【完結】魔法少女リリカルなのはA's~紅き英雄の軌跡~ 作:秋風
お久しぶりです。すこーしだけ、時間が出来たので投稿することにしました。
予告どおり、なのはのお話です。構想的にははやての復学の話と、最終話の前、中、後 そして後書きで終わりです
できれば早めの投稿をしたいと思いますが、いかんせん、卒業研究が佳境なのでどうなるか分かりませんので、それはご了承ください
あと、まったく関係ありませんが先日バイクにはねられました。運転する側も、歩く側も気をつけましょう。もうすぐ師走です
少女、高町なのはの一日は朝5時より始まる。朝5時に起きて早朝より、親友のフェイトと共に公園へと赴き魔法の練習を行う。2時間ほどの練習を終えて帰宅。家族で朝食を取ってから学校へ行く。学校でも、魔法の訓練はかかさない。授業を受けながらも、レイジングハートから送られてくるイメージトレーニングを行う。学校の授業を終えて公園に寄って結界を展開。友人のユーノと共に魔法の訓練を行う。そして6時には自宅へ戻り夕食、風呂、そのまま9時には就寝し、1日を終える。これが、高町なのはの日常。
「君はどう思う?」
「…どう、と聞かれても困るが」
八神家に珍しい客人が訪れていた。クロノ・ハラオウン、かつてゼロ達と敵対し、戦っていた時空管理局の執務官である。彼の話を聞いているのは無論ゼロ。なんでも、ゼロに相談があるとクロノが訪ねてきたのだ。
「本来君に聞くべき事ではないんだが…君は、どうするべきだと思う? 彼女を…なのはを、こちら側に置いておくべきなのかどうか」
「…なぜ、俺にそんなことを?」
「君なら、情に流されず判断をしてくれる…そう思った」
言いながら、クロノは小さくため息をついた。本来、こんなことを部外者に言うべきではない。だが、他に相談者がいなかったというのも事実だ。母であるリンディや幼馴染のエイミィでは、同じ相談をすれば管理局に寄った回答を出す。そして、義妹であるフェイトやなのはの友人であるはやて達に聞いたとしても、それは友人としての立場から見た回答が出てくる。魔法についての事情を知り、なお第三者の視点から回答を出すことが出来る人物…それが、ゼロだった。
「何故そんなことを俺に聞く? お前にとって…いや、お前達にとって、なのはは時空管理局の大きな戦力になるはずだ。お前の聞き方はまるで、なのはに魔法と決別して欲しいかのような聞き方だ」
ゼロは、クロノに率直な疑問をぶつけた。『高町なのは』という存在は、時空管理局にとって大きな利を生む存在だ。魔法文化を持たない世界で生まれた素晴らしい逸材である彼女。何故、クロノはそこまでに魔法と決別させたいと思うのか。
「…とある提督に言われたのさ。『でかした』ってね」
「……」
クロノが闇の書事件についての資料をまとめ、地球に戻る時のことであった。とある提督に褒められた。無事に闇の書事件を解決に導いたこと。これはクロノにとって大きな功績だ、そうその提督はクロノを褒めた。しかし、真面目なクロノは今回の事件は自分達だけではなく、現地の協力者たちの協力もあっての解決だと返した。その言葉に提督はさらに言った。『将来管理局に大きく利をもたらすものをよく掘り出してくれた』ふ…。この言葉を聞いた瞬間、クロノは自分の耳を疑った。だが、クロノが言葉を返す前にその提督は言葉を続ける。『高町なのは、彼女は是非とも管理局で働いてもらいたい』と。その言葉に、クロノは言う。『それはどういう意味か?』。その言葉を聞いた後、その提督はニヤリと笑う。
「…『どこか別の場所に取られるのならば、管理局(こちら)に鎖で繋げばいい』とね」
「……」
「僕も分かっているさ…自分がいる組織がどんな組織なのか、どんな闇を抱えているのか…だが、いざ言われれば揺らいでしまう。“本当にこれでよかったのか”とね」
言いながらクロノは出されていたお茶を口にする。クロノは時空管理局でも優秀な執務官だ。だが、それ以前にまだ子供だ。なのはたちと少しだけ歳が離れているだけ。そして、彼女達よりも長く管理局にいる。ただそれだけだった。
「話は分かった……俺も、少し気になっていたことがある」
「…? それはどういう…」
「お前は単に愚痴を零し、俺に意見を求めに来たわけではないだろう? 俺にこう言いたいはずだ…『なのはに本心を聞いてくれ』と」
そう、クロノもただゼロに愚痴を漏らし、意見を求めに来たのではない。そんなことをするほど、彼も暇ではない。彼が時間を作ってまでここに来たのには、理由がある。
「その通りだ…僕が彼女に接触すると、後で面倒になる。君にしか頼めないことだ」
「わかった」
「随分と、素直に引き受けてくれるな」
「……『似ている』から、かもな。アイツに」
そう言いながらゼロは上着を羽織ると、クロノと共に外へ出る。クロノはそのまま転移魔法でアースラまで戻ったが、ゼロはその2月の寒空を見上げる。
「…行くか」
ゼロはゆっくりと、その歩を進める。1つの考えを持って
*
翠屋
ゼロは翠屋を訪れる。そこには小さな店員の姿があった。
「あ、ゼロさん! いらっしゃいませ!」
笑顔でゼロを迎えたのは高町家の次女、高町なのはだ。なのははエプロン姿で、手にはお盆を持っている。ウェイトレスとして手伝いをしているのだろう。
「なのは、少し時間はあるか?」
「ふぇ…? 一応、もうすぐ私はお手伝い終わりにして、魔法の練習に行きますけど」
「なら、丁度いい…少し、付き合ってくれ」
「は、はい…」
突然どうしたのか、となのはが驚きながらも首を傾げる。ゼロが翠屋を訪れて10分ほど、なのははダウンジャケットを羽織ってゼロの前に現れた。
「お待たせしました!」
「いや、そんなに待ってない…行くぞ」
そう言ってゼロが歩きだし、なのはもその隣を歩く。
「あの、どこへ行くんですか?」
「丘の公園だ…そこで、魔法の訓練だろう?」
「あ、はい!」
*
丘の上の公園
「「……」」
互いに公園で、ベンチに座る二人。傍から見れば兄妹のように見えるかもしれない。この公園に来てから、お互いに喋らない。というよりも、なのはがゼロに対してどうして自分を呼び、一緒にここまで来たのか分からないからだ。しかし、数分経ってからゼロは口を開いた。
「迷っているようだな?」
「え…」
「このまま、魔導士として時空管理局に勤めることを」
ゼロの言葉に、なのはの顔が強張る。なぜ、という顔でゼロを見るなのは。ゼロは言葉を続けた。
「…ついこないだ、すずかからなのは達のことを聞いた、とメールがあった」
「すずかちゃんから…?」
「酷く心配していた。将来は魔導士になるかと聞いたら、浮かない顔をしていた…と」
「……」
その内容は事件に巻き込まれた二人が、今までの秘密をなのは、フェイト、はやてから教えてもらったという内容。そしてその後にすずかから来た、ゼロへのお願い。彼自身、今回クロノからの依頼を受けたのには、すずかからも、このままでなのはは大丈夫か不安だというすずかの言葉を聞いていたからだ。内容は「なのはの相談に乗って欲しい」というもの。すずかだけではない、実際にはアリサも酷く心配しているのだという。ゼロの言葉に、なのはは困ったように笑いながら口を開いた。
「にゃはは、そうですね…少し悩んでいる部分はあります。この前までは魔法なんて知らなくて、学校に行って、将来は翠屋を継ぐって将来を決めていて。でも、魔法に出会ってからは自分の力で出来ることがあるって気づいて…ちょっと混乱してるんです」
「……」
「このまま進んで良いかちょっと悩みましたけど、自分の力で他の人が助けられるなら、私は魔導士になりたいって思ってます」
と、笑みを見せるなのは。しかし、それに対してゼロは小さくため息をつく。そのため息は、若干なのはに対して呆れているようにも感じられた。ゼロはその笑顔に覚えがあったからだ。
「本当にそうか?」
「えっ…?」
「俺には、お前が本心でそう思っているようには見えない」
ゼロの言葉に、なのはの表情が一瞬だけ強張る。ゼロの目には、なのはの真意が見えているようだ。
「お前の目は、酷く迷った者の目だ。その迷いからお前自身が、何かに怯えている。そして、自分に無理をさせている」
「わ、私…そんなこと…」
あくまでも、ゼロの言葉を否定しようとするなのはだったが、そのゼロの鋭い目がそれを許さない。この人はもう全て見透かしてしまっているのではないか? そうなのはは感じていた。
「ゼロさんは……なんでもお見通しなんですか?」
「そんなつもりはない。だが、今のお前の笑顔は『無理をして笑っている』ようにしか見えん。すずかが心配するのも、納得がいく」
「あはは…敵わないなぁ…」
これじゃあ、隠し通せないよ…と、なのはが小さくぼやく。その表情は酷く落ち込んでいて、まるで今のなのはの心を現しているのではとも思うものだった。普段のなのはならば、絶対に見ることはない表情だろう。
「私、怖いんです…魔法が使えなくなること」
「…どういうことだ?」
なのはは語りだす。自分の孤独な幼少時代のことを…。幼き日、まだ自分が生まれて間もなかった頃、父である士郎が仕事先で大怪我を負ったこと。それをきっかけに、高町家は一時大騒ぎだったことを
「私は当時、とても小さくて…なにも出来なくて…お兄ちゃんも、お姉ちゃんも翠屋のお手伝い…お母さんはその先頭に立ってずっと頑張って…私にできるのは、1人で大人しくすることくらい」
その当時、翠屋は繁盛しているというわけではない、本当に小さな喫茶店だった。開店したばかりで、その矢先に士郎は怪我で倒れた。母の桃子が家事をこなしながら、店の経営をする。当時のなのはから見ても、桃子がオーバーワークをしていることはわかりきったことだった。兄の恭也や、姉の美由希が家事や経営を手伝っても、その負担はまったく減らない。当時、なのはも自分で何か手伝いたいと思っていた。だが、それは幼い自分には出来ない。ならば、となのはが決めたことがある。それは自分が桃子に負担をかけないようにするため、1人でいることを心がける。そうすれば、桃子の負担は減る。桃子のためになる。そんな考えで生きてきた幼少時代。いつの間にか、なのはは孤独に慣れてしまっていた。しかし、そんな彼女を変えたのが『魔法』だった。
「ユーノ君と出会って、私に力があるってわかって…そんな時思ったんです。私にも力があるって。私の力で、何かの力になれるって…ちょっと前まで何とも思わなかったのに、今は……魔法を失うことが、すごく怖い」
魔法があることで、今の自分がある。今の友人たちとの関係がある…だからもし、魔法が無くなったら、自分はまた1人になるのではないか? そう思うと、怖くなる。また孤独になるのではないか…フェイトやはやてが、自分の所からいなくなってしまうのではないか? だからこそ、進むしかないのだ。なのはに残された道は、魔法共に歩む道。だが、それでいいのか? 何かに縛られた道…それが正しいのか? それが、なのはを迷わせていた。一通り、なのはが思っていることをゼロに話すと、ゼロはその星空を見上げた。
「…お前はエックスとそっくりだな」
「ふぇ…? エックスさん…ゼロさんのお友達の?」
「そうだ。悩んでばかりの意気地なしで、その癖一言もその悩みを他人に打ち明けないところがとてもよく似ている」
意気地なし、と言われてちょっとムッとするなのはだったが、そんな気持ちもゼロの表情を見て、すぐに和らいだ。あのゼロが、少しだけ笑っていたように見えたからだ。普段表情を変えないゼロの、貴重な場面に出くわしたとなのはは思う。親友を懐かしむ彼の姿は機械ではなく、人間臭い…これで、彼がロボットなのか、となのはは疑いたくなる。
「だが、一つだけ…アイツはお前と違う」
「ふぇ…?」
「アイツは確かに弱音を吐かないし、悩みも打ち明けない…だがな、アイツはお前にはないものを持っている」
エックスにあって、なのはにないもの。それは何なのか? なのはは、いつの間にかゼロの言葉に引きこまれていく。
「その、違うものってなんなんですか?」
「“信じること”だ。アイツは、たった1人になっても…ボロボロになっても、アイツは、全ての人間を、そして俺を、信じていた」
「……」
「お前は心のどこかで、はやてやフェイト、自分の家族を信じきれていない」
ゼロの言葉に、なのはは何も言えなかった。否定すべきことのはずなのに、上手く言葉が出ない。そもそも、魔法が無くなったらみんなが離れてしまうのではと考えていた自分に、そんなことを言う権利などない。本当に友達を信じているのならば、魔法が無くなったくらいで、なのはの前からいなくなるわけがない。頭のいいなのはだからこそ、なのははゼロの言葉が否定できなかった。
「なのは、お前はまだ子供だ。まだいくらでも時間はある…もう一度、自分を見つめ直してみるのもいい機会だ」
「ゼロさん…」
「俺の話を聞き流すのもいい、俺の話を聞いて考えるのもいい…全部お前が決めることだ。だが、これだけは覚えておけ。お前は誰からも愛されている…かつてエックスがそうだったように、お前も、多くの人間に愛されている」
「私は、変われると思いますか…? ゼロさん」
「お前次第だ」
そう言って、ゼロはその丘を去っていった。たった独り、残されたなのははゼロがしていたように、その満天の星空を見上げる。
「私次第、かぁ…変われるかな、私も」
その呟きは、誰にも聞こえない。冬の風がその言葉を攫っていくのだった。
数日後、なのはは両親に魔法のことを打ち明け、管理局員の道を志す。だが、そのなのはの目に迷いはなかった。
というわけで、なのはの話でした
まえがき通り、後数話そして続編のStrikerSです
ご要望などがありましたら感想と一緒に描きこんでおいてください
採用するかは微妙ですが、おっ?って感じになるかもしれません
あくまで聞くだけですのであしからず
出来れば、ゼロ作品の設定的な話でお願いします。フラグとか、そう言うのは他の小説見てお腹いっぱいなので…(汗
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