幻想御手を調べて数日後。
俺は、久しぶりのパトロールをしていた。みんなが、幻想御手を調べている中、申し訳ない気がしたが。
今は、自分がやるべき事をやろうと思い。パトロールしていると、電話がかかってきた。
電話番号を見ると、それは、警備員である黄泉川からだった。
正直面倒くさいし嫌な予感しかしなかった。
「はいはーいこちら、玲ですが、先生から電話なんてめずらしいですね、何かあったんですか?」
「めずらしいか……確かに、私からかけるなんてめずらしいじゃん」
「で、何の用っすか?別に、メールでも、良かったんじゃないっすか?」」
「ちょっと伝えたい事があって電話したんじゃん」
「伝えたい事?」
黄泉川から、伝えたい事なんてはっきり言って嫌な予感しかしなかった。
昔、電話された時は、ちょっとこっちに来るじゃーんと言われ、行ってみたら、黄泉川は酔っていて3時間も愚痴を聞かされたのだ。それから、俺は黄泉川から電話がかかってくるといつも覚悟して電話を出るのだ。
「坂城玲!!」
「はっはい!」
突然大声で呼ばれ、電話越しなのに背すじを伸ばしてしまった。
「これにて、ジャッジメントの補充要員としての任務を終了するじゃん!」
「えっああ、はい」
「じゃあ、私から支部のみんなへ、連絡しとくから玲は、もう家に帰るなり自由に過ごすじゃんよー」
電話が切れた。俺は、突然の解任通知に戸惑っていた。
解任かぁ〜ということはもう支部に通わなくてもいいのか。そう考えると、楽でいいなぁ〜俺は、歩きながら今後の予定を考えていた。
これから、どうするかな。あれ、俺ってジャッジメントをやる前何してたっけ。真剣にジャッジメントをやる前の事を思い出す。
そうだ、あの、ラノベの新巻買ってなかったな。思い出し、本屋に向かう。
んっあれは、ふと、ケーキ屋が目に入った。確かに、あれって初春が欲しかった幻のショートケーキじゃないか!しかも残り1個だと!やばいな早く初春に買ってやらないと、この前初春にクッキー貰った貸しがあるしなぁ。俺は、急いでケーキ屋に入りケーキを買う。
「初春よろこぶだろうなぁこのケーキみたら」
初春がよろこぶ姿を想像しながら支部へ向かう。
……はっ俺は、もう解任されてんだった!
やばいな、俺は支部で仕事をしすぎて支部へ行くのが当たり前になっているようだ。
自分の社畜っぷりにショックを受けていると、前から声が聞こえた。
「あー玲さん」
前を見ると、佐天が手を振って俺の事を呼んでいた。
「どうしたんですか?こんな所で、ってあっ!これ初春が欲しがってたケーキじゃないですか、もしかして、初春にプレゼントですか?」
「ああ、プレゼントしようと思ったんだけど、ちょっと色々あってな」
俺も、佐天のマシンガントークにも、慣れたものだ。
この夏休みの間に俺は、支部で仕事をこなしていたせいか。女性への耐性がかなりついた最初は、初春にも、キョドッていた俺が、今では、こんなに普通に会話している。
「それは、興味深いですねぇ」
「実はさ、俺ジャッジメントの補充要員を解任されてさ、ちょっと白井達に会いにくくなちゃって」
「へぇ〜そんなことが、でも、別に会えばいいじゃないですか」
「いや、ジャッジメントを辞めた訳だし、支部に行くのは申し訳ないだろ?」
「そんな事言ったら私なんて、ジャッジメントでも、ないですよ!」
「もしかして玲さんは、私達の関係は仕事だけだったんですか!?」
「そんなことない!!」
俺は、はっきりと否定した。この夏休みの間俺はみんなと過ごした日々が本当に楽しかったからだ。
「だったらいいじゃないですか」
「へっ?」
「ジャッジメントなんか関係無しに会いに行けば、いいじゃないですか。みんなもそう思ってますよ。みんな玲さんの事が好きですし…あっへんな意味じゃ無いですよ!友達としてですからね!!」
「そこまで言われると傷つくんだが」
「まぁいいじゃ無いですか」
笑いながら言われた。いや結構心に傷が深くついてるよ。
「とっとにかく初春に会いに行きましょう!初春は、今木山先生のところにいるらしいし」
「木山先生って事は、幻想御手か?」
「多分そうだと思います」
「じゃあ差し入れついでに行くか」
「はいっ」
俺たちは、ケーキ屋に戻りケーキを人数分買ってバスに乗った。
信号待ちの時、窓をぼーっと見ていると一台の赤いスポーツカーが目に入った。
普通の乗用車ばかりだったので、あれは目立つなぁと考えていると、信号が変わりバスが進む。
この時、気づいてしまった。その青いスポーツカーに木山春生が乗っていたことを。
助手席に初春を拘束して運転しているところを。
その光景を見てしまい、俺は、硬直してしまった。
何故、木山が初春を拘束しているんだ?
木山は、どこに向かっているんだ?
木山とは、何者何だ?
様々な考えがよぎった。だが、その考えを1つの呼びかけが、俺を現実に戻させた。
「れ…さん…玲さん!!」
「どうしたんだ」
「どうしたんだじゃありませんよ、急にぼーっとしてたんで何か、考え事でも、してたんですか?」
バスが止まるようだ。。この次が木山の研究室に一番近いが今は、とにかくやるべき事がある。
「佐天、ジャッジメントと警備員に連絡をしてくれ」
「何かあったんですか?」
「初春が木山に攫われた」
佐天の顔がみるみるうちに青くなっていった。
「嘘…それって本当なんですか!?」
「ああ、だから俺は、今から木山を追うから連絡を」
「いやです!!」
それは、はっきりとした拒否だった。
「もう、何も出来ないのは嫌なんです」
弱々しい口調で佐天が言っている。
「話は終わってないだろ、佐天の仕事は何だ?…初春を助けることじゃないだろ」
「でもっ!」
「帰ってきた。初春を暖かく迎えることだろ初春の親友は、佐天しか居ないんだからさ」
そこで、佐天の顔つきが変わった。どうやら、わかってくれたようだ。
「そうでしたね。親友である私が初春を迎えなきゃいけなかったな…玲さん。ごめんなさい」
「いやもういいんだ。だから、連絡を頼むな」
「わっかりました。だから、玲さん!初春のこと」
「分かってる!!」
最後まで、聞く前に俺は、すぐにバスから出た。
多分ここから、全力疾走したところで、木山に追いつくわけがない。
だが、このバス停の近くには、あいつがいる。俺は、走ってあいつがいるパン屋に来ていた。
急いで、パン屋に入る。
「何や玲くんやないのー」
パンを並べながら、俺に言ってきた。こっちは、大変だと言うのに、ムカつく。
そして、エセ関西弁の男本名は俺も知らん不思議な男青髪ピアスがいた。
「ちょっと来い!!」
「何で、僕バイト中なんやけど」
「女の子の為でもか?」
そう言った途端、青ピの顔が変わった。
「話、聞いてええか?」
「とにかく今は、バイクに乗せてくれ!!」
「分かった。いいでぇ」
そう言って青ピは、バイトをばっくれた。女の子の為ならこいつは、何処にでも行くだろう。
バイクに乗ってスポーツカーが通った道路を走っている中、聞いてきた。
「で、何で女の子を助けることにこれが繋がるん?」
「女の子が攫われてたんだ、だから助けるためにな」
「ふーんで、今走ってるんだけど何処に行きゃあいいの?」
「ちょっと待っててくれ」
バイクに乗りながら、電話をかける。器用なものだ。
「白井か?」
「わたくしですわ、玲さん!」
すぐに、白井が反応した。
「初春が何処に行ったか分かるか?」
「多分、木山春生は高速道路に向かっていますの」
「そうか、ありがとう」
そう言って電話を切った。
「青ピ、高速道路だ!!」
「わかったでー」
俺たちは、バイクを加速させ高速道路に向かっていった。