マギの世界に転生?したようです。 作:フお
「ジャーファルさん」
「……なんですか」
「あの男の子なんなんですか」
「……あの男の子とは?」
「あの、ちっこいアラジンの事!なんなんだあの子、僕、あの子苦手!!」
「……はぁ、貴方がそんな反応をするとは思いもしませんでした…」
ジャーファルさんはため息をついて仕事の手を止め僕を見下ろした。
僕はとりあえずジャーファルさんの元で、書類の山の中おとなしくする。
「あれは、あれは小さな悪魔だ……!!」
「何を言ってるんですかアマカは……」
ーーーーーー
数日前、そう、僕が仕事に埋もれ、満足な期間を過ごし終わった日だ。
満身創痍の王さま達が帰ってきた。
帰ってきたジャーファルさんは山になった仕事が減っているのを見てだいぶ驚いてくれた。正直ジャーファルさんのいない期間かなり頑張ったがここいらが僕の限界だ。と言ったら、やりすぎだと言われたので……、やりすぎなんだろう。
帰ってきた時、2人のボロボロの少年も一緒だった。
ほんとに、大丈夫だろうかと心配した。
で、あんまりにもあんまりでジャーファルさんと共に食事を用意したり色々した。
「おいしい、おいしいよお、」
まりまりまりまり!
食べ物を食べてる音じゃなかったが、そんなことはいいんだ。来た当初よりだいぶ元気になったらしい2人に安心した、のもつかの間王さまはふたりにダイエットをかせた。
「や、痩せたぜ!」
と、確かにスッキリとしたアリババくんと、
「痩せたよ!」
「やせっ、痩せてねえじゃねーか!!」
と、首周りとか痩せたアラジンが復活した。
「元気みたいで良かったねジャーファルさん」
「はい。あ、そうだアマカはまだあの二人と話したことがないでしょう」
ジャーファルさんと二人で書類を持って移動してる時だ、そんなことを言われる。
確かに、いつもジャーファルさんについていろいろ手助けをしたくらいで二人と会話をしたことがない。
「あとで自己紹介も兼ねて行ってくるかなぁ…」
「そうしなさい、あ、いや今からヤムライハのところに行ってはどうでしょう、そろそろアラジン君たちはヤムライハのもとに行くと思いますよ」
「あ、そうなんですか、じゃ、これ置いたら行ってきます。先いきますねー」
と僕より多くの書類を持ったジャーファルさんを置いて行く。
聞くところによるとマギ、というものはすごいらしい。まりまり食ってたりしてちっさい子だったが、国を救ったらしいしちゃんと話しがしたかった。あと僕はアリババくんとは歳が近そうだったし。いや実際僕の年齢はハッキリしないからわからないけども。
「キャァァァァ!!」
ヤムライハが叫び声をあげたのを聞き逃さなかった。
僕は走り、飛び込むようにして部屋の中に入った。
「ヤムライハ!?」
あっ?!
「ちょ、やめ、」
…………開いた口が、ふさがらない。
ちっちゃい男の子がヤムライハの胸にイン!だ。
「おね、おねいさぁん」
「この、〜〜〜!!!」
ジュワアアアア!!と転がるアラジン。アリババくんもアラジーーーン!と叫ぶが、どう考えても自業自得だ……。
「えっあれっアマカ」
「だ、大丈夫ヤムライハ?!」
「いや、大丈夫だけど…。なに、マギじゃなくてただのエロガキじゃない!!」
キーキーとヤムライハが怒る。
どぅーどぅーと収めつつ、アラジンとアリババくんをみる。ビショビショになったのを不思議そうにしていた。
ちょっとヤムライハの解説や自己紹介が入り、終わると、二人の視線は僕に集まった。
「……えっと、あの、貴方は食事の時の……」
「あ、思い出した!いつもジャーファルさんと一緒にいたお食事の人だね?!」
いや、違う〜、こともないか、近くも遠くもない……というかそういう認識だったのか僕は。
「僕はアマカ。ジャーファルさんの仕事を手伝ったりしてるんだ。あ、お食事の人じゃないよ。あー、っと、で。ふたりとはちゃんと話した事がなかったから来たん、」
「アマカ、おねいさん?」
アラジンが近寄ってきてどっちだろうと困惑した顔で僕を見る。やっぱり僕の性別はかなりわかりにくいようだ。
「お兄さんだね〜、僕はこう見えて男なんだ」
「そ、そうなのかい?!全然わからなかったよ、腕とか女の人みた、」
そう言いながら、アラジンが僕の手を取った時、なにかぞっとするものがあった。
思わずバシッと手を跳ね返してしまう。
「あ、っと、おいこらアラジン!そんな急に触れたらびっくりするだろ!!」
「……あっいや、ごめん、ほんと、びっくりしちゃったみたいだ!」
「いえいえ!こいつ人との距離がやけに近くて。俺アリババです」
「あ、うんよろしくアリババくん」
流れが握手をするような空気で、瞬時にアラジンの方へ話しかける。
膝をおって目線を合わせてアラジンの肩にそっと手を置く。
「いや、ほんとごめんアラジン、こんなだけど仲良くしてほしいな…」
「…、全然かまわないよ!よろしくアマカお兄さん!」
にこっと笑う顔は女の子みたいだった。
と、こんな感じで始まったわけだが。
どういう訳かこの日以来アラジンの方がやけに僕に絡むようになった
「くっ、手つなぎ鬼ってジャーファルさん知ってる?!」
「え、急になんです……。ううんそのまま手を繋ぐ鬼?ん??」
あまりわかってないらしいジャーファルさんは無視。この遊び、嫌な予感しかない。
遠くでアラジンの声が聞こえる。
「アマカおにぃーーーさーーーん!」
「あ、アマカさーん」
あっ、アリババくんも一緒に探してるのか……。
二つの声はだんだん近づいてきてるようだ。
「……行ったらどうです。あの二人と遊んできたらいいじゃないですか、いい加減働きすぎなんですから休憩がてら……」
「やですよ。僕は仕事優先です」
「いつもそう言ってるからアラジンにからまれるのでは?」
「わかりませんよ!僕も聞きたい……!僕スキンシップが激しいの苦手なの知ってるでしょう?!アラジン、なんか、スキンシップが激しいというか……」
「……アラジンスキンシップ激しかったですっけ」
「そうですよ!」
「…どんな感じなんですか?そのスキンシップ」
と、質問を受け立ち上がる。そばで筆を握ったジャーファルさんの手を掴む。
にぎにぎにぎ。
相変わらず冷たくて気持ちのいい手だ。
「…………、何してるんです」
「えっだからこんな感じで触られるっていうのを伝えようと思って」
「……、」
ジャーファルさんが僕の手を見たまま、少し考え込む。
なんだろう、と変な空気に手を離そうとしたらジャーファルさんの左手が僕の手の上に。
にぎにぎにぎ。
「…………何してるんですか?」
「スキンシップをとったんです。どうですか」
「…………いや、どうとは……。何もないです」
「じゃ、大丈夫じゃないんですか?」
「えっ?」
「今大丈夫でしょう、だから大丈夫ですよ、苦手なら克服していくまでですちょうどいいじゃないですか」
ジャーファルさんがにこーっと笑う。
「え、えー、いや、なんていうか、」
「なんていうか?」
ジャーファルさんに詰め寄られるし、手はがっちり掴まれて離れようにも離れられない。
「……なんかジャーファルさんの手は大丈夫とぃぅ……」
ごにょごにょと言ったことのなかった事をいう。
「えっなんて?ごにょごにょ言われたらわかるものもわかりません」
「なんでもないです!ジャーファルさんのなよなよした冷たい手は大丈夫なんだよばかっ!」
「な、なよなよ?!」
あれっ軽いショックを受けてる、?
するっと手が取れてそのまま窓からさらばすることにする。あのままでは最終的にアラジンと遊ぶことになりそうだった。
……僕は、子供の手は大丈夫な筈だった。アラジンに触られた以降、ダメになったんだけど。
大きく跳んで、後ろを振り返る。ジャーファルさんが見えたが、陰によって表情などよくはみえなかった。
で、すちゃっと着地して。
「……びっくりしたぁ」
「えっ、や、やぁアリババくん」
「アマカさん、えっと、どっから、というかアラジン……」
ふらふらっとアラジンを呼ぼうとしたので思わず首根っこを掴んで逃げる。
「えっちょ、アマカさん?!」
「アリババくん静かに!!アラジンに見つかる!!」
「え、ええ?!」
状況のわかってないアリババくんは無視。
アラジンの声がする場所から逃げるべく走り出す。
「よ、よし、ここまできたらそう見つからないとみた……!」
「あ、あの、どういう状況ですかコレ」
げほげほと咳き込むアリババくん。
僕らは城の裏手、滅多に人が来ない場所に来ていた。影が多いが決して薄暗くなく、風も通るしいい所だ。
「いや、アラジンがなんか苦手で……」
「えっ?なんでですか」
「僕スキンシップが苦手なんだよ、」
「すきんしっぷ?」
わからない、という顔をする。
ジャーファルさんと同じようにどんな感じかを言えば早いのかもしれないが相手はアリババくんだ。
「えーっと、なんか、触れ合う感じが……、」
「……、なんか、潔癖性みたいな感じですね」
ん!?、とこれはいいことを聞いた!
そうか、潔癖性といえばもろもろに理由をうまくつけられる。
「そう、だね。スキンシップが苦手より、潔癖性が強いのかな」
「あ、じゃ俺ともあんま触れないですね」
「あー、まぁ、そうなる、ね?」
あーそうかぁ、とアリババくんが困ったように笑う。
「あーあの、アラジンいい奴なんです。俺の方から潔癖性のこと言うので仲良くしてやってくれませんか」
…………、ぽけっとしてしまった。
「あっ手とか、清潔にするようにもします!し!!」
「……なんで、そんなに僕を構うの?他にも一緒にいて面白い人はいるよ?」
「えっ、それは、アラジンが、なんかアマカさんの事気に入ってるというか……、いやわかんない、けど、俺も、避けられてるのわかる、し」
あー、はぁ。露骨過ぎた、のか。
あれかな、素っ気なくされたらもっと気になるってやつか。アラジンも、アリババくん、はただなんでって疑問があっただけみたいだな。
「うーん、ごめんごめん、そんな事になってると思わなくて…、うん、わかった、アラジンの事はアリババくんに任せていいかな」
「あ、はい!!」
任せてください、とアリババくんが胸を張る。思わず笑ってしまう。
「……、お二人とも何をしてるんですか?」
「あ、モルさん」
モルジアナが林の中から現れてすこし驚く。
すると目の前のアリババくんがあれっと僕らを指差した。
「知り合いですか??」
「あ、そうだね。モルさんとは結構一緒に鍛錬とかしたりしてるから、知り合いだね」
と、モルさんにねーっというと一つ頷いてくれる。
かわいい。
「えっ、そうなんですか?!」
「うん、僕は一応八人将みんなの弟子、みたいな感じでマスルールと訓練する時はよくモルさんも一緒になってたから…、知らなかった?」
「知りませんよ!というか弟子だったんですか?!」
「あ、こんな態度だから弟子じゃないと思ったんだー?」
「あっうっ、そりゃ、そうでしょう…だって師匠ともなんか中良さげですし…」
「君の師匠は僕の師匠だけど、そうだなお兄さんみたいな…??」
「お兄さん?」
なんだそれとアリババくんが首をひねる。笑って答えようとしたらモルさんが話してくれる。
「アマカさんは私達の来る1年ほど前から居るそうですよ」
「えっ、なのにあんな、長年の仲みたいな雰囲気出せてるのか?!」
なんで?!とわたわたアリババ。
「僕ここに来る前の記憶がなくてね、ジャーファルさんに浜辺で助けてもらったんだけど、それ以来ほんと四六時中付いて回ってたからね」
「付いて?」
「そうそう、小さい子供って親にべったりくっついてるでしょ、僕がそれだったんだよ」
へぇ、とアリババくんが返事に困っている。こんな話を急にされても理解できないか。
「二人とも座ってお話ししようよ、君らのことも僕は知りたい」
「!」
二人が顔を見合わせて、僕に笑顔を見せてくれる。
「おしゃべり大会ですね!」
「あっ、ちょっとまった。それならアラジンも一緒の方がいいかな…、明日また話しませんか」
アリババくんの提案にそれもそうか、と頷く。
明日のどれくらいにここに集まるかなど予定を軽く立て、じゃあ解散しよう、となった時気になっていたことを言った。
「アリババくん、あのさ」
「え?はいなんですか」
「その、敬語。なんで僕に敬語なの?」
「え?あっ、いや、師匠とか他の人とも凄く仲良いから、勝手に見た目よりも年上の方なのかなぁ、って、」
「なるほど!でも僕、君と同じ歳くらいだと思うよ。だから敬語は要らないよ。あっモルさんも別に使わなくても、」
と、モルさんが首を横に振る。なんとなくそんな気がした。モルさんはこれが素というか、自然なんだろう。
「えっと、じゃ、アマカ、よろしく、な?」
「ははっ、疑問系?よろしく、モルさんもね」
アラジンとはまだ、ちゃんと話したことがないけど、悪い奴じゃないのはわかっている。だいたいこの二人も人が良すぎじゃないだろうか。モルさんは天使だし……。
はぁ、僕の問題なんだよね。
明日、三人と楽しく話せたら嬉しいと思う。