マギの世界に転生?したようです。 作:フお
「へぇ…、ここが」
潮の香りに包まれ、風が吹く中。眼前には広大な土地が。
「なんか、あんまりいい雰囲気ではないね」
「だなぁ」
肌に伝わるのはピリピリとしたもの。
僕は煌に来ていた。
「アマカ、じっとしとけよ〜」
「……シャルルカンに言われたらおしまいだ…………」
「えっ、何その絶望顔……」
「ところで、マギがいるんだっけ」
「…。ああいるよ」
どんな奴なのか、それは話を聞く限りいい奴ではないのはわかっていた。
アラジンやアリババくんの敵、といっていい存在だろう。
「おい、スパルトスが降りる準備しろだってよ」
「はーい」
景色から目を離してシャルルカンを追う。
「なぁ、お前なんで来たんだ?」
「え?いやぁ、見てみたいなって。どんな世界かなーみたいな」
「へぇ」
「僕こう見えて自分の過去も気になっているからあばっ!」
前に居たシャルルカンが急に立ち止まって鼻をぶつける。
「なーにーちょっとー」
「お前がそんなこというとは思わなかった」
「えぇ?」
振り返ったシャルルカンの瞳がしっかり僕を捉えた。久々に目を見た気がする。
「うん、そりゃ気になるよな、自分のこと。アマカの事わかってなかったのかなー俺」
と、そんな一言を置いて背中を向け歩き出す。
「……他人の事を完全にわかるなんてできないって事くらい、知ってるはずだけど」
なんだか、シャルルカンが変だな。
いや…………、
「ここ最近、ずっと変だよシャルルカン。どーしたのさ」
声を上げる。
振り向くシャルルカンの顔はいたって普通の表情。
「何言ってんだよ?早く行くぞ」
そう言った。笑いながら。
「…僕を騙すにはまだ下手だ」
いったいどれだけ僕が付きまとったと思ってるんだ。
「なんか言ったかー?」
「いいや何もー?」
ーーーーー
「広ッッッ!!」
正直、八人将というわけでもなくあまり重要な場所にいる必要のない僕はぷらぷらしていた。
「庭すごいな……えーと、ふうりゅう?なのかな」
「誰ですの?」
「んっ?」
振り返る。後ろに黒髪の女の子が立っていた。一人だ。服装からして結構偉いのではないだろうか、という事は。
「初めまして。シンドリアから参りました事務官のアマカと申します。失礼は承知なのですが、貴女は…?」
姫君。であろう方に膝をつく。
「私は紅玉よ、顔を上げて、そんなにかしこまらなくていいわ」
紅玉!
アラジンの、バルバットでの話の中に出てきた姫は、この方か、と顔を上げる。
少し困った顔をしていた。
なんだか少し、イメージと違う。
「えーと、アマカはここで何をしているの?」
「少し、宮内の見学、を」
「見学……?」
小首を傾げる。シンドリアの何でもないただの事務官がこんなとこでぶらつくのはいささかおかしい。それに気づいて違和感を覚えたのだろう。
「見学……つまり暇ってことかしら。少しついてきてくれない?」
「えっ?」
「こっそり行きたいところがあるのだけど…、一人じゃ周りが見えないでしょ?」
???、とはてなが浮かぶ。
どういう事か掴めない。
「さ!いくわよ!!」
「えっえっあの」
腕を掴まれ引っ張られていく。元来た道を逆走していき、最終的についた場所は王さまの居る場所だった。
王さま達のいる部屋の裏側と言うのだろうか。狭く暗い廊下内はひんやりとしている。
「あなたは向こうを見てて。誰か来たら教えて頂戴」
「は、はい」
影に隠れて何かを見つめる紅玉ひめ。
ぽやーっとした顔は可愛らしい。
…、成る程。王さまの女たらしがここまでとは。国内で見慣れたものの、こうして王さまに夢中になってる人を見るのは珍しく感じた。
〜〜。〜〜〜!
ーーーー。
「ん、?」
声が。
奥の暗闇から小さく声が聞こえた。
紅玉ひめを見ると夢中で気づいていないようだ。そろりと、声のした方へ向かう事にする。
奥へと進み、右へ曲がると薄く明かりが見えた。影がゆらゆらと揺れている。
「〜〜〜、で、なるほど、そうしま、…………」
ピタリと声がやむ。足を止め、引き返すべきかと一瞬思案した瞬間、口元を塞がれた。
全身が一瞬で凍ったような錯覚。ゆだんしていて気がつかなかった。
「盗み聞きとはいい趣味してんなぁ」
「んむっ」
強制的に顔を上げさせられ、相手の顔が見える。
渦巻く黒い瞳に挑戦的に歪んだ口元。
マギだ。
マギのジュダル。
「ふん、なんだお前、なーんか変な感じだな…、」
「誰かいるのですか」
声が響く。
「あー俺だよ煌帝国のマギ様だよ」
ふてぶてしくそう答えると同時、ジュダルから解放され背中へと回される。
襖のカタンと開く音がした。
「……何をしているのですか」
「よぉ、紅玉が来てたからついて来てたんだよ面白いことすんのかなーって。別に面白いこと無かったけどな」
「……はぁ、紅玉は何を」
「さぁ?」
ジュダルの影に隠れてしまっているのか、向こうにいる相手は僕の事について何も言わない。気づいていない。
「……あなたも早く何処かへ行ってください」
「へーへー、わかってますよ紅明さまぁ〜」
「……」
おちょくるジュダル、ジュダルの向こうにいる相手はなかなか我慢強い人だと思う、というか紅明?
カタンと閉まる音がする。
同時、振り向いたジュダルが僕の顎に手を置き顔を無理やり上げさす。
「ちょ、離、」
「……気持ち悪りぃ」
「は?」
眉が歪み、表現できない表情をし、そして楽しそうに笑う。
「面白い。来い」
「あ、な、」
手を掴まれて引っ張られる。
今までのどんな手よりも力強く有無を言わせないという雰囲気があった。
何をする気なんだと、恐怖が。簡単に踏み入ってしまった自分に嫌悪が。
ああ、掴まれている部分が、
気持ち悪い!!
「んぁ?!」
我慢が出来ず、バシぃ!!と手を弾く。得意な弾く魔法を腕に集中して使った。
常人なら吹っ飛ぶかもしれないような強さで。
ボルグを張ったのだろう、ジュダルにはなんのダメージもないようだった。
まだ掴まれている感触が残っている。腕がかすかに震えた。我慢だ。
「なんだぁ?」
「やめてください。横暴が過ぎます」
「んー、せっかくちょっとかばってやったのになー」
ジュダルの視線を追う。後ろにはゾッとする程の冷たさを持つ瞳が。
「何をしてるのですか」
声すらも冷たく。
けれど、どこかジャーファルさんに似ていると思った。
「紅明怒ってるー、俺しーらね」
「あ、待ちなさ、〜〜っ、はぁ。そこの貴方。来なさい」
ジュダルは風のように一瞬で何処かへと迎えって姿が見えなくなってしまった。
振り向き、ひとつため息をつく姿にやはりジャーファルさんが重なる。
だが紅の男性の特徴なのか、有無を言わせない圧力はジュダルと同じものだった。
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だいぶ話が前後しています。
シンドバット達の大まかな行動が
バルバット→紅→シンドリア
から、
バルバット→シンドリア→紅
になってます。
本編通りじゃなくてごちゃっとしてしまってますね申し訳ありません。
それとかなり更新が遅くなってしまいました重ね重ね申し訳ないです。