【凍結】 真・恋姫†無双 これはひとりの仙人無双 作:成瀬草庵
蔵六が衝撃によって意識を失っていた頃、他の後輩集も動いていた。
やはり、鍛錬をして前よりは強くなったとはいえ、ここにいる二人には自分たちで勝つことは容易ではない。
再びその事実を突きつけられ、何をしようかと一瞬は悩む。
だがしかし、敵陣に潜り込むといったこともしなくてはいけない隠密が悩んでいるわけにはいかない。
彼らは各々で取る行動を一瞬で決めた。
真っ白な忍び装束に、いたるところに棘のようなものをつけた白鳥が空中へと大きく飛び上がる。
縮地の要領で勢いをつけて空中へと飛び上がったのだ。
朱鷺色の白鳥と良く似た忍び装束に身を包んだ朱鷺が、
刀を持った青色の忍び装束の蝙蝠が、
二つの鎌を持った緑色の忍び装束の蟷螂が、
同じく鎌を持つ茶色の忍び装束の鎌鼬が・・・・・・・・・・。
その他にも何人もの隠密たちが飛びかかる。
あるものは空中から、あるものは地を馬のように素早く蹴って進む。
しかし、誰一人として背中合わせで待ち構える妖夢と紅龍に刃を届かせることができなかった。
飛んできた棘の弾幕は妖夢が弾幕を作り出し全て叩き落とし、鎌は十字槍が閃いて弾き返す。
隙を狙って放たれた刀の突きは二人が身をひねって躱し、突きを放った本人が蹴りを食らって脳震盪を起こす。
手裏剣も石突で叩き落とされ、投げたクナイは逆に掴まれ、自分の服を地面に縫い付けられる。
同時にいくつ攻撃が来ようが、この二人の前には無意味だった。
全てを流れるようにさばくことで自分へ反動がこないようにして可能な限りの反動を消す。
故に次の行動へ移りやすく、隙が小さくなる。
攻撃する側が隙だと思って攻撃した時には既に体勢は立て直されていて、それは隙ではなくなっている。
攻撃した分はそれ以上にして返される。
もはや無敵の要塞であるかのようだった。
「ダメか・・・・・・」
最後の一人が紅龍の放った攻撃、気弾を放った瞬間に小さく呟いてからすぐに意識を暗転させる。
後輩衆からしたら未だに自分たちの進歩がなく、紅龍たち先輩衆にあっさりと駆逐されたことは悔しいものだった。
だがしかし、紅龍たちからしたら今回の実戦式鍛錬は結構冷や汗ものだったのである。
以前以上に速度が上がり、威力も増している。
以前であれば近づかれる前に倒せたものが倒せなくなり、カウンター形式で倒す羽目になっている。
おそらく自分たちが動けば苦労はしないのだろうが、背中合わせでお互いに弱点を作ることによって自分たちの鍛錬ともしているので動くわけにはいかない。
関羽以外は紅龍の下に一人一人やってきていて、『貴方に仕えます』と言っているから自分の下にこんなに優秀な人材たちがいていいのだろうかと、結構頭を悩ませていたりもするが、逆に彼らが敵だと嫌な予感しかしないことで余計に頭を悩ませてもいる。
にしても・・・・・
「これやるのはいいんだが、あとが辛いんだよなぁ・・・・・」
「辛いというより面倒くさいんじゃ・・・・・・」
そう、いつまでも気絶したままで外で寝ているとさすがに風邪をひいてしまうため、全員を華扇の屋敷に寝かせなくてはならないのだ。
「しょうがないか」
紅龍はそう言うと手を口の辺りまで持っていくと息を吹きかける。
ただそれだけで優雅な音色が流れ出し、辺り一帯に響き渡る。
ガサゴソと周囲の木々は揺れ、幾匹もの動物たちが現れそれぞれが適当に倒れている後輩衆を背中に乗せて華扇の屋敷へと向かっていた。
「華扇に怒られますよ?」
「時間がかかるよりはマシだろ・・・・・?」
「・・・・・・・まあそうですけど・・・・」
紅龍の気楽さに妖夢は軽くため息を付くが、今更かとも思い、もう一度深くため息をついた。