マギの世界に転生?したようです。   作:フお

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11:風邪の朝

 

【アリババ】

 

 

「アレェ……、モルジアナ、アマカ今日見てない?」

 

一人で鍛錬中のモルジアナに話しかける。手足に重りをつけ汗を流しているが…あれめちゃくちゃ重いんだろうな……。

 

「……何故ですか?」

「いや、謝りにいきたいことがあるんだけど…、今日姿が見えないんだよな」

「仕事場には」

「ああ、なんか…ジャーファルさんいたんだけど今日は休みだからって、……でも休みとか関係なくアマカって仕事場にいるんじゃなかったっけ?」

 

ジャーファルさんはまだお怒りのようだったし、今日見ると口元を小さく怪我しているのがわかった。やっぱり何かあったんじゃないだろうか。

 

「……アマカさんが仕事場に居ないあのは珍しいですよね、……部屋には行きましたか」

「いや、今からだけどさ。朝っぱらだから寝てるのかなぁって思って、行きづらいだろ」

「ああ、なるほど。…、私も一緒に行きましょう」

「ええっ?!なんでモルジアナが?あ、いやありがたいけどさ」

「少し待ってください片付けますから」

「えっ、あっうん」

 

…………、と、なんでかモルジアナも一緒に行くことになった。

 

「…………まぁいいか」

 

大勢で行きすぎるのもそれはまた駄目だが、モルジアナなら大丈夫だろう。ちらっと聞いたけどアマカはモルジアナがお気に入りのようだったし。

 

「行きましょう」

「ああ、準備早かったな」

「そうですか?」

 

行こうか、とアマカの部屋に向かい出す。

朝のこの空気はすごく好きだな、と思いながら見回す。天気もいいし、シンドリアはほんといいところだ。

 

「……あの、アリババさん」

「なんだ?」

「四人でお話しした時、私が来る前何かありましたか」

「えっ?四人て、アラジンとアマカと、俺らで話した時?」

「そうです」

 

なんでそんな事を聞くんだろうと思いつつ、記憶を探る。何かしてたっけ、なんか笑ってて……

 

「ああそうだ、アラジンがアマカと握手したとか言って俺らも握手したりしてたんだよ、男同士でなにやってんだろうなー、可愛い女性としたほうが有意義、」

「…………、」

「えっあっいやなんでもないわ」

「……そうですか、……ありがとうございます」

「へ?何々どういう事だよ」

「いえ、別になんでもないです」

「え、えー?」

 

どう見ても何かあるようだったが俺にはさっぱりわからない。

そのままぽつぽつ会話を続けながらアマカの部屋に行く。結局意味はわからなかったけど、まぁ、俺は知らなくていいんだろうと考えを放棄した。

 

……アマカ、起きててくれるといいんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アマカ〜、」

「…………寝てるんでしょうか?」

「どうだろう、おあっ?」

 

扉には鍵がひっかかることなく、簡単に開けられてしまった。

 

「…………、アマカー、居るのか〜?」

「……アマカさーん」

 

半分隙間を開けて呼んでみる。

 

「あっ今中で返事が」

「エッ?返事聞こえた?」

 

こくんと頷くモルジアナ。耳良いよな……。

あと、なんかわたわたしてねぇ?

 

「あ、あの、中入りましょう!」

「えっ?入っていいって??」

「いや、そうではなくて、」

 

と、言い終わるか否かでモルジアナがずんずん入ってしまう。

俺も中に入ると俺たちの過ごす部屋より少し狭くらいだろうか、それくらいの部屋があった。俺たちは三人で使ってるから一人ならこれくらいの広さで十分なんだろう。

 

「え、っと」

「アマカさん!」

 

モルジアナがそのままベットに駆け寄る。

 

なんだなんだと思うが、ベットに行くまでの間に点々とアマカの服が落ちていた。

……素っ裸とかじゃないよな。

というか……、あまり生活感のない部屋だ。

 

「アリババさん、来てください!」

「な、なんだ?」

「すごい熱です!」

「えぇ!?」

 

駆け寄ると確かにいつもの色白の顔は何処へやら、真っ赤な顔で具合悪そうにしているアマカがいた。

アマカの口が動いてモルジアナがそれを見逃さない、聞き逃さない?いやそれは今どっちでもいい。

 

「あ、あの私水くんできます!」

「ああ、お、俺誰か呼んでくるよ!」

 

えっと、ここから一番近くに絶対いるだろって人は…………、

 

ああ、よし、行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャーファルさん!!」

「えっ、ど、どうしたんですかアリババくん、そんな慌てて」

「はぁっ、いや、あの、アマカがっ…、」

「………アマカが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

【モルジアナ】

 

 

「アマカさん、お水です、飲めますか……、ゆっくり起きてください」

 

そっと背中に手を回して起こす、熱くて軽い背中だと思った。

 

「……、大丈夫ですか、今アリババさんが人を呼びに行ってくれますから」

 

ボソボソとアマカさんの口が開く。かすかに聞こえる声は喉が痛くて全く喋れないようだった。

 

『モルさんごめん、結構しんどくて』

「はい、かなり熱がありますから」

『うん……、なんか帰ってきてからしんどいなって、思ってたけど……、急にここまで酷くなるなんて……』

「疲れてたんですよ……」

『……かな。体調には気をつけてたんだけど』

「……アマカさんしんどくてねれないんですか」

『……うん、ごめん、なんかしんどいし寝たいんだけど……ねれないんだ』

「……何かしてほしいことはありますか」

『…、手を握ってて』

「え?あの、……アマカさんは握手など苦手では……」

『……苦手だけど、モルさんなら大丈夫だよ……』

 

布団の中から細い手が出てきてそれを両手で握りしめる。

……熱で、あまり意識がはっきりしてないように見える。

 

「……アマカさん、貴方は潔癖性やスキンシップが苦手では、ないんじゃないですか……?」

『……なんで?……すごく、苦手さ……』

 

熱で目を開けるのも辛そうなのに、喋ることを止めることも嫌そうだった。

なんとなく、今聞くしかないと思う。

 

「…………アマカさん、それは、男性に限るんでしょう?」

 

考えていたことを話す。

意識が曖昧な今話すのはなんとなく卑怯でもある気がしたけど、すごく気になっていたことだった。

アマカさんの瞳が少し開かれて、そのまま固まったように見える。

 

「…………あ、いや、私が勝手に言ってる事です、気にしないでください。しんどければ寝てくださって、」

『なんでわかったの……』

 

両手の中でアマカさんの手が震えた気がする。

……やっぱりそうなんだ。

 

「一緒に過ごす内に違和感があると思って…、アマカさんはマスルールさんも、避けていたでしょう、それで…」

『……そんな、僕、わかりやすいかなぁ……、』

「あ…、いえ私は、それもだったんですが、……四人で話してた日がありましたよね、あの時、アマカさんが飛びついてきた時……、少し震えてたのがわかって…」

『……そっか、気をつけてたけどな……ばれたのは…、モルさんが初めてだ……』

「…………何故ですか?男性が苦手ならそうと、」

『……最初は別の理由でね、黙ってたけど……、モルさん、男が、男を怖いって、どう思う………?』

「え?……それは、人それぞれ色々ありますから……」

『僕はね…、すごく、カッコ悪いなって……、思うんだ……』

「ど、どうして……」

 

わからない。男の人が男の人を怖がったらいけないなんて誰かが言ったのだろうか。

 

……言ってもきっと、誰も、そんなことでアマカさんをカッコ悪いだなんて思わないわ。

 

『……、ここには、男が怖い奴なんて、居ないよ……皆、かっこいいんだ…………』

「そんな事…、アマカさんも、」

『………こんな見た目だからね……男らしくありたいよ……』

「……っ、」

 

確かに、最初見た時アマカさんは男性か女性かはよくわからなかった。けれどきっと、小柄なせいもあり、男性よりは女性に見られることの方が多いのだろう。

 

『……疲れちゃった……、』

「あっ、だ、大丈夫ですか?!すいません長い会話を、」

『……つきあわせてごめんねモルさん……、もう……、しんどくて……』

「……えっ、アマカさん?!アマカさん大丈夫ですか?!」

 

これは、まずいんじゃないだろうか。

寝たというよりはあまりの辛さに意識を失ったような、

 

「だっ、誰か!!誰か来てください、アマカさんが!」

 

掴んでいた手を離して思わず外へ飛び出すと、

 

「どうしたんです?!アマカは今どうなんですか!」

「あっジャーファルさ、」

 

ジャーファルさんに声をかけようとすると中へ入ってしまいすぐ追いかける。

 

「ジャーファルさん他の医療の方は!」

「いまアリババくんが行っていますもうすぐ来ると思うのですが、」

「いまさっき気を失ったみたいで、」

「これは、…ひどい熱だ、なんでこんな、くそっ」

 

と、ジャーファルさんが何かを取り出す。

 

「そ、それは?」

「薬です。時々疲れのせいか熱が出てしまうんですよ、ヤムライハに作ってもらった解熱剤です。即効性があるので一応と思って持ってきましたが正解でした」

「そ、そうですか、それはよかった」

「ですがこれはここまで酷いと一時的なので医療の者がきたらすぐ診てもらわないと……、アマカ、すいません起きてください!」

 

ペシペシとアマカさんの頬を何度か叩く。

薄っすらと意識が戻ったようだった。

 

『あれ…………なんで…………、どうなって……』

 

小さく動いて微かに聞こえる声を通訳したほうがいいかな、と口を開きかける、

 

「薬ですよ、飲めますか?」

『……喉が痛いよ』

「それは我慢して!一粒だけです!」

 

あれっ、聞こえてるのかな、

 

「モルジアナすいません水をください」

「あ、はい!」

「ありがとう」

「あ、あの、アマカさん声……」

「え?ああ、聞こえてますよ。誰かさんが時々ごにょごにょ言うせいで耳が良くなってしまったようで」

「え?はぁ、?」

 

よくはわからないが、2人の中だけでの何かがあるのだろう。

というか私は何をすればいいのか、水、水持ってこよう!

 

「っ、アマカ飲みなさい、治るものも治らないですよ」

 

水を運んできて、ジャーファルさんの後ろでアマカさんの様子を見る。

ぐったりとしていて、……大丈夫なのだろうか。水も口の端から流れてしまっている。

 

「はぁ、しょうがない……、」

「え?」

 

ジャーファルさんがそう言うといきなり解熱剤を自分の口に放り込み、水も含もうとす、る、

はたと思い至る。この行動は。

……、ええええ、口うつ、し、?!

フッと脳内を横切るのは男性が嫌いだとわかったときのアマカさんの反応だ。意識はないけど、ないだろうけど、

 

「あっあ、ジャーファルさん、アマカさん男性がその、」

「?、ああ、しってますよ」

 

ジャーファルさんが少し振り返って笑顔を見せる。

 

「ですが、私は大丈夫なんです。アマカは私に対しては大丈夫なんですよ」

「えっえっ?!」

 

どういうことかもわからずに、ジャーファルさんは水を口の中に含めそのまま…、

 

…………こくん、

 

と、飲み込む音がして、ああ飲んだのかと安心なのと、ジャーファルさんが覆いかぶさるようにしておこなったものだから、直接は見てないものの、見てはいけないものを見てしまったような、な、なんて表現すればいいんだろう。

 

「……、よし、これで少しは大丈夫、でしょう……、はぁぁ」

「よ、よかった…です…」

 

う、うんよかった。

けど色々インパクトが強すぎる。でも緊急だから…………緊急だから普通なんだ、緊急時に知っている男性同士が、くっ、ちづけをしただけであって…………。

 

考えるのをやめよう。

 

「……、うん、やっぱりヤムライハはすごいな、一時的でもかなり熱が下がる」

 

と、ジャーファルさんが少し脇によって私にも見なさいと促す。近づくとぐったりはしているものの、顔の赤さが少し引いたアマカさんがいた。

 

「はぁ、あとはアリババくんを待つだけです。……アマカにはこの機会を利用して沢山休んでもらいましょう……」

 

疲れた、とジャーファルさんが壁にもたれる。今よく見るとよれよれとしていて、全体的にボロボロだった。だいぶ慌てたみたいだ。

 

「あ、の……二人はどんな関係……」

 

ついぽろっと出てしまって、聞かなければよかったと思う。

ジャーファルさんがキョトンとしていた。

 

「そうですね……」

 

ふふっとひとつ笑いが漏れて、

 

「………、親と子ですかね」

 

そう、言われた。

表現のしようがない、淡白な笑みで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあとすぐに医療の方が来て、ついでに言うといろんな人がわーぎゃーと寄ってたかって部屋に集まった。何故か話が大きくなってアマカさんんが死にかけてる!(嘘でもない)が広がって顔面蒼白のシンドバットさんや、八人将の大人である方々が訳も分からず子に尽くすような慌てぶりを見せてくれた。

 

「…………、すごいな」

「はい」

 

アリババさんが隣に来てそういった。アラジンはシンドバットさんと仲良く顔面蒼白になっている。

 

「……前に、アマカが子供みたいに付いて回った、とかお兄さんみたな、とか言ってたけど、確かにこれは、そんな感じだったんだろうなって思うな」

 

はははとアリババさんが笑う。ドラコーンさんなどごつい方々もちらりと覗きに来たりして本当に親戚の人が集まってるようだった。

 

「……ここまでくると、小さい王子様みたいだなぁ、」

「はい、そうですね……」

 

アマカさんも色々抱えているようだったけれど、これなら大丈夫そう。

 

 

 

 

 

「あ、ところでアマカ薬飲めたんだな、さっき医療の人が処置してたけど熱はある程度引いたのになかなか飲んでくれなかったんだよ。『なんかやったら飲んでくれた』とか言ってたジャーファルさんすげぇな」

「…………えっ、あっ、はい!す、すごくすごいと思います!み、見事な技でした!!」

「…………どうしたモルジアナ……?」

 

 

まさか、……言えるわけもない。

 

 

 

 

 

 

 





ジャーファルさんのホモ疑惑が止まらない……!!
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