今回のお話は、ゴーレムⅢの襲撃から京都修学旅行までの間に起きた
ちょっとしたお話。
それは、ゴーレムⅢから数日が経ったある日の事だった。
生徒会室で仕事をしている機龍。今の機龍は生徒会の書記補佐
と言う立場にあるため、色々と仕事も多い。と言うか、会計で
あるはずの本音より頭脳はスパコン並である機龍の方が計算が
早い、と言う事で今では会計と書記補佐を兼任していた。
で、元々会計だった本音はと言うと……。
本人曰く、『私が居ると逆に仕事が増えるからリュウ君に任せる~』
だそうだ。
機龍『まぁ、仕事が増えたとしても大して苦でもないから別に
良いんだけど』
と、本音のセリフを思い出しながら苦笑しつつ機龍は作業を続けた。
そんな折、生徒会に機龍と楯無だけになった時間があった。
本音はたまに顔出す程度なので今日は居ない。
一夏は部活動の申請があったためそちらに参加中。
虚は何やら報告があるらしく今は席を外していた。
で、大抵は何かをやらかす側のはずの楯無も今日は黙々と
書類に目を通したりサインをしている。
機龍はそんな楯無を見て半ば彼女に対する個人的な評価を
変えていた。
『いつもふざけてばかりかと思ったけど、やっぱり楯無さんは
すごいんだな~』
と、思いながら作業を続けていた。
それから数分後。
楯無「ん~~」
唐突に唸って目頭をマッサージする楯無とそれに気づいた機龍。
機龍「大丈夫ですか?少し休まれた方が良いんじゃないですか?」
楯無「あぁうん、大丈夫大丈夫。ちょっと疲れただけだから」
と言ってヒラヒラと手を振る楯無だったが、機龍はパソコンを
タイプしていた指を止めると、席を立って楯無の後ろに回った。
「ど、どうしたの機龍君?」
機龍「じゃあ、せめてマッサージでもします。だから今は少しで
良いですからゆっくりしててください」
そう言って楯無の肩を揉む機龍。最初は断ろうとした楯無だったが、
やめて椅子に背中を預けた。
数分、機龍にマッサージされていた楯無だったが、不意にある事を
思いついて呟いた。
楯無「もし、あなたと簪ちゃんが結婚したら、私は機龍君の
義姉(おねえ)ちゃんになるのよね」
機龍「け、結婚。……ふぇっ!?」
と、あまりの事に顔を真っ赤にして驚く機龍。
「けけけけ、結婚って!?僕たちはまだ未成年でして!そ、その!」
楯無「そう?でも~、屋上のあのセリフ。完全に結婚を許可して欲しい
新郎さんのセリフだったわよ」
機龍「うぇ!?あ、あれは、そ、その////」
と、言われてあの時の自分のセリフを思い出して顔を真っ赤にする機龍。
楯無「あはははっ!相変わらず君はとっても初心なのね~」
機龍「か、からかわないでください。……恥ずかしいです」
未だに顔を真っ赤にしながらも一生懸命にマッサージを続ける機龍に、
楯無は保護欲の様な物を感じていた。
楯無『簪ちゃんも、最初はこんな感じだったのかな~。
何て言うか、放っておけないって言うか、可愛いって言うか。
……でも、少しだけ試させてもらうわよ、機龍君』
そう言うと、彼女は怪しい笑みを浮かべた。
「ねぇ、機龍君。あなた、今週の土日って予定あるかしら?」
機龍「週末は特に予定はありません。…でも、どうしてそんな事を?」
楯無「そう、それはよかったわ」
と、呟くと椅子を回して機龍の方に体を向ける楯無。
「なら、週末に私と簪ちゃん、二人とデートしましょ♪」
機龍「え?………えぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?!」
生徒会に、機龍の絶叫が響くのだった。
そして、週末の土曜日。
IS学園の海を挟んだ向かい側の街のモノレールの駅から3人の
『女性』が姿を現した。
そして、そんな『彼女』達に気付いた人々は男だけではなく女性も
すれ違えば振り向き、視線に入れれば少しの間注視した。
一人はミニスカートに半袖のデニムシャツに頭にはサングラスを
載せた楯無。
一人はロングスカートに長袖、その上に袖なしカーディガンを
羽織った簪。
そして、もう一人は白いノースリーブワンピースに麦わら帽子を被り、
更にロングヘアの銀髪カツラを使って女装した機龍。
つまり、正確には女性二人と男の娘一人、と言った所だった。
で、どうしてこうなったかと言うと。
時間は戻って楯無の一言の後。
機龍は楯無にデートの提案をされた日、部屋に戻ると簪にその事を
話した。
簪「私たち3人で、デート!?」
機龍の口から漏れた言葉に驚きを隠せない簪は、目を見開くとすぐに
ため息をついた。
「お姉ちゃんったら、また」
そう言いつつ額に手を当てる簪。
機龍「楯無さんの話だと、僕たちの恋愛進展度、とか言うのを
直に見たいとか、なんとか」
そんな機龍の説明に、簪はため息をつく事しかできないのだった。
しかし……。
簪「良いよ。乗ってあげようじゃない、お姉ちゃん」
機龍「良いの?」
簪「うん。……私たちが本当に愛し合ってるんだって——」
そう言って、簪は顔を赤くしながら機龍を抱き寄せた。対して機龍も
彼女の意図を察して顔を赤くしながら、静かに目をつぶった。
「教えてあげよう。ん」
機龍「ん」
数秒、唇を重ねた二人の顔が離れると……。
機龍「うん。そうだね」
顔を赤くしながら機龍は頷いたのだった。そんな機龍に笑みを漏らす簪。
だったのだが……。
「ねぇ、簪、もう、一回」
簪「うん♪」
顔を真っ赤にしながら上目遣いで自分を見上げる機龍に心をかき立てられた
彼女は、もう一度唇を重ねるのだった。
と、バカップルここに極まれりの状態だったのだが、当日の朝になって…。
『追伸。機龍君はデートに女装してくる事』
と言うメールが楯無から来たのだから、簪は怒りながらも機龍が
海で女装した際にプレゼントされていた銀髪ロングのカツラと
自分が持っていた白いワンピースを使って彼をメイクしたのだった。
で、時間は戻って現在。
今3人は駅の改札を出て、近くにある公園のベンチに座っていた。
機龍「あ、あの。どうして、僕がデートで女装してるんですか?」
楯無「あ、それね。簡単よ。……『その方が面白そうだから』よ」
と言う彼女の言葉に、機龍と簪は項垂れるのだった。
簪「そ、そもそも、どうして私たち3人でデートするの?」
楯無「言ったでしょ?あなた達の恋愛進展度を私の目で確認
するためよ♪」
と言ってウィンクして楽しそうな楯無と。
簪「はいはい。そうでしたよね」
項垂れる簪だった。
機龍「あ、アハハハ」
そして、機龍も簪の横で苦笑する事しかできなかった。
楯無「それで?デートのプラン、機龍君は考えて来たのかしら?」
機龍「あ、はい。それはもちろん。やっぱりデートの定番と言えば……」
その後、3人がやってきたのは……。
楯無「映画館。確かに定番ね」
ショッピングモールに隣接している映画館だった。
「それで、どれを見るのかしら?やっぱり王道の恋愛物?」
機龍「いえ。僕としてはあれにしようかと思ってます」
と言って機龍が指さしたのは、映画の宣伝パネルの中にある
ヒーロー物の映画だった。
それに対してきょとんとする楯無と、あ、と言いたげな簪。
「少し前、簪が見たいって言っていたので、どうせなら
簪の見たい映画を一緒に見たいなと思ったんです。
簪も、それでいいかな?あ、ダメなら別のでも良いけど」
簪「ううん。良いよ。一緒に見よ」
と言って、笑みを浮かべる簪。その様子を見ていた楯無は……。
楯無『成程。自分で選ぶのではなく、相手に合わせる、か。
まぁ気配りとしては及第点ね』
そう評価していた。
映画のチケットを購入して、3人で映画鑑賞を楽しんだ後は、
一度外へ出た。
時間はちょうど12時過ぎ。つまりはお昼時だ。
「この後は昼食ね。お次は?」
機龍「少し歩いたところにフレンチのレストランがあるんです。
簪もそこで大丈夫?」
簪「うん、大丈夫だよ。行こう」
そう言って手を差し出す簪。機龍は笑みを浮かべながらその手を
取ると、歩き出そうとしていた、が。
楯無「ちょっと~~!お姉さんも忘れないでよ~!」
と言って、頬を膨らませた楯無がガバッと後ろから二人に抱き着いて
二人の肩に腕を回して引き寄せた。
驚く簪と機龍だが、機龍の方はもう一つ驚く原因があった。
『ぽにゅん』
機龍の背中に、服越しとはいえ柔らかい物が押し付けられた。
そう、楯無の胸だ。途端に顔が真っ赤になる機龍。
機龍「あ、あの!もうお昼ですし!少し急ぎましょうか!」
と言って、半ば強引に楯無の手から抜け出して二人の手をそれぞれ
握って歩き出す機龍。それを見た楯無は……。
楯無『ふふ、ホントに初心まっしぐらね』
と、心の中で笑うのだった。
その後、機龍の案内で映画館近くの商業施設の集まるストリートから
少し離れた所にあるフレンチレストランで昼食を取った3人は、
ストリートの方へと戻り、そこで買い物を楽しんでいて、
今はアクセサリーショップを覗いていた。
各々が一度別れてアクセサリーを見ていた。
その時、機龍は簪は一つの棚の前で立ち止まってるのに気づいて
彼女の方へと歩み寄った。
機龍「簪、何を見てるの?」
簪「あ、機龍。うん、実はね。これを見てたの」
そう言って視線を商品棚の方に向ける簪とそれに続く機龍。
二人の前の棚には、ペアのネックレスが置かれていて、
簪はその中の一つである龍のレリーフが入ったペアネックレスを
見つめていた。
そのネックレスは、二匹の龍が左右に分かれて向いていた。
「これ、機龍とお揃いで良いかな~って思って」
機龍「そっか。……でも、二匹の龍が互いに背を向け合ってる姿って、
その、こういうとあれだけど、少し不吉なんじゃないのかな?」
と、素直に感想を漏らす機龍。
互いを見ていない、と言う姿に、機龍は少し不安になったのだ。
しかし。
簪「ふふ、大丈夫だよ。だって、こうすれば」
『カチン』
二つのリングを手に取って、互いの龍の顔を向き合わせた状態で
近づけると、中に磁石でも仕込まれているのか、二匹の龍が
互いの首を交差させ、首や体でハートにも似た形を現した。
機龍「あ。そう言う事だったんだ」
簪「そう。二匹、つまりは二人で織りなすハート。二人が居る事で
生まれる愛。そんな感じなの」
機龍「そうだったんだ」
そう思いながら、簪の手元の双龍を見つめる機龍。そんな時だった。
簪「私たちも、ずっと、こんな風に」
機龍「うん。僕の一生をかけて、簪に添い遂げるよ」
そう言いながら機龍は簪の二の腕に頭を傾けて預けるのだった。
ちなみに、それを見ていた楯無はと言うと……。
楯無『あらあら。相も変わらずラブラブオーラを振り撒いちゃっても~。
見てるこっちがドキドキするくらい妬けちゃうわね。
……でも』
不意に、笑顔だった彼女の表情が陰ってしまった。
『私も、人並みの幸せって、望んでいいのかしらね?』
そう思いながら、楯無はアクセサリーショップのウィンドウガラス
から見える空を見上げるのだった。
……その様子を、機龍に少しだけ見られている事も知らずに。
その後、アクセサリーショップで龍の形をしたペアリングともう一つ、
アクセサリーを買った機龍達は、街はずれの高台に来ていた。
ここに来るまでゆっくりと散歩感覚で来たため、時間は既に夕暮れ時に
なっていた。
そして、その高台の頂上にある展望台から沈み行く夕日を眺めている
機龍達3人。
簪「綺麗だね」
機龍「うん。最後は、ここから見える夕日を簪と見たかったんだ」
そう言って並んで展望台デッキの鉄柵から見える夕日を見つめる二人。
そして、それを後ろから見ていた楯無はどこか諦めたような表情を
浮かべていた。
楯無『敵わないな~。……私は、ずっと簪ちゃんのお姉ちゃんで
居たつもりで、あの子は、私が護ってるんだって、どこかで
思っていたはずなのに。でも、今簪ちゃんの隣に居て、守って
居るのは私じゃなくて、機龍君。……王様の血筋、か~。
ホント、敵わないな~』
そう思いながら、楯無は自分の傍から離れていく妹の現状に、
一滴の涙を流すのだった。
自分自身で情けなく思ったのか、すぐにゴシゴシと目元を手の甲で
拭った楯無は二人に何か悪戯を仕掛けていつもの自分を演じようとした。
しかし……。
機龍「簪、それと、楯無さん」
不意に、夕日を見つめていた視線を移して二人の方に向かい合う機龍。
楯無「何かしら?」
機龍「実は、二人に渡したい物があるんです」
そう言って、機龍が手にしていた小さいハンドバッグから取り出したのは、
先ほどのアクセサリーショップで買い、綺麗にラッピングされていた
箱だった。
それを一つずつ簪と楯無の方へと差し出す機龍。
簪「これって?」
機龍「ふふ、開けてからのお楽しみだよ。折角だから、今開けてみて」
そう言われると、促されるままに箱をラッピングしていたリボンを
解き、箱を開ける二人。
中に入っていたのは……。
楯無「これって、パワーストーンのお守り?」
彼女の言う通りネックレスタイプのパワーストーンを使ったお守りだった。
二人とも自分の物を取り出してから姉(妹)の手元に視線を移すが、
その手にあったのは全く同じ物だった。
今二人が手にしているのはピンクよりの赤と言った感じの色の物が
使われていたお守りだった。
機龍「それは楯無さんの言う通り、パワーストーンをあしらったお守りです。
使われている石はロードナイトとローズクォーツです」
簪「ロードナイトと、ローズクォーツ?」
機龍「うん。ロードナイトは友愛を象徴とし、ローズクォーツは
美、美しさ。そして何より、二つを組み合わせた時の意味は、
女性同士の関係を良好にする。いわば、女性同士の友情や
愛情を育む組み合わせです」
楯無「で、でも、どうして、こんなものを?」
機龍「それは」
と、言って二人に歩み寄った機龍は二人の空いている手を取り、
二人の顔を交互に見つめた。
「これからも、簪と、楯無さん。二人は姉妹なんだって、
伝えたくて」
楯無「え?」
機龍「実は、その。……ショッピングをしていた時、楯無さんの
表情が曇ったようなときがあったのに気づいて」
楯無「……見てたのね?」
機龍「ごめんなさい。……でも、もしあの曇りが僕のせいなら、
この前の事、屋上で話したことが関係しているのかなって、
考えてしまって。……僕は、簪の事が好きです」
夕日をバックに、楯無へ改めて告白する機龍。
「でも、僕と簪が付き合う事が、簪と楯無さんの関係を
また壊してしまうのかと、考えてしまいました」
楯無「だから、このロードナイトとローズクォーツのお守りを?」
機龍「余計なお節介なのは、十分理解しているつもりです。でも、
簪と楯無さんには、これからも仲良しな姉妹のままでいて欲しい。
その気持ちを、僕なりに表現しようと思って、それを二人に」
楯無「でも、それならどうして私にまで?お守りなら簪ちゃんに
上げれば……」
機龍「それじゃ、僕が納得できませんから。……僕は、極端な
事を言うようですけど、楯無さん、あなたも、愛しています」
楯無「ふぇ!?」
と、ここに来て素っ頓狂な声を上げて顔を赤くする楯無。
機龍「浮気、と言う概念に相当する。と言われてしまえばそれまで
です。けど、僕はみんなを、愛しているんです。簪は
もちろん、一夏お兄ちゃんや箒お姉ちゃん達。
織斑先生、山田先生、クラスのみんな。束達の事も。
そして、楯無さんの事も」
楯無「え?あ、え!?えぇ!?」
機龍「僕は、みんなが大好きです。そして、だからこそ、みんなには
いつまでも幸せであって欲しい。これは僕の我儘な本音です」
そう言って、機龍はいつものように優しい笑みを浮かべるのだった。
対して、楯無は……。
楯無「……」
『ポロポロ』
不意に、その目から涙を溢れさせた。
機龍「え!?あ、あの!?僕何か不味い事言っちゃいましたか!?」
余りの事に自分が泣かせたのではと思いオロオロとする機龍。
その時。
『ガバッ!』
楯無が機龍の事を抱きしめた。
「あ、あの!楯無さん、大丈夫ですか!?」
楯無「……。ぷ、ふふ、あははははは!」
と、いきなり笑い出す彼女に対して、抱きしめられたままの機龍は
どうしていい分からずだったが、それを一歩引いたところから
見ていた簪は気づいた。
姉、楯無の表情が泣きながら笑っている事に。
「ホント、私じゃ敵わないな~機龍君には」
簪「お姉ちゃん?」
楯無「……実はね、私心の中じゃ簪ちゃんを取られちゃうかもって、
勝手に嫉妬してたみたい」
機龍「楯無さん」
楯無「でも、今になって見ればバカバカしいわね。本当は、この
嫉妬って簪ちゃんに向けてたのかもしれないわね」
簪「え?」
楯無「私も、漫画みたいに傍にいるだけで胸がキュンキュンする誰かと
出会って、恋に落ちて、結ばれたい。それを実現させた簪ちゃんが
きっと羨ましかったのね、私は」
簪「お姉ちゃん。……機龍、お願いがあるの?」
機龍「うん、何?」
簪は、どこか気まずそうにしている姉を見ると、機龍の傍に
屈みこんで耳打ちした。
「え?良いの?」
簪「うん。私も、お姉ちゃんに幸せになって欲しいから」
と言って、機龍に微笑む簪。機龍はその笑みから彼女の本気度を
伺い、頷いた。
そして、改めて楯無と向かい合う機龍。
機龍「楯無さん。もし、あなたが良ければなんですが」
楯無「え?」
機龍「僕の、『恋人』になってくれませんか?」
楯無「えぇ!?い、いや待って!あなたには簪ちゃんが!」
慌てふためく楯無だったが……。
簪「ううん。私は良いよ」
楯無「えぇぇっ!?」
まさかの妹の浮気公認に驚く事しかできない楯無。
簪「だって、機龍が魅力的な事は私が一番良く知ってるから。
……そんな機龍なら、きっと、私とお姉ちゃんも。
二人一緒に、幸せにしてくれるって思ったから。
それに、私も」
そう言って、楯無の両手を自分の両手で包み込む簪。
「お姉ちゃんと一緒に、幸せになりたいから」
楯無「簪ちゃん」
簪「お姉ちゃん。……大好きだよ」
と言った、次の瞬間。
簪・楯「「ん」」
姉妹二人の唇が、夕焼けをバックに重なり合った。
そして、それに見とれていた機龍。
やがて二人は、互いに頬を紅潮させながら唇を離した。
互いを熱を持った瞳で見つめ合う簪と楯無。
やがて二人の視線は、熱を持ったまま機龍へと向けられた。
楯無「あ、あの。機龍君」
機龍「……絶対、約束します」
楯無「え?」
不意の言葉に、理解が追い付かずに疑問符を浮かべる楯無。
機龍「簪の事も、楯無さんの事も、僕が必ず、幸せにするって」
夕日を背にした機龍のその一言が、楯無の中に流れ込んできた。
そして、その言葉で再び笑みを浮かべながら涙を流す楯無。
楯無「ふふ、ハハ。……公認の二股って、どうなのかしらね?」
そう言って笑う楯無とその言葉につられて笑みを漏らす簪と機龍。
機龍「大丈夫です。だって、二人が互いを嫉妬できないくらい、
僕が二人に愛情を注ぐだけですから」
その言葉に、楯無は……。
楯無「ふふ、姉妹共々、末永く、よろしくお願いします」
と、満面の笑みを浮かべながらそう言ったのだった。
で、その後……。
もうあと少しで太陽が完全に沈むと言う所で展望台を後にした
3人だったのだが……。
簪「き、機龍、お姉ちゃん」
機龍「あれ?どうしたの簪?」
不意に、顔を赤く紅潮させて最後尾を遅れ気味に歩いていた簪が
二人に声をかけ、機龍と楯無は足を止めて振り返った。
すると、簪は機龍に何やら耳打ちをした。
それを聞いて、途端に顔を赤くする機龍は、ポケットから
端末を取り出して何かを探し始めた。
で、それから数分後。事態がうまく呑み込めないままの楯無を
連れてやってきたのが……。
楯無「こ、ここって」
そう、ラブホだ。
簪「ご、ごめんねお姉ちゃん。その、台無しにしちゃうかもだけど、
機龍にあんなふうに言われたら、その」
と言ってモジモジとしている簪を見た楯無は……。
楯無「ま、まぁ、寮の中で不純異性交遊されるよりはマシね」
と言って、頭をがっくりと落とすと二人と共にラブホの中へと
入って行くのだった。
※ ここから先はR18の方で投稿します。
こうして、機龍は新たなる愛を実らせたのだった。
姉妹デート編 END
この後はオリジナルの決戦編を描いた後、この作品の機龍の
戦いを描いた『救世の銀龍』と言う作品を書こうと思ってます。