前回までのあらすじ
IS学園に転校してきた一夏のセカンド幼馴染で中国の
代表候補生『凰鈴音』 そんな中一夏と鈴がある事をきっかけに
喧嘩になってしまった 仲直りできないままクラス対抗戦を
迎え、一夏の初戦の相手は、その鈴だった
そして、試合初日がやって来た
一夏と箒はピットへ行き、機龍、セシリア、簪の3人は観客席の方へと移動した
何とか空いている3つの席を見つけ、腰を下ろす3人
右から、簪、機龍、セシリアの順番だった
セシリア「それにしても、一夏さんは大丈夫でしょうか?」
機龍「一夏は強い。大丈夫。」
セシリア「ですが…少し不安材料がありまして…」
機龍「何?」
セシリア「実は、一週間程前、一夏さんと鈴さんがさらに喧嘩をなさって…」
簪「…余計仲が悪くなった?」
セシリア「はい…かなり険悪でした…」
機龍「……そう……」
それだけ言うと、機龍はアリーナの方に目を向けた
アリーナの中央、空中では鈴の専用機『甲龍』が浮いていた
『武装は…あの両肩、両腕の射撃兵装と、変わったブレード…
…近、中距離対応型…近接オンリーの一夏の場合…
セシリアのような射撃特化型が相手なら懐に入れれば強い…
でも、あの凰さんは違う……これは、一夏の方が不利。』
そんな事を考えていると、ピットから一夏の白式が飛び出してきた
空中で向き合う二人 何かを話しているのかわからないが、声は機龍
達には聞こえなかった
アナウンス『それでは両者、試合を開始してください。』
『ビイィィィッ!』と、ブザーが鳴り響いた瞬間、二人は接近して、
試合を始めた
空中を高速移動しながら剣戟戦を繰り返す二人
だが、不利を悟ったのか、距離を取って離れる一夏
『ダメだ!距離を取ったら一方的にやられる!』
そう思った瞬間、甲龍の背部のパーツが展開され『見えない』砲弾が発射
された 初撃を何とか回避する一夏だったが、さらに飛んできた攻撃を
喰らって吹き飛ばされた一夏
簪「あれって何?」
機龍「あれは衝撃砲……セシリアのブルー・ティアーズと同じ、
第3世代の技術で作られた武装……空間そのものを圧縮して、
見えない砲身を作り出し、その砲身を使って衝撃波に指向性を持たせ、
撃ちだす兵器だよ。」
セシリア「と言う事は、あれも第3世代IS、と言う事ですわね。」
機龍「あの機体は、一夏にとって戦いずらい機体……
一夏はまだ初心者。なのに見えない砲弾の対処なんて、避けるのが
精いっぱい。それに、相手に中距離を保たれたら、一夏には
打つ手がない、一方的な戦いになる…」
セシリア「何か、一夏さんが勝つ手立てはありませんの?」
機龍「……一夏の白式は、とても速い…スペックをこの前見せて
もらったけど…確かに速度面なら甲龍よりも白式の方が早い。」
簪「…えっと…つまり?」
機龍「一夏の活路は、速度を生かして相手を翻弄。背後、側面などから
の一撃離脱戦法がもっとも効果的……ただ…」
簪「何?」
機龍「一夏にそれをするだけの技量があるかわからない…」
それを聞いて、再び二人の試合の様子を見る3人
と、その時…上空から現れた物体がアリーナの遮断シールドを突き破って
入って来た
轟音と共にアリーナの地面に落着し、凄まじい量の砂煙を上げながら、
『何か』が、試合に乱入してきた
その頃…ある場所では
クロエ「本当に良かったのですか?あんな物を送り込んで。」
束「大丈夫だって。いっくんと白式ならあれくらいなら何とかなるでしょ。」
クロエ「そうではなく、機龍が巻き来れたらどうするのですか?」
束「そこも大丈夫。ゴーレムには、ISしか攻撃しないようにプログラムしてある
から…攻撃でバグってシステムがおしゃかにならなければ大丈夫だからさ!
私は天才なんだから大丈夫だって!ブイブイ!」
クロエ「そうですか……はぁ…不安だ。」
と言うやり取りが行われていたとかいないとか……
場所は戻ってIS学園 第2アリーナ
観客席ではざわめきが起こっていた
セシリア「今のはなんですの?」
簪「何かが…落ちて来たように見えたけど…」
二人が疑問を現す中で機龍は土煙の中を睨みつけていた
機龍「これは……未知のIS、確認…」
簪「え?機龍?」
機龍「各国の開示されたISデータと照合中…………ERROR
該当ISなし……CODE、UNKNOWN……」
その時機龍は自分の中にある見聞きしたISのデータとグラウンドに現れた
何かの照合を行った これも、機械としての機龍の力だった
その時の機龍の瞳は猛烈な勢いで変則的な運動を繰り返していた
アナウンス『緊急連絡!これより試合は中止します!生徒たちは最寄りの
扉から退避してください!』
とだけ言うと、観客席を覆うように壁がせり上がり、非常用の赤いライトだけが、
観客席を照らしていた
簪「一体…何が起きているの?」
セシリア「これは一体、何事なんですの?」
周りでも多くの生徒たちが怯えていた
機龍「二人とも、とにかく今はここを出よう…すぐに先生たちがISで出て来るはず。
それに、あのUNKNOWNは遮断シールドを突破するだけの力を持っている。
この壁が戦闘で破れる可能性もある。ここは危険、とにかく移動するべき。」
簪「そ、そうだね。」
セシリア「移動しましょう。」
機龍の言葉にうなずいた二人が立ち上がり、ドアの近くまで移動した だが
生徒「ねぇ!?ドアは開かないの!?」 「さっきから試してるよ!
でも全然動かないの!!」
「ねぇ!誰かどうにかならないの!?」
と、ドアが開かず、その前には多くの生徒たちが集まっていた
簪「そんな!?どうして!?」
機龍「…システムをハッキングされてる……おそらく、
あのUNKNOWNのせい。」
セシリア「それでは、ここで救助を待つしかないというのですか!?」
機龍「それは……」
『もし…僕が力を使えば…あの扉は破れる……でも…』
そう思い周りを見る機龍 彼の周りには多くの生徒たちが集まって
ひしめいている ここで変化すれば…… そう思っていた時だった
『ドガアァァァン!』
鈴「きゃあぁぁぁぁ!」
未確認機のビーム兵器の攻撃を喰らった鈴の甲龍が防壁を破って
観客席に落下した
セシリア「鈴さん!?」
倒れた鈴の近くによるセシリア
「鈴さん!?大丈夫ですか!?」
鈴「いたたた……あいつ、何なのよ…どんだけ高威力のビーム砲を
持ってるのよ。」
と、そこに、鈴の空けた穴を越えて、ゴーレムが中に入って来た
一夏「やめろぉぉぉ!」
そこに後ろから接近した白式が首元に一撃を喰らわせた
人の顔の当たる部分にあった不規則に配置されたセンサーレンズが
光った
そして右手を後ろに回し、一夏の右手首を掴んで、鈴たちの方へと
投げた
「うわっ!グッ!?」
セシリア「一夏さん!?」
鈴「一夏!大丈夫!?」
一夏「な、何とか……」
その時、ゴーレムは一夏達3人の方へと、右手のエネルギー砲を向け、
エネルギーをチャージし始めた
そして、束と一緒にそれを見ていたクロエ
クロエ「まずいです!このままだと一般人も巻き込まれますよ!?」
束「あの子は…いっくんの幼馴染と~…あの時話を聞いてた子、かぁ…
仕方ない…強制的に、停止~♪ポチっとな♪」
と言って端末のボタンを押す束 だが、映像ではゴーレムはまだ
チャージを続けていた
クロエ「何してるんですか!?早く止めないと!」
束「あ、あのね、クーちゃん…」
クロエ「何ですか!?」
束「さっきのいっくんの攻撃…物の見事にシールドバリアーを貫通して…
ゴーレムの受信アンテナ、壊しちゃったみたい…」
クロエ「は?」
束「ゴーレムがこっちの操作を受け付けなくて……自立殲滅モード
になっちゃった……テヘペロ♪」
クロエ「ななな、何てことしてるのですかあなたは~~!!」
と言う会話があったりなかったり……
戻ってアリーナ
今、機龍の前で未確認のISが一夏達に向けて、ビームを発射しようとしている
ISを身に纏っている一夏や鈴なら大丈夫かもしれないが、セシリアは
生身のままだ このままでは確実に死んでしまう
その時機龍の頭にフラッシュバックする、記憶...
人間の悲しみ、怨嗟の声…そして、失う恐怖 それが機龍の頭の中で響いた
機龍『やめて!僕の友達を傷つけないで!』
そう思いながら必死に駆け出す機龍
まるでスローモーションのように時間が流れた
『助けるんだ!僕が、皆を助けるんだ!......戦え!戦え!
躊躇うな!失わない為に!...戦え!戦え!』
「ッ戦えぇぇぇぇ!うおぉぉぉ!」
機龍が一夏達の前に飛び出した瞬間、発射されたビームが彼に
直撃した
一夏「機龍ぅぅぅぅ!」
発生した暴風と煙で、周りの生徒や一夏たちの視界は塞がった
やがて数秒の沈黙の後
煙を破って稲妻のようなメーサーがゴーレムに命中した
数歩後ろに下がり、そちらを睨むゴーレム
煙が晴れ、現れたのは
機龍「KYUOOOO!」
銀一色の姿 『3式機龍改』だった
やがて煙が完全に晴れ、機龍の後ろには一夏の白式、鈴の甲龍、そしてセシリアの
3人が無事な姿で機龍の背中を見つめていた
にらみ合う機龍とゴーレム
機龍はゴーレムを威嚇するように、尻尾を何度も床に叩きつけている
そして次の瞬間、機龍の口が開き、2連装メーサーが火を噴いた
メーサーを喰らい、よろめくゴーレム それを見た機龍は
さらに4式レールガンとメーサーの一斉射撃でゴーレムを
観客席の外へと押し出した
足を踏み出し、自らも外へと出て行く機龍
鈴「何なの…?あの銀色の奴…」
一夏「あれは……機龍自身のI、S…『3式機龍改』だ。」
そう言う一夏の表情は優れなかった
『クソ!俺がこんなに弱くなけりゃ...あいつが元に戻る必要なんて......』
そう思い、雪片を握りしめる一夏だった
一方 アリーナの地面の上でにらみ合う機龍とゴーレム
最初に動いたのは機龍だった
機龍『うわあぁぁぁぁ!』
「KYUOOOO!」
咆哮を上げながら突進する機龍 口からメーサーを放ち、
さらにバックユニットに内蔵された04式多連装ロケット弾と
ユニットの側面、上部に内蔵された98式多目的誘導弾を全弾斉射した
さらにダメ押しとばかりにレールガンを撃ちまくる機龍
銃弾、メーサー、ロケット弾の嵐の中に閉じ込められるゴーレム
やがてバックユニットの全弾を撃ち尽くした機龍はゴーレムがいる地点を睨みつけた
すると土煙の中から極太のレーザーが発射され、機龍に向かって来た
咄嗟に左手でガードするが、それでもレールガンユニットを破壊され、
吹き飛ばされ、土煙を上げる機龍
一夏「機龍!!」
グラウンドに出てきた一夏と鈴
そして、土煙の中から現れたのは、あちこちがボロボロになったゴーレムだった
そして、人型をしていた部分はスーツが破け、機械の中身が姿を現した
「あいつ!?人が乗ってない!?無人機だ!」
鈴「嘘でしょ!?」
するとゴーレムは目標を一夏と鈴に変更した
構える一夏達に対して、肩部のビームを発射しようとした だが
機龍の倒れた地点から発射されたバックユニット2発がゴーレムに命中、爆発した
左肩のビーム砲が吹き飛ぶゴーレム 煙の中からさらに残った右手のレールガンを
連射しながら機龍が出てきた
その攻撃でさらに右肩のビーム砲が吹き飛ぶゴーレム
しかし、負けじと両腕のビーム砲を連射した
その一つが機龍の右手の残ったレールガンを破壊した
そこからにらみ合う2体 一瞬の沈黙の後、
スラスターを吹かして突進する機龍とゴーレム
お互いの巨大な拳と鋭利な爪を突き出す2体
拳は肩を 爪は脇腹を それぞれ掠めた
そこから猛然とした打撃戦に移行する2体
互いにパワーは互角 互いに殴り合い 数歩下がっては数歩踏み込んで
圧倒的な打撃を繰り返した
その様子は一夏や鈴だけではなく、ピットの千冬や真耶、箒、
そして空いた穴から顔をのぞかせる生徒たちが見ていた
何度目かの打撃を機龍が避けた瞬間
彼の右手がドリルのように変形し、高速回転を始めた
そして、それをゴーレムの頭部に向けて突き出した
避ける事も出来ず、頭部にドリルがめり込んだ
そのまま高速回転で頭部をぐしゃぐしゃに破壊していく機龍
ゴーレムはそれを止めようと右手を動かすが、それは機龍の2連メーサー砲に
破壊された
やがて機龍はドリルを引き抜き、頭部、右手、両肩を破壊され、
ボロボロになったゴーレムの腹に向けて、振り向きざまに尻尾の一撃を
見舞った
吹き飛ばされ、壁に激突するゴーレム
そんなゴーレムを見据え、胸部の装甲と口を開く機龍
そして、口の2連装メーサー砲と胸の中に隠された機龍の最終武装の一つ
『4式3連装ハイパーメーサー砲』が姿を現した
エネルギーを充填し、それを一気にゴーレムに向けて発射する機龍
発射された無数のメーサーがゴーレムに直撃し、
一拍ののち、ゴーレムは爆発、轟轟と炎を上げ始めた
機龍「KYUOOOO!」
勝利を宣言するかのように、銀龍は空に向かって咆哮した
多くの人間が、その姿に見入っていた
だが、次の瞬間、機龍の瞳と赤いラインが光を失い
機龍は倒れて、子供の姿に戻ってしまった
一夏「ッ!?機龍!しっかりしろ!」
近づいた一夏が機龍を抱き上げた
鈴「ちょっと!そいつ大丈夫なの!?」
一夏「……大丈夫だ。気を失ってるだけみたいだ。」
その時
真耶「……斑君!織斑君!聞こえますか!?」
一夏「はい。聞こえます。」
真耶「良かったぁ...機龍君は大丈夫ですか?」
一夏「はい。気を失っているだけみたいで、特に怪我とかは
無いみたいです。」
真耶「では、機龍君をピットに連れてきてください。
医療班を呼びます。」
一夏「はい。わかりました……そう言う訳だから、勝負はお預けだ。
悪いな、鈴。」
鈴「べ、別に良いわよ。こんな事があった後じゃ、勝負する気なんて
起きないわよ。……あのさ、一夏。」
一夏「何だ?」
鈴「あ、後で屋上に来て……待ってるから。」
一夏「…わかった。」
それだけ言うと子供の姿の機龍を抱えた一夏がピットに飛んだ
そこで待機していたストレッチャーに機龍を横たえるとそれを確認した
医療班の人間が機龍を運んでいた
それを見て一息つく一夏
千冬「…大変だったな。」
そこにやってくる千冬、箒、真耶の3人
一夏「ちふ、織斑先生……そうですね。…機龍は大丈夫かな?」
千冬「目立った外傷は無し。以前のような心的ストレスにしても、あそこまで
戦えたのだから、何かしらの精神的支柱で最後の最後まで
逃げ出そうとする自分を抑えて戦ったのか……それとも、
あれが奴の本性なのか…」
一夏「そんなことない!」
箒「一夏?」
一夏「あんな…きっとアイツは、機龍は、俺達を守るために戦ったんだ!
アイツは誰よりも戦いを拒んでるんだ!そんなアイツが自分から
望んで戦うわけがねぇ!」
千冬「お前に、アイツの何がわかる?」
一夏「確かに、俺にあいつの気持ちなんてわからない…でも、
機龍は、確かに俺達を守ってくれた!それは変わらない事実だ!」
真耶「織斑君…」
一夏「俺は、機龍を信じる!」
そう断言する一夏だった
千冬「…そうか。」
と、それだけ言い残すとピットを出て行こうとする千冬
「見舞いくらい、行ってやれよ?」
去り際の声は、確かに一夏達の耳に届いていた
その後、医務室に移された機龍は夕方になってやっと目を覚ました
機龍「ここ、は…?」
目を覚ました機龍の周りには一夏、箒、鈴、セシリア、簪がいた
「みんな……」
一夏「機龍、大丈夫か?気持ち悪いとかは無いか?」
機龍「そうか……僕は、あの無人機を倒して……」
一夏「倒れたんだ……本当に大丈夫なのか?」
箒「この前の事もある。ゆっくり休んだほうが良いぞ。」
機龍「うん、ありがとう……ただ…」
鈴「?どうしたのよ?」
彼女が聞いた瞬間
『キュウゥゥゥ』
と、機龍のお腹が鳴った
機龍「エネルギー使いすぎてお腹空いた////」
それを聞いた一夏達はずっこけた
セシリア「な、何故そうなるのですの。」
一夏「ま、まぁ、機龍は結果的に昼めし抜きだったからな。」
機龍「ご、ごめんなさい。」
鈴「何でアンタが謝るよの。…まぁ、そんだけ食い気があれば問題ないわね。」
簪「とにかく、無事で良かった…」
機龍「みんな……ありがとう。」
一夏「気にするなって…俺も助けられたのには変わりないんだし。」
鈴「い、一応礼だけは言っとくわね。ありがとう…」
機龍「うん。一夏お兄ちゃん、凰さん。」
鈴「一夏、お兄ちゃん?」
一夏「あぁ、なんかこんだけ年が離れてると兄弟って感じがしてさ。
よくそう言われるんだ。」
鈴「ふぅん。」
一夏「つっても、箒やセシリア達の事もお姉ちゃんて呼んでるみたいだけど。」
話を振られて、少し顔を赤くする箒やセシリア
鈴「なら、私の事も鈴で良いわよ。よろしく。」
機龍「うん、鈴お姉ちゃん。」
一夏「……さてと、そんじゃ、俺はそろそろ戻るわ。機龍も体には気を付けろよ。」
と言うと一夏、箒、鈴は部屋を出て行った
一方、残ったセシリアと簪は
セシリア「あ、あの…」
機龍「何?セシリアお姉ちゃん。」
セシリア「先ほどは、助けてもらいましたし、その、お礼をと思いまして…」
機龍「…僕はあの時、ただ必死だった…ただ、皆を守りたかった。
ただそれだけだから…だから、お礼は要らないよ。」
セシリア「で、ですが…」
機龍「…僕はあの時、力を使う事を迷ってしまった。僕が機龍で
ドアを破壊していれば、あそこでセシリアお姉ちゃんが危険に晒される
事は無かった。だから、僕にはお礼を言ってもらう資格なんて
無いんだ。」
セシリア「機龍、さん…」
機龍「さんなんてつけなくて良いよ。セシリアお姉ちゃんの方が年上なんだから。」
セシリア「そう、ですか…」
機龍「…でも、良かった。」
セシリア「え?」
機龍「戦いは嫌いだけど、セシリアお姉ちゃん達を守れたから。」
そう言って笑みを浮かべる機龍 それを見て、顔を赤くするセシリア
と、その時
『キュウゥゥゥ』
再び機龍のお腹が鳴った それに顔を赤くする機龍
簪「そう言えば、お腹空いたって言ってたよね。私、購買か何かでパンでも
買って来るよ。」
セシリア「そ、それでしたら私も!」
そう言うと2人は医務室を出て行ってしまった
残された機龍は、夕焼けでオレンジ色に見える学園を見ていた
しばらくして、それに見入っていた機龍
その時、
『コンコン』
医務室のドアがノックされた
機龍『セシリアお姉ちゃん達かな?』
「はい。」
???「失礼するわね。」
そう言って入って来たのはセシリアでも簪でも無かった
機龍「あの、あなたは?」
入って来た相手は簪と同じような髪の色の扇子を持った生徒だった
楯無「はじめましてね、篠ノ之機龍君。私はIS学園の生徒会長
『更識楯無』よ。よろしくね♪」
と、ウインクをしてくる楯無
機龍「は、はぁ。」
『テンションが束に似てるような…』
「そ、それで、その生徒会長さんが何の用ですか?」
楯無「まぁそうね。一つはお礼ね。あなたのお陰で簪ちゃんが怪我せずに
済んだからね。」
機龍「そうですか……あれ?二人は苗字が…」
楯無「そ、私は簪ちゃんのお姉ちゃんなの。」
機龍「成程…」
楯無「それで、私からあなたにいくつかお願いがあるの。」
機龍「お願い、ですか?」
楯無「うん、単刀直入に言うと、まず第一にあなたには簪ちゃんの傍に居て
あげてほしいの。第二に、打鉄弐式の開発に協力する事よ。」
機龍「それが、お願いですか?……あなたは、簪に協力しないの?」
楯無「え?!そ、それはまぁ…色々有ってね…それと、機龍君。
私がこの事をお願いしたのは、簪ちゃんには内緒よ。良い?」
機龍「わかりました。」
楯無「それじゃ、よろしね。…あ、後私の事は楯無お姉さん、で良いからね。
バイバイ♪」
そう言うと医務室を出て行った楯無だった
それから数分すると何処かでパンを買って来た簪とセシリアが戻って来た
簪「ただいま、機龍。…この時間だったから、あんまり無かったけど、
はい、おにぎり。」
袋に入っていたおにぎりを二つ、機龍に渡した簪
「夕食も近いからこれ位で良いかな?」
セシリア「時間があれば、私の手料理を御馳走できましたのに。」
機龍「ううん、これで大丈夫だよ。二人とも、ありがとう。」
そう言われ、顔を赤くする簪とセシリア と、その時
真耶「失礼しますね。」
部屋に真耶が入って来た
「機龍君、もう大丈夫ですか?」
機龍「はい、何処も問題ありません。」
簪「さっき起きたばかりです…お腹が空ていたようなので、おにぎりを
買って来たんですが…不味かったですか?」
真耶「いいえ。食事を取れるなら健康な証拠ですし、機龍君はお昼抜き
でしたからね。仕方ないかもしれません。」
その後、おにぎりを食べて終わった機龍
機龍「ごちそうさまでした。」
丁寧に手を合わせる機龍
簪「それじゃ、この後はどうするの?」
機龍「部屋に戻るよ。もう大丈夫だから。」
真耶「そうですか。では、保健医の先生には私から伝えておきますね。
機龍君達はゆっくり休んでください。今日は色々ありましたから。」
セシリア「はい。」
そしてその後、機龍はセシリア、真耶と別れ、簪と共に自分達の部屋
へと戻って行った
機龍『今日は、無我夢中で力を使っちゃったけど…もう、
こんな事は起きないよね。』
胸に一抹の不安を抱えながらも、今日と言う一日を終えた機龍だった
だが、新たな火種は確実に近づいていた
そして、機龍の『暴走』の日もまた、ゆっくりと近づいていた
第5話 END
次回はシャルロットの転校の話です。