ハーメニア   作:秋月 俊

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 いま巷で噂のボイスロイドなどを題材とした、完全に思いつきで始まった作品です。

「このキャラこんなんじゃない」や「こんなこと言うわけ無い」と思うところも多々ある可能性が無きにしもあらずなので、そこら辺は私の妄想の中での彼女たちということで考えていただければ幸いです。

タグにもある通り、この作品はバトル物です。可能な限りのボーカロイド、ボイスロイドは出していこうと思いますが如何せん数が多い(-_-;)「あの子出してほしい」などの要望もあったらコメントしていただけると(多分)本編に登場します。

では、長くなりましたが本編を、どうぞ(*。・ω・)っ


再会

 2012年 7月24日

 

 「あなたが詠月マコトさんですか?」

「……そうだけど、誰?」

「はじめまして、今日からあなたの義妹になりました、結月ゆかりです」

 

今から四年前、それが彼女との初めての出会いだった。母親を事故で亡くしたばかりで、当然というかなんというか、そんなの受け入れることなんてできるはずがない。その時期が丁度思春期真っ只中だったということもあるが、俺としてはなんの相談もなく、再婚を決めたのが許せなかったんだ。

 

「だから私のとこに来たわけだ。全く、あんたも子供だよね~」

 

そうして俺は家を出て、幼なじみの弦巻マキの家に転がり込んだ。若気の至りとはまさにこの事か。しかしそんな俺にでも、マキのお父さんは経営していたアパートの一室を貸してくれたおかげで、今こうして俺は生活出来ている。

 

 2016年 5月13日 月曜日

AM7:24

 

 「で、なんでそんな昔のことを今言うんだよ」

 

朝食を食べながらソファに座り、テレビを見ていたマキへと問いかけた。個人的には恥ずかしい部類の思い出なのだから、あんまり思い出されてほしくないのだが

 

「いやさ、さっきテレビで家出少年の特集があってたから。あんた、家に帰るつもりは」

「あるわけないだろ。子供っぽいと思われるだろうけども、まだ親父を許してないからな」

 

マキが溜め息を付きながらソファから立ち上がり、こちらに歩いてきた。すると俺が食べようと箸を刺そうとした焼き鮭の盛られた皿を、取り上げやがった。

 

「お前、何してんだよ!冷めるだろうが、早く返せ!」

「返せ、じゃなくてね?もう四年だよ?いい加減顔でも見せないと、おじさん可哀想じゃん」

 

そう言われてもな。もうここまで来たらこのまま俺一人で生きていけるんじゃ

 

「なわけ無いでしょ、馬鹿なの?この部屋のお金だって、大体おじさん持ちじゃん」

 

それを言われると弱い。

 

「……考えとく。それよりも早く鮭返せ!」

「あっ!もう……」

 

AM8:32

 

 「おっはよーーーー!」

 

マキが元気に教室のドアを開けて、ズカズカと中に入っていく。するとすぐに彼女に中心に人だかりが出来始めた。それは最早いつもの光景で、俺はそれを傍目にしながら自分の席へと向かうことにした。

 

「昨日のテレビ見たよ!マキちゃんカッコ良かったよー!」

「あはは、ありがと。でも途中失敗しちゃってね」

 

人だかりの中からそんな声が聞こえた。昨日の番組とは、日曜の昼に放送されている音楽番組のことだろう。マキは「jamバンド」というバンドで、ギターを担当しており、時々テレビで演奏をしている。そのためこのクラス、いや学校全体でも知らないやつはいないだろうな。

 

「おっすおっす。朝からお前の幼馴染さんも大変だな」

 

後ろから誰かが話しかけてきた。SHRが始まるまで寝ようと思っていたのだが、一体誰だ。

 

「って、何だ先生か。いっつもいっつもなんで後ろのドアから入ってくんだよ」

「仕方ないだろう。前の方は弦巻たちがいるから、邪魔するのもな」

 

彼の名前は水無瀬ヤスマサ。俺達のクラスの担任で、英語担当の教師だ。優しく皆に人気のある、まさに模範のような先生である。一説によると弟も教師をやっているらしい。

 

「それで何かあったのか?いつもより顔が暗いぞ。ああ、そうでもないか。いつも暗いか」

「それ地味に酷いよな。別に……ただそろそろ親父に会えってマキに言われてさ」

「親父さんにか。確かもう四年だっけか」

 

先生は俺の事情を知っており、家庭のことを気兼ねなく話すことができる数少ない人物だ。

 

「確かに弦巻の言うとおりだな。流石にもうそろそろ話し合ったが良いだろうな。お前の進路のこともあるし」

 

そう言うと先生は俺の肩に手を置くと、優しな顔でそう言った。

 

「さて、お前らー。そろそろ席につけよ!SHR始めるぞ!」

 

先生の声に皆が気づき、急いで自分の席へと戻っていく。皆が席に戻った直後に、SHRの始まりを告げるチャイムが鳴った。教壇の上に立った先生は出席簿を取り出し、報告を始めた。

 

「はい、皆おはよう!今日は一週間の始まりだが、テストがあるぞ。ちゃんと勉強してきたか?」

 

皆が「えー」と声を上げた。そりゃそうだ、そんなこと言ってないもん。

 

「あれ、言ってなかった?ま、お前たちならなんとかなるだろう!そんなことよりも、今日はすごいニュースがあるぞ!」

 

テストはそんなことなのかよ。

 

「この時期に珍しいが、転校生がやってくるぞ。それも女の子だ!」

 

男子の奴らから喜びの声が漏れた。お前らは……

 

「入ってきていいぞー」

 

先生の声に合わせて前のドアが開き、転校生の姿が見え始める。その姿を見て男子だけではなく、女子の皆も驚嘆の声を上げた。分からないこともない、確かにすごく可愛い。しかし、そんな事よりも俺は別のことに驚いていた。

 

「皆さんはじめまして。結月ゆかりといいます。中途半端な時期の転入になりますが、仲良くしてもらえると嬉しいです」

 

あいつは……なんでこの学校に。

 

「ならそうだな。結月は弦巻の隣の席に行ってもらおうか」

「はいはーい!ここだよゆかりちゃーん」

 

マキが元気よく手をブンブンと振っている。そんなことしなくても、顔は知ってるだろうに。結月は苦笑しながら、その席へと向かう。

 

「………」

「……あ?」

 

一瞬こっちを見たような。……気のせいだろう、しかしなんでほんとにこんな中途半端な時期にやってきたんだ?親父から何か言われたのか、それとも別の理由か。もし前者だとしたら、あいつ……。

 

「ということだ、全員忘れるなよ。はいSHR終了!各自一時間目まで自由!」

 

そんなことを考えていると、いつの間にかSHRが終わっていた。先生が出て行くと、皆席を立ち、結月の周りに集まり始め、気が付くと大きな輪ができていた。微塵も興味もない俺は、机から本を出し読み始めた。

 

「……(チラッ)」

 

嘘、興味ないわけ無いです。なんでここに来たのかとか、親父に何か言われてるのかとかすっごく気になって、本の内容が頭に入ってきません。

 

「ごめんね皆。少しマコトに用があるから通してね~」

 

俺の名前が聞こえたので、急いで顔を本に戻す。

 

「ねえマコト。提案なんだけどさ」

「なんだよ」

「ゆかりちゃんに校内を案」「やだ」「内を……せめて最期まで聞いてよ」

 

周りからブーブー!と聞こえる。なんだよ、そんなに言うならお前らが案内しろよ。

 

「俺じゃなくて良いんじゃないか?他のやつでも」

「詠月さん、お願いしてもいいですか?」

 

マキの後ろにいた結月が、ズイッと前に出てきて言ってきた。断ろう、うん、それが良い。

 

「だから俺じゃなくても」

「お願いして……い い で す か ?」

「はい」

 

あれええええええええ?俺なんではい、って答えてんの!?

 

「ありがとうございます。では」

 

そう行って結月は席に戻っていく。

 

「マコト、ゆかりちゃんって実は怖い?」

「知らん。知らんが……怒らせたらヤバイってことだけは今の一瞬で分かった」

 

 

PM12:30 昼休み

 

 昼休みになった。正直、気が乗らん。

 

「さて、行こうかマコト、ゆかりちゃん!」

「はい♪」

 

ノリノリな二人。最早逃げることは出来ないようだ。ええい、ままよ!こうなったらさっさと案内してやる!

 

「最初はどこに行こうか」

「ここから近い図書室とかで良いんじゃないか?職員室とか、体育館とかはわかるだろうし」

 

マキが考える。

 

「そうだね。なら特別教室と、私のお気に入りの場所に案内しよう!」

「分かりました。案内、お願いしますね」

 

PM12:47 図書室

 

「まさかゆかりちゃんがあんなに本が好きだったなんて、初めて知ったよ」

「この図書室すごいですねっ!前の学校はあんなに本はありませんでしたよ!」

 

図書室の案内はすぐに終わるはずだったのに、なんでこんなに掛かってんだ。確かにこの学校の図書館は県内随一の冊数を誇ると言われているが、他の学校の図書館を知らないから比較はできなかったが、結月の反応を見るに、余程のものだったのだろう。

 

「んじゃ、次の場所に行こうか。次は保健室だよ―!」

 

PM12:50 保健室

 

三階にあった図書室から一階にある保健室へとやってきた。いつものこの時間ならば保健室の先生は昼ごはんを食べに、食堂へ行ってるはずだが。

 

「やっぱ居ないっぽいね。とりあえずゆかりちゃん、ここが保健室ね。何かあったらここに来ると良いよ」

「はい、ここにお世話になることがあまり無いように生活したいですね」

「健康第一だからな。おっ、ちょうどいいところに帰ってきた。おーい、ルカ先生!」

 

マキと結月の後ろからビニール袋を抱えた保険教諭、巡音ルカ先生が歩いてきた。

 

「やあやあ、マコトにマキのMMコンビじゃないか。どこかおかしなとこでも、って誰かしらこの子は」

 

ルカ先生が結月を見ながら尋ねてきた。

 

「はじめまして、結月ゆかりといいます」

「ああ、転校生の子ね。保険教諭の巡音ルカよ。怪我とかした時はすぐにおいでね、それ以外でも全然歓迎よ」

 

そう言ってビニール袋を漁りだした。

 

「はい、たこ焼きパン。お近づきの印にね」

「た、たこ焼きパンですか。……ありがたくいただきます」

 

結月にたこ焼きパンを渡すと、ルカ先生は保健室の中に戻っていった。

 

「ゆかりちゃん、それたべるの?」

「もらったものは食べないと申し訳ありませんし。それに結構美味しそうですよ?」

「中に入ってるのが普通のたこ焼きならな。それと、もうあんまり時間ないぞ」

 

腕時計をマキに見せる。時刻は13:00、昼休みは10分まで。マキの予定では、後はお気に入りの場所に案内するだけだが

 

「あらら、そんじゃ仕方ない。お気に入りの場所は放課後にしよっか。それで良い?ゆかりちゃん」

「はい、放課後は空いていますので大丈夫です。あ、詠月さんも一緒に」

 

知ってた。

俺も放課後は結月に用があったしな。

そうして俺達は教室に戻ることとなった。

その後、たこ焼きパンを食べた結月が、その中に入っている激辛たこ焼きの辛さに悶絶したのは別の話。

 

続く

 

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