【完結】魔法少女リリカルなのはA's~紅き英雄の軌跡~ 作:秋風
今回の話では私が一番好きな攻撃を出しました
皆さんはロックマンXやロックマンゼロを通して、どのゼロが一番好きですか?
私はワイリーゼロが好きだったり
12月半ばに差し掛かり、蒐集も順調に進んでいたころ、ゼロは家で4人の帰りを待っていた。
「…」
「ゼロ、どないしたん?」
どこか心配している様子のゼロにはやてもまた心配そうな顔をする。ゼロがそんな表情をするのが珍しいと思ったのだろう。だが、ゼロはすぐに首を振る。
「いや…」
そういうゼロだが、その理由は心配の簡単だ。シグナムたちの帰りが遅い、ということ。この時間帯なら、予定ではもう帰ってきてもおかしくはない時間。しかし、帰ってきていない。ちなみに、最近ゼロは働きすぎということで、今日は家で留守番となっていた。レプリロイドの彼には特に休日というものはいらないのだが、彼女たちなりの配慮ということで、ゼロははやてと共に一日を過ごしていた。すると、そんなゼロの携帯電話に、シャマルから連絡が入った。はやてに聞こえない場所に移動し、ゼロは電話のプッシュボタンを押す。
「…どうした?」
『大変なの…シグナムとヴィータちゃん、ザフィーラが結界に閉じ込められて』
「わかった、すぐに行く。合流地点を教えてくれ」
シャマルと数秒の打ち合わせをして電源を切り、リビングへ戻った。
「あいつらの帰りが遅い、探してくる」
「ほえ?」
「夕食の準備をして待っていろ」
「う、うん…気をつけてな」
「ああ…」
こうしてゼロは、八神家を飛び出した。
海鳴市 某所 ビルの上
合流地点に辿りつくと、心配そうに闇の書を抱えているシャマルの姿があった。
「シャマル」
「あ、ゼロ・・・ごめんなさいね、せっかく休んでもらっていたのに」
「いや・・・それより状況は?」
「どうやら管理局の魔導士に囲まれたみたいなの」
結界が張られているらしく、ゼロたちの目の前にはドーム状の物がうっすらと見えている。どうやらそれによって転送が封じられているらしく閉じ込められしまっている。
「なら、この周囲にもじきに敵が来る。移動するぞ」
「ええ…」
「待てっ!」
移動しようとするゼロたちに、声がかかった。そこにいるのは黒髪で、杖を持ったやや小柄な一人の少年だ。どうやらその様子から彼も時空管理局の局員らしい。
「時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンだ…ロストロギア不正所持の容疑で君たちを拘束する。投降をすれば弁護の機会もある。直ちに武装を解除しろ」
「…」
そう言いながらクロノはデバイス「S2U」を向ける。その目にはどこか怒りのような物がゼロには見て取れる。そして、クロノは低い声でシャマルを睨みつけた。
「それと、闇の書の主はどこだ…教えろ」
ゼロはその問いを拒むかのようにシャマルの前に立ちはだかる。
「何のつもりだ」
「お前に言う義務はない…失せろ」
冷たく、鋭い視線がクロノに向けられた。しかし、クロノはそれをモノともせずにゼロを睨み返す。
「義務ならある!僕は時空管理局の執務官だ!」
「この世界はお前達にとって管理外だろうに。ならばこの世界で、お前たちの法律は利かないはずだ。ロストロギア?お前達が勝手にそう呼んでいるだけだろう」
「なんだと!」
「もしこいつらや俺たちが何かをした場合、裁くのはこの国、この世界の制度だ」
「貴様っ・・・!」
クロノのデバイス「S2U」を持つ手の力がこもる。それと同時に、後ろで聞いていたシャマルはゼロに対して驚いていた。いつも口数が少ないはずのゼロが、ここまで多弁なこと。そして彼がそこまで自分たちを守ろうとしてくれていること。シャマルはソレが嬉しく感じる。そんなことを余所に、ゼロはそのまま言葉を続けた。
「この世界でお前たちに活動する権限はない。お前たちはただ力を誇示し、都合のいいように動かしているだけだ。そんな連中に話すことなど何もない」
「黙れっ!」
ゼロの言葉に対して我慢が出来なくなったのか、クロノが叫び、魔力弾が飛んだ。その弾丸の起動は真っ直ぐにゼロを捕え、それが命中する。普段なら避けるか受けることをするはずのゼロがソレをしない。シャマルはソレを見て悲鳴を上げそうになるが、ゼロはシャマルに動かないように手で静止させる。そしてゼロは上空を見た。
「クロワール」
「ええ、ゼロ、今のはちゃんと録画したわ」
「何!?」
「世界を管理する世界の人間が管理外の人間に攻撃する…お前たちの世界のメディアが知ったらどうなるだろうな…」
そう、ゼロの狙いは管理局員が無抵抗の人間に対して攻撃をするということだった。後にクロワールの編集によってゼロが無抵抗に攻撃を受けるように変わるその映像。その入手が必要だった。元々はクロワールの考えた手で、かつてドクターバイルが仕組んだ策と似ている。ゼロがコピーエックスMk-2を倒したときにやったように、事実を元に不正を作り出す。ゼロとしてはしゃくなやり方だが、組織を相手に交渉する材料を手に入れるには必要なことである。
「ネオアルカディア同様、力を誇示して他者を制圧しようとする行為、褒められたものではないな…」
ゼロは小さく呟く。そう、ゼロにとって管理局の行動はあまり快く思うことはなかった。というのも、その行為がゼロは気に入らない。管理外世界に誰の許可もなく結界を張り、人々の生活に害をなし、それを力でもみ消す…それは人々を守るためにという『偽りの正義』を掲げ、不正にレプリロイドを処分するネオアルカディアと同じだった。
「貴様ぁ!」
クロノが激昂し、再びゼロに向けて魔力弾であるスティンガーを無数に出現させて放つ。しかし、交渉材料を手に入れたゼロにとって、もう手加減などは不要。
「シャマル、下がれ」
「え、ええ!」
シールドブーメランを展開して球を弾き飛ばすと、チャージしてゼロはクロノに向けてそれを投げた。
「ハアッ!」
「何!?」
さらに左手に持ってあらかじめチャージしたバスターをさらにクロノへとぶつける、ブーメランを回避した後の攻撃だったがクロノはソレを避けてゼロにデバイスを向ける。
「こんなもの、当たるか!これで…」
「どうだろうな」
この時クロノはバスターを避けたことで忘れていた。「ブーメラン」という武器の特性を。そのクロノの構えていた所へ、ブーメランが戻ってくる。
「うわぁ!?」
戻ってきたブーメランが命中し、クロノは地面に叩きつけられた。
「ぐ…あ…」
「油断したな」
クロノは苦虫を噛み締めるような表情でゼロを睨みつける。クロノの『油断』を作らせたのはもちろんゼロ。理由は簡単だ。ブーメランと同じ機動にバスターを放つ。バスターを放てば遅いブーメランよりもそちらに目が行くだろう。だがブーメランは機動を曲げ、バスターはあさっての方向へ行ってしまう。そうなればゼロは武器を一つ失う。そこでクロノは勝機を見つける。さらに相手のチャージされた砲撃を見れば、ゼロが無防備だと錯覚し、完全にクロノは油断をしてシールドブーメランの攻撃を受けたのである。普段のクロノであればすぐに対処できただろうが、現在頭に血が上っている彼では、そこまでに考えが至らなかった。
「悪いが、時間もない。通らせてもらう」
「ま、まだだ…!ここでお前を通らせるわけには…」
そう言ってクロノが立ち上がった瞬間だった。突然クロノの前に人影が現れる。そしてその影に衝撃を加えられ、クロノが吹き飛んだ。
「がっ!」
クロノが蹴り飛ばされ、ビルへと直撃。そしてそこにいたのはかつてゼロを襲撃したあの仮面の男だった。
「お前は…」
突然の乱入者に身構える二人だが、男はソレを無視してシャマルが持っていた闇の書を指差した。
「使え・・・」
「え!?」
「仲間を助けたければ、闇の書を使え…ページはまた集めればいい」
「ページを…」
シャマルは悩む。せっかくここまで集めたページだ。果たしてソレを使ってしまって良い物なのだろうか?しかし、仲間たちを逃がすためには強力な力がいる。ならば使うしかない。しかし、そんな悩んでいたシャマルに声がかかる。
「シャマル」
「え?」
「撤退しろ」
声の主は自分の家族であるゼロ。ゼロは言いながら逃走ルートを指差し、男を睨みつけていた。
「でもっ…!」
3人を逃がすための方法が他に見つからない今、シャマルの選択肢には闇の書を使う以外に方法はない。だが、ゼロはシャマルに言う。
「俺に考えがある。ここは俺を信じろ…何とかしてやる」
『何とかしてやる』今まで散々迷惑をかけてきた自分に、ゼロはそう言った。ヴォルケンリッターとして目覚めてから、そして蒐集を始めてから。ゼロと何度かぶつかってきた自分達。それでも、ゼロは自分に対して信じろという。ならば信じたい。この状況をきっと打破してくれると。シャマルはゼロを信じ、逃走ルートへと体を向ける。
「…ええ、わかったわ。あなたを信じる」
「結界を破壊したら、すぐに転移して逃げろ。俺も終わったら連絡する」
「わかったわ…急いでね!」
こうして、シャマルは逃走ルートから逃走、後に転移してその姿を消した。そんな様子を見ていた仮面の男は低い声で唸る。
「貴様…」
「悪いが、思い通りにさせるつもりはない」
ゼロは言いながらZセイバーを男に向け、男もまた戦闘態勢を取る。
「我々にとってイレギュラーなお前にこれ以上邪魔をされたくはない…ここで死ね」
「…イレギュラー、か」
男の言うとおり、確かにゼロは元の世界でも、この世界でもイレギュラーである。だがそんなゼロにとっては些細なことはでしかない。そう、少なくとも、今のゼロ自身にとっては。
「イレギュラーと呼ばれようと、知ったことか…邪魔をするなら斬る」
――WARNING!――
ゼロは男に向かって駆け出し、構えていたZセイバーを男に向けて振り下ろした。
「せあっ!」
男がガードするも、ゼロの連続で繰り出される斬撃に対処しきれていない。ゼロは相手に反撃の暇を与えず、そのまま強烈な一撃を与えるために一閃。しかし、間一髪の所で男は回避し、距離を取った。
「ぐっ・・・!」
「浅いな・・・」
間一髪で避けたことで男は致命傷を避けた。ゼロはZセイバーを構え直し、目だけを動かしながら周囲の様子を探る。
「二人いないところを見ると、一人はどこかで俺を見張っているな」
「っ!」
周囲を探り終え、発せられたゼロの言葉に、男が反応を示した。どうやら図星らしい。仮面を着けてはいるが、男からは若干の焦りを感じ取ることが出来る。
「二人がかりで俺に勝てなかったのに、一人で勝てるわけがない。諦めて引け」
「黙れっ!」
男はゼロの言葉に対して一蹴すると、再び駆け出して拳を突き出す。しかし、ゼロはその攻撃を受け止める。
「そんな攻撃、俺には効かん」
言いながら男の手を掴み、左手に構えていたバスターを至近距離で向け、発射した。
「ぐあっ!」
男はその至近距離からのバスターを防ぎきれず吹き飛ばされ、地面に転がる。ほぼ、戦闘不能と言っていい状態だろう。
「終わりだ」
ゼロはその地面に転がった男にゆっくりと近づき、トドメを刺すためにZセイバーを向ける。しかし、そこで乱入者が現れた。
「はあっ!」
「!」
同じ姿をしたもう一人の仮面の男が乱入し、倒れている男を担ぎあげる。そして、そのまま転移して消えてしまう。
「…逃がしたか」
そんなことを言っていると、ゼロの体の中で攻撃の調整をしていたクロワールが出てくる。クロワールも3人のことが心配らしい。
「ゼロ、早く3人を助けないと!」
「そうだな…クロワール、頼みがある」
「なに?」
「一時的に俺への供給エネルギーを底上げしてくれ」
ゼロの言葉に驚くクロワールだが、コレはゼロの出せる最大出力を超えた攻撃を出すことによる結界破壊。無論、ゼロとしても無謀な賭けをしたくはないが、現状破壊手段で最適なのがコレである。
「でも、大丈夫?」
「知らん」
心配するクロワールを余所に、相変わらず素っ気ないゼロ。そんな様子のゼロに対してクロワールは小さくため息をついた。
「もう、ゼロはこういうときアバウトなんだから…」
「いいから、早くしろ」
ゼロの言葉に、クロワールは頷き、ゼロの頭上でなにやら構えを取る。
「了解、行くわよ!」
クロワールからエネルギーが放出され、それがゼロの身体に溶けて行く。それによってエネルギーが集中し、そのままゼロはそのエネルギーの全てを右腕へと集中させた。それはZセイバーへと駆け巡り、翡翠のZセイバーが段々と赤紫色へ変わっていく。これはオリジナルゼロ…オメガのZセイバーと酷似している。そしてそのZセイバーは巨大な刃となり、ゼロはソレを持ったまま大きく飛び上がる。
「ハアアァァァァッ!」
―― 幻夢零
ゼロの振り下ろした巨大なZセイバーが結界に直撃する。結界はガラスのような音を立てて割れ、ソレを確認したゼロはフラつきながらもしまっていた携帯電話でシャマルに連絡する。
「シャマル、3人の転送と、俺の転送を、頼む」
『了解!』
こうしてゼロたちは多重転移により撤退し、難を逃れるのだった。
八神家
幾重にも転送して管理局の追跡を撒いた後、ゼロたちは無事に帰宅した。
「帰ってきたぞ」
「あ、お帰り!」
リビングでははやてが夕食の準備を終え、座って待っていた。ちなみに、この時の時間はすでに10時を過ぎていた。そのためか、少々はやてが怒っているように見える。
「もう、みんな遅いで!」
「すまない、探すのに時間がかかった」
「ごめんなさいねはやてちゃん」
「ごめんはやて…」
「主はやて、すみません」
「主、申し訳ない」
怒っている様子のはやてに対して、ゼロを始め、シャマル、ヴィータ、シグナム、ザフィーラが謝罪する。すると、はやてはニッコリと笑って車いすを動かして食卓テーブルへと移動した。
「ほな、夕飯にしよか」
こうしてヴォルケンリッターとはやて達は遅い夕食取りながら、一時の楽しい時間を過ごす。ゼロは席に座りながら、その団欒を静かに見守るのだった。
はやてがシャマル、ヴィータと風呂に入っている同時刻。ゼロはシグナムとザフィーラから今日の戦闘についての話を聞いていた。先日の少女たち…高町なのはとフェイト・テスタロッサが自分たちと同じくカートリッジシステムをデバイスに導入することで大幅な戦力強化を施し、対抗してきたことを。そしてゼロもまた、今日戦った仮面の男についての話をした。
「なるほど…強力なものを手に入れたのか…」
「ああ、次回以後、敵と戦うのが厄介になる」
「だが、お前たちなら負けないだろう」
「そのつもりだ」
ゼロの言葉に、シグナムは短く笑う。すると、シグナムはその後に「しかし」と付け加える。
「それ以上にだが…」
「?」
「奴と、テスタロッサと戦うと心が躍る」
そんなシグナムの様子にゼロは「そこは相変わらずか」とため息をつき、クロワールも「ブレないよね、シグナム」と、少し呆れている様子であった。そんな二人の対応にシグナムは少々恥ずかしくなっていると、ザフィーラが話を戻す。
「それにしてもゼロ、お前にまた奇襲があったと聞いたが」
「ああ、前に話した襲撃犯だ」
「確か、二人組だったな…それにしても」
「シャマルに闇の書の使用を促したり、ゼロを倒そうとしたり…なんなんだ、奴らの目的は」
ヴォルケンリッターである二人はそう言いながら唸る。そう、謎だ。闇の書を知っていることは間違いないが、行動の理由が不明すぎる。協力するなら戦力となるゼロをイレギュラーとして処分しないだろうし、敵なら脱出の方法を促さない。彼らの目的がいまいち理解できない一同。しかし、ゼロにとってはそんなことは関係ない。
「とにかく、今後もあいつらの対応は俺がやる」
「ああ、そのほうがよさそうだな…それと、ゼロ」
「なんだ」
「今日はお前に助けられたな」
シグナムが少しだけ嬉しそうにほほ見ながら言う。ゼロは相変わらず特になんでもないという表情だが。
「別に大したことじゃない」
「いや、闇の書のページは減らなかったし、みんな無事だった。ありがとう」
(ありがとう…か)
シグナムに言われ、ゼロはその言葉が少しだけ嬉しく思えた。
「ああ…」
今まで自分が目を覚まして戦ってきた中で、礼を言われることは幾度となくあった。シエルに、ネージュに、レジスタンスに、キャラバンに。助けてくれたことについて礼を幾度となく述べられてきた。ゼロとしては今までお礼を言われるために戦っていたわけではないが、今回言われた「ありがとう」という言葉が、少しだけ今までと違う感覚をゼロは味わっていた。
運命の時は回り続け、歯車は崩壊の音を奏で続ける
紅き英雄はそのゆっくりと崩壊を続ける世界の中で変わり始めた
後に世界を変える紅き英雄は静かに思う
この平和が少女とそれを守ろうとする家族達に長く続くようにと
英雄の願いは、果たしていつまで続くのか?
闇の書のページ蒐集完了まで、あと少し
NEXT「最悪の再会」
技解説
幻夢零
ロックマンX5に登場した、覚醒ゼロが放つ一撃必殺技である。
セイバーで地面から天井にまで及ぶほどの巨大な衝撃波を放つ攻撃。
即死技であり、喰らってしまうとライフの上限に関係なく1ミスとなる。
また、たとえ回避したとしても、以降もゼロは無敵状態となってこの技を出し続けるため、回避すること自体にメリットがない。
『ロックマンX6』にも「幻夢零 改」の名称でゼロナイトメアが使用するが、こちらは即死技ではなくなり、回避も可能となっている。
子の解説を見る限り、どう考えてもゼロは怪物
今回のイメージとしては、オメガ(第一形態)が持っていた剣をゼロが音速で振り下ろしたイメージです。