文化祭の中身書いてたら長編になってしまう。
では投稿。
あれからというものの、看板落下や突き落とし、漏電などなどなど……突拍子の無いものや有るものまで様々な死の要因を全て乗り切り疲れつつも学園祭は無事終了を迎えた。
……あ、ちなみにバスケの試合はななちゃんの応援もあって勇気元気パワー1万倍。死の要因を華麗に避けつつ見事優勝。ななちゃんの祝福の言葉を俺は一生忘れないだろう。
そんなこんなで今は文化祭の片付けも終わった帰り道。俺は当たり前のようにななちゃんを家まで送っていた。
――――まぁ、これも未来の俺から聞いた通りの行動ではあるのだが、聞いていなくてもしていただろう。
辺りは街灯があるとは言え既に暗いし、女の子1人で帰らせるのは万が一があるかもしれないから良くはない。それに俺はななちゃんと一緒に帰りたい……ならばっ! 拒まれない限りこれは当然の行動と言えるだろう!!
「にっくんは明日はどうするの?」
「特に予定はないよ。家でゆっくりするつもり」
「そっかぁ……それなら遊びに行ってもいい?」
「もちろん!」
嬉しさのあまり、食い気味に――と言ってもしっかりと聞き終えてだが――即答。
そんな提案を断るわけがない! そんな勿体ない真似を今までも! これからも! するわけがないっ!!
あぁ……とにかく帰ったらすぐに掃除を始めて朝起きたらまた掃除をして、ななちゃんが来る前にもしっかりと塵1つ残さないように掃除しておかないと……。
しかし喜びも束の間、ふと我に返る。
……あれ、これって死亡フラグじゃね? こういう死ぬ可能性のある場面で未来の話とかすると不味いような気が……いやでもあくまでもフィクションの話だし関係ないか。ないよな。
むしろななちゃんの口から発せられた言霊の縁起が悪いはずが無い! つまりこれはもう俺の未来は確保されたも同然だなっ!!
「ふふふふ……」
「……? どうしたの?」
「あ、いや、なんでもないなんでもない。うん、なんでもない」
約束された未来に対して思わず、また嬉しさが漏れてしまった…………自重しないとな。
ななちゃんにひかれて空気を悪くしてしまっては、無事に帰れても意味が無い。何故なら帰り道を楽しんでもらう事こそが今一番の至上命題。でなければ一緒に帰る意味がなくなってしまうからなっ!
「そう?」
「うん。それよりも明日の事だけど――――」
とにもかくにも今は、周りに気をつけつつ会話を盛り上げなければっ!!。
俺目がけて転がってくるタイヤを公園の中に入って躱し、トラックの横転もしっかりと距離を取って避け、犬に関しては悪いとは思ったが鞄で迎撃させてもらった。
……仕方がないとは言え、動物を痛めるのは心が痛む。それでもななちゃんに怪我があったら万が一だし、俺も死ぬわけにはいかない。今はそう割り切るしかなかった。
そうしてようやく無事にななちゃんの家に辿り着く。
色々ありながらも話を盛り上げたつもりではあったが、今日の事故率の高さによってななちゃんに不安感を与えてしまったのは俺の力不足を実感させた。
本来ならそういう不安感すらも忘れられるぐらいに楽しませる話術、あるいは全てを包み込んでしまえるくらいの優しさなどで安心させてあげないといけなかったのにな……俺の未熟さが悔しい。
「送ってくれてありがとっ! それじゃー……また明日、ねっ」
「……! うん、また明日」
――ただ、そんなことがあってもこれ程の輝かしい笑顔を見せてくれるななちゃんはやっぱり天使以上なのは間違いない。この笑顔を曇らせない為にも、俺はもっと頑張らないとなっ!
元気に手を振りながらななちゃんが家の中に入っていき、扉を閉めるのをしっかりと見送りながら決意を新たにする。
さて、確か次は――――
未来の俺たちが死行錯誤の末に見つけ出した方法で、俺目がけて迫る電線をダッシュとスライディングを生かして何とか避ける。
それから電気会社に連絡を入れつつ、バイクがしっかりと通り過ぎるのを待ってから角を曲がった。
そして、
「……とりあえず不審者は見当たらないけど」
家の近くに来たところで注意深く様子を探るが、人影らしきものは見当たらない。
そうなると家の陰に隠れているのかもしれないが…………今の時間は6時54分。あまり慎重にしていては別の事が起こりかねない。そうなる前に比較的安全だと思われる家の中に入らないとな……。
「そなるとやっぱり強行突破か……」
未来の俺の話では、鍵を開けている最中に刺されてしまったらしい。つまり母は買い物に行ってる最中で家におらず、鍵をかけて行ったことが未来の俺の死因にもつながったわけだが……だが今回は好都合。
さっそく打ち合わせ通りに家に電話をかけてワン切りする。
「……よし」
これで準備は整った。後は俺を信じて――――駆け抜けるだけっ!
「ッ!」
言葉通り、全速力で玄関に向かっていく。しかしその距離は50mにも満たず、このままでは数秒後に確実に激突してしまうだろう。それどころかこの現状、速度のままでは衝撃で死にかねない。
それでも、スピードを緩める真似はしない。
距離は一気に縮まっていき、すでに後5歩足らず――――次の瞬間、玄関扉が勢いよく開け放たれた。
するとそこには未来の俺が……!
「おおおおおおおぉおぉおお!!!」
俺は速度を保ったまま家の中へと飛び込む。そして、
「ぐあっ……!」
腹のあたりを廊下に上がるところの角に思いっきりぶつける。これはかなり痛い……みぞおち入ったかも……。
そんな苦痛と同時に、背後では扉の閉まる音と鍵のかかる音がした。
「……」
振り返れば親指を立ててこちらに向ける未来の俺。
俺は脇腹を片手で押さえながらもなんとか立ち上がり、同じように親指を立てて拳をつき合わせた。
「「しゃあ!!」」
……計画達成の興奮冷めやらぬ中、未来の俺がドアスコープを除いて外を確認する。
「よし、誰もいないな」
「家の戸締りは完璧か?」
「あぁ、問題ない。無理矢理割られれば駄目だが……その時は音で気づくはずだろ」
「ならこのまま部屋に籠る感じで良さそうだな」
「だな。それなら隕石とか家が倒壊しない限り大丈夫だろうしな」
「流石にそれが来たら対策のしようが無いぞ……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……とりあえずは目の前の階段で落ちないように気をつけるか」
「……あぁ」
そんな可能性が無いとも言い切れない所が怖いが……でもそれを言っていてもしょうがない。考え出したら限が無いし、もしそんなことが起こってしまえば――――
「……」
――――いや、今はただ、俺たちの未来のためにできることをしなければ。
思いながら、後ろに未来の俺を伴って階段を上る。こうしないともし足を滑らせたときに危ないからな…………。
「……よし。無事についたな」
「窓を割られた感じもないし、人が隠れてる様子も無い。とりあえずは大丈夫そうだな」
俺たちは慎重に中を覗きこんでから部屋へと入る。
そして俺はベッドの上に、未来の俺は椅子へと座った。
「とりあえずベッドの上で待機してればいいか。安全そうだし」
「だな。そこなら棚が倒れても問題ないし」
「電気が落ちても当たらないし、暫くはこのままだな」
「いや、いっそのこと今日が終わるまでくらいはそこでジッとしてたらどうだ? お前の代わりに俺が色々やっておくし」
「うーん……確かに安全を考えればその方が良いのかもしれないけど、夕飯はどうするよ。お腹が減ってたら、もしもの時に反応遅れるかもしれないぞ。体調は万全にしておきたい」
「それもそうだな…………うーん、どうするか」
「とにかく出来る限りは変わってもらうけど、後は気を付けるしかないだろ。とりあえず食べ過ぎない様にはするけど」
「だなぁ。階段とか食べ物をのどに詰まらせたりとかはくれぐれも、気を付けてくれよ?」
冗談めかすような口調で注意するのはきっと、さっきのような空気にしない為だろう。俺でもそうするだろうし、多くの人がそうするかもしれない。
……なら、ここはのってやらないとな。
「分かってるって。それよりも――――――――――――ぐっ!?」
「どうしたっ!!」
「う――――あ、あぁ、ぎ、ぐむ………………ね、が」
「胸か!? 胸が痛いのか!?」
「ぎぐ、ぁ――――」
「くっそ!! ここにきて……! 救急車間に合うかっ!?」
「――――――――――」
……あぁ、くそ。
こんな形で終わんのかよ……ないだろ、そんなのって。
ここまでどれだけの俺たちが――――――――。
急すぎるかな……。
次でラスト。