孤独な英雄譚   作:どうしようもない

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II

「……"略奪"」

 

『黒鉄選手どうしたのでしょうか?いきなり固有霊装を消しました』

 

一輝と八幡レベルの戦いで、他に攻撃方法がない状態で自身の武器をしまうのはあってはならないことだ。当然、一輝もそんな事は分かっている。だからこそ、自分の手に陰鉄を感じられなくなった時、その事が理解できなかった。分からなかった。

 

「…どうだ?陰鉄の存在感を消したんだが…感想はあるか?」

 

八幡がタネを話すまでは。

 

「やっぱり性格悪いよね、比企谷君は」

 

そう、陰鉄の存在感を消したという事は、陰鉄が自分の手に握られているか分からないということだ。

 

「そりゃどーも。今お前は、自分の手に陰鉄が握られているか分からないだろ?もしかしたら既に落としてるかもしれないな」

 

つまり、そこを誤ればこの勝負の決着がついてしまう。

だが…

 

「比企谷君、君は何を言っているのかな。僕がどれだけ陰鉄を振ってきたと思っているんだい?陰鉄が見えなくても、感じられなくても落とすなんてあり得ない」

 

「…それもそうか、馬鹿にして済まなかった」

 

一輝は一流の剣士。自分の獲物を落とすはずは無いし、幾度と無く振ってきた獲物の間合いを間違えるはずも無い。

即ち、八幡の略奪はほぼ意味がなかったと言える。

 

「別にいいさ。それに比企谷君が教えてくれなかったら、あと3秒程は何があったか分からなかったしね。はぁ…まだまだ修行が足りないかな」

 

「はぁ…いよいよ化け物だな、お前」

 

「君には言われたく無いな、比企谷君」

 

「おいおい、そんな訳無いだろ?ここまで人畜無害な奴が化け物だったら、全人類が化け物だわ」

 

『両選手何かを話しているようなので、ここら辺で西京先生の話を聞いてみましょう。西京先生、ここまでの戦いどうですか?』

 

『そうだね~、黒坊が差をつけなくちゃいけない"ただの"剣術であんまり差がつかなかったから…やっぱり伐刀絶技で決着がつくんじゃ無い?』

 

『成る程、やはりそうなりますか。では、その伐刀絶技の方はどうでしょうか?』

 

『ん~黒坊の伐刀絶技は言うまでも無く一刀修羅だよね。あの時の黒坊の身体能力に勝てるのなんて、世界ランク一位の彼奴位だと思う。』

 

『つまり、黒鉄選手が有利だt…』

 

『だけど、伐刀者同士の戦いは身体能力だけじゃ無い。それに、比企ちんの能力はまだ分かってない。黒坊はその対策を一から考える必要があるから…正直、比企ちんが優勢だろうね』

 

『…ありがとうございました』

 

ここで、普通の声量で話している分には、選手達の声は観客席や実況席には聞こえない。しかし、実況の声は選手達にも聞こえる。

よって…

 

「俺の方が優勢らしいぞ?俺が能力を使う前に一刀修羅で勝負を決めた方がいいんじゃ無いか?」

 

選手達は、どちらが優位に立っていると見られているのか、相手が何をしたのかを軽く知ることが出来るのだ。

 

「何をやってくるか分からない比企谷君相手に、そんな無謀なことはしないよ」

 

「それなら、俺の手の内をもう一個見せてやるよ…」

 

「それは有難いね」

 

「"忘刃"」

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