【完結】魔法少女リリカルなのはA's~紅き英雄の軌跡~   作:秋風

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感想欄のGood/Badの意味が良くわからない(汗
私いじってないのに他の人の感想にBadついてるし…とりあえずいじらんでおこう


04「平穏」

 闇の書の守護騎士、ヴォルケンリッターが八神家に受け入れられて数日。彼らに常識を理解させることにはやて、そしてゼロは力を注いだ。というのも、ゼロもこの世界の常識を理解することにはあまり時間をかけなかったが、彼ら4人は時代の差からかなりの時間を要し、理解させた。近代的な電化製品の使い方、公共交通機関の使用方法、買い物の仕方。多くを学ぶ彼らは戸惑いを見せていたが、次第にその硬かった表情柔らかくなっていた。そして何より、彼らが表情を柔らかくさせたのははやてのこの一言。

 

「蒐集? そんなもんいらへんよ。やらんでよろしい」

 

 ヴォルケンリッターも、はやてが蒐集を望まないことに驚いていたが、はやて曰く「他人に迷惑はかけてはいけない」だそうだ。蒐集をしないばかりか、ヴォルケンリッターははやてからすれば普通の人間と同等。なので、主として2つ目以降に命じたのは

「武器はしまうこと。服は着ること。食事はとること。」

 ゼロも食事はできないが、同じことを言われている。彼女達も最初こそ戸惑いを見せた。しかし、今ではその平穏を享受している。

 

「はやてっ! 買い物行こう!」

 

「はいはい、ヴィータ。ちょっと待って~」

 

 ゼロにとっては少し騒がしくなった程度。しかし、はやてにとってはまた家族が増えたということで、喜びの笑みが増えていた。レジスタンスにいた頃、少しでも平和だった時間に見せる彼らの笑顔にソレはとてもよく似ている。

 

「……」

 

「どうしたゼロ」

 

「……何がだ?」

 

「いや、少し笑っている気がしてな」

 

 シグナムに言われ、ゼロは自分の頬を触った。確かに、自然と笑みがこぼれていた。はやての笑み、はやての喜びが、かつての仲間のシエルや、多くのレジスタンス達が見せる笑みに似ていたからかもしれない。ゼロは静かにその賑やかなひと時を味わっていた。

 

 

午後

 

「時にゼロ、私と戦ってみないか?」

 

 相変わらず家でくつろぐヴォルケンリッターとゼロだったが、ゼロはシグナムにこんなことを言われた。彼女も平和を享受しても騎士。日々の鍛錬を怠らず、今日も庭で木刀を使って素振りをしていた。その素振りを終えてからのこの一言である。

 

「何?」

 

「別に決闘ではない。簡単に身体を動かすだけだ」

 

 言いながらゼロに傍らに置いていた木刀を投げてよこす。どうやら最初からそのつもりでいたらしく、木刀が2本あったらしい。

 

「私の剣が、レプリロイドのお前にどこまで通じるか……試してみたい。それに、相手がいないと剣が鈍るのでな」

 

「諦めたほうがいいわよゼロ、シグナムは戦闘狂(バトルマニア)だから」

 

 シャマルが洗濯物を干しながら言う。戦闘狂と聞いて、ゼロは自分の世界にいた戦士達を思い出した。自分を倒すために身体を強化してまで挑んできた者たちを。ゼロも思うものがあったのか、木刀を握って庭へ出た。

 

「わかった、受けて立とう……俺も鈍るのは困る」

 

「そうこなくてはな」

 

 シグナムは嬉しそうにニヤリと笑い、同じように剣を構える。思えばゼロが誰かと戦うのは正体不明の男達以来。レプリロイドである彼がカンを鈍らせるには相当な時間がかかるが、戦ったのは数週間前。たいした差ではない。

 

「いくぞ!」

 

「…………来い!」

 

 シグナムが駆け出し、剣を振り下ろした。上段から振り下ろされた木刀をゼロは自分の持つ木刀を横にして受け止める。左足を軸に、体を横にして一閃。そのまま脇腹へと木刀が向かって行くが、シグナムはそれを受ける前に一歩下がってソレを回避する。

 

「……やるな(やはりできる。ネオアルカディア四天王と同等か、それ以上か)」

 

「ふっ、伊達に烈火の将を名乗ってはいないさ(私の一閃を捌き、攻撃に転じるとは……)」

 

 互いにその実力を再認識した所で、戦闘が再開される。仕掛けるのは再びシグナム。防戦から反撃に転じるゼロ。互いにその強烈な一撃を与えては防ぎ、与えては防ぐ。

 

「ふんっ!」

 

「はあっ!」

 

 木刀が混じり合い、音が鳴る。二人の攻防はどちらも引けをとらず、そんな光景を他の3人が見つめていた。ちなみに現在、はやては自室でお勉強中である。

 

「すげぇ……シグナムと互角かよ」

 

「いや、それ以上だな」

 

 ヴィータは感嘆の声を漏らすが、ザフィーラが静かにそう付け加える。ちなみに、現在ザフィーラはオオカミの姿となり、魔力の消費量を抑えている。ソレはさておき、確かにヴィータの言うとおり互いに互角の戦いをしているように見える。だが、ザフィーラはゼロの足元に注目した。

 

「よく見ろ、ゼロはあの場所から動いていないぞ」

 

 そう、シグナムはさまざまな角度から攻撃をするが、ゼロはその場で左足を軸にして動くだけで、その場から離れず、防御しながら反撃をしている。実力は確かに互角だが、技量としてはシグナムよりゼロが上のようだ。

 

「ほんとね。気が付かなかったわ」

 

「あれだけの鮮麗な動き、いったいどれだけの時と死線を潜り抜けてきたのか」

 

 彼ら4人からすれば、ゼロは異世界から迷い込んだ単なるロボットという認識。しかし、ザフィーラ達は知らない。ゼロがかつてイレギュラーハンターとして戦い、そしてレジスタンスとして他のレプリロイド達のために幾多の危険を冒して戦いに身を投じていたことを

 

「はああっ!」

 

「つああっ!」

 

 二人の渾身の一撃が激突し、そして均衡する。だが、その時である。その戦いを終わらせる事態が発生した。

 

――バキッ!

 

 互いに持っていた木刀が悲鳴を上げのだ。木刀は滅多に折れたりしないのだが、ゼロとシグナムの攻撃に耐えられなかったのだろう。そんな様子に、洗濯を終えたシャマルがあらあらと声も漏らす。

 

「これじゃあ勝負は引き分けね」

 

「……むう、仕方がない」

 

「……」

 

 シグナムはびっしょりと汗を掻きながら、もっと戦いたかったと残念な様子。ゼロは汗を掻くことはない。そして彼もまた、どこかまだ戦いを続けたかったという様子が伺える。今まで何かを守るために剣を取っていたゼロだが、今回のように互いの技量を見せ合う戦いはゼロにとって初めてだった。

 

「どうだったゼロ、私の剣は」

 

「……そうだな、強い。いや、まだまだ強くなる」

 

 ゼロはそう言った。自分と互角に渡り合えるレプリロイドはそういない。さらに言えば、人間に近い魔力生命体のヴォルケンリッターが互角に戦えていることにゼロは感心しながらも、彼女がこの先まだまだ強くなるという確信も同時に得ていた。するとそこへ、勉強を終えたはやてと、そのサポートをしていたクロワールがリビングへやってくる。

 

「ふぅー……やっと勉強終わった……」

 

「お疲れ様はやて、頑張ったもんね」

 

 今日の勉強はやや多めに取ったらしく、はやてにしては少し珍しい具合に疲れているように見える。また、クロワールも高性能のサイバーエルフ。小学生の勉強を見る程度なら簡単にできる。そんな様子で庭を見ると、はやてが驚きの声を上げる。

 

「って、シグナム汗だくやん! どないしたん!?」

 

「はい、少しゼロと運動を」

 

 運動というか、言っていた割には決闘に近いものだった気がしなくもない。まあ、木刀が折れている当たりを見てはやては察したのか、苦笑いを浮かべていた。

「そ、そうなんか……ほんならヴィータ、買い物行こか?」

 

「うんっ……!」

 

 こうしてはやてはヴィータとシャマルを連れ、買い物へと出かけることとなった。シグナムもリビングへと上がり、タオルで顔を拭く。

 

「私はシャワーを浴びてくる。ゼロ、今の戦い……またやろうな」

 

「ああ」

 

 ゼロは折れた木刀を置き、空を見上げる。前にも感じた視線を、またしても感じ取ったからだ。腰にマウントしているバスターを引き抜く。

 

「……」

 

「どうした、ゼロ」

 

「まただ」

 

「……?」

 

「見張られている」

 

「何っ……!?」

 

 ザフィーラは今まで魔力消費を抑えるために狼の姿をしていたが、驚いて人型になり、構えを取った。

 

「……お前たちが目覚める少し前、一度襲撃に会った」

 

「なんだと!?主は大丈夫なのか!?」

 

「監視対象はあいつかもしれんが、「狙い」は俺のようだ」

 

 自分の命を狙う者がどこかにいる。そしてはやてを監視している。しかし、二人の様子に気がついたのか、そのゼロの感じ取っていた気配は消える。

 

「……消えたな」

 

 ザフィーラは屋根の上に飛び上がり、ゼロもそれに続く。無論、それを近所の人間に見られないよう、ザフィーラが周囲に結界を張ってからだ。そのはやての家から一件離れた家の屋根の上でザフィーラが止まる。

 

「む……わずかだが転移魔法の後があるな」

 

「転移魔法?」

 

「ああ、私たちもできることだ。例えばこの家から散歩コースの公園に移動したいと願えば、魔力によって移動することができる」

 

「転送装置のようなものか?」

 

 ゼロがたずねると、ザフィーラが頷く。

 

「うむ、それに近いだろう。だが一体誰が……?」

 

 謎の監視に疑問を抱くザフィーラ。この時から、少しずつ、少しずつ、運命の歯車は軋み始める。後に、その軋みによって紅き英雄は再び戦いの中へと戻ることになる。しかし、この時のゼロたちはまだそれを知らない……

 




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