【凍結】 真・恋姫†無双    これはひとりの仙人無双   作:成瀬草庵

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第30話

荒廃した大地を駆ける一台の馬車があった。

その周囲には200騎程度の護衛の姿が見られたが、護衛たちもどこか怪我を負っているようにも見える。

馬車はこの時代にしてはそれなりに豪華なものであり、護衛の数からも権力者が乗っているということは簡単に推察できた。

そしてその後ろには、1000人規模の賊である。

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、抜かったわ。まさかこんなことになるとは思ってなかったから護衛の数も少なかったし」

緑髪を垂らしたメガネをかけた少女が唇を強く噛み締めていた。

「詠ちゃん・・・・・・」

そんな彼女を見つめる儚げな少女が小さく真名を呼ぶ。

彼女たちの身なりからして、やはり身分の高いものなのだろう。

「ごめんね月、ただ地方豪族たちとの会談をする程度にしか考えていなかったボクの失敗。まさか賊とつながっていただなんて・・・・・・、これじゃ月が・・・」

おそらく、軍師なのであろう詠と呼ばれた少女は自分の甘さを今になって恥じる。

予測を立てられなかった自分が悪い。

この状況を切り抜ける策を立てようにも、士気の低い200程度の護衛と、勢いの良い1000以上の賊がぶつかれば自分たちが負けるところしか考えられなかった。

「どうしたら・・・・・・」

悩めば悩むほどダメな方向にしか考えが向かなくなっていく。

月を死なせるわけには行かず、捕まらせるわけにも行かない。

このまま逃げきれるとも思えなかった。

自分たちの本拠地である城まで馬を飛ばしても2日かかる位置にいる自分たちが全速力で駆け続けられるわけがない。

その内賊に追いつかれて・・・・・・・・。

「そんなわけには、行かないのに・・・」

彼女は思わず馬車の壁を叩いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅龍、助けますか?」

妖夢が横にいる紅龍に尋ねる。

というのも、目の前でそれなりに大きい規模の賊の集団と、どこかの官職についているであろう人物の集団が追いかけっこをしているからである。

つい先日に涼州に入り、何人かの真庭忍軍を走らせている。

その中には3頭領の一人である蔵六も含まれているので、戦力が落ちているのが現状ではある。

ただ、紅龍には助けないという選択肢を選ぶことはできなかった。

おそらく、自分以外は気づいておらず、妖夢ですら気がついていないというのが今の言葉でわかった。

「・・・・、助けないわけにはいかないだろ。あれはおそらく董卓の馬車だからな・・・」

「そうですか、わかりまs・・・・ええっ!?」

やはり妖夢は気がついていなかったようである・・・・・・・。

「ど、どういうことですか」

自分たちが会いに行こうとしていた人物が賊に追いかけられているという事実に妖夢は驚きながらも、そう判断した理由を聞かずにはいられなかった。

「まず最初にこの地域は董卓が収めている場所であるということ。次に董卓軍の呂布や華雄などであれば馬車などには乗らずに逆に賊を蹴散らしに行くはずだ。決定的なのは戻ってきている真庭忍軍の蟷螂からの報告で、董卓は軍師の賈駆と共に地方豪族との会談に先日出かけたらしい。そして、距離的にそろそろここを通ってもおかしくはなかった。これらのことからそう判断できる」

「なるほど・・・・・・」

「だから、当然助けるさ。これから暫く仕える主に恩を売っておくのもいいだろう?」

立地条件は、俺たちか小高い丘の上にに今現時点で陣取っていて、1,5kmぐらいの差を持って董卓馬車と賊が駆けている。あまり木々は見られないものの、多少は生えているようだが姿を隠せるというほどではない。

敵は1000人以上。

こちらの戦力は500人程度。

今の状況的には、賊も董卓の馬車も俺たちの存在には気がついていないのだろう。

賊の中にも騎兵がいるようで、その集団が先行して馬車を追いかけている。

騎兵の数はおそらく100よりは多い。だが、そこまで多すぎるというわけでもなさそうだ。

となれば俺達がとるべき行動は・・・・・・・・・・・・。

「曹と高の両方の牙門旗を掲げろ。高順(妖夢)は先行して50率いて、敵騎馬隊の横を突け。陣形は魚鱗の陣。突破力が勝負となる、速度を落とすな。残りは俺についてこい。鋒矢の陣で敵歩兵部隊の背後から奇襲をかける。奴らが通り過ぎるのを待つぞ」

「「「「「応」」」」」

こうして涼州に来て初となる戦いが開幕したのである。

 

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