態が理解できない機龍の手を引いてそそくさとまた
出て行ってしまった。
それを呆然としたまま見送った一夏達は、数秒後にやっと
現実を理解した。
一夏「ちょ、ちょっと楯無さん!今のは何なんですか!?」
楯無「それがね、機龍君今はあんな状態でしょ?女子生徒の
大半はあの姿を目に焼き付けるなり写真に収めるなりに
必死でしょ?まぁ、それはあの子達も同じって訳ね。
要は、今の可愛い機龍君を最大限感じたいって所かしらね」
一夏「で、でも何で服飾部とかが……」
楯無「着せてみたい服がたくさんあるんだって。
何ならみんなも撮影現場、見に行けば?」
そう言われ、顔を見合わせた一夏や箒達は、立ち上がって機龍が
連れていかれた場所に向かった。
一夏や楯無達がやってきた教室は写真部が撮影用に使う教室だったが、
皆がみんな、真剣な表情で準備に勤しんでいた。
そして、中を見回す一夏達の目に、部屋の隅に置かれた円形の
ドレッサールームが映った。
そこでは大勢の女子たちが何やら服のような物を持ちながら
嬉々とした表情で話し合っていた。
一夏「ひょっとして、機龍はあの中なのか?」
写真部部員「そうよ。今服飾部の力作に着替えてもらってるところなの」
と、一夏達の近くに居た写真部の部員が答えてくれた。
箒「しかし、なぜまた機龍の撮影なんて……」
写真部部員「何言ってるの!今の機龍きゅ、んんっ!もとい機龍君はまさに
リアル獣っ子男の娘なのよ!?それを写真に収めずして、
何が写真部部員か!」
「「「「そうだそうだ!」」」」
と、熱く語る部員の一人とそれに賛成する他の部員たち。
その時、ドレッサーのカーテンが開いて、中から機龍が出て来たのだが……。
機龍「これで、良いんですか?」
今の彼は、ノースリーブの白い上着に、際どい所まで短い白のスカート。
そのスカートには赤い前掛けがついていた。
更に上着は胸部分を隠すだけの最小限の生地で、要はへそ出しルックだった。
(※ モデルはアニメ、≪マブラブトータルイクリプス第5話≫の中で
登場したタリサと言うキャラが来ていた服の色違いです)
それを見て、一夏達は驚き、鼻血を吹き出しそうになる女生徒たち。
しかし彼女たちはそれを必死にこらえていた。そして……。
「「「「「リアル猫耳男の娘メイドキタァァァァァァッ!」」」」」
そう叫びながら撮影を始める写真部の部員たち。
その後もナース服やチャイナ服などに着替えさせられ、様々な背景を元に
写真を取られまくる機龍。
そんな時、一夏は機龍が依頼を受けた時にあった部活の名前の中に
情報処理部があった事を思い出した。
一夏「そういや、依頼書の中には情報処理部ってあったけど、
いなくね?」
写真部部長「あぁ、あの子達の出番はこれからなのよ」
と、近くで撮影を見守っていた写真部の3年生の部長が答えてくれた。
一夏「でも、何で情報処理系の部活まで出て来るんですか?」
写真部部長「あぁそれはね。≪これ≫の画像処理にあの子達の力が
必要なのよ」
そう言って近くにあった箱の中から取り出したのは、見た目は白い布
だった。
一夏「それ、何ですか?」
写真部部長「ん~?これはね~」
そう言ってその白い物を広げた部長。それは……。
「じゃ~ん!名付けて、機龍君抱き枕カバー♪」
一夏「ぶふっ!?」
縦長に広げられたそれは、機龍の等身大の水着姿が描かれた抱き枕カバーだった。
それを見て噴き出す一夏とその後ろであんぐりと口を開けて驚いている
箒や簪たち。
写真部部長「あ、これは機龍君の水着バージョンね。後は、臨海学校の時の
女装バージョンと、他にも浴衣、制服などなど。そうそう。
あの写真も使って今後ともラインナップは増えて行くから」
一夏「いやいやいや!そこじゃなくて!?何てもの作ってるんですか?!」
写真部部長「へへへ~。すごいでしょ~。写真部、服飾部、情報処理部の
3部合同で作ったのよ」
一夏「いやいやいや!褒めてるんじゃなくてそれ機龍の許可とか
取ってあるんですか!?」
写真部部長「うん。夏の臨海学校から帰って来た後にね」
一夏「あるんですか!?」
余りの事に驚いてばっかりの一夏達。
写真部部長「いや~。後輩がさ、臨海学校の時の写真持ってきた時は
もう衝撃写真でね。あの時の私達は『あぁ、このままだと
私達は欲望に任せて機龍きゅん襲っちゃうな』って思ったのよ」
と言って、頬に手を当ててため息をついている部長。
一夏「ストップストップ!襲うって何ですか襲うって!?てか
機龍≪きゅん≫!?」
写真部部長「それを部活仲間とかクラスメイトに相談したのよ。そしたら
言伝に話が服飾部とか情報処理部に広まったみたいでそこの
部長さんたちから打診されたのよ。こう言うものを作らないかって。
まぁ、要は機龍君を襲わないための私達の願望や欲望を発散させる
ための処理道具ね」
一夏「今さらっと欲望とか言いました!?」
写真部部長「一応、それぞれの部員全員分作ったのよ。実際、少なくとも
3部の部員全員機龍君の隠れファンだから」
一夏「ファン!?」
写真部部長「だって機龍きゅん可愛いんだもん!いつも優しくて、可愛くて!
その上しっかりしてて勉強もできて勇気もある!加えて
天然属性とドジっ子属性付き!
もう好きにならないって方がおかしいでしょ!?」
その言葉に周囲の部員たちが頷いた。
その事に驚きながら苦笑する一夏と簪たち。
写真部部長「でもそしたらね。部員たちがそんなの持ってる~って寮内とかで
噂になっちゃってね。他の生徒達からの要望で増産する事になったの」
一夏「増産!?あのカバーを!?」
服飾部部長「そうなのよ~。しかも大半の生徒から要望が来ちゃっててさ~」
と、今度は服飾部の部長が話し始めた。
「部費の殆どをつぎ込んで更に募金も募ってやったけど資金は
カツカツ。この前の学園祭の時に売ったら大繁盛よ。あの
カバーが飛ぶように売れたわ」
一夏「売った!?」
服飾部部長「もっとも、そのお金も大半が製作費に消えたけど」
簪「募金って。お金とかは取らないんですか?」
服飾部部長「まぁ、そうしたいのはやまやまなんだけど、そうしちゃうと
先生たちの怒られるし。まぁ、顧客の中には先生も何人か
いるみたいだけど」
一夏≪待て待て待て教育者!あんたらショタコンなのか!?生徒に
欲情してどうするんだよ!?≫
と、今度ばかりは声に出さずに心の中で突っ込む一夏。
さて、ここで一つ、教師たちが機龍に興味を持った理由を補足
しておこう。
彼女たちの職は、ある意味において少女達の憧れの職業の一つだ。
給料などの待遇もよく、その職を目指す者は多い。しかし、
この職には少し欠点があった。
ISが生まれてまだ10年ちょっと。結果的に成人のISパイロットは
千冬、真耶のように20代前半や後半、精々30代前半の人間が多い。
そのため、教師たちの殆どが千冬達と歳が近い20代の女性、
と言うわけだ。
では、何が問題なのかと言うと、まだ婚期の真っただ中である彼女たち。
しかし、その中において、いわゆる『出会い』と言うのは極端に少ないのだ。
理由を説明するのであれば、それは女尊男卑主義のせいであると言えた。
ISによって生まれたその風潮によって、一部の心無い女性は
威張り散らすのが当たり前になった世の中では、男の肩身は狭い。
少しでも変な事をすれば、即女性が有利な裁判やらなんやらを
やらされて、負け決定だ。しかし相手がIS適性の無い、普通の
女性ならまだ勝ち目はあるだろう。だが、もし仮に合コンなどで
出会った目の前の女性がIS学園の教師だったら?
学園の教師ともなれが、正真正銘、政府などから擁護≪される側≫の
人間である。万が一にも相手の機嫌を損ねてしまえば、何を
されるか分かったものではない。ましてや学園の事をよく知らない
男性たちにとって、学園は女尊男卑主義の根城にも見えるだろう。
そんな学園の教師たちと付き合おうとするのは、バカか勇者だけである。
そんな彼女たちは被害を恐れて男性から避けられ、結果的に出会いが
極端に減ってしまっていたのだ。
一部の女尊男卑主義の教師以外は、未だに普通の女性だ。
好きな相手を見つけ、結婚し、家庭を持ちたい人達なのだ。
しかし、外での出会いもめっきりと減り、職場は女性ばかりの
女学園だ。そんな悩みを持つ彼女たちの前に現れたのが、
一夏と機龍だった。
特に機龍は女尊男卑だとか、年上だとか言う事を気にせず、
教師たちにも普通に接している。積極的に物事を文句も言わずに
手伝ってくれる機龍に、まぁ要は一部の教師が惚れてしまった。
と言うわけだったのだ。
で、カバーの存在を知った先生方は、自分の欲求を発散させる意味
でも、そのカバーを入手し、日々機龍への想いを募らせていたのだった。
写真部部長「あ、そうそう。近いうちに一夏君と機龍君が抱き合ってる
二人の絡みがみたいって要望もあったから、その時は
よろしくね!」
一夏「そんな馬鹿なぁぁぁっ!!」
と、教室に一夏の絶叫が響くのだった。
数日後。
彼女たちの熱意(じみた欲望)によって完成した枕カバーの配布が先生たちに密かに
行われた。その様子を見に来た一夏達。
廊下には既に人のグループができていて、さながら飢えた狼のように
服飾部の扉が開くのを待っていた。
やがて、扉が開いてゆっくりと中に入って行くように促す部員。
一夏や機龍達も後ろの方から中の様子を見に行き、唖然としていた。
服飾部の壁にはサンプルらしき物が掛っており、そこに描かれている機龍の
コスプレ姿に開いた口が閉じないまま、ただ茫然としていた。
そして、部屋の奥では並んだ生徒達に対して、張り紙で
≪数量限定につき、一人2種類まで≫と忠告しながら出来上がったそれを
配っていた。
皆がみんな、それを嬉々とした表情で受け取っているさまを見て、若干
引き気味の一夏達。
と、その時だった。
部員「はい、次の人は何にしますか?」
束「全部貰うよ~!」
箒「なっ!?姉さん!?」
何時の間にか、生徒達の前に稀代の天才、篠ノ之束が立っていた。
箒はすぐにそんな姉の首根っこを掴んで列から引きずり出した。
「一体ここで何をやってるんですか!?」
束を部屋の隅に正座させて説教を始める箒。
束「だって~!スパイ衛星とか監視カメラハッキングしてリュウ君の
事観察してたらこんな面白そうな事が始まっちゃうんだもん!
リュウ君の母親としてはこれは見過ごせない事態なんだよ~!
……と、言うわけで、全種類頂戴!」
と、ため息をついて箒が視線を外したすきに再び配っていた部員に迫る束。
部員「ぜ、全種類と言われましても、やはり、数が限りがあるので……」
束「え~!?もっと作れないの~!?」
部員「人手は十分なんですけど、やっぱり売買となると、学校の校則で違反に
なってしまいますから、製作費の方が……」
束「な~んだ!そんな事か~!だったら~良いのがあるよ~ん♪」
と言って、何処からともなくジュラルミンケースを取り出して
机の上に置く束。
「ふっふっふ!さぁさぁ、御開帳~!」
そう言ってケースを開いた束。その中には……。
「じゃあ私はカバー全種類に1億円出すから譲ってよ~!これだけあれば
作れるでしょ?」
一・箒・ク「「「ストォォォォップッ!!!」」」
と、さらっと1億円を出した束を止める一夏、箒、クロエ。
一夏「束さん!?どんだけ金額出してるんですか!?」
束「ほえ?あぁこの1億の事?良いんだよこんなはした金~。
どうせ、IS関係で入ってきたお金だし~。あ、円がダメなら
ドルとユーロでも1億円相当が出せるけどどうする?」
クロエ「束様!いくら何でもカバーを作るのにそんなにお金はいりませんから!?」
箒「と言うかそんな物を今学園に持ち込まれたら色々と火種が増えるだけ
ですから!?」
と、束を注意する箒やクロエだが、当の束は聞く耳を持たず、一方の
部員たちは何やら集まって会議をしていた。
そして数分後。
どうやら会議は終わったらしい。
服飾部部長「え、え~。それでは、今のお話を受け、こちらからいくつか
提案したい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
束「うん。良いよ。何?」
服飾部部長「それではまず。その金額ですが、流石にその額はいりません。
変わり、と言っては何ですが、いくつかお願いがあります。
一つは今後、我々の製作活動を支援してください。先ほども
言ったように製作資金がカツカツで、これ以上の生産ができない
んです」
束「成程成程」
服飾部部長「とはいえ、できる事なら製作に必要な数万円程度の支援が
頂ければそれで構いません」
束「な~んだ。それくらいならお安い御用だよ!他にはあるの?」
服飾部部長「はい。あと一つだけ。できれば、束博士に我々の同志に
なってほしいのです。……小耳にはさんだお話では、臨海学校の際
機龍きゅんにウエディングドレスをプレゼントしたとか?
あわよくば、我々にぜひともお力添えを頂きたく」
束「ふ~ん。その時の私の見返りは?」
服飾部部長「機龍きゅんのコスプレ写真の共有ではどうでしょう?後は、彼
専用の新しい服のデザインをこちらからも提案し、製作
することができますが……」
束「乗った!」
9人「「「「「「「「決断早っ!?」」」」」」」」
と、すぐさま部長の提案に乗った束に機龍以外の一夏達8人とクロエが
突っ込んだ。
服飾部部長「では、束博士。今後とも、よろしくお願いします」
束「うん♪可愛いリュウ君が見られるなら何だってウェルカムだよ!」
そう言って固い握手を交わす2人。しかし………。
千冬「た~~ば~~ね~~!」
その時、教室の入り口から般若が入って来た。
それは、怒りゲージがMAX状態の千冬だった。
束「や、や~ちーちゃん。こうして会うのは海の時以来だね~。
あ、アハハハ」
と、片手を上げて挨拶しながらダラダラと汗を流している束。
しかし、すぐに束に近づいた千冬が彼女の頭を右手でとらえた。
アイアンクローである。
「い、痛い!ちーちゃんこれすっごい痛い!ガチ?!ガチなの!?
ガチで私の頭がボルシチになっちゃうよ!?」
千冬「五月蝿い!勝手に学園に入り込んで貴様は何をやっている!」
束「い、いや~。リュウ君の母親兼一ファンとして、リュウ君のアイテムの
収集を!イダダダダ!ギブギブ!!」
それを聞いて、やっと手を離す千冬。そして束は頭から煙を出しながら
倒れてクロエに介抱されていた。
千冬「全く。……貴様らもだ」
と、今度は部員たちの方に視線を向ける千冬。
「何だ?これは?」
部員「だ、だだ、抱き枕のカバー、です。機龍君のイラスト付きの」
怯えながらなんとか一人の部員が答えた。
千冬「………。全く、部活でなんてものを作ってる!全部没収だ!」
生徒達「「「「「えぇぇぇぇぇぇっ!?!?」」」」」
唐突の没収宣言に叫ぶ生徒達だったが……。
千冬「何だ?文句でもあるのか?」
と、般若の如き形相に千冬に睨まれ、泣く泣くカバーを渡したのだった。
一夏達は呆然とそれを見ている事しかできなかった。
やがて、翌日。
通学路はまるで通夜のように暗く、一夏達のクラスも朝から元気が
無かった。朝の和気あいあいとしたいつもの談笑風景がまるっきり
消え去っていた。
昼休み、一夏達9人は一緒に食堂で食事をとっていたのだが、その周りでさえ、
大半の生徒はため息ばかりついていた。
箒「何と言うか、皆が皆予想以上のダメージだな」
一夏「そ、そうだな」
簪「と言うか、あのカバーってそんなに出回ってたの?」
ラウラ「あぁ。調べてみたが生徒の3人の内1人はもっている計算に
なった」
セシリア「そ、そんなにですの!?」
鈴「何かもう驚きすぎて、そうなんだとしか言えないわ」
モーラ「機龍って、人気者なんですね」
そんな話をする中で一人、シャルロットだけがため息をついていた。
シャル「あ~あ。僕も機龍の抱き枕カバー、欲しかったな~」
7人「「「「「「「……………」」」」」」」
と言う彼女のつぶやきに、機龍以外の7人が押し黙った。
そして更に翌日。
余りの学業意欲の低下を重く感じた教師陣によって会議が開かれ、機龍の
抱き枕カバーの再配布が決定した。
ちなみに、その際には一部の教師陣のカバー所持も発覚しかけたとか。
ともかく、再配布の決定がその日、生徒達は歓喜しいつも以上に授業に
集中して取り組んだという。
やがて、一週間以上の時間が流れ、機龍の猫耳猫尻尾の具現化現象を
終わりを迎えた。
女生徒「あ~あ。機龍君の獣っ子姿も昨日で見納めか~」
「残ったのは、写真とカバーのイラストだけか~」
「「「は~~~」」」
と、没収事件の時とまではいかないが、落ち込んでいるクラスメイト達。
機龍「おはようございま~す」
と、そこに機龍達が登校してきたのだが……。
「あ、おはよう機龍く、ってえぇぇっ!?きき、機龍君!?」
と、入って来た機龍を見るなりひとりの女生徒が驚いた声を上げた。
理由は……。
「何で猫耳と尻尾が復活してるの!?治ったんじゃないの!?」
そう。今の機龍は数日前と同じように猫耳と猫尻尾を生やしていた。
機龍「それが、そのですね」
と、顔を赤くしている機龍。次の瞬間、耳と尻尾が表皮に吸収されるように
消えた。
「消えた!?」
しかし、すぐさま再び姿を現す耳と尻尾。
「また生えた!?」 「ど、どうして!?」
驚く女子たち。
機龍「その~。……あ、あの後、自分で耳と尻尾を出せるようになっちゃいました」
そう言って恥ずかしそうに顔を赤くしながら頬をかいている機龍。
それに対して、クラスメイトの女子たちは……。
「「「「「「「「いぃよっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」」」
歓喜し、その事実は瞬く間に学園全体に広がったという。
こうして、機龍達の騒がしいながらも楽しい日常は過ぎ去っていった。
第17話 END
え~っと、と言うわけで機龍の獣っ子属性(謎)が追加されました。
多分怒ってる人も居るかもしれないので謝っておきます。
すみません。
第6話見て、あれはもう一夏とシャルの話になってましたから
じゃあどうするかって考えてこうなりました。
感想、評価など、お待ちしています。