マギの世界に転生?したようです。   作:フお

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第4話

 

なんでと、涙がこぼれてしまった。

 

「どうしてこんな…」

 

医者も男達も、気を失い倒れていた。建物を出て、来た道とは別の小さな路地に入った。こんな気持ちであの賑わいに戻りたくはない。

ただ落ち着きが欲しかったのに。

 

路地の奥は、家があった。どうやらこっちもあの医者の経営するところだったようで、中をちらりと伺うと薬のようなものがいくつか見えた。

普通に引き返すか、と思った時、もっと奥に、カラスがいるのが見えた。

なんとなく、何も考えずに進んだら、

まさか死体があるとは。

 

女性のしたいだ。これは、あれか、看護師さんとかそういう人たちか。

血が、すごい。何より子供の体も混じっていたし、女性が多かった。

乱雑に、ゴミのように積まれたそれを見て、もしかしたらと思う。

僕のような目にあって、殺されてる人も混じってるのではないか、とか。

 

 

僕は、今日、何度目かわからない気絶をした。

 

もう、どうでも良くなってきていた。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ゆらゆらー

ふわふわ〜、

 

体がゆっくり揺れる。

 

「ーーーー」

 

ふわふわだ、ゆらゆらだ。きもちいーなー。

 

「ーーー?!ーーーー!」

「ーー!ーーーー!!」

 

なんか…なんか聞こえる。

 

「〜〜?!ーーー!」

 

そんな叫ばないで…。落ち着こうよ……。カリカリしてたら損だよ損…。

 

「〜〜〜!!〜〜〜〜!!」

 

あれ、あれあれ、

 

「ーーアマカ、ーー〜〜!」

 

あれっ僕の名前。

なんか僕の名前言ってる。

 

起きないと……、

もう、起きないと…、

そうだ僕はアマカだ。

 

ああ思い出してきた。思い出してきちゃったな…、

 

やだな、目を開けてあの男たちが居たら嫌だ。

怖い。

目を開けたくない。

 

「〜〜〜!!」

 

感覚もじわじわ戻ってきて、自分の呼吸音がだんだんはっきりしてくる。

次第に周りの雑音も入ってくるが、心に余裕ができず、内容が入ってこない。

 

い、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ、

 

怖い!!

 

「大丈夫ですか!」

 

「アマカ!!」

 

目を開けて、ジャーファルさんがいて、後ろには見たことのない人達がわんさかいて、王さまもいた。

 

「大丈夫ですか!ゆっくり、落ち着いて息をして!!」

「えっ、はっはぁっ、はぁ……」

 

苦しっ!

過、呼吸になってる。

というか辺りがもう薄暗い。今さっき日が沈んだような感じだった。変な明るさが残っている。

 

「はぁっ……、はー…、あの、」

「あ、あー落ち着きましたか、ほんと、本当によかった!」

「なんで僕浮いてるんですか」

「え?」

 

僕はプカプカ浮いていた、というか、あれっ。

 

「あ、やっと気がついた」

「わっ、美人…」

「えっ?!びびび美人?!美しい人?!って言った君本当に?!」

 

あっ…、なんか雰囲気美人だったかもしれない。

ジャーファルさんが目の前にいたので気がつかなかったけど、僕はどうやら水色の髪をもつ…うん、顔、美人。美人の人に抱えられていた。

 

「あ、そちらの方はヤムライハ、魔法を使えるんです」

「えっ、まほう」

 

立てるからと言って立たせてもらい、杖に乗った魔法使いというものを目の当たりにする。すごい。

 

「アマカくんっていうのよね、ヤムライハですよろしく」

「あっよろしくお願いします」

 

ヤムライハさんが杖から降りて自己紹介。僕もペコッとお辞儀して、そのまま何かがのしかかった。

 

「私ピスティ!アマカくんっていうんだよね、大丈夫?!」

「え、えっとはい。ご心配すいません、ピスティ、さん?」

「いいんだよ、いいんだよ〜、ぜーんぶジャーファルさんのせいだからね〜」

 

ね〜といいながら、離して貰うと金髪の子供……、子供?子供の見た目の女の子が。でもなんかお姉さん……ぽい。人がいた。ジャーファルさんの方を見ている。

 

「あっいや本当にすいません、アマカ。私がしっかり確認をとれば……」

 

ジャーファルさんが本当に深刻な顔をして謝ってくる。周りがそれをやじる。

やっと気がつくが、あの医療所とは別の場所にいた。お城がすぐ後ろにある。

あの医療所はあの辺りかなと、目線をやるが、心臓がどくどくいってしまう。

 

男のふり……、身を守る、為…、

 

思う、あの血まみれた人達を思い出して。自分の身は自分で守らないといけない。

 

医療所のあたりを見ていたが、体がどくどくと波打ち冷や汗のようなものが流れる。見ないほうがいいと判断して三人に顔を向けた。

 

「あの。あれからどうなったんでしょうか」

「あ、それは私が」

 

とジャーファルさんが説明をしてくれた。

 

一番に発見してくれたのはヤムライハさんとピスティさんだったらしい。どうやら空を飛んでて(空を飛ぶって…と思ったがピスティさんは鳥に乗れるそうだ)、僕を見つけてくれたらしい。

したいは地上からじゃないと見えない位置だったそうで、僕を助ける際見つけて大騒ぎだったみたいだ。

それから何故か気を失った男たち、いやそれだけじゃなく骨や内臓もやばかったらしいんだけど、そのボロボロの男たちは捕まったそうだ。重い刑に処されるみたいだ。死刑かな。

あと最初犯人として僕が見られたらしい(いや見た目のせいかそれはないんじゃないかという人の方が多かったみたいだ)が、運良く男たちの一人が目を覚まし、僕を恐れ(ここがよくわからない)洗いざらい吐いたようだ。

 

 

 

「…こんな感じでしょうか。すいません本当に、あの医者はつい最近まで腕は確かだと、いわれて私も確認済みだったのですが……、注意不足です」

「本当だよ!ジャーファルさんらしくないなぁ!!アマカ君もやられちゃってたらどうするの!」

 

そうだそうだとぎゃーわーピスティさんとヤムライハさんが僕の両隣でジャーファルさんを非難する。

ジャーファルさんはちっちゃくなっている。

しっかりした見た目だし雰囲気もだけど、やっぱちゃんとした人なんだろうなぁ。そんな人がちっちゃくなってるのはちょっと可愛く見えた。

 

「やぁ、具合は大丈夫かアマカ」

「あ、王さま…、ハイ、まぁ、なんとか」

「そうかそうかそれは良かった、ジャーファルがすまなかったな。いつもはこんな奴じゃないんだが、調子が悪かったようだ。が、それはそれだ焼くなり煮るなりしていいぞ」

「え?あ、ははぁ、?」

 

ちらっと、ジャーファルさんに目を向ける。

 

「やりますか」

「やっ、やらないっ!」

 

あんまり悲しそうな顔していうものだから本気っぽかった。ブンブン首を振る。

というか敬語……、じゃないほうが今しっくりきた。

 

「…………」

「どうしたアマカ」

「あ、いやなんでも……」

「具合が悪いなら休んでいいぞ、あとで聞きたいことがある」

「え?あ、今でも、大丈夫です」

 

ざわざわと辺りが賑わう中、深刻な顔をしている皆。

なんだ。

 

「男たちをやったのは君か」

「…どういうことですか」

「男たちが君に吹き飛ばされたと言っていた。どういう事かよくわからないから本人に確認を取ろうと、な」

「僕…、」

 

思い出す、嫌な記憶も同時に思い出されたが、あれの感覚はまだ覚えている。

 

「なんだか、変な感じがして、何かが僕の中で爆発したみたいな、……」

「爆発?」

「わ、わからない、です。僕が今わかることは、何もない……」

 

記憶がないんだから。

 

沈黙が流れる。

遠くのざわめきが沈黙を際立たせているようだった。

 

「…、行こう。君については私が預かる。皆も戻っていいぞ!」

 

王さまの一言で解散となったようで人が散る。

ピスティさんとヤムライハさんは僕と一緒にいてくれると言っていたが王さまの男同士がいいこともあるとの言葉で渋々引いてくれた。

 

王さまの部屋、(なんか急展開というか流れに身を任せてたらこんな事になちゃってるというか)に行くことになった。

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「でだな」

「あ、はい」

 

王さまが席につくと王さまが王さまらしい雰囲気を醸し出す。

 

「何者だ?」

 

……、あ、僕疑われていたのか。

 

「見た所は普通……じゃないな。あまりオレンジの髪色は見たことがない。記憶がないのも本当か?」

「それはっ、本当です!」

「…………本当だと言える証拠は」

「そんな、そんなもの……」

「危険な人物を野放しにはしておけない。巨漢を数人吹き飛ばしたなら、なおさら」

「わ、訳も分からないんです!なんでこんなとこにいるのか、元々どこにいたのかとか、なんであんなことができたんだろうかとか、自分が誰かとか、そんな……、僕だって知りたいんだ…」

 

王さまに疑われているのは、まずいと思った。

危険なやつだと、不審者だと、そう認識されたら、僕はどうなる?

 

……この国から、追い出されるのか?訳も分からない場所からもっと訳のわからない、危険かもしれない場所へ?

 

今日、あんな事があったのに?

 

黒い壁のような男たちを思い出して全身の熱が散る。手足は痛いほど冷たい。

 

「……、働かせてください」

 

ポツリとこぼれた。

自分でも何を言い出したんだと思ったけど、これが最善じゃないか?

 

冷たい視線の王さまを真正面から受け止める。

 

「ここで、ここで働かせてください!何も知りません、記憶を失いました。前の人生は潔く捨てます。なんだっていい、まっさらな何も知らない僕を好きに使ってくれて構わない!!」

 

だんだん熱がこもって声が震えた。

王さまの背後の窓から月が見えた。

 

「僕は男だ、なんだってする!」

 

はぁと一息。

何もないけれど、生きるための言葉みたいなものが溢れた。

死にたくない。

これ以上、訳も分からないままでいたくない。

 

「アマカ」

 

王さまに名前を呼ばれる。

 

「素性も分からないし、お前がどういったものかもわからない。だが、うん、そうだ、お前が望んだんだ。俺の部下になれ」

 

淡々としていて、わかるのに分からないという矛盾が発生する。

 

始終、王さまの側にいたジャーファルは、なんだか、優しい顔をしていた。

 

「アマカ。君にはこの城の一室を渡す。明日から基本的な勉強を受けろ、この国には沢山の知識があるぞ。まずは学べ、それから俺の役に立て」

「えっえっえ?」

「なんだ、何か不満でもあったか?」

 

王さまの緊張が解けたように、笑顔が覗く。

 

「そんな、不満なんかありません…!」

「ならよかった。安心して今日は眠れ。明日から忙しい」

「…………あの、でも僕は、もしかしたら変な力があるかもしれませんよ、普通に居ていいんですか?縛るとか拘束するとか、」

「ふはっ!っハッハッハ!いやいやしないよ。だいたい君みたいなのが一人いても、こちらは全然大丈夫。化物みたいなのが集う所だぞここは」

 

くすくすと王さまが笑う。隣でジャーファルさんが化物…、とすこしその表現に呆れ気味だった。

 

「アマカ、外にいる者に案内してもらいなさい。シンの言う通り今日は休んで」

「あ、わかっ、わかりました」

 

ジャーファルさんの、態度が少し変わった。

部下に、なったからか。

 

ゆっくりと王さまの部屋を後にする。

外はもう暗く、下を、街を見下ろすと、赤々と輝く灯たちが揺れていた。

 

「綺麗だ」

 

月を見上げる。

記憶を無くしたけれど、言葉を、感情を、そんなものまで忘れなくてよかったと、心から思った。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「王よ、いいのですか」

「何がだ」

「アマカです。吹き飛ばされた男たちを見ましたがあれは、人のなせるものではなかったですよ」

「ああそうだな。でも見ただろ」

「…………は、?」

「女みたいなやつだと思ったが、男らしく、自分の出来ることを模索して、この国の王である俺に部下にしろと言ってきた。充分じゃないか」

「……確かに、男らしくはあったように思います」

「だろ。気に入ったんだよ。男だ女だは関係なく、さっきみたあの表情とか決意した感じとかな。それに、アマカ、可愛いしな」

「……王よ、見境なしはやめていただきたい」

「いや、さすがに男を食う趣味はないけどな!まさかないぞ!冗談だから!そんな冷たい目やめて?!」

 

 




ハイペース更新中!きゃー!
いけるとこまで疾走します。

あの……、この物語は作者のこのキャラをこんな風にこんな感じにしてやりたい!とかいう子供の人形遊びの延長みたいなものです。深く考えることなく読んでくれると、ありがたいです……。
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