名前が違うのは、pixivでの名前をどなたかが先に使用していた為です。
ん?メール…選抜戦の相手が決まったか?まぁ、それ以外のメールなんて滅多にって言うか来ないんですけどね。
えーと……
『比企谷八幡様の選抜戦第十試合の相手は、一年一組・黒鉄一輝様に決定しました』
黒鉄、か…めんどくせーな。
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『黒鉄一輝様の選抜戦第十試合の相手は、二年一組・比企谷八幡様に決定しました』
っ!比企谷君と?
「どーしたの?イッキ」
「あ、あぁ次の対戦相手が決まってね…」
「へー。で、誰なの?」
「…僕の去年のルームメイトだった人だよ」
「それは、また…」
「彼にはとてもお世話になっててね。僕の稽古にも付き合って貰ったし、多分だけど僕が退学の危機に晒された時に救ってもらってる」
「…イッキ、だからって手を抜いたりしないでしょうね」
「そんな事はしないよ。だって、全力の僕でも勝てるかどうか分からない程に彼は強いんだから」
「はぁ!?イッキでも勝てるか分からないって、そいつは何者なのよ!」
「分からない…でも、彼の戦い方はとにかく性格が悪いんだ」
*****
比企谷君か…彼との戦績は三百十六戦百五十勝百五十敗十六分け。僕が勝ってる試合も、その殆どが彼が新技の実験をした時。
勝てる保証なんて何処にも無い。なのに、気持ちがどうしても高まってくる。
ははっ、負けたら剣武祭には出られないのに何でこんなに楽しみなんだろう!
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「………」
彼奴との試合は今日か。まぁだからと言って何かが変わるわけでも無い。いつも通りにランニングを済ませるか。
黒鉄の強さは、あらゆる武芸に通じていることによる対応力と引き出しの多さ。鍛え抜かれた眼。そして一刀修羅。
だが、俺に彼奴の眼は通じない。よって対応力も落ちる。一刀修羅も、要は1分間見つからなきゃいい。…簡単だ。彼奴との模擬戦の感じで行けば負ける事はまず無い。
「…………げっ」
何で黒鉄が居るんだよ、後ろに紅蓮の皇女もいるし。何?カップルなの?君達は。
あ、やべぇ気付かれた。
「おーい、比企谷くーん」
「……………」
「え、ちょっと!何で逃げるのさ」
やっぱ逃げるのって最高だよな。逃げるが勝ちって言うしな。つまり、いつも逃げてる俺まじ勝者。…違うか、違うな。
「ちょっと、待ちなさいよ」
…逃げても勝ちじゃありませんでした。えっなんで捕まってんの?俺。300mはあったじゃん。
「魔力を使ってまで俺を捕まえるなんて、光栄なことでしゅね」
「こんなはした魔力、もう回復したわ」
速っ!こりゃ十年に一度の逸材とか言われるわけだ。
「…比企谷君、久し振りだね」
「…そうか?お前と最後に話してから、殆ど誰とも話してない俺からしたら久し振りって感じもしないけどな」
あれ、なんか静まり返ったな。…おい何だその哀れみの眼は。べ、別に、俺の影が薄いのは能力の副作用なだけなんだからねっ!
「あんたが寂しい奴なんだって事だけは、分かったわ…」
「…何で初対面の奴に寂しい奴認定受けなきゃいけないんだよ。俺にだって友達くらい居るわ……ネットの中に」
「えーと…比企谷君、去年はありがとう。一年間くらい稽古に付き合ってもらったり、退学の危機から守ってくれたり」
っ!気付かれてた?あれは完璧な計画だったはず…
「あはは…何の痕跡もなく僕の退学の話が無くなったら、流石に何かあったって思うよ」
「いやいやいや、俺は何もしてないからな?勝手に勘違いすんなよ?あの時は俺の成績がやばかったから改竄しただけだし」
「比企谷君、それは犯罪だよ……」
「くっ…まぁいい。今日の試合、何が起ころうとも気を抜くなよ?例えば…俺が消えようとも」
「っ!?…ああ、勿論さ!」
はぁ…人を消すのは好きじゃ無いんだよなぁ。
*****
俺の能力は、対人戦闘に特化している。それこそ、狩人よりもよっぽど。
だから、俺は彼奴に勝つ。これは必然、既に決定された因果。俺は七星剣武祭に出て……それでどうする?俺にとって七星剣武祭って何だ?何の為に参加する?参加したところで俺に何があるというわけでも無い。だが彼奴は参加できなければ…
そんな思考を打ち消すように邪魔が入る。
『一年・黒鉄一輝君。二年・比企谷八幡君。試合の時間になりましたので入場してください』
っ!?もうそんな時間なのか?
「はぁ……いくか」
気持ちを静めるように一息吐くと、扉を開いた。
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『さぁ、第四試合が終わり、ついに本日の第五試合が行われるわけですが、やはりこの試合の注目度は高いのか!凄い人入りです!なお、実況は引き続き、私、放送部の月夜見が、解説は西京寧音先生が担当します!
さぁそれでは注目の選手の紹介です!狩人や速度中毒といった錚々たる面々を倒し、九勝無敗と素晴らしい成績でここまで来ているFランク騎士!最早七星剣武祭代表有力候補の一人と言ってもいいでしょう!一年・黒鉄一輝選手!』
紹介に合わせ、リングに立つ黒鉄が軽く会釈をする。
すると、観客席から大きな歓声が上がった。
『流石は黒鉄選手!その容姿と人柄の良さ、そして逆境をはねのけて来た人生で観客受けは抜群です!」
『うちも好きだよー』
『そうですか』
職務放棄して逃げていたことを根に持っているのか、月夜見は西京を雑にあしらいつつ対戦相手の紹介に移る。
『さぁ、この落第騎士…いえ、無冠の剣王に相対するのはCランク騎士!二年・比企谷八幡選手!彼は一年生の時に公式戦に出ておらず、ここまでの試合も剣技のみで勝ち進んでいる為情報があまりありません。ですが!ここまで無敗!期待するなという方が無理でしょう!』
うわぁー、何で実況こんなにテンション高いの?むっちゃ居心地悪いんだけど。
『うははー、目が腐ってやがる』
……ほっとけ。
「比企谷君、楽しみにしてるよ」
「そうか…楽しめたらいいな」
僅かに言葉を交わし、二人の騎士は開始線に立つ。
「来てくれ。《陰鉄》」
「《零》」
一輝は黒い鋼の黒刀を、八幡は鈍く輝く白刃を手にし、
『それでは本日の第五試合、開始です!』
試合の火蓋が切られる。が、両者共に動かない。相手をはかっているのか、時期を見極めているのか。
『おーっと?どちらも動かない。だが、静かすぎる。こんなに静かな試合があるのか!しかし、これまでのどの試合よりも緊迫感があります!』
「…影武者」
八幡はそう呟く。すると、瞬間移動したかのように一輝の背後にその気配を移した。
八幡の呟きを聞くことが出来たのは試合相手である一輝だけ。故に観客は何が起きたのか分からない…いや、一輝にもそれは分からないだろう。
『比企谷選手が瞬間移動でもしたのでしょうか!?いきなり黒鉄選手の背後に移動しました…西京先生、どういう事でしょうか?』
『分からねぇ…ただ、これが彼奴の能力による物だって事しか』
現役のプロ魔導騎士、それも世界ランク三位の西京をもってしても何が起きたのか判断できない。それはつまり、この会場にいる魔導騎士全員に判断できないという事と同義だ。
では、八幡は一体何をしたのか?それは至って簡単な事だ…自分の存在感を一輝の背後にある床に着せたのだ。
そして自分の存在感を"着せた"という事は、自分は存在感を"脱いだ"という事だ。
よって注意は八幡から逸れ、背後にある彼の存在感を着た床に向いたというわけだ。
『瞬間移動が彼の能力なのでしょうか?しかし、瞬間移動しても移動後の行動スピードは普段通りなのか、一向に黒鉄選手を攻撃しません。…おーっと!黒鉄選手が比企谷選手へ攻撃を仕掛けた!」
影武者は、八幡の存在感を着ただけの床である為、当然反撃などは出来ない。
よって…
『…これはどういう事だ!?比企谷選手が一方的にやられています!このまま黒鉄選手が勝負をつけてしまうのでしょうか?』
八幡が一輝に一方的にやられている様に見えるのである。
だが、実際には違う。攻撃されているのは八幡自身ではないので、八幡は痛くも痒くもない。逆に一輝の方が消耗するのだ。といっても、一輝レベルの剣士になればこの程度の剣技で消耗するかは微妙だが…
『比企谷選手、このまま何も出来ずに終わってしまうのか!』
『あーそういうことか。』
『何がそういう事なんでしょうか?』
『黒鉄が戦ってるあれ、ありゃ比企谷本人じゃねーな。…まぁどうしてあんな事が出来るのかは分からねーけど。黒鉄はとっくに気付いてただろーな』
『そうなんですか!?なら、比企谷選手は一体何処に…』
その時、一輝の前の八幡が消えた。
「はぁ…やっぱり一刀修羅は使ってくれねーか」
そして背後に現れ、一輝へ話しかける。
「そりゃあね。比企谷君のことだから何かあるって思ってたんだよ」
「そりゃそうか。全くやる気は湧かんが…やるか?」
「そうだね、久し振りに全力で剣を振りたかったんだ」
瞬間、二人の姿が掻き消えた。
『なっ!今度は二人共見えなくなりました!』
『何驚いてんだよ、ただの剣戟だろ?速いだけで」
『こ、これがただの剣戟だというのでしょうか!?次元が違いすぎる!』
そう、正にこの二人は次元が違う。目にも留まらぬ速さで繰り出される斬撃の数々、それを全て紙一重で躱す両者。
八幡が切り掛かったと思ったら、数瞬後には一輝の剣を受けている。
限られた者にしか見えない世界。その領域に辿り着いた、元服して間も無い青年達。限られた世界の住人から見たら異様としか言いようの無い齢。
何があればここまで強くなれたのか…
「やっぱこれじゃ決着が着かねーな」
「そうかもね」
「じゃあそろそろ能力使うわ」
「そんな宣言しなくても良かったのに」
「いいんだよ、使う事には変わりねぇんだから。"略奪"」
比企谷八幡
伐刀者RANK C
攻撃力 D
防御力 D
魔力量 D
魔力制御 A
身体能力 A
運 F
武器 ナイフ
能力 存在感を操る
伐刀絶技
忘刃 一定時間自分の事を忘れさせ感知出来
なくさせる
朧 相手に相手自身の事を忘れさせる
影武者 自分の存在感を別の物に着せる
略奪 相手(武器でも可)の存在感を奪う
八幡のステータスです。