ハーメニア   作:秋月 俊

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今回短いです。

少しリアルが忙しくなってきたので、更新が不定期になる可能性が浮上


一撃

 『マコトさん、右側から袈裟斬りが来ます!』

 

その声に反応して『紲月歌』でそれを防ぐ。それと同時に左手で持っている『琴葉』で、カイトの喉元目掛け突きを放つ。しかし音壁で防がれてしまい、弾かれるように後ろに怯んでしまう。

 

『何しとんの。まずはあの壁を何とかしぃひんと、何も出来へんやない!』

 

関西弁の方に突っ込まれてしまう。そんなことは言われずとも分かっているが、あの壁を破れる方法は思いつかない。常に新しい音を流し続けているのか、壁の音に対応する音を作る隙がなく、その音を作れたとしても既にあいつは壁に新しい音を流している。

 

「おらおらぁ!何をぼけっとしてんだよてめぇはぁ!」

「くっ、速い!」

 

一瞬反応が遅れてしまう。大剣の一撃が俺の身体を両断しようと襲い掛かってくる。

 

『おねえちゃん!』

『分かってる!』

 

突然、体が勝手に動いた。『琴葉』を逆手に持ちその大剣を防ぐ、そして一発腹に向かって蹴りを入れる。その蹴りは壁で阻まれることなく、カイトの腹に直撃する。しかし、何だいまのは。身体が勝手に動いたというより、動かされたというのが正しいか。

 

「お前、一体何した!」

『あんたがボケッとしてたからやろ!話は後、もう分かったやろ?』

 

また怒られた。だがお陰でわかった。あいつが壁で守れるのは響器または音の通った攻撃だけみたいだ、それがわかればすることは一つだ。

 

「近づいてぶん殴る!」

 

足に音を溜めて加速する。カイトが剣を縦に振り俺を止めようとするが、剣が当たる瞬間に左足を軸にし、身体を回転させ回避その勢いのまま再び蹴りを放つ。それは発生させた壁をすり抜け、カイトの身体を捉えダメージを与える。しかし音を介せないただの蹴り、肉体強化の恩栄があるとはいえやはり威力はそうでもないのだろう。

 

「馬鹿が!捕まえたぁ!」

 

カイトがその足を掴む。しまった!

 

「おらぁ!」

 

カイトがお返しというように蹴りを入れてくる。

 

「ぐっ、がはっ……!」

 

あまりの衝撃に後方へ吹き飛ぶ。腹の中がぐちゃぐちゃになったような感じがするが、まだ戦えないほどではない。しかしこのままではジリ貧だ、どうしたものか。

 

『マコトさん、聞いてください』

『奥の手や。あんたの力を最大まで開放するで』

「俺の力?」

『はい』

『せやけどあんたの力は強すぎる、ほんまに一瞬や』

 

一体どうなるのかわからないが、やれることはなんでもしよう。立ち上がり、身体の中に音を溜める。俺だけの音ではなく、水のような清らかな音と、火のような激しい音が混ざっていく。

 

『一発だけや。しっかり決めい!』

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

その音を二振りの刀に伝える。『紲月歌』が青く、『琴葉』が赤く光る。刀身が

カイトの剣と同じように伸びる。

 

「ちっ、いい加減に死ねや!」

 

カイトがしびれを切らしたのか、遂に突撃してくる。あいつらは一発と言っていた、なら俺が狙うのはただ一つ。

カイトの攻撃をギリギリで回避し、『紲月歌』で突きを放つ。壁で防がれたが、これは次のための布石。

 

「こいつで決まりだ!」

 

『琴葉』で斬りかかる。その一撃は壁を削り割り、カイトの身体を斬り裂いた。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!てめぇ!よくも!」

 

カイトが傷口を抑えながら叫ぶ。先程から思っていたが、こいつ最初の頃と性格が違うな。っと、そんなことよりも身体が重たい。

 

『限界やな。これ以上は無理や』

『一撃も入れれたし十分でしょう。ではマコトさん、私たちはこれで』

 

そう言うと、二つの声は聞こえなくなっていった。『琴葉』も手から消え去っている。

 

「クソッタレが!今回はここまでか、仕方がないここは引かせてもらう」

 

カイトがそう言い、ステージから姿を消した。先ほどの反動なのか、身体が動かない。意識も朦朧とし始めた、途絶えていく意識のなか、ゆかり達が俺のもとに走り寄ってくるのが見えた。そして遂に俺の意識は途絶えた。

 

続く

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