お話です。
IS 鋼鉄の銀龍 日常編第1話
~~これは、本来辿った世界線とは、全く異なる世界線の物語~~
~~救世の旅へと旅立った銀龍が、旅に出なかったら?~~
~~そんなIFの、もう一つの世界線の物語~~
デストロイアとの死闘と機龍の復活。更に全校生徒へと告白を
したあの日から既に数日が経った今。
機龍は相も変わらずIS学園での平和で、楽しい日常を歩んでいた。
まぁ、ただ……。
女生徒「機龍君!今日こそデートに行きましょう!」
「あぁズルい!私が誘おうと思ってたのに!」
「いいえ!機龍君は今日私達陸上部の部活に参加
するのよ!」
と、機龍の前に集まった女子たちが色々言っていた。
そんな彼女たちを前にして困ってしまう機龍。まぁ、それも
機龍と言う『覇王の血筋』であるが故なのと、彼の持つ優しさが
圧倒的なカリスマとなって周囲の人々を惹きつけてしまうのだ。
ましてや彼はほんの数日前、彼女たちを守るために身を挺して
デストロイアと戦った。
吊り橋効果などという言葉があるが、ある意味似たような物だった。
鮮烈なまでに彼女たちの脳裏に焼き付いた3式機龍としての姿。
苛烈な力を放ったバーニングメカゴジラ。そして、最後は
その死と復活。
ある意味、あの事件が機龍と言う存在を彼女たちの脳裏に
より強く刷り込む結果となってしまったのだ。
そこへ来て、束によって全校生徒へと流されたあの告白が
放送された事で、とうとう彼女たちも機龍に本格的な好意を
抱いてしまったのだった。
今日も今日とて周囲からのアプローチが激しい事にオロオロと
してしまう機龍と、それを周りから見つめている簪、セシリア、
ラウラ、モーラや一夏達。
モーラ「機龍の人気はうなぎ上り、ですね。嬉しくもありますが、
それ以前に釈然としませんね」
ラウラ「むぅ、よもや全校生徒の大半がライバルになるなどと
言う事は無いだろうな」
簪「無くは、無い、のかな」
セシリア「うぅ、ここまでくると機龍の魅力の高さが逆に障害に
なってしまいますわ」
と、機龍の恋人である彼女たちは今日も今日とて複雑な心境
だったのだ。
しかし、そうだとしても機龍の日常は変わらない。
毎日のように学校に通い、勉学に励み、時にクラスメイト達と
笑い合う。それこそが、機龍の望む日々なのだ。
下手な刺激など要らない。そんなものは既にごまんと経験してきた。
今、彼が欲しいのは穏やかな日々。それだけだ。
……周りが穏やかなじゃないと言えばそうかもしれないが……。
ともかく、機龍はそんな風に平和な日々を歩んでいた。
これは、そんな日々の一コマ。
『ピッ!』
ある日の学校、放課後の校庭。そこでは陸上部の女生徒たちがジャージ
姿でトラックを走っていた。
そして、そのゴール地点に立っていた青いジャージ姿の機龍が
ゴールした生徒のタイムを手にしている記録用のノートに記録していた。
機龍『うん、こんなものかな』
と、タイムを書き終えた機龍は近くのベンチにあったタオルとドリンクを
手に取り、ゴール近くで膝に手を当てた姿勢のままゼェゼェと
荒い呼吸の生徒に近づき、タオルとドリンクを手渡した。
「どうぞ」
部員「あ。ありがとう機龍君」
受け取ったタオルで髪を拭きながらドリンクを飲む女子部員。
機龍「後、これが今のタイムです」
そう言ってタイムを書いたノートを見せる機龍。
部員「どれどれ?」
と言った次の瞬間、その部員は機龍の首に片腕を回しその体を
グイッと引き寄せた。
それによって……。
『ぽよん』
女子部員の大きくはないが、決して小さくもない胸が機龍の体に
当たった。しかも姿勢を下げた女子部員の顔が機龍の真横、
肩に置かれるようにしてあった為、機龍は瞬く間に顔を真っ赤に
してしまった。
汗と女性特有の仄かな甘い匂いが機龍の鼻孔をくすぐる。
部員「う~ん。前より少しタイムが落ちてるな~」
と、言いつつも彼女の視線はしっかり機龍の反応を見ていた。
「機龍君はどう思う?」
機龍「え!?あ、えっと、その、あの」
そう言いつつ、機龍の方を向く彼女の視線。対して機龍は
ちょっと顔を動かせばキスも出来そうなその距離の女子の顔を
見て、顔全体を真っ赤にしつつ視線を泳がせた。
しかし……。
部員A「あぁ!ずるい抜け駆け!」
と、他の部員たちに見つかってしまった。
「先輩ズルいです!今の機龍君は私達陸上部の
共有財産なんですから!」
と、(色々問題発言でもあるが)そう言って抗議する後輩部員。
部員「ふっふっふ、な~に言ってるの。確かに機龍君は
今、陸部のマネージャーしてるけど、今や学園の全校生徒が
狙ってる機龍君なのよ?どんな時でも仕掛けなきゃ。
ライバルが100人越えの恋なんだもの。
ね、機龍君」
『チュッ』
機龍「はぅ」
不意に、機龍の頬にキスをする部員。それによって顔を赤くし、
びっくりして可愛い悲鳴を漏らした。
すると……。
『『『『『ぶはっ!!』』』』』
その様子を近くで見ていた部員が鼻血を吹き出した。
血を吹き出し倒れる生徒達を見てアワアワと慌てる機龍。
しかし……。
部員A「ねぇ機龍君。折角だから今夜は、私と良い事
しない?」
機龍「ふぇっ!?」
良い事とはつまり、『そう言う事』への誘いだ。
「え、えっとあのあの!えっとその!そそそ、そう言うのは
こここ、困ります!」
その事に顔を真っ赤にし戸惑い目を回す機龍。そして……。
「あ!僕使い終わった道具片付けてきま~~す!」
そう言って一目散に逃げ出す機龍。
部員A「あ!機龍君!……くっ、逃したか。でも次こそ」
と、どこか狩人のような目をする部員。
その後、何とか無事に陸上部の手伝いを終えた機龍。
しかし彼の参加を希望する部活は多く、もはや放課後の
部活参加が恒例になりつつある機龍だった。
今日も今日とて……。
機龍「王子、行けません。私のような村娘などと……」
場所は演劇部が練習用に貸し切ったステージ。
そこでは村娘を演じるために女装した機龍と……。
部長「構う物か。誰が何と言おうと私は君を愛している」
逆に男装した演劇部部長の演劇のワンシーンの練習が
行われていた。
それを見ている観客の演劇部員たち。今回はリハーサル
程度の物と機龍は聞かされていたのだが……。
「この地位が君と私の間を塞ぐ壁となるのなら、
私は喜んでこの地位を捨てよう。全ては、君に添い遂げる
ために」
そう言って女装した機龍の手を引き、自らの腕に抱く部長。
そんなワンシーンに観客は色めき立ち、機龍は密に顔を真っ赤に
しつつも演技を続ける。
機龍「王子様。これは一時の迷いです。私など、王子様には……」
部長「美しき者に立場など関係無い」
機龍「ですが!」
部長「お願いだ。私の愛を受け取り、頷いてくれ。
でなければ私は、君が頷いてくれるまで君のその麗しい唇を
私の唇で塞いでしまうよ」
そう言うと、彼女はグイッと機龍の体を引き寄せ、所謂
顎クイで機龍の視線を上げさせた。
顔を真っ赤にして視線を逸らす機龍に、見ている部員たちも。
彼を前にしている部長も興奮を抑えられなかった。
そして……。
「私の愛の証、受け取っておくれ」
機龍「王子様。……ん」
王子役の部長の方から機龍を抱き寄せ、彼の唇を奪った。
そして、流れとしてはここで村娘が頷き、二人は互いを
愛する、と言うはずだったのだが……。
「王子様、私は……」
部長「まだ、頷いてくれないのかい?」
機龍「え?んっ!」
言葉を遮り、疑問符を浮かべる機龍の唇を奪う部長。
部長「ん、ん。ぷはっ。やはり君は美しい。そのすべてが、
この私の心を熱く滾らせる!」
と、台詞と本音が混ざり合った言葉が出る部長。
機龍「ま、待ってくだ、んん!んぁ」
部長は機龍の背中に両手を回し、がっしりと抱きしめると舌を
絡ませるディープキスをし始めた。
部長「君のその小さな体躯も、金色の瞳も、銀に輝く髪も、
美しいその肌も、その声も、仕草も、心も!
全てが私を惹き付ける!まさに君は魔性の姫だ!」
機龍「ぶ、部長さん!目が怖いです!と言うか、演劇が
もう違う方向に……」
部長「今の私は私であって私ではない!王子にして狩人!
君と言う最高の獲物を狙う狩人なのだよ!」
機龍「そ、それって僕を食べるって意味ですか~!?」
部長「おうともさ!私は君の全てを×的な意味で食べたい!」
(※ ×に何が入るかは読者様のご想像にお任せします)
機龍「それはダメですよ~!」
部長「いいや!ダメではない!愛に年齢は関係ない!愛しい人を
その胸に抱き、体を重ねる事に何の罪があろうか!
恋とは戦争!恋とは略奪!君の心を射止めるためならば、
私は悪魔とだって取引をしよう!」
と、どこか劇のようなやり取りをする二人。しかし……。
部員A「それを言うなら、私達だって!」
と、そこに今度は劇を鑑賞していた演劇部員たちがステージの
上に上がってきた。
部員B「私達だって機龍君をぱっくんちょしたいんです!」
機龍「それ表現としてどうかと思いますけど!?」
部員C「わ、私だって、機龍君とあんなことやこんな事して、
そ、それで~。えへへ、うひひ」
機龍「お願いですから現実に戻ってくださ~い!」
と、機龍のツッコみも空しく、皆が皆機龍を襲う気
満々なようだ。そして全員が機龍への包囲網となり
彼に向かってジリジリと足を進めていたその時。
スコール「やれやれ。あなたの人気にも困ったものね」
と、どこからか声がしたかと思うと、上のスポットライトの
フレームの上から人影が下りて来て着地した。その人物とは
相も変わらず並みの女優以上のダイナマイトボディを惜しげもなく
晒す露出度の高い服装のスコールだった。
機龍「す、スコールさん」
スコール「博士が念のためって私に貴方の様子を見に行くように
言われて来てみれば、ドアは何十にもロックされて
開かないから、別の所から侵入してきたのだけど……」
そう言いつつ、機龍を抱きしめる部長の方に視線を向けるスコール。
部長「渡しはしない!我らが姫の心!必ずやここで落として見せる!」
機龍「そこは普通掴んで見せるでは!?」
と、ツッコむ機龍。しかしスコールはそんな二人を無視して
部長に歩み寄ると、瞬く間に機龍の腕を引いて彼を取り返した。
スコール「彼の人気は相変わらず。まぁかく言う私もこの子の
事が好きなのだけど……」
部長「負けない!私は!」
そう言って手を伸ばす部長。しかし……。
『パシッ!』
スコールは機龍を離すと、その手で彼女の手首を掴み……。
スコール「私、女の子も大好物なの」
部長「えっ!?」
ペロリ、と舌なめずりをしたスコールは驚く部長を
抱き寄せ……。
「ん!ん~~!」
その唇を自分の唇で塞いだ。
更にそこから部長のズボンの股下辺りに膝を入れグリグリとする
スコール。
「ん!ん~ん!んふ、んん~」
キスをしたまま、次第にトロンとした表情を浮かべる部長。
その余りにも慣れた手つきに機龍がポカンとしていると……。
『シュルルルッ!』
部員「「「「きゃ~~~っ!」」」」
不意に後ろから悲鳴が聞こえたので振り返る機龍。見ると、
そこにはアラクネを展開し部員たちを糸で縛り上げる
オータムの姿があった。
機龍「オータムさん」
オータム「そらよ。いっちょ上がりっと」
部員A「動けないよ~~~~」
部員B「あとちょっとだったのに~~~!」
オータム「ったく。おい、大丈夫か?」
機龍「はい。おかげ様で助かりました。ありがとうございます、
オータムさん」
そう言って、屈託ない笑みを浮かべる機龍に、オータムは
顔を赤くすると踵を返して機龍の方に背を向けた。
オータム「言っとくけどこれは博士に頼まれただけで別に
お前の為とかじゃ……」
と、どストレートなツンデレを発動させるオータム。
しかし……。
部員A「あ~!オータムさんツンデレだ~!」
部員「「「「「ツンデレだ~~~!!」」」」」
と、その様子を部員たちに見られていたためにそれを
暴露されぶ~ぶ~とブーイングまで始まった。
オータム「ばっ!?だ、誰がツンデレだ!ふざけた事
言ってると足腰立たなくなるまで調教して
やるからな!」
と、そう言ってオータムは部員たちと子供クラスな口喧嘩を
始めたり……。
部長「あぁ、お姉さまぁ、もっとぉ」
いつの間にか部長を堕としているスコール。
機龍「こ、これで良かったのかな~」
そして、機龍は一人その状況の中で疑問符を浮かべるのだった。
ちなみに、他の部活ではと言うと……。
水泳部。
部員「き、機龍きゅん!こ、この水着を着て見て!極薄素材の
マイクロビキニ!ぜ、絶対似合うから!」
と、明らかに来てもスケスケなビキニを手にハァハァと完全に
ヤバい息遣いでにじり寄って来る水泳部員。
しかも大半の者は水辺だと言うのに高そうなカメラなり
スマホを構えている。
機龍「い~や~で~す~~!」
そして、水泳部員たちの表情から危機感を覚えた機龍は脱兎の
如く涙目を浮かべながら逃げ出した。
部員A「待って~~!」
それを水着やらスマホやらを片手に追いかける水泳部員たち。
部員B「さぁ機龍きゅん!お姉さんたちとくんずほぐれつ、
極上の天国へ行きましょう!
大丈夫!痛く、痛くしないから!」
機龍「じゃあ何でそんな水着とかカメラまで持ってるんですか~!?」
部長「それはもちろん!思い出として写真に残して~、
夜な夜な私達が×××するための~」
(※注 ×の部分は読者様のご想像にお任せします)
そして、その単語を聞いた機龍はボッと擬音がしそうな勢いで
顔を真っ赤にした。
機龍「だっ、ダメです!尚更ダメです~!と言うか部長さんが
それ言って良いんですか~!?」
部長「問答無用!私達は今、可愛い男の娘に飢えている!
よって機龍君を全力でぱっくんちょするのです!」
機龍「そんな~~~~!?」
(ある意味末期な)水泳部員たちから逃げつつ、機龍は叫ぶのだった。
ちなみにその後、水泳部員は事態を聞きつけた千冬が粛清した。
美術部。
部員A「さぁ機龍きゅん!デッサンのモデルよろしくね!」
機龍「は、はい。あの、それで僕はどうすれば……」
部長「そうね。とりあえず……。脱いでっ!」
機龍「へ?」
悪びれも無く、そう叫ぶ美術部部長。一瞬呆けた機龍だったが、
数秒後……。
「え~~~~!?!?ぬ、脱ぐって何言ってるんですか!?」
部長「あれ?私変な事言った?」
と、彼女が周囲の部員たちに問いかけると……。
部員「「「「「「いいえ」」」」」」
全員が首を横に振った。
部員A「お願~い。今日はヌードデッサンの日なの~。
だ・か・ら~」
そう言いつつ、機龍に詰め寄る部員たち。
「お願いっ!脱いで機龍きゅん!!」
機龍「ダメですよ!?そんなの、そんなの絶対ダメです~!!」
そう言って逃げ出す機龍。
部長「くっ!各員、目標を逃がすな!良い!?ヌードデッサンの
後事故で『そう言う事しちゃった』漫画展開を実現
するために必ず機龍きゅんを捕えなさい!」
部員「「「「「「はいっ!!」」」」」」
そう言って機龍を追い駆け出す部員たち。
もはやここも末期であったのだった。
と、結局の所、優れた雄が大勢の雌を惹き付けるように、機龍の
王たる血筋と彼の持つ力、彼の示した覚悟が大勢の女生徒たちを
惹き付ける結果となったのだった。
……機龍本人にとってはかなり不本意かもしれないが……。
その後、今日も今日とて生徒達に追いかけまわされた機龍は
夕食後、バテバテになりながら部屋に辿り着き、すぐさまシャワー
で汗を流すとパジャマに着替えてベッドに倒れこむようにして
体を横たえた。
と、そこへ。
『ガチャッ』
簪「ただいま~」
大浴場の方へと行っていた簪がパジャマ姿で戻ってきた。
機龍「あ、お帰り簪」
そう言いつつ、何とか体を起こして簪を迎える機龍。
簪「ただいま機龍。……って、機龍大丈夫?」
機龍「あ、え~っと。正直に言うと疲れてる」
そう話をしつつ、機龍の横に腰を下ろす簪。
簪「そうだよね。機龍、毎日みんなに追いかけられてる
もんね」
機龍「うん」
と、頷きながらもお疲れモードな機龍を見て、簪は……。
簪『よし!こんな時こそ』
と、意気込むと機龍の体を自分の方に倒し、膝枕を
し始めた簪。
機龍「あ、えっと、簪?どうしたの?」
いきなりの事で、彼女の顔を見上げる機龍。
簪「え、えっと、その。機龍、疲れてるみたいだし、
ひ、膝枕を」
そう言いつつ、やった自分も恥ずかしいのか顔を赤らめている簪。
そして、彼女の言葉を聞いた機龍は、僅かに体をもぞもぞと動かすと、
静かに目を閉じ、彼女に見守られると言う安心と疲れから
すぐに微睡み、やがて眠りについた。
簪「機龍?」
機龍「すぅ……すぅ」
数分後、機龍が眠った事に気付いて声をかける簪だが、肝心の機龍は
可愛い寝息を立てて眠っていた。
簪「機龍、よっぽど疲れてたんだね」
そう言って、息子を見守る母親のような笑みを浮かべた簪は、
少しだけ彼の髪を撫でると、彼をベッドの正しい位置に横たえ、
電気を消し彼と同じベッドに潜り込んだ。
「おやすみ、機龍」
『チュッ』
最愛の彼の額にキスをすると、簪もまた最愛の男性、
機龍を抱き寄せながら眠りについたのだった。
これは、世界を守った銀龍と、彼らが愛する仲間たちの、
騒がしくも楽しく、にぎやかな平和と日常の物語。
日常編 第1話 END
と、言うわけでちょっとした日常のお話です。
続くかは分かりませんが、もしかしたら今後とも
続くかもしれません。