黒き小さな男の娘は仲間と共に空を飛ぶ 作:鎌寺正一@D-Alderz/神咲ハルカ
「ふん・・・やはりカスだったか。」
突如襲来したウルキオラ。
その襲撃により虚圏、虚夜宮の天蓋の上へと強制転移させられた僕は・・・
「ぐふ・・・」
全身傷だらけの満身創痍になってます。
いや、黒虚閃くらって満身創痍程度で済むなんて運がいい・・・普通だったら肉体ごと存在も消し飛ぶんじゃない?
「・・・まだ息の根が残っていたか・・・しぶとい奴め。」
僕を見下ろして再度指をこちらに向ける。
その指先にも、また黒い光が集まる。
「・・・黒き虚閃に包まれて死ね。」
"黒虚閃"
先程も喰らったこの黒い虚閃。
再び放たれたその光は、僕の方へ真っ直ぐと突っ込んでくる。
「くっ・・・終わり・・・なのか・・・。」
僕は満身創痍で満足に動く事も出来ない。
もう、死を覚悟した。
その時だった。
『負けないでーーー』
「っ!?」
僕は
かすかな声を聞きながら。
時が止まったせいか、周りの色は欠落し、モノクロの世界へと化していた。
『貴方はーーなきゃーけーーんだよ!』
再び声が聞こえた。
掠れ掠れだが、しっかりと聞こえるその声は・・・僕を奮い立たせようとしていた。
『貴女はーこでやられーわけじゃなーんーしょッ!』
僕の意識が加速する。
その状態で段々と景色がもとの色を取り戻していく。
『だからーーだから立ってよーー!』
『千春くんッ!』
直後、僕の意識は闇に飲まれていった。
「・・・またここだ。」
僕は再び、精神世界に来てしまったようだ。
ん、そう言えば前来た時ここをあまり良く見てなかったな。
見渡してみれば、ここは黒星龍の単一仕様能力、『喪失の神天剣』の荒野そのものだった。
『・・・また来たのか、兄よ。』
声がしたので僕はその方向を見る。
相変わらず朽木○哉の様な人物がそこにいた。
「うん・・・。」
僕は申し訳なさげに頷く。
『やれやれ・・・まぁ、ここは兄の精神世界であるから、いつ来ようが問題は無いのだが・・・。』
朽木白○はそう言うとここを歩き始める。
僕はそれを訝しげに見ていたが、段々と離れて行ってしまう為に、後ろをついていくことにした。
『・・・兄は力を欲さぬと申したな?』
僕が彼の隣に追いついた時、彼はそう質問した。
「うん。滅ぼすための力は、自らを滅ぼすからね・・・。」
僕はその質問に答える。
あくまでもそれは僕自身の見解。
僕以外の人はどう思ってるかなんてわからない。
僕は覚り妖怪じゃあないからね。
『そうか・・・ならば、守る為の力なら、欲しいか?』
「うーん・・・。」
再度、別の趣向から聞かれた質問に、流石に唸ってしまう。
守る為の力は欲しい。
でも、強い力は要らない。
かなり矛盾しているようだけど、そうじゃない。
なんか・・・こう、『コレ』と言うような言葉が見つからない。
『・・・そうか。兎に角、兄の覚悟はわかった。お前になら、この力を与えても良いだろう。』
白哉似の男は、僕に向けて手を翳す。
その手から、金の光が吹き出てきた。
「ッ!?」
その光は、僕を包み込んでいき、僕に浸透していく。
光が収まった時、僕は体が軽くなるのを感じた。
『それは兄の神としての力の一部。今の兄ならば、使いこなせるやもしれぬ。』
「これが・・・神の力・・・。」
手を握ったり開いたりして、体を確認する。
「・・・うん、悪くない。」
グッと伸びをして白哉似の男の方を向く。
「ありがとね。」
『あぁ。後は黒式から一つ、預かり物だ。持ってゆけ。』
僕は意識が登っていくのを感じ、同時にもう一つの、黒い光を貰うのも感じた。
『大切にするんだぞ。』
「・・・うん!」
僕はそれを最後に現実世界へと浮かび上がっていった。
「終わりだ、織斑千春。」
ウルキオラとなった男が放った二発目の虚閃は・・・
「生憎・・・こちとらまだ・・・死ぬわけには・・・いかないんで・・・。」
「ッ!?」
「・・・どう・・・なっている?」
流石のウルキオラも、この状況にはついていけなかった。
「さぁ・・・もしかしたら、神は僕を味方してくれたのかも、ね・・・。」
僕はそう独りごち、右手を翳す。
"
ウィンドウが現れ、僕に新たな力を提示する。
「・・・黒式第二形態『
僕は立ち上がり黒式の第二形態を纏う。
『漆黒なる円卓の騎士』の名に違わぬ、黒式と同じ真っ黒の鎧。
「馬鹿な・・・ッ!?」
ウルキオラになった男は目を見開き、驚愕する。
「まぁ、今回は運が無かったね。」
僕は第二形態『漆黒なる円卓の騎士』を動かし、武装を展開する。
「・・・近接ブレード『騎士王の剣』と・・・12のビット、『円卓の騎士』、それと、それを制御するユニット『天城』・・・ちょいまて、なんで最後だけ空母の名前が?そこはアーサーでしょうよ?」
僕は呆れながらも武装をチェックしていた。
「・・・あくまで俺は眼中になし、か。」
ウルキオラはこちらを睨めつけ、憤慨する。
「ならいい。強行突破だ。」
ーー刀剣解放第二階層。
ウルキオラは頭から直接角をはやし、半裸の状態になる。
「・・・これも使うか。」
右手と左手を合わせ、力を貯める。
ある程度貯めて両手を離すと・・・一本の槍が出来上がっていた。
「・・・雷霆の槍。」
その槍は緑に光る、特別な槍。
「そこを動くな。出来れば、これは近くで撃ちたくはない。」
ウルキオラはその槍を僕に向かって投擲する。
僕の横をすり抜けて槍は地面に落ちる。
たったそれだけ。それだけで・・・
天蓋の一部が消滅した。
「ん・・・やはりまだコントロールが出来ないか。」
ウルキオラはまた槍を作り出し、僕に向けようとして・・・。
「甘いね。」
「っ!?」
僕がいないことに気がつく。
「どこだ・・・(俺の探査回路にも反応がない・・・どういう事だ?)・・・姿を現せ。」
キョロキョロと見渡すが、それらしき人影は見えない。
当たり前だ。
僕が考えて束さんと一緒に作った特殊迷彩マントを、この『漆黒なる円卓の騎士』は纏っているのだ。
まぁ、イコライザなんだけどね。
「・・・終わりにしよう。」
僕は迷彩を切り、ウルキオラの前に立つ。
「っ!?そこか。」
雷霆の槍を構え、ウルキオラは僕に向かって投擲する。
僕はそれを・・・
「・・・霊力の無駄遣い。」
右手でむんずと掴んだ。
「ば、馬鹿なッ!?」
再度目を見開くウルキオラに、僕は神の力を解放する。
「・・・悪しき転生者には天罰を。」
騎士王の剣も、僕の神の力を纏い、輝く。
「く・・・ここで終わるわけには・・・!」
最後の悪足掻きなのか、黒虚閃を放って来るが、僕の周りに来た途端に消滅した。
「・・・一撃必殺『鳳櫟裂天斬』ッ!!」
僕の一言と共に、この天蓋の上のステージは跡形もなく吹き飛んでしまった。
「ふぅ・・・。」
僕は溜め息を吐く。
久しぶりの転生者戦。
また新たな力を貰った僕は、そろそろ他の転生者に殺されるんじゃないかって、本気で心配になってきた。
「・・・まぁ、考えても仕方ないよね?」
僕はそう納得して帰路につく。
その足取りは重く、それでいて軽いものだった。
「また失敗か・・・。」
モニターの前、真っ暗な部屋の中で一人の男がそのモニターを眺めていた。
「まぁ、まだヤツらは居るんだ、根気よくやっていくか。」
その男が部屋から消えると、その画面もまた、同様に消えていった。
誰もいなくなった部屋からする音など、あるはずもなかった。
はい、鎌寺正一です。
いや、戦闘シーンはきつい・・・二話分も進まずにおわっちゃった・・・。
今回の先帝教室はお休みです。
また次回に呼びます!
では、また次回!