マギの世界に転生?したようです。   作:フお

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13:日の登る前

 

【アマカ】

 

…………。

 

「ジャーファルさーん、」

 

スヤスヤ眠るジャーファルさんが居た。

空は薄暗く、まだ日の登っていない朝方だとわかる。

 

「…んんっ?んっ、…………、」

 

喉は全く痛くないし、体は…少し怠いだろうか?だけどこれは昨日あまり食べずに熱があったからとかそんな理由だろう、食事もすればどうにかなりそうだ。

 

だとしても。

異常な回復力じゃないだろうか?風邪を引いたのは記憶をなくして初めてだから、知らなかったが、体質なんだろうか。

 

「…………、というかジャーファルさんなんでいるの、ジャーファルさん?」

 

すぅすぅ寝息が聞こえる。

ボサボサの髪が腕にかかってこそばゆい。

僕の手を覆うようにして寝ているもんだから、僕も動けない。

 

「……、いっか、朝だもんな」

 

うんうんと頷いてから、近くに食べ物を見つけたのでそれを口にした。遠くに置かれてなくてよかった。

 

「んむっ?」

 

もぐもぐしながら右手、ジャーファルさんが被さってる方の手の中に鈴があることに気がついた。カラカラと小さく鳴る。

 

「あれっ……、んっ、なんか一回部屋出た気がするけど……夢か」

 

どうだっただろう、曖昧でよくわからない。

 

ごくっと(りんごだった)、を飲み込んで何しようかなと思う。

暇だし朝だし。誰もいない、いやジャーファルさんはいるけど。

 

「…………疲れてるのかなー」

 

すやすや寝ちゃって。

…………。

 

ちょっと寝顔みていたずらするくらいならいいのでは。

 

「…………ふふっ、しつれーい」

 

ジャーファルさんを起こさないように、髪と腕を少し避ける。

 

寝顔はというと。

 

「…………、ほぉ、なんか、かわいらしいですね」

 

ジャーファルさん、肌白いし、童顔だし。寝てると人形みたいだな。

 

スリスリ頬を触る。

…………へぇぇこんな感じなんだ。

 

「…………んん、」

「うおっすいませ、」

 

…………すぅすぅ。

 

いや、どれだけだ。

もしかしたら夜通し診てくれてたのかもしれないとはたと気がつく。

 

「……そんな気もする」

 

ジャーファルさんだし。お母さん的存在だしなぁ、お母さんというものは子の側に居てくれる人だと知っている。

 

僕も、なくした記憶の中には、こんな思い出があるのかもしれない。

 

…………、じゃあ、僕の家族は、今……。

 

「……ジャーファルさん、ありがとう」

 

考えるのはやめた。今はこの人達について行きたい。

今僕の思う、知っている家族はこの人達だ。

大好きなんだ。

 

もぞっ、とジャーファルさんが動く。見えていた顔が見えなくなって少し残念に思う。

すると、くくっと喉の鳴る音がした。

 

「……、ふ、ふふっ、」

「……ありゃ」

 

楽しそうに、笑っているじゃないか。

 

「なんだぁ〜、どんな夢ですか、」

 

王さまを叱る夢だったりして。

 

「……マカ、」

 

…………まか、アマカ?…………僕か??

 

「……ふふっ、」

 

また一つ楽しそうに笑うと寝息が聞こえてきた。

はぁー、ジャーファルさんでも寝言いうんだな。

 

惜しいことをした、どんな表情だったんだろ、う?

 

「ちょ、」

 

もぞもぞ、さっきから動かれてこそばゆいっていうのに!

 

手の上に被さっていたジャーファルさんの少し大きな手が僕の手を触る。

 

そわそわそわー、

 

「う、ぁぁ、ちょ、ぞわぞわす、」

 

するっ、と指と指の間に冷たい細いものが絡まる。

 

キュッ、と締まって、ジャーファルさんに握られているんだなーっと理解が、なんていうかやっと追いついた。

 

「……ちょっと、僕これ知ってますよジャーファルさん、恋人つなぎってやつでしょう?もー、おませさんですねぇ……」

 

掌の上で、カラカラと響きの少ない鈴の音がした。

 

「……」

 

空は少し明るくなり、鳥の鳴く声がする。

 

キュ、キュ、と何度か握り締められて、その度にビクッと反応してしまう。

ジャーファルさんの髪の毛に触れると、ふわふわしていた。撫でるとサラサラとした。

こんな感じなんだな。

 

「…はぁ…どうしてそう、」

 

何も言葉が出なくなってしまい、謎の喉の苦しさと、胸の辺りをきゅうきゅうと締め付けられた、それは、これは…………、

 

 

カラカラと鈴が鳴る。

 

なんでもない音だったはずのものが、何故だか今は鳴るたびに…、愛しく思えてしょうがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

【ジャーファル】

 

「っ、ん?」

 

眩しさに驚いて思わず目を瞑ってしまう。

 

手をかざしてゆっくりと徐々に慣らして、見慣れない部屋に驚き立ち上が、

 

「いだだだっ?!」

「あー、やっぱ体バッキバキでしょう、何回か起こしたけど起きないし、僕をせめないでね」

 

ハッとして、目の前にアマカがいることにやっと気がつく。

 

ここは、そうかアマカの部屋か。

 

「あ、アマカ大丈夫ですか!?」

「うん、それが治ったみたいで……」

「そんなわけがないでしょう!!あなた昨日そんな感じでフラフラ、」

「えっ、フラフラなに、やっぱ僕仕事行ってた?!」

「…………記憶ないんですか?!」

「えっ、やっ、ありますけど曖昧なだけです!」

「な、ナルホド、……」

「えっ、え?!なんですかその感じ、僕、なんか変なこととか言ってました?!」

「えっ、そんな、別に何も……ない、ですよ?」

「あるんですね?!!なんですか?!!ちょっと!!」

 

起きて早々こんな総論を始めるとは思ってなかった。

喉がガラガラしてくる。

ちょっとアマカの反応が面白くて遊んでしまう。

 

「いや、ただ私は、貴方が……」

「えっ…………、」

 

真剣に不安そう、というのはなんだか変だがその通りだった。ちょっとかわいそう、だろうか。

 

「うん、ごめんなさい何も聞いてませんよ、冗談です」

「なんですかそれ!!!やめてよバカッッ!!!!」

「あーもう、はいはい。貴方が元気そうで何よりですよ、というか、寝なさい」

 

キョトンとアマカの顔が見える。

 

「なんで?僕元気、」

「あんな熱で今日元気とかおかしいですよ、まぁ本当でも今日くらい休んでください…………、ていうか、今何時ですか」

 

話してる途中から思い至って冷や汗が湧き出てきた。

 

「昼です。僕はご飯食べ終わって、医者にも診てもらって大丈夫っていう太鼓判ももらいました」

 

へへんっ、と自慢げにそういうアマカ。

 

「…………す、すいません、ちょっと、…………。嘘……?!」

 

風邪が治ったというのも意味わからないけれど、今が昼っていうのも意味がわからない。

 

私は、ずっと寝てたっていうのか!!

 

「あの、ジャーファルさん?」

「あ、あ、いや、」

「………、ジャーファルさんの分の仕事なら終わらせましたが」

「あ、…………、はぁ?!」

「やりましたよ、朝からなんか凄く集中できてあっっ、という間に終わりました」

 

…………いや、どんな、そういう、あなた病み上がりで…………、私は何をして…………、

 

パクパク口が動くだけで喉から声が出ない。

 

アマカが、いたずらっこの様な笑みを覗かせた。

 

「というかさー、ジャーファルさんこそさぁ?ゆっくりやすんだらどうなのかなー、そんな疲れて寝るくらいならさー。ねぇ、ジャーファルさん?」

「っく、」

 

ニヤニヤと責め立てられてるようだ。

くそっ、体調管理がなってなかった。言い訳をさせてもらえれば王の所為だし、目の前の奴の所為だと言いたい。

 

ん?とやっと部屋に注意を向けられて、机の上に山になった書類を見る。

 

「…ここでやってたんですか?」

「え?うん?」

 

なんで?という顔をする。

 

「……え?だってジャーファルさんさんが言ったんですよ、『ここに居て〜』って、覚えてないんですか?」

「…………っっはぁ?!?」

 

喉がガラガラでむせてしまう。私はそんなこと言ったのか?!

 

「なん、そんなわけ、というかそれはあなたのほう…、」

「…………、え、僕そんな事言ったんですか」

「えっあっ、いえこれは別に」

 

慌ててもごもご口ごもる。

これはちょっとアマカもアマカで恥ずかしいんじゃないだろうかと思って、え、お?

 

「あー…、はぁ…なるほど、だから居たんですね。なんかすいません」

「え……いえ」

 

申し訳なさそうにアマカがそう言い、ぺこりと頭を下げた。

 

「風邪、きをつけます」

「え?あ、はい。そうしてください」

「ああ、で。王様が呼んでいましたよ、起きたらでいいからって言われたんで、じゃ、言いましたからね」

「あ、ああはい、なんか、すいませんねアマカ」

 

アマカはまた椅子に座りなおすと、仕事をし始める。

 

「あ!そうだ、なんか皇帝国がどうのこうの言ってたんではやくいったほうがいいかもしれませんね」

「え!!ちょ、あのそれを早く言ってください!!」

「ああもう、早く行ってくださいよお母さんじゃないんですから」

 

しっしとアマカが追い出す仕草をする。

わちゃわちゃした身なりをささっと直して部屋を出る、

 

「……アマカ、あの、寝癖ついてますよ?」

 

気になっていた事を言った。なんか前横髪がぴょんと跳ねている。

 

「え?!うそ!!そんなの誰も言ってくれな、ちょ、どこですか!」

 

ばばばっと慌てて髪をとぐアマカ。なおってないですよ。

いやというか行かないと、

 

「どこというか、横!鏡で見てください!じゃあ私行きますからほんとに!おじゃましました!!」

「ちょーーー!」

 

いや、それくらい自分でなおしなさい。

 

 

 

 

で。

 

昨日の夜から爆睡して。

幾分か頭が回るようになった気がする。

…………。

寝ている時一度、泣いている声が聞こえた気がしたけれど…、夢か気のせいか。

まぁいい、それよりも今日寝たぶんしっかりと働こう。

 

 

このあと王の場所へ行き呼んでいないと言われアマカの仕事をするための嘘と気がついた後、やっと日常に戻るのだった。

 

 

 

 

「アマカーー!!!どこですか!!嘘をつかなくてもいいでしょうがぁぁ!!」

 

「うわっ、ばれた!」

 

「あっ!?にげるな!!おいこら待ちなさい!!アマカーーー!!」

 

 

 

 





⚠︎ここに来てですが、本編の内容が少し前後します。
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