IS<インフィニット・ストラトス>~不死鳥の羽ばたき~ 作:火の鳥
この話は第三話の直ぐ後のことである。
「わあ・・・っ!」
「どうだ、悠人。ここが、これから私たちと一緒に住む街は?悠人が言う、都会に比べると若干見劣りするかもしれないが。」
長い山道を通り、長いトンネルを抜けるとそこには大きな街が広がっていた。
「そんなことないよ、千冬姉さん。今まで里から出たことが無かったから話で聞くだけだったけど、実際に見た街は話で聞くよりすごく大きいよ。」
悠人、目をキラキラさせながら、千冬に答えた。
「そうか。この街の暮らしに慣れてきたら、一夏と一緒に東京に連れて行ってやるから楽しみにしていろ。」
「本当っ!?やったーーー!楽しみだなぁ。」
悠人はそれほど、楽しみなのか歳相応にはしゃぐ。
「いやはや、生まれた時から悠人様に仕えて来ましたが、こんなに歳相応にはしゃぐ姿を見たのは初めてですよ。」
「そうなのか?里にも同年代の子供はいるのだろう?」
「そうなのですが、当主の息子の肩書きがある所為で友達はおろか気軽に話しかける者もいなくて、義昌殿は例外で気軽に話かけてはくれますが歳が離れ過ぎていますから友達と言うより孫と祖父のような関係です。なので里には友達と呼べるような人はいません。」
「そうなのか・・・。悪いことを聞いてしまったな。」
バックミラーで悠人の様子を伺いながら、千冬は申し訳なさそうに言った。
幸い、悠人は窓の外に夢中で此方の話には気づいていない。
「いいえ、千冬さんになら構いません。寧ろ、もっと悠人様のことを知っていってあげて下さい。悠人様に対して対等に接してくれた人は母親である、美帆様を除いて千冬さんと一夏君だけですから。」
徹は真剣な顔で千冬に言った。
「はい、任せて下さい。しかし、悠人を里から出して本当に大丈夫だったのか?いくら敵の襲撃がもう無いとはいえ、些か無防備過ぎると思うんだが。」
「それなら大丈夫です。今回の襲撃を手引きした者と一族を裏切った一部の者の後始末は終わっています。それに今回の襲撃で美帆様も亡くなってしまい、一族の直系は悠人様だけです。しかし悠人様は次期当主とはいえまだ、5歳です。いきなり一族を纏めろと言っても無理があります。そこで分家の長である私と他の分家の当主たちと話し合った結果、15歳になりましたら第34代目当主を襲名してもらいます。それまでは悠人様の自由にさせることにしました。ですが当主を継いだ後も悠人様が望むのでしたら里の外で暮らしても構わないことにしました。」
「随分と悠人の意思を尊重しすぎた話だな。しかし、徹さんたち一族の人はそれで良いのか?当主が里に不在でも。」
千冬はそう聞きながら少し疑問に思った。悠人に譲歩し過ぎなのではないかと。
「そこに関しても問題はありません。そもそも不死鳥一族の使命は世界の守護者です。当主を含めた一族の者は常に世界の争いごとに目を光らせていないといけません。よって里にいないことの方が多いのです。それに悠人様には自由に生きていて欲しいですから。特に自分の生涯の伴侶は自由に決めさせたいですから。」
「なるほど。確か、不死鳥一族は側室制度を未だに取っていると美帆さんから聞いたが、そこはどうなのだ?」
一族の人間はちゃんと悠人のことを考えているのだなと思いながら、千冬は聞いた。
「そうですね、不死鳥一族は国からも一夫多妻を取ることを認められています。まあ不死鳥一族は昔からよく狙われる一族でしたから後継は多くいた方が血は絶えることはないですから。」
「悠人はどう選択するだろうな。」
「まあ、普通の人なら嬉しいことですね。なんせ、政府公認でハーレムを作っても構わないと言っている様なものですからね。」
千冬と徹は苦笑しながら後部座席にいる悠人を見た。
「まあ将来、悠人が女誑しにならない事を祈ろう。」
「私としてもそう願いたいです。」
そうこう話している内に街の中に入り、千冬と一夏が住んでいる家まで後少しとなった。
「千冬さん。書類上、悠人様は千冬さんの弟で一夏君の兄ということになります。戸籍とその他、書類もその様に作りました。明日には届きますのでちゃんと目を通しておいて下さい。」
「ああ、分かった。」
そう話が終わったらタイミング良く、家に到着した。
「では着きました。後のことは任せましたよ?悠人様、千冬さんはこれから悠人様のお姉さんになるのですから、ちゃんと言うことを聞くのですよ?」
「分かった。御鏡も里の方、頑張ってね。」
悠人は徹の言うことに頷き、徹にも励ましの言葉をおくった。
「任せておけ。徹さんも無理しない様にな。」
千冬がそう返すと徹も頷き、悠人が降りるのを確認したら車を走らせて行った。
「じゃあ家に入るぞ、悠人。」
「うん。」
車を見送った後、二人は家に入って行った・・・。
「ただいま。一夏、今戻ったぞ。」
「お邪魔しま~す。」
それぞれ互いに口にするが千冬が目ざとく悠人の言葉を訂正した。
「悠人、ここはもう今日からお前の家でもあるんだ。だから、お邪魔しますでは無いぞ。」
「そうだね・・・千冬姉さん。」
悠人は自分の失言に気付き、言い直した。
「ただいま、姉さん。」
ああ、おかえり。悠人。」
「ちゆ姉、おかえり。」
その後、直ぐに一夏がリビングの方からやって来た。
そこで一夏は悠人に気付き。
「お、悠人じゃん。ひさしぶりだな。」
「ああ、久しぶりだ。一夏。」
お互いに久しぶりの挨拶を交わた。
「一夏、突然だが今日から悠人が私たちの家族になった。生まれた年は悠人の方が早いから一夏の兄になる。詳しい話は夜にするから、取り敢えず悠人をリビングまで連れて行ってくれ。私は着替えてから向かう。」
そう言い、千冬は自身の部屋がある二階に行った。
「いきなり、ゴメンな。一夏。」
「いや、大丈夫だ。悠人・・・って今日からオレの兄になるのか。じゃあ・・悠人兄だな。」
突然、押しかけたことを悠人は謝るが、一夏は全く気にしていない様に接した。
「あらためて、これからよろしくな。悠人兄!」
その一夏の笑顔に悠人も笑顔で返しながら
「ああ。これからよろしく頼む。一夏!」
この時、本来交わることの無かった3つの運命が交わり。
全く、新しい道を作った。
次に交わる運命はなんなのか・・・・。
その未来は直ぐそこまで近づいている・・・・・。
今回は悠人の出番は少ないです。
そして、やっと一夏を出せました。
閑話は後2話出す予定です。
それが終われば、一章を投稿出来ます。
ではまた、次回に。
感想をお待ちしてます。