片翼となったメサイアは飛んでいるのが不思議なくらいで、大気圏に入るとひどく揺れた。ラダーと操縦桿で無理やり飛ばしていた。
〔おいあれを見ろ!〕
〔あ、クォーターが!〕
ミシェルとルカの声につられてクォーターを見る。
「…なっ!」
自分の目を疑った。SMSのマクロスクォーターが被害を受け、艦載機がことごとく破壊されていたのだ。
〔スカル小隊各機、急ぎ帰還するぞ、順次着艦〕
〔〔「了解!」〕〕
ともかく、被害状況を確認しなければ。
艦内では、至る所に焼け焦げたような跡があり、負傷者の呻きが響いていた。
「救護班!!こっちにも負傷者いるぞ!!」
「頑張れよ!もうすぐ助かるからな!!頑張れ!!」
衛生科の兵士が慌しく動き回る。止血などの応急手当を急ピッチで進めていた。
「戻ったか…」
帰還した俺たちを出迎えたのは艦長だった。
「艦長!!一体これは…」
オズマ隊長が艦長に詰め寄る。一体何が。そんな思いだった。
「…してやられたよ。敵の狙いは、最初からこちらの戦力を削ぐことだったようだ。艦内に内通者がいたようで、格納庫や武器庫に放火された。幸い武器庫の火災はすぐに鎮火して引火はさけたが、武器としては使い物にならん。それに機体の方は手が回らんで、破壊されてしまった。挙句工作員との戦闘で我らの整備兵やクルーも負傷している。唯一の救いは二次災害で大規模な爆発が起きなかった点だな。…だが、いずれにせよ当分出撃はできないだろう。」
格納庫から覗く武器庫の中は悲惨で、火元は激しく焼かれ、ミサイルや銃弾には消火用の合成粉末が撒き散らされていた。
「そんな、敵はまだ僕達への攻撃を諦めてない可能性も高いのに…」
「せめてメサイアを固定砲台にでもできればよかったんだが、それも難しい…か」
格納庫は重苦しい空気が立ち込めていた。燃料の焼けた臭い。かすかに残る炎の熱。漂う負傷者のうめき。そのすべてが訴えかけてくる。
まだ、戦争は終わって居ないのだと。
「うろたえるな!機体が無いからなんだ?そんなもの、統合軍からかっぱらってくりゃ良い。それが出来ねえなら、銃をとれ。アイランドの中で戦え。今度の敵はゼントラーディーでもヴァジュラでも無い、人間だ。」
隊長の活が飛ぶ。
「相手が人間なら、こっちが負けるはずはねぇんだ。ヴァジュラ戦役を潜り抜けた、俺たちならな」
少しずつ皆の目に光が宿る。負傷したクルーや疲れ切った衛生兵も、隊長の活に聞き入っている。
「男なら、へこたれねぇでしゃんとしろ、いいな!!」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
格納庫に、男たちの声が響いた。