ハーメニア   作:秋月 俊

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 六話目です。

なんか自分で書いてて、「あれ、この展開なんか見たことある」って思ってたけど、まぁ良いや。主人公覚醒パターンはバトル物に必須だからね(言い訳)

では、本編をどうぞ!


友達

「全力って!もうやめろミクッ!」

 

俺が叫ぶ。しかしそんなことは意に介さず、二人の戦いは続いていく。ミクが剣を振り下ろせば、着物男がそれを防ぐ。同じ光景が何度も何度も繰り返されている。

 

「お父さん!ミクちゃんは私達の友達です。だからこんなことは!」

「そうはいかん。奴は二人の命を狙ってきた。ならばそれを見逃す訳にはいかん」

 

親父が答える。でもこのままじゃ、ミクは死ぬかもしれない。そんなの、絶対に嫌だ。結月も同じ気持なのか、俺の方を見ている。そうだ、こんなこと許す訳にはいかない!大体だ、俺を殺すつもりならいくらでもチャンスはあった。でも何故今、必ず着物男がいる時にミクは襲撃をかけてきたんだ?

 

「それは……ミクの心に迷いがあったから?」

「私も同じ考えです。だからまだ、ミクちゃんと分かり合えるはずだって、私は信じてます!」

 

もしかしたら俺達の考え過ぎなのかもしれない。でも少しでもその考えがあるなら、俺はその可能性を捨てたくない。何よりも

 

 

  俺達が

「「   ミクちゃんを死なせたくない!」」

  私達が

 

親父が何かを考えている。

 

「一つだけ手がないこともない。ゆかり、お前だけでは不可能だが、マコトが力に目覚めることができれば」

「あるなら教えてくれ!なんでもする!」

 

そんなことを話している間も戦いは激しさを増していく。

 

「ミクちゃん!」

 

結月が叫んだ。遂に均衡が破れたのだ。着物男がミクを蹴り飛ばす。ミクはその勢いのままステージにぶつかった。

 

「だから言ったんだ。愚かだと、自身の力を分かっていれば、死なずに済んだものを」

 

着物男が一歩一歩、ミクに近づいていく。ミクはたたきつけられたまま、動かない。

 

「親父、早く!このままじゃミクが殺される!」

 

親父は未だに何も言わない。こいつ……

 

「アンタなぁ!いいかげんにしろよ!このままじゃ人が死ぬんだ、それも自分の友人が!そんなの見て黙ってられるかよ!」

 

親父の胸ぐらをつかみながら怒鳴る。たとえそれが俺を殺そうとしたやつだろうと、こんなことが許されるわけがない。だから俺は何がどうしても助けるんだ、たとえこの身を盾にしてでも、ミクは死なせない。

 

「……ゆかり。あれを使え」

「でも、あれは私は……」

「ここにはマコトがいる。二人分の力があれば、試し価値はある」

「!わかりました、マコトさん。行きましょう、付いてきてください!」

「ついてこいったって、このままじゃミクが!」

「だからそれを防ぐんです!私と、マコトさんの二人で!」

 

結月が走りだした。

 

「いけ、マコト。二人でなら止められる」

「ああっ!行ってくる!」

 

親父に背を向けながら結月を追う。

 

「……やはりこうなるか。お前たちには戦ってほしくなかったが……」

 

               PM XX:XX

 

「それで、止めるったってどうやって!?」

「このステージ内でハーメニアは、できることが2つあります。まず一つは、身体能力の向上です。これはその言葉通り、身体能力が大幅に上がります。もう一つは響器(きょうき)の作成です」

 

また聞き慣れない言葉が出てきた。響器ってなんだよ。名前からして恐ろしいぞ、それ。

 

「響器とは、ハーメニア個々が持っている音の形です。がくぽさんやミクちゃんが持っているものがそれです。がくぽさんが持っているのが『楽刀・美振(がくとう・みぶり)』という名前があります」

 

音の形か……ハーメニアが持ってるってことは

 

「だったら、俺やゆかりも?」

「私も出すことには出せますが……一人では不可能なんです」

「不可能?なんで」

「強力すぎるらしいのです。だからマコトさん、貴方に手伝って貰いたいのです」

 

結月が手を差し出してきた。

 

「私に力を貸してください。ミクちゃんを助けるために」

 

真剣な目でこちらを見つめる。

 

「それはこっちのセリフだ。やるぜ、結月!」

「はい!」

 

結月の手を取ってミクの元へ走る。身体の中に何かが入ってくるのがわかる、これは、結月の音?静かだけど暖かくて、凛としていて。なんだか安心する。

 

「マコトさん!行きますっ!」

「ああっ!」

 

繋いだ手とは逆の手に光が集る。それは次第に形をなし、俺達の手にはそれぞれ別の武器が宿っていた。

 

「これは……チェーンソー?」

 

結月の手にあったのは、その姿には似つかわしくない、大きなチェーンソーであった。紫と黒でカラーリングされたそれは、ブルンブルンと、獣のような音を上げている。結月が驚いたようにそれを見ている。

 

「俺の方は着物男と同じ、刀だな。名前は」

 

鍔の近くに名前が彫られている。『紲月歌』……せつげつかでいいのだろうか。刀身が白く輝いており、月明かりを反射して幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

「話は後です!やりますよ!」

 

結月が先行してミクのもとに加速する。俺もそれに習い、足に力を溜める。すると、足に銀色の音波が螺旋を描き、俺の身体が強化されているのがわかる。

 

「ミクはやらせない!絶対に!」

 

            PM XX:XX 初音ミク視点

 

 

「最後に、何かいうことはあるかい?」

「……ばーか」

「ふん、バカって言った奴が馬鹿だ。気休めかも知れないが、君は強かったよ、それじゃね」

 

こんな強がりをしたけども、もう私の身体はボロボロだった。視界だって定かじゃないし、相手の声もうっすらとしか聞こえない。あ~あ、結局私ってこの程度だったんだ。あれだけ意気がっておいて、こんな簡単にやられて、任務も遂行できずに……。

 

(大体そうだよ、マコトさんを殺れなかったのなんて、完全に馬鹿じゃん。今までだって殺す機会なんていっぱいあったのに)

 

こんな時なのに、思い出すのは学校でのことばかり。マキさんにあってギターを教わって、マコトさんに会って優しくしてもらって。ああそうか、私がマコトさんを殺せなかったのは、そういうことか。

 

(楽しかったんだ。一緒にいるのが、だから『兄さん』たちの命を無視してまで私は……)

 

刀が振り下ろされるのが分かった。ああ、もう少しだけ、みんなと一緒に……

 

「させるかぁ!」

「させませんっ!」

 

…………なん……で?

 

「なんで……。マコト……さん、それにゆかり……さん」

               

              PM XX:XX

 

結月と俺で着物男の刀を止める。これは流石に予想外だったのか、驚いた表情を浮かべ、後ろに下がった。しかし、これはなかなか。体にくる物があるな。

 

「驚いた。ゆかりはまだしも、君が響器を発動させるとはね」

「そんなことはどうでもいいんだよ!これ以上続けるなら、俺達が相手だ!」

 

紲月歌を着物男に向け、叫ぶ。結月も隣でチェーンソーを構え、既に臨戦態勢だ。

 

「……やめた。興ざめだ。リーダー、また何かあったら呼んでください」

 

刀を納め、姿を消した。

 

「消えた!?」

「ステージを無効化なんて……やっぱりあの人は次元が違う」

 

そんなレベルなのか。勢いと覚悟だけで飛び出したが、正直戦いにならなくてよかった。

 

「ミクちゃん!」

 

結月がミクのもとに向かう。俺も急いでミクのもとに走る。

 

「大丈夫か、ミク!」

「まだ意識は辛うじてあるようです。マコトさん、手を」

 

結月が手を差し出してきたので、先ほどのように握り返す。今度は俺の中から、力が結月に流れ込んでいく。

 

「私の音と、マコトさんの音を合わせて治癒を試みます」

「俺はどうすれば?」

「ずっと音を流し込んでいてください。できればミクちゃんとの思い出を浮かべながら」

 

結月に言われた通り、ミクとの思い出を思い返す。

 

              『回想』

 

 ミクと初めて会ったのは、今から一年前。俺達が二年生だった頃だ。

 

『あなたが新しく入ったギターの子?』

『え?そ、そうですけど……』

『私、弦巻マキ!一応だけど、ここでギターさせてもらっってるの。話は聞いてるよ~』

 

最初に話しかけたのはマキだったな。筋の良いギターの子がいると話を聞いて、喜々として部室に行き、ミクと話していたのを覚えてる。初めは有名な人物に話しかけられて、焦ってたが、少しずつ一緒に演奏をするごとに仲良くなっていった。

 

『マコトさんはなんで一人暮らししてるんですか?』

『……それは(カクカクシカジカ)』

『うわぁ、子供……』

 

偶にすごくイライラさせることを、悪気なしにいうところは少し苦手だったが。

それでもミクと居るのは楽しかった。例えお前が俺を殺すために近くにいたとしても、それでも俺は、俺達はお前と一緒にいたい。だから、だから死ぬんじゃないぞ!ミクッ!

 

                PM 21:10

 

  ステージが少しずつ消えていく。 

 

「…マコ…ト…さん?それに、ゆかりさん」

 

ミクが口を開いた。まだ少し苦しそうではあるが、どうやら山場は越えたようだ。結月も安心したのか、その場にヘタリと座り込んだ。

 

「全く、ヒヤヒヤさせやがるな」

「私はあなた達を殺そうとしたんですよ?何でそんな私を、命をかけてまで……」

 

訳が分からないというふうに言うミク。その言葉に俺と結月はきょとんとした顔でミクを見る。何だ、そんなことも分かってなかったのか。

 

「そんなのきまってるだろ」

「そうですよね」

 

  お前が

「「   ともだちだから」」

  貴方が

 

それをいうとミクが、目を見開いた。そして

 

「ッ!私……私っ!」

 

ミクが泣き始めた。

 

こうして俺達は無事にミクを、大切な友達を救うことが出来たのだった

 

続く

              




 今回、ミクとの大事な回なのに少し変なことになってるかもしれません。夜中に書いてると、テンションがおかしくておかしくて。

マコトの使用した刀の名前、『紲月歌』は結月ゆかりの曲名となっております。とても良い曲なので聞いてみてくださいねっ!(ステマ)

ではでは、秋月 俊でした!
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