【完結】魔法少女リリカルなのはA's~紅き英雄の軌跡~   作:秋風

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2話目です。
ゼロのヘルメットは取れる……きっとそうだと思う
こう、初代ロックマンみたいに


02「襲撃」

 八神家からデパートへ訪れた二人と一体。そこではやてはゼロの服を購入する。必要になるのはまずズボンと上着。現在のゼロはヘルメットを取っている状態で、長い金髪を一つに束ねており、一見しただけでは彼をロボットだと思う人はいないだろう。そして現在、売り場にて服を選んでいる最中である。傍から見れば、二人のその姿は仲の良い兄妹にも見えるはずだ。

 

「ほら、これはどうや?」

 

「今とあまり変わらないが」

 

赤いフードのついたパーカー……はやては次々と服を選が、何故か赤い服ばかり。

 

「むー……ならこれや!」

 

「……だから、何故赤ばかり選ぶ?」

 

 この後、赤いTシャツや黒い上着、さまざまなものを選んでは試着、購入。ゼロ自身は生活する上では必需品としては服と財布、そして携帯電話くらいである。それらを購入し、デパートを後にした。そしてデパートを出てからふと、ゼロは足を止めて周囲を見渡した。

 

「……」

 

「どないしたん?」

 

「……いや、なんでもない」

 

 何かの気配が見え隠れする。歴戦の戦士だからこそ、ゼロは直感的に監視されているという事実について理解し、警戒を始める。すると、はやてが笑顔で服を引っ張っていた。

 

「わかった。こんなに人がいて驚いているやろ?」

 

「……そんなところだ」

 

 警戒を行うゼロに対し、ノー天気なはやてはそんな質問を投げかける。だが、それもゼロにとっては一理あった。ゼロの世界にはこんなにも人間は存在していないし、ゼロ自身が人間を多く見てもそれは『キャラバン』の中の人間程度の人数。そして表情だってこんなにも穏やかではいられる環境にいる人間を見たことはない。

 

「この後は、どうするんだ?」

 

「夕食の買い物やな」

 

 こうして二人はデパートから続く商店街への通りの中へと消えていった。

 

 

日が暮れてすっかり時間は遅くなり、太陽は沈みかけている。そして、ゼロたちは公園へと差し掛かり、ゼロが脚を止めた。

 

「……」

 

「ゼロ、どうしたん?」

 

「先に戻れ」

 

「え?」

 

 はやては首を傾げるが、ゼロは表情を険しくさせていた。間違いなく、ゼロは感じ取っている。そう、ゼロに向けられた強烈な殺気を。それが『レプリロイド』ゼロではなく、『戦士』ゼロの表情へと変わっていた。

 

「早くしろ」

 

「う、うん!」

 

 ただならぬゼロの雰囲気にはやては頷き、車椅子を走らせて公園を後にする。ゼロは着ていた上着を取り、森の影を見つめた。そこに殺気の根源がある。

 

「出て来い、そこにいるのはわかっている」

 

「「……」」

 

 そこに出てきたのは仮面をつけた二人組みの男だった。二人は既に戦闘態勢を取っている。ゼロは静かに彼らに問いかけることにした。

 

「何者だ?」

 

「答えるつもりはない」

 

 仮面の男の一人は手に光球を周囲へと展開させる。すでに戦うつもりらしい。

 

「……問答無用か、いいだろう。来い!」

 

 ゼロも同じように、Zセイバーを手に取る。そして、お互いが駆け出した。

 

「ふんっ!」

 

「はあっ!」

 

 拳とZセイバーがぶつかり、衝撃を生んだ。ゼロは数歩分弾かれるが、仮面の男は数メートル吹っ飛ばされた。ゼロの力は伊達ではない。ゼロの持つレプリロイドとしての力は本来のレプリロイドから外れているのも、彼の強さの一つだ。

 

「ぐっ」

 

「でああっ!」

 

 ゼロはそのまま追撃を加えるためにチャージされたセイバーを仮面の男に向けた。しかし、かろうじて仮面の男がそれを避ける。だが、その衝撃で地面が抉られ、セイバーが粉砕したコンクリートの欠片が仮面の男の一人へと降りかかった。

 

「ぐああっ!」

 

 衝撃によって仮面の男の一人が吹き飛ばされる。それを見たもう一人は援護に入るため、光球を飛ばす。

 

「このっ!」

 

 だが、ゼロはそれをわかっていたようで、すぐにそちらへと視線を向けた。鋭い眼光が男を捕える。

 

「なにっ!?」

 

 そのゼロの手にはすでに逆の手でチャージを終え、構えられたバスターがあった。そしてそれが発射される。

 

「うわああっ!?」

 

「ロッテ!」

 

 直撃を受けて仮面の男が叫ぶ。吹き飛ばされた仮面の男を同じ男が抱きかかえる。すると、足元が光りだした。

 

「!?」

 

 そして、男たちはその光と共に消えた。恐らく転送装置の一種であろうとゼロは悟る。

 

「……逃げられたか」

 

 転送、のようにも思えるが、相手は間違えなく人間だった。いや、人間に近い何か…ゼロはそう感じていた。ゼロは上着を拾い上げ、それを着る。

 

「……」

 

狙いは間違いなく自分だった。なぜ自分が狙われるのか、それを考えた。Dr.バイルの刺客かとも考えたが、あの男は確かに死んだ。考えた結果、その原因に辿りつく。

 

「……あいつか?」

 

 不意に、はやてが浮かんだ。はやてに何かあるのだろうか、それとも別の何かか……ゼロはそんなことを考えながらも、はやてが通っていく道を追い、帰宅することにした。

 

 

八神家

 

 家に戻ると、はやてが心配そうな表情でゼロを迎えていた。もう帰って来ないのではないか? そう思ったらしい。

 

「すまなかったな」

 

「どうして、先に戻れなんて……」

 

「……俺の勘違いだった。気にするな」

 

 そうゼロははやてに言い聞かせ、ソファーに座る。はやてはそのまま夕食の支度を始めていた。その様子にクロワールはゼロの隣に座る。

 

「ゼロ、何があったの?」

 

「……襲撃を受けた」

 

 ゼロはクロワールにしか聞こえない声でそのクロワールの疑問に答えた。それを聞いて、クロワールも少しだけ表情を険しくさせる。

 

「……! 襲撃、まさかバイルの?」

 

「いや、相手は人間……いや、それに近い何かだが、生命体には見えた。それに、バイルは死んだ……その可能性はないだろう」

 

 ゼロはその経緯についてクロワールに話す。クロワールもその戦いの話と、最後に転送されて撤退したというゼロの話を聞いて腕を組んで考え始める。

 

「それにしても、生命体が転送して撤退って……この世界では考えられないと思うよ」

 

 クロワールははやてと帰宅してから、家にあったパソコンへと潜り込んでこの世界についてある程度の下調べを行っており、クロワールはこの世界の事情を全て理解した。テクノロジーなどについてはゼロたちの世界に比べてしまえばまだまだ未発達で、転移装置などあるわけがない。ロボット工学も未発達……どう考えても、色々な意味で見劣りするものであった。

 

「ならあの力はいったい……」

 

「考えても仕方ないかもね。それに目的は『はやての近くにいた』ゼロなのかもしれない」

 

 ということは、常にこの家が見張られているということだ。そう考えたゼロは立ち上がり、2階のベランダに出て屋根の上へと登る。

 

「……」

 

 聴覚機能を研ぎ澄ませ、周囲を探る。そして、クロワールもさらに空中へと浮遊して目視で確認する。そして、ゼロは何もない空中へとバスターを向けた。

 

「……そこか」

 

 何もない場所へと撃たれたバスターは空を切る……かと思いきや、何かに激突する音が響き渡り、ガシャン、と音を立てた。

 

「クロワール」

 

「うん」

 

 クロワールがその音の場所へと近寄る。それはなにかの機械。カメラの様な物が取り付けられた物である。

 

「ステルス迷彩……見えないはずだね。音はするのに」

 

「クロワール……どうだ?」

 

「うん、探ってみる……」

 

 屋根から庭に降りて、その壊れた機械の解析をクロワールが始める。クロワールの力は高性能で、他の機械などに解析をかけることが出来る。

 

「ゼロ、これはこの世界の技術力じゃ作れない代物だよ。そして、私達の世界の技術でもない……」

 

「……」

 

 ゼロは考える。別世界に来てから起こるこれらの現象。考えているゼロに対して、クロワールは一つの考えを持ちだした。

 

「ゼロ、私思ったんだけど……」

 

「なんだ?」

 

「もしかしたら、この世界と私達の世界の他に別の世界があるんじゃないかな」

 

 クロワールの考えはこうだ。ゼロやクロワールがいる人間とレプリロイド達の世界、そして今いる人間だけの世界の他に別の世界があり、そこの世界がこの世界にいるはやてに対してなんらかの介入を行っているのではないかと言うものだ。確かに、自分達の世界とこの世界以外に、世界が無いとも言いきれない。今現在、進行形で異世界と自分達が認知した場所にいる以上、多くの考え方がある。

 

「お前の考えはわかる……しかし」

 

「どうして、この家を見張っているか……でしょ?」

 

「ああ」

 

 仮にクロワールの話が本当にあったと仮定すると一つ不可解なことがある。何故、ここなのか? と言う点だ。彼女に何か特別な物があるのか? それとも自分たちを狙っているのか? わからないことだらけである。

 

「ゼロ~? クロワール? そんな所でどうしたん?」

 

「いや、なんでもない……すぐに戻る」

 

 庭に顔を出したはやて。ゼロはその機械を見えない所に移す。

 

「ご飯やで。中に入ってな~」

 

 ゼロはレプリロイドなので食事はしないが、一緒にいて欲しいというはやての願いからそれに頷き、部屋の中へと戻ることにした。

 

「ゼロ、やっぱりこの世界に来たばかりだし……もっと落ちついてから話そうよ」

 

「そうだな、わかった」

 

 こうして、ゼロの異世界での一日目は終わりを告げた。

 




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