【凍結】 真・恋姫†無双 これはひとりの仙人無双 作:成瀬草庵
『拝啓・これまで私を育ててくださった偉大なる曹家の皆様へ
私、曹華 八意 紅龍は、今日本日をもってして、曹家家督の第一位相続権を破棄させていただきます。
私は、さらなる成長を求め、刃を研ぎ澄ますために崑崙山へと向かいます。
崑崙山には茨木華扇という仙人がおりその人物より師事を受けろというお告げがあった故です。
家督の相続権は妹である曹操孟徳に引き継がせていただきますが、この家を出るというわけではありません。
十分、曹操の役に立てると思えるほどの力を得たとき、再び私は現れます。
そのとき、私は曹家の太公望となりて偉大なる王を羽ばたかせましょう。
蒼天は虫が羽ばたくところに非ず。
蒼天は偉大なる龍が羽ばたく大いなる舞台。
恐らく、我が妹曹操の進む道は絶対の覇王となりゆく道。
すべてはただ一人の王のために。
私はその王のもとで立ちはだかるものを霧散させましょう。
歩みを止めることなかれ。
華琳よ、その覇気をもってして歩め。
さすれば、人はお前のもとにあろう。
いずれまた会う日まで・・・・・・・・』
さて、こんなものでいいか・・・・・・・・。
歩みを止めてはいけない。
後ろに道はあっても希望はない。
振り向けば老い、戻れば死す。
止まることなく前だけを見て歩み続けたものに栄光は自然と訪れる。
それは俺に対して言うべき言葉でもあるし、華琳にいうべきセリフでもある。
大人たちは政治的なもので俺を嫌っていたが、華琳たちはそうでなかったと俺は思っている。
家族を失ったことのある俺だからこそわかる。
家族を失うというのは、不安と、悲しみで足元がないような感覚に襲われる。
華琳が俺を失ったことで不安や悲しみから歩みを止めてほしくないからこそ、この手紙を残す。
行こう、崑崙山へ。
そして、願わくば華琳、春蘭、秋蘭の三人だけに当てた手紙の存在に気が付くことを・・・・・・・・。
『さて、この手紙に出会うことが出来たのならば華琳、春蘭、秋蘭、3人は立派に成長できているということだと俺は思っている。
さて、なんで俺がお前ら3人にだけ手紙を残したのかという疑問もあるだろうが、ここにはお前ら3人に必要になるだろうことを書き残しておこうと思う。
第一に、聡明かつ知の働く華琳、秋蘭は気が付いているかもしれないが、少しずつだが族の数が増えてきている。
そして、それに比例するかのように漢王朝の支配力が落ちている。
また、賊が増えることで商隊などが襲われ、市場の物価が高まっていることもある。最近は塩が高騰している。
塩は皇帝の命でしか作ってはならないから量も少なく元から価値は高いのだが、賊はあえて高く売れる塩を狙っているとみて悪くないだろう。
第二に、陳留の町は少々入り組みすぎている。
表通りはきれいなものだが、裏通りはやはり暗い世界だ。
餓死者なども多くはないが居る。
区画整理を行うなど何らかの行動をして街の管理をしやすくする方がいい。
また、区画ごとに詰所を作るのも手だ。
第三に陳留の城壁、見た目は強そうだが、防衛にはあまり向いていない。
矢から身を隠す場所が少なすぎる。
もし戦となるのなら、意地でも陳留を戦場とするな。
最悪の場合は、それもいた仕方なしだろうが・・・・・・・。
第四に古きを学びなさい。古き戦の仕方は意外にも使えるものもある。
なにも新しいだけが能ではない。
ただし、古きのみだけでも勝てることはない。
古き戦略は既に対処法なども考えられているのだから。
第五に鍛錬を怠ることはないように。
3人はそれぞれ才能に恵まれている。
少なくとも、俺以上の才能があるだろう。
あとは、鍛錬をいかに行うかだ。いくら才能があろうとも宝の持ち腐れとなっては意味がない。決して鍛錬は怠ることのないように。
第六に、民と触れ合うように。
民は多くの事を知っている。
俺たちが知らないようなこともだ。
民と触れ合うことで新たなことにも気づける。そして、兵はただの数字ではないことにも、賊はただの数字ではないことにも、皆生きているということを学べ。
本当ならまだまだ書くべきことはあるものの、ここまでにしておこうかと思う。
いつかまた会おう
紅龍より』