マギの世界に転生?したようです。   作:フお

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12:鈴を手に

 

 

目が覚めたらお祭りでも始まってるのかと思った。

みんな僕を心配して駆けつけたと聞いた時はありがとうと思ったが、アマカが死んだって聞いて、と聞いた時は僕一時的に死んだことになってたのかとか複雑な感じにもなった。

 

最終的にみんながあまりにうるさいから、冷静陣、主にジャーファルさんだけど、の何人かが狭い僕の部屋からみんなを追い出してくれた。

 

 

「また昼にはきますからゆっくり寝ててください」

 

ジャーファルさんに声をかけられ、ああまだ朝だったのかとやっと気がついた。

 

まだ身体は辛く何もできないが何人かが交代で見てくれるそうだ。何から何まで申し訳ない。

 

「あの、アマカさん」

『……何?』

 

そういえば、と、曖昧だがモルさんと喋ったのを思い出す。

 

「………ええと、記憶大丈夫ですか?けっこう意識が朦朧としてたのでは……」

『……大丈夫。モルさんと話したの覚えてるよ、』

「あ、そ、そうですか。…、その後の記憶は……?」

『後……?いや……何かあったの…?』

「い、いえ!!何も!!何もないです!!」

『……そう』

 

モルさんが両手を上げて首を横に振る。勢いがありすぎて見てて面白かったが、そろそろだめだ、

 

『……おやすみ』

「えっ?」

 

眠たくて、まぶたが重い。

体は辛かったけれど睡眠欲が強い。

目を閉じる。

 

「アマカ寝ましたね、あとは他のものに任せて私達はそれぞれ仕事をしましょう。何より風邪が移ったらだめですしね」

「あ、はい」

 

ジャーファルさんとモルさんの声。

 

「ぼくまだいるよぉ」

「おいこらアラジン、お前がいたら休むむどころか話し込むだろ」

「ううぅ」

「モルジアナ、行こう。ゆっくり休んでもらおうぜ」

 

アラジンふてくされてたりするのかな、ちょっと見てみたい。

モルさんが頷いて去るのがなんとなくわかった。

 

「では、私も」

 

みんなが出て行き、あとはジャーファルさんだけかな、という状況になった。静かだ。

 

「…………アマカ、聞こえてるんでしょう」

『……、わかりますか、聞こえてます』

「あ、いえ、喋らなくていいんですよ、聞いてるだけでいいです」

 

少しだけ頷いて目をつぶったままジャーファルさんの声を聞く。

 

「体調がしっかり良くなるまで休んでください。病人に動かれてもあれですしね。まぁそこまでバカだとは思ってませんが…念のため。あと、しんどくなったら、これを。鈴です、これを鳴らしたらいいですからね、側に誰かしら付いているようにするので気がついてくれるはずです」

 

ジャーファルさんに手を取り出される。冷たい手がいつもよりずっと気持ちいい。

そのまま手の中に鈴を握らされカラカラ鳴る音がした。

 

「……無理をしないよ、うっ?!どうしたんですか、」

 

鈴と一緒にジャーファルさんの手も握るとなぜか凄く驚いたようで、ジャーファルさんの手がびくっと跳ねた。

思わず笑ってしまう。

 

「……思ってるより元気そうですね、」

 

なんか皮肉めいてる。

 

さっきからぼやぼやして、ふわふわしてきているのだが、これは朦朧とするってことなんだろうか。

 

『________』

 

「………え?」

 

何か、呟いた気もするけど……。

それは、あまりに小さくて、曖昧ななにかで、僕にさえわからない言葉になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

【ジャーファル】

 

 

「…………、」

 

…………なんか、最近ずっと振り回されすぎでは?

いや、よく考えたら出会った時点で十分振り回されてる。

 

でも今日は酷すぎる。一向に仕事が捗らないし、ぼーっとして頭ぶつけたりするし、集中力はもちろん続かないし…………。

 

「…………歳のせいだ、そうに違いない…」

 

溜息が出た。

25にもなって、こんな事になるとは思ってもなかった。

 

『________』

 

「……ああ!もちろん聞き取れたとも!!」

 

ダンッッ!!と、机を叩くと2、3個山の書類がバサバサと崩れた。

…、手はジンジンするし片付けが増えた。何してんだ私は。

 

「あんな…………不意にズル…………」

 

と、プルプル肩を震わせてたらぽろっと落ちたものが目に入る。

薬だ。

 

「……ぐあああああああ!!!!!」

 

体の内側が焼けただれそうに熱い!!

 

なんで、あんな事をした?!冷静になれば他にも方法が…………っ、どう転んでもあれがきっと早かっただろうし、緊急とあっては仕方なかったんだ。

 

…………。

 

ひとつ、心から安心したのは、結局飲み移した記憶がアマカになかった事だろう。

逆に心配なのは……、いやそんなに言うことでもないか。モルジアナはきっと言わないだろう。アマカの事について何故かよく知ってたようだし。

 

「…………あれっ、」

 

てかよく考えろ。

私はなにをぎゃあぎゃあと言ってるんだ?男が緊急時だから男に薬を飲ませた、それ以下でも以上でもないだろう?

そう、つまり息子を助けたような感じなんだ。

 

確かに……確かに、初めて見たときも、きに、気になったみたいなあれはあったけど、けれど、だけれどだな。

 

あの時とは全く違う!あの時は知らなかったんだから、ちょっとの気の迷いは許されたけれど…………、もう今は違うだろう!!

十分アマカを知っているし、短い間でしたがみんなで子育てをするようなそんな風な感じにさえなって、私は、私みたいなのが、アマカの親のような気分に浸って…………。

 

「……はっ、なんだそれ」

 

自嘲気味に笑ってしまう。

 

何度も、可愛くて愛しくて守ってあげたいと思って、これが子を思う気持ちなんだろうと、思った。

…、ちゃんと考えたことは無かったけれど、私みたいな奴が、親の気持ちのつもりでいたのか。

 

…、でも。

 

 

『うわああああ!』

『アマカ!』

 

 

泣き喚くアマカを思い出す。

疲れ、憔悴したような、諦めた表情で泣くアマカを思い出す。

 

ああ…………。

 

 

「…………、私は何を…、」

 

アマカは男だ。

 

何を言ってるんださっきから、本当に疲れている。そういえば私はいつから寝ていない?昨日は寝ていない、その前は……数時間は寝たはずだ。いや、その前だったか…。

 

「睡眠が足りないのか……」

 

そうに違いないが仕事は山。

 

「〜〜〜っ!くそっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、ひぃ…、あれはどこからどう見ても悪の化身……!」

「……先輩手伝ってあげたらどうすか」

「お前が行けよ!!」

 

「あれはちょっとやばいのでは…、」

「うおっスパルトスなんでここに」

 

「なんか面白いことしてるのかなって引っ張ってきちゃったてへ」

「ピスティも、……お前もかよ」

 

「お前とはなに?!ヤムライハって名前があるんですけど!!!」

「なんだようるせぇよ!!!」

 

「ちょっと先輩、ジャーファルさんに見つかりました」

 

「「「えっ」」」

 

 

 

扉の向こうでギャアギャアギャアギャア、

 

「聞こえてますよッッッ!!」

「逃げろっ!!」

 

 

 

 

 

はぁ、逃げ足は速い。こっちは徹夜した体なんだぞ……。

 

 

「ジャーファルさん大変そうだね、僕ここら辺のしごと、かたづけますねー」

「ああ、ありがとうございます、たすかり、」

 

…………、

 

 

…、

 

 

 

「何してんですかコラァッッッッ?!?!?」

「あばっ?!」

 

まだ顔の赤いアマカが何故かいた。いつ入ったのかわからないが、いつの間にやら椅子に座って仕分けをしている。

 

「あなっ、あっ、何してんですか?!あなた今日の朝倒れて死にそうになってたんですよ?!」

「ちょ…、ジャーファルさんそんな叫ばれたら頭に響くよやめて…」

「あなたが言わせてんでしょうがぁ?!!」

 

駆け寄って椅子を引きアマカの腕を掴む。

 

「部屋に戻りますよ!」

「やめてよジャーファルさん〜へんたい〜〜」

「へっ?!違いますよ!!」

 

ぱっと腕を離してしまってアマカがふらふらとよたつく。

 

「あっちょ、あなたそんなふらふらで、」

「しごとしないと、」

「何を言って、」

 

ふらふらと机に近づいて椅子に座ると黙々と仕事をやり始める。顔も真っ赤だし、触った腕は布越しでもわかるほど熱かった。

息も荒く、目の前がちゃんと見えてるのかわからないほどぽわっとした瞳で書類をこなしてゆく。

 

仕事をする機械のようだ。

 

ゴクッと、喉が鳴る。

 

「…、アマカ…、アマカ!!」

「っ、え?何ですか、」

 

仕事をしたいのに邪魔をしないでくれと、迷惑そうな顔をしていた。熱が今もまだ高いのだろう、あまり周りが見えていないように見える。

 

「ゆっくり休みなさいと言ったでしょう、こんな、こんな状態で仕事はしなくていいんです」

「…………」

「部屋に戻りましょう」

 

精一杯優しく言った。

わかってもらえるように、膝を下り目線を合わせ、アマカの書類を持った手をつかみ止める。

 

「…………アマカ?」

 

返事もなく、不思議に思って見ていると、アマカの手を掴んでいた私の手が持って行かれ、アマカの紅潮させたままの頬と私の手の甲とをピトッと触れさせた。

思考が停止する。

ただわかるのは、熱くて、柔らか、い、っ、

 

「わー冷たぁ〜きもちー、ふっ、ふふ、ふははは!」

「……………………っは」

 

目の奥がカッとなって全身に熱が走り、グワングワンと揺れる頭を押さえた。

溶けるような笑顔をしたアマカが、すりすりと私の手に触れる。その様子は無邪気な子供のようで。

 

「ふはっひははは!はは、は?ジャーファルさん顔、あかっ!」

「えっ?!はぁ?!誰のせいだと!!?」

 

調子が狂う。アマカはこんな風に笑わないし、いつもどこか、どんな時でも、気怠げなのは知っている。最近は表情豊かになりつつあるが、基本的にアマカは表情に感情があまりでない。マスルールの…、すこし表情が柔らかいバージョンだろうか?

たらたら思考が長引く。現実が理解出来ずにいるからか。

 

目を合わすのも、手を引っ込めるのもあれで、どうしようもできずに横目でアマカをみる。

 

「っ!」

 

視線が合う。いつから見ていた、

 

「誰のせいなの?」

 

ケタケタ笑う声が止まって、そんな事を聞いてくる。

視線はあったまま、すりっ、と手の甲にアマカの頬の熱を感じてぞわぞわとした。

 

「誰、のって…」

 

"赤くなってるのは、アマカのせいだ"…………、とか言うのはどうなんだ?アレッ?!

既に失言を…っ?!

 

「ふっ、ふふふ!」

 

また笑う。

 

「ちょ、ちょっとアマカほんとおかしいですよ、熱上がってるんじゃないですか?!」

 

おろおろするしか出来ない。なんて扱いづらいのだろう。酔っ払いを扱っているようだ。

 

「ぼくはー、ぼく、ふっ、ふふふ僕だってさ、ふふふ、はぁ〜〜、笑った、しごとしよ」

「…………、は?」

 

ぱっと手を離され解放される。そのままアマカは書類に目を向けると仕事をおっ始める。

 

「〜〜〜っ、アマカ!!もう限界です無理やり連れて行きますから!!」

「なん、どわっ!!」

 

ガタンッと椅子が倒れ書類も数枚落ちたがそのままにする。

 

「ちょ、おろして」

「何言ってんですか!!病人は黙ってなさい!!」

「え、えー」

 

アマカを抱えたまま部屋を出る、もう暗い、夕方だ。

案外アマカは暴れることもなく抱えられるままになっている。

 

「……、休むときは休んでください」

「…………」

「…どうせあなたの事です仕事をしなければここに居られないとでも、思っていたんでしょう?」

「え、?あ、えっと…」

「最初は何もわからず必死で生きるためにやっていたんだろうというのはわかります。私もあなたが王の部下になる時側にいたんですから」

「……、」

「ですが、今はもう心配することはないでしょう?みんなアマカを慕っていますよ、それこそ家族のように。……自分でもわかってるんじゃないですか?」

「…、わかってるよ、でもねジャーファルさん、そうじゃないんだ…」

 

階段に足をかけて、アマカの雰囲気が変わったことに気がつく。

視線を下ろし表情を見ると、哀しそうな顔をしたアマカが。顔が赤いままなものだから泣きそうにも見えて内心焦る。

 

「……ど、うしたんですか?そんなに、私達は信用が出来、」

「違うっ!それは違う!僕は、……、仕事をしないと、ここに居ていいっていう、安心が…得られなく、て……、」

「だからそれは、」

「……僕はいつもここにいない。僕はみんなに、必要とされないと……、」

「……馬鹿じゃないですか」

 

ああ、ただの馬鹿だ。

呆れてスタスタ歩く。さっさと部屋に行こう。弱ったアマカから話を聞けたのは収穫だが、これ以上はあほらしい。

 

アマカは考えすぎだ。

ここにいる者は、確かに色々と辛い過去なんかを持った者が集まっているけれど、基本的には馬鹿なのだ。

馬鹿の光に集まった、馬鹿ばっかりなんだ。

私を含めて。

 

「……アマカも馬鹿になれば良いんですよ、だれもあなたが仕事をしないからといって見捨てたりしませんから」

「…………、」

 

ちらっと見るとアマカが大人しく頷くのが見えた。

健康な時なら色々な反論が起こりそうなものだが、やっぱり弱っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アマカ、部屋です立てますか」

「…………なんか辛いので運んでくれますか」

「え?…、仕方ないですね、はいりますよ」

 

少し前にアマカの部屋と意識してから変に入り辛くなった。いや、なぜ意識せねばならないんだとも思う。でも心臓は勝手に煩くなるのだから仕方ない、アマカにそれを気付かれないようさっさと寝かさないと。

 

「ふぅ、よし、寝なさい。……と言うよりあなた本当にこっそり抜け出したんですね……、すぐ戻って来なかったら大騒ぎですよ…」

 

近くで通りかかった者がものすごい慌てぶりでアマカを探していたのに出くわした時は気の毒だった。

 

ベットに薬もついでに飲ませて寝かす。するとアマカがシャルルカンなどがよくする悪い顔をする。

 

「……抜け出すの、簡単だったよ」

「…………いや、馬鹿じゃないですか」

 

呆れてため息をつく。

鈴が近くに落ちていて、拾い上げる。

 

「…………、」

 

鈴を握らしてまたからかわれるのはちょっと…、あれだな。

 

「ここ置いときますよ」

 

手を伸ばせば届く位置に置く事にした。これが一番いいだろう。

 

「…………なんで?」

「え?」

「手、」

「は?」

「すず、」

「…………取れるでしょう自分で!」

「取れないよ、しんどいよー」

「…っ、なんだかんだ結構元気そうですね?!全く!」

 

でもまぁ、朝本当に喋れなかったとは思えない。回復度が半端じゃない、のか?それか馬鹿は早く回復するのかもしれない。

後者の方がありえそうだ。

 

鈴をアマカに握らすためにアマカの手をとる。…………汗がでそうだった。

 

「…、ハイ!ウッ!」

「アハハ」

 

素早く手を離そうとしたのにそれを上回るスピードで掴まれた。

……元気じゃないですか……。

 

「ちょっと、離してください」

「一緒にいようよ」

 

…?

 

「なん、」

「…、目がさめたとき、誰もいないのが寂しかったんだ…」

「……、」

「朝…、あんなに居たのに…、ふあんに…なって……」

「……アマカ」

「……眠い」

「…ほんと仕事以外は自由ですね……」

 

少し気が抜ける。

眠そうな顔のまま喋る、口は動くようだ。

 

「……怖い夢も見たんだ」

「…どんな夢ですか」

 

少し、アマカの手が震えた。

 

「…、誰かが、ぼくのかおに迫ってきたんだ…!」

 

……………………、ん?

 

「…わからなくて、怖かったんだ、けど…、からだがうごかなくてね…?」

「え、っと、顔に迫る、とは、」

「…わからないの?」

 

…わかります。

 

「でもさぁ、どう見ても…男だったけど……、おわったあと、」

「あ、あと、?」

「…、やじゃなかったんだ…それが変にこわくて……」

「や、じゃなかったんですか」

「…ホモじゃないよ、ゆめだし…、でもぼく男の子だし夢なら……おんなのこだったら良かったのにね…、」

「そう、ですね」

「…なんか、ジャーファルさんの手ぬくくなってきた?」

「えっ、それは、あアマカが握ってるからですよ」

「……そっか、それはそうだね……」

「…寝ていいんですよ」

「…………うん、」

 

もう限界だ、というようにスゥ、と一つ寝息が聞こえた。薬も飲まずにウロウロしていたのだからかなりしんどかっただろう。薬が効くのが早いのもそれのせいじゃないかと思う。

 

「…………手、」

 

どうしよう。

 

そう、夢、偶然じゃ、ないよな。

 

 

 

 

 

「どうしよう……」

 

さっきから握られた手が熱くてじんじんする。

心臓は勝手に早く早く波を打ちはじめる。

 

「…………ハァ」

 

本当に、自分の気持ちがわけがわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 





鯉じゃよ。


(主人公なかなか女ってばれません、アホばっかですね)
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