黒き小さな男の娘は仲間と共に空を飛ぶ 作:鎌寺正一@D-Alderz/神咲ハルカ
さて、千春達が異世界入りを果たしたのと同時刻、その異世界のドイツでは・・・
ビーー!ビーー!
「な、何事だ!?」
黒兎隊副隊長のクラリッサ・ハルフォーフは大声で叫んだ。
「そ、それが、国籍不明の大型船が突如、ドイツ領海に出現しました!」
「なんだと!?」
てんやわんやのドイツ基地。
「・・・事は一刻を争う!隊長に連絡は!?」
「もう報告しました!」
後私たちに出来ることは・・・
「ドイツ軍総力をあげてあの戦艦を包囲するぞ!」
港から次々と軍艦が出航し、謎の大型戦艦を囲い込む。
その時クラリッサは一つの疑問を抱えていた。
(あの形・・・どう見ても海を航海するために造られた様には見えない・・・一体どういう用途で使うことを前提にした戦艦なんだ?そもそも・・・戦艦なのか?)
流石にこういう形の戦艦なんかこの世界にあるはずもなく、ただただ驚くばかり。
(・・・そんな事より、今はこの戦艦を抑えねば・・・!)
こうしてドイツ軍は警戒をジリジリと上げていき、謎の戦艦を包囲していた。
矢矧 真志は小型ジェット機の座席に持たれつつ、渡された資料に目を通していた。
内容はドイツに所属不明物が落着した事だった。飛行中の物が不時着した訳でも隕石のように大気圏外から落ちて来た訳でも無いらしい。目撃談としては空中からいきなり現れたそうだが、そんな馬鹿なと思いたかったが写真を見てから信じるようになった。
戦艦などの艦橋が付いた船体から二本の足が前に伸び、後ろにはUの字型の大出力ブースターが取り付けられた物体。どうみてもガンダムSEEDのアークエンジェル級一番艦のアークエンジェルである。異世界から転生した自分がいるのだから異世界から他に誰かが来ても可笑しくはない。いや、あの白神ならやりかねない。
一般には公には公表してないが大きさが大きさだけにネットでは盛大に取り上げられている。ただ政府は戦艦と認識しておらず謎の構造物程度にしか思っていなかった。といっても放置する選択肢は無い訳で最初はドイツ軍艦で包囲していた。
束から面白い物が落着したよと聞いた時はマジで驚いた。あれがアークエンジェルなら通常兵器では相手にならないだろう。ゆえにラビット・イン・ワンダーランドの名で上に話を通して、黒兎隊での包囲と言う形にした。包囲的にはあまり変わらないが彼女達ならこちらからの要求にある程度答えてくれると言うのが最大の利点だ。ちなみに上空からメリクリウスとヴァイエイトの監視は行なっている。束特性のあの二機ならばキラ・ヤマトのフリーダムでもいくらかは時間稼ぎは出来るから。
「しかし私が何故呼ばれたのか。なぁ、真志」
資料に眼を通していた真志は隣に座っている千冬に声をかけられ視線を向ける。千冬からは冷たく、不機嫌そうな視線が向けられていた。本来なら休日だったのだがIS委員会から強く要請されて仕方なく行く事にしなったのだ。自分の教え子がすでに向かう手はずになっていると聞けばな言われなくと行く気では合ったが。
「何を言っているんですか。相手が何者でどんな目的、どれほどの戦力を持っているか分からない相手がいるんですよ。だったら知恵に実力、度胸の三点を兼ね揃えた織斑 千冬先生以外に適任者はいないでしょう?」
「ほう。私はお前がIS委員会に手を回したのかと思っていたぞ。束込みでな」
「………」
「何か言う事は?」
「ナ、ナンノコトカナァ?」
「遺言はそれだけだな」
「待って!待ってください!!この埋め合わせはさせて頂きます」
「フン!!」
出席簿ではなく拳を振り上げた千冬に全力で頭を下げる真志に鼻を鳴らすだけで止める。
彼女とてこの現状がどれほど危険かを真志から知らされている。ただ異世界からではなく束が推測したというアークエンジェルの性能と武装を教えたわけだが。
「ところであいつはどうする気だ?」
「ああ…」
一瞬あいつで困惑したが多分束の事だろうと判断して答える。
「来ますよ。っていうか分かりきっているでしょう。あの束がこんな面白そうな事を逃すわけ無いでしょう」
「だろうな。本当にあいつがやった事ではないんだよな」
「…多分」
絶対の自信は無いからな。むしろ束さんが遊び半分で作ったって言ったくれたほうが信じられる。
ピピピと胸ポケットに仕舞ってある束特製の無線機から機械音が鳴り響く。この無線機は黒兎隊と通信する為だけに用意された物だ。なにやら束がいろんな対策なんかをしていたらしいが俺は覚えてない。通話相手のクラリッサは覚えているらしいが。
「で、なんと言ってきた?」
「異常なしとの事です」
ほんのわずかな会話をして無線機を切ると内容が気になった千冬が聞いてきたのだが、あいも変わらずの異常なしだった。
武装は全て収納したままで戦う意思も見せずに、無線で呼びかけなどの交渉的なこともせずにただ浮いているアークエンジェルに奇妙ささえ感じる。もし何らかのアクシデントで水着しても潜水能力があるから姿を隠す事など容易いはずだ。と、なれば本当は囮で他のところで何かが起こっているのかと疑ったがクロエが調べたところ何も無かったそうだ。
『もうすぐ目的地です』
「着いたな」
「そうですね。では、行きますか…」
アナウンスで流れた声を聞いて座席から立って後方の部屋に移動する。後ろの部屋には下部が開くようになっており、そこから飛び降りる事になっているのだ。
ISを持っていると言えども高高度からみる下の景色と言うのは背筋か冷たくなる感じを得るのは何故なんだろうか。
「さて気を引き締めろよ」
「えー…これからちょっとした空中デートなのに」
「デェっ!?」
「お先に!!」
顔を真っ赤にする千冬を置いて先に跳び下りる。パラシュート無しの降下は本当に怖いものがある。ゆえにすぐに展開する。
「烈火!!」
展開された白銀の西洋鎧型のIS『烈火』を展開して自由落下から飛行へとチェンジさせる。
「真志あとで覚えておけよ」
「えーと…ナンノコトデスカァ?」
「本当に嘘をつくのが苦手だよな」
いつの間にか白式を展開して横に並んでいた千冬から睨まれたがすぐに呆れた眼差しに変わっていった。解せぬ。
「分かりました。空中デートはまた今度で」
「―っ!?そ、そのことではない」
真っ赤になって恥かしがる表情を楽しみながら目的の海域に近付く。遠目だが黒兎隊のISが視界に入ってくる。懐から無線機を取り出して連絡を入れる。
「こちら真志。これより接触を試みる。黒兎隊の面々は戦闘態勢のまま待機を。決してこちらから仕掛けないで」
『了解しました。ご武運を』
包囲の間を通過する際に敬礼をされ、こちらも返す。さてどうするかなとアークエンジェルに向かって飛んでいくのであった。
「・・・包囲されちゃったね」
一方観鈴目CIC。
艦長である千春はメインモニターに映される周りの状況を見て呟いた。
「そのようですね・・・っ!通信アリ!回線開きます!」
クロエがそういった後、メインモニターにノイズが走り、ある人物の顔が映る。
『そこの戦艦!今すぐ武装解除して投降しろ!』
「・・・そう言われて投降する人物なんて、いないと思いますが?」
その人物とは・・・・・・
「・・・織斑千冬さん」
『っ!?』
この世界の我が姉、織斑千冬だった。
さて、これからどうなっていくのやら・・・・・・
僕は不安が募る胸を押さえながら、1人、不敵に微笑んだ。
大変お待たせしました、チェリオさん・・・
こんな感じで大丈夫ですかね・・・?
不安しかない・・・・・・
時間がかかってしまい申し訳ないです。
では皆さん、次回をお楽しみに!