やはり俺が元スプリガンなのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
字数のノルマよりも、絞るほうが難しい!
絞らないほうがいいのかな?
よくわからんです。御意見下さい☆
加筆、修正しました。
由比ヶ浜が泣き止んで、雪乃と俺と3人で少しぎこちないが、なんだか穏やかな空気が流れた気がした。
由比ヶ浜はあらたまって向き直ると、顔を引き締めて言った。
「それじゃ、依頼したい事があるんだけどいいかな?」
「えぇ。依頼内容は何かしら?」
「あのね、あたしクッキーを作りたいんだ。御礼を言いたい人がいるの!」
ふーん。ちゃんとそういう事も考えてるんだな。
「どーする?雪乃。」
「もちろん。その依頼、正式に受理します。」
俺も賛成だ。これが初依頼となるのか。
「決まりだな。」
「二人共、ありがとう!」
「早速、支度にとりかかるとしましょう。家庭科室の使用許可と鍵を借りてくるわ。」
雪乃は段取りよく家庭科室へと入り、俺達は早速レクチャーを始める。ちなみに俺は味見役だ。
「由比ヶ浜さん、エプロンの着方を間違っているのだけれど。」
「え?どうやって着るのー?」
微笑ましい光景だなぁーとか思ってたら、あまりにも暇をもて余してる事に気づき、ナイフを研いで待ってる事にした。
「由比ヶ浜さん。卵は殻を入れないのよ。」
「由比ヶ浜さん。そのゴーヤは何に使うつもりなの?」
「由比ヶ浜さん。レンジではなくて、オーブンを使うのよ。」
何気なく会話を聞きながら不安になってきたところで、換気の為に開けた窓からデカイ蜂が入ってきた。俺はスローイングナイフの要領でナイフを投げた。蜂とナイフは壁に刺さり、大英博物館のオブジェみたくなっていた。
「比企谷くん、何を研いでいたのかしら?」
「何って、ナイフだが?」
「ナイフを研いでるのは知っているのだけれど。何故、刃渡り30cm以上の刃物を所持しているのかしら?」
あばばば!またやっちまった!?
これって銃刀法違反だった!てゆーか、そもそも銃自体持ってわ。なーんだ、驚いて損した。テヘペロ☆
いかん。何も解決してなかった。さすがにこれは誤魔化し効かないか?
「もう!男の子だからしょうがないのかしら?けれど、学校に持ってきては駄目よ。次からは気をつけてちょうだい。」
「あ、あぁ。わかった。次からは気をつける。」
せぇいっっ!フゥゥゥゥ!!
いや、おかしいだろ!?さすがに無理があるだろ!コイツ友達に甘過ぎじゃね???
雪乃さん、マジチョロイン!!
「出来たー!」
「ハァ……なんでこうなったのかしら。」
そこには禍々しい色の恐ろしい物(クッキー)があった。
「こ、これは?」
「ク、クッキーだし!色はアレだけど、食べてみてよ!」
俺は試しにクッキーを軽く叩いてみた。
カンッカンッ!
クッキーはこんな金属音鳴らないからね?モース硬度2はあるんじゃねぇの?怨念でも籠ってるの?逆に才能だわ、コレ。
「味見の前にやり直しだろ、コレ。」
「こんなはずでは……!」
その気持ち、わかりますよ雪乃さん。
「…やっぱり無理があったんだよ。私にはこーゆー才能とかないし。最近はこーゆーの流行らないってゆーし。」
アハハと彼女は苦笑いしながら、諦めに満ちた表情で俯く。
「由比ヶ浜さん。最低限の努力もしない人間に羨む資格なんてないわ。成功者の努力を想像出来ていないだけよ。」
雪乃の正論が由比ヶ浜に突き刺さる。
「その周囲に合わせようとするのをやめてくれないかしら?酷く不愉快だわ。自分の愚かさの遠因を他人に求めるなんて、恥ずかしくないの?」
おぉう!これは効くなぁ。
また泣き出すぞ。由比ヶ浜もプルプル震えちゃってるし。けど助け船は出してやらんけどな。こいつの悪い一面だからな。
「か、カッコイイ!」
「「え!?」」
ついついハモった。
「は、話を聞いてたのかしら?結構、キツイ事を言ったつもりなのだけれど?」
「なんか、本音で話してるぞぉーってカンジ !確かに言ってる事は酷くて、きつくて、それでいて、泣き、そうにな、る……う、グスッ……」
て、泣いてんじゃん!
今日は涙腺弱くなってるだろうしな。仕方ない。助けてやるか。
「ほら。これで拭けよ。」
「うぅ、ありがどう…。」
こんな時に持ってて良かった。救急キット。
「何故、ガーゼなのかしら?」
そこ、ツッコまないで!
「わたし、もう一度頑張ってみる!雪ノ下さん、お願いします!」
そうして俺達はもう一度挑んだ。俺は何もしてないんだけどね。
「どうしてこうなるのかしら……。」
「け、けどさっきよりは良くなったし!ヒッキー食べてみて!」
「ヒッキーと呼ぶな。さっきよりはマシになったようだな。」
先程の硬さはない。ちゃんと噛める。ジャリジャリと砂を食むような食感と、中東で任務中に相棒のヘマで、正規軍に包囲され、隠れながらやり過ごした時の泥水の味がする。懐かしいなぁ。ジャンの野郎…思い出したらムカついてきた。
「非常に不味い。おかげで懐かしい記憶を思い出したぜ。」
「酷い!?も、もう一回やるし!」
「どうすれば、伝わるのかしら?もう材料もあまり残っていないわよ。」
物資が不足して補給も間に合わないか。そんな任務もあったな。引き際を見極められない奴はプロじゃないんだぜ?
「また明日にするか?残りの物資も僅かなんだろ?てか、なんで美味しいクッキーを作ろうとしてるんだ?」
食べる事ができて、栄養価があれば良い。まぁ、これに比べたら蛇や蛙や野草なんかも御馳走に見える。
「御礼を渡したいからだよ。やっぱ美味しいほうがいいじゃん。」
「そうよ。出来るまで徹底的に努力すればいいのよ。それが自分の為になるのだから。」
そんな完璧さは求めていないが、せめて食べれるレベルにはしてほしい。切に願う。いや、マジで。
この依頼の終着点も見えてきた。
お前らは原点に立ち返るべきだ。
「よし。最後は俺が喜ぶクッキーを作ってやるよ。それを参考にしろよ。」
「え?ヒッキーもクッキー作れるの?」
「比企谷くん。出来るのかしら?」
女子力が負けたみたいな顔の由比ヶ浜と、少し驚いている雪乃が、複雑な表情を浮かべていた。
「まぁ任せろ。どのみち、材料も時間もないしな。じゃあ、一旦休憩がてら中庭に行ってくれ。10分後にもう一度来てもらえるか?」
納得がいかなかったのか、体力が無くて動きたくなかったのか、渋々と由比ヶ浜を連れて出ていった。
10分後に戻ってきた二人にクッキーを出すと、怪訝な顔をする。
「あたしとあまり変わらないし。」
「まぁ、食ってみろよ?どうだ?」
「……不味いわ。」
「なんてゆーか、泥水のような、ね?」
「そ、そうなのか?俺、一生懸命作ったんだ。その、由比ヶ浜と雪乃の喜ぶ顔が見たくて……。」
少しオーバーに落ち込む。中学の時の調理実習で俺の主夫スキルを披露しようとしたら、比企谷の作った料理は食べたくありませんって泣かれたのを思い出した。あ、あれ?目から汗が出そう…。
「え、え、え、いや、悪くはない?かな?うん。」
「とても美味しかったわ。3つ星店のパティシエールと比べても遜色ないと思うのだけれど。」
かかった!そういうことだよ、由比ヶ浜。あと雪乃さん、友達フィルター甘過ぎませんか?チョロイン過ぎでしょ!
「食べなくていいよ、不味かったんだろ?もう捨てるから……ごめんな。」
「そんなことないし!まぁ、味はアレだけど、なんか心は暖かくなったとゆーか!」
「あら?聞こえて無かったのかしら。総評すると、あれは海外の某有名店の…」
雪乃が長くなりそうだが、無視しよう。
「ま、これ由比ヶ浜が作ったクッキーなんだがな。」
「え!?けど、なんか違ったよ?」
ここで今回の肝を伝えてやる。
「大事なのは『手作り』って事だ。もらう側に誠意が伝わればいいんだよ。それで充分嬉しいもんなんだよ。」
「ヒッキーも、もらったら嬉しい?」
「あぁ、嬉しいねぇ。嬉し過ぎてお返しにトラップを倍返しにしてやりたくなるレベル。」
「そっかぁ…うん。そうだね!帰って、もう一回作ってみるね。ヒッキーありがとう!」
あれ?最後、皮肉ったんだけど?
アホなの?
「お、おう。頑張れよー。」
そして由比ヶ浜は帰っていった。この件がきっかけで俺達は1歩どころか、何十歩も進んだ気がした。雪乃がまだ何か言ってるが無視して帰ろう。
「…つまり、男性に贈る賛辞の言葉として最も適切な北欧の習慣として……ブツブツ」
「あら?比企谷くん?」キョロキョロ
ようやく話が進みましたね。
雪乃さんは友達には甘過ぎる設定です。
今まで友達いなかったので反動が凄いとゆー事でお願いします(笑)