マギの世界に転生?したようです。   作:フお

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7:理由

 

食事が終わって、仕事は午前中にはやり終わり僕は約束の場所に来ていた。

座り込んで建物の壁にピトッとくっつく。冷たくて気持ちいい。

 

「はぁ……」

 

昔……といってもここに来てすこしたったくらいの時期だろうか。その時はこんな風に自分の仕事でノルマ、みたいなものはなかった。時間制でお手伝いをしていた。最初こそ知らないことばかりだったけど要領よくやれば、簡単だったし僕の頭は理解をするスピードが速かった為にすぐに今みたいな「仕事やりすぎ!」的な状態になったわけだが……、

 

「あの頃が一番気兼ねなく過ごせてた気もする」

 

仕事をしないと……、

 

「アマカお兄さん!」

「アマカ!」

 

顔を上げるとアラジンとアリババくんがいた。

 

「二人とも早かったね」

「急いでご飯を食べたからね!でもアマカお兄さんの方が早かったね」

「僕も楽しみだったからだよ」

 

キョトンと、アラジンの顔。

 

「……そっか、そっかぁ!」

「そうそう」

 

ふへへへと笑いあい、アリババくんだけそわそわしてる。

 

「あの、俺、ちょっと師匠に呼ばれちゃって、アラジン連れてきたからちょっと行ってくるな!」

「えっ、わ、わかった、行ってらっしゃ〜い……」

 

手を振るがアリババくんは風のように去った。

後に残るは僕ら二人。

 

何話そうかな、とこの沈黙に耐えられずにそわそわする。さっきのアリババくんのようだ。

 

「あー、モルさんはまだちょっと遅くなるんだっけ?」

「そうみたいだね!後でみんなでわいわいしようねぇ、あ、隣いいかい?」

「あ、うんいいよ、どーぞ、」

 

アラジンが座るだろう場所から数センチの距離を開ける。

 

「ごめんねアマカお兄さん」

 

と、隣に座ったアラジンがそう口を開く。

 

「ぼくアマカお兄さんが触られるのが嫌なの知らなかったんだ」

「いや、それは僕も言ってなかったからね、……今日からちょっとずつ仲良くなろうよ」

「……うん!」

 

えへへと笑うアラジン。かわいいな……。

 

で。

アラジンにいろいろ話したし、いろいろ話しを聞いた。

砂漠越えやダンジョンのこと、楽しい話もあった。バルバットの事も、聞いた。正直あまりいい話ではなかったけれど、みんなが頑張って今ここにいるという事に、良かったと思う。

 

話に区切りがついて、結構経ったんじゃないかな、と思う。

まだ二人はこないなぁとぼぉっと意識を手放しかけた時、ちょんちょんと腕に何か触った。

 

「……えっ?!何々」

「布越しなら大丈夫かなぁって」

 

布を一枚腕にきつけたアラジンが僕の腕をつついていた。

 

「ね、ね!どうだい?!」

「ちょ、まっ!くすぐったい!あはは!」

「あ!もちろんこの布も綺麗さ!」

 

ツンツン触られて笑い声が出る。

アラジンもなんか楽しそう……。

 

「ちょ、ちょっとアラジン!そうだ僕君に聞きたいことがあったんだよ」

「えっ?」

 

なんだいと首を傾げるアラジン。おいこらツンツンするのやめて。

 

「あの……なんで僕にちょっかい出すの?」

「ちょっかい?」

「あーっと、なんかさ、触れることが、すごく多くなかった?」

「……、うん、アマカお兄さんには言ったほうがいいよね、あのね、」

「う、うん?」

「……ヤムさんのところで自己紹介をしたでしょう?その時、ぼく、アマカお兄さんに触った時変な感じがしたんだ」

「変な、感じ?」

 

アラジンが握っていた布をとって座り直す。僕も座り直してアラジンの言葉を聞く。

 

「なんか、表現の出来ない、不安?みたいなもの、かなぁ……」

「ん?んん?……僕にはよくわからないな……」

「うん、ぼくも」

 

アラジンの不思議な青い瞳と視線が合う。

深い青色の瞳はゆらゆらと揺れてて、何故かすごく、眩しいものに見えた。

 

「ぼくね、その不安がなんなのか知りたかったんだ」

 

アラジンの真剣な声を聞いて、すごく納得した。

ただのスケベな子で僕が女だと知ってるんじゃないかって、ちょっと思ってたんだけど、うん、アラジンごめん…。君はいい子だよ……感動だよ……。でも第一印象が悪かった、そこのとこは君のせいでもあるから許してくれ。

 

「……、触ってみる?」

「えっ?!」

 

手を差し出してみる。

僕もこれでも結構克服してきたんだ。軽い握手なら大丈夫。……大丈夫だ。

 

「い、いいの?あっ手!綺麗だからね!」

「あはは、大丈夫大丈夫、軽く握ってね」

 

アラジンの小さな手が伸びてきて僕の手と繋がる。

……、うん、普通の、子供の手………………、じゃない、な…………。

ぐるぐるとお腹にたまる謎の黒いものと、変な焦りが冷や汗を生む。

 

「ど、どうかなアラジン」

「……うぅん……??わかんないなぁ……、今は何も感じないや……」

「そ、そっか、」

 

早く手を離したい思いと、アラジンの真剣な思いに協力をしたいという思いがごちゃごちゃになる。

 

ああ、でも、でも……。

熱くて小さな手を振りほどきたい。子供の手だと理解してるのに。なんでアラジンはだめ……、

 

 

 

 

『キャァァァァ』

『おねいさぁん』

 

ヤムライハと、ヤムライハにくっつくアラジンを思い出す。

 

そうか。

 

僕はアラジンを、子供ではなく小さな男の人だと認識しちゃったのか。

それと同時に、他の子供も同じ基準で認識して、だめになったんだ……。

 

 

 

「……ごめん、アラジンもういいかな」

「あっ!触りすぎちゃったかい?!」

 

ぱっと離れたのをみて安堵する。

アラジンは僕と握っていた手を開いて閉じてを繰り返しながらまじまじと眺めている。

 

「……ぼくの気のせいだったのかなぁ……、何も感じなかったよ……」

「はは、あの時一瞬しか触ってなかったからね」

「……、うん、まだちょっともやもやするけど、ありがとうアマカお兄さん」

「いえいえどういたしまして」

 

はぁ、終わった。握手するだけでお礼を言われるとは……、うん、僕のせいか。

 

「あっ!アリババくん!」

「あー、おかえりなさーい」

 

アラジンが素早く立ち上がってアリババくんを引き込む。三人でトライアングルのように座る。

 

「はぁー疲れた」

「で、なんだったんだい」

「なんか今日飲みに行こうって……、俺だけだと師匠の介護大変だしジャーファルさんに一緒に行かないか聞きに行ってたんだ」

「えっ、……もしやアリババくん夜に、出かけるの?」

「ふふっアラジン行きたいか?」

「行きたいッ!!」

 

アラジンの瞳がキラキラして興奮しきっている。アリババくんも悪い顔だ……。

 

「あ、それで、ジャーファルさん、乗り気じゃなかったんだけどな、今日はシンドバットさんも誘われてくるみたいだって言ったら来るって即答!」

「あぁ、ジャーファルさんは王さまの見張り役だからね……」

「ジャーファルさん大変だよな……、まぁ、師匠は俺も見るけど今日はみんなでワイワイしようぜ!!アラジン来るし、アマカは来るか?」

「……、んっ?!あ、僕?」

「そうだよ、一緒に行かないか?酔った席は確かにあれだろうけどジャーファルさんいるし、来ないか?」

 

そうだなぁと、ちょっと悩む。あとアリババくんの提案が上手い。ジャーファルさんいるし、盾にすれば大丈夫かもしれない。それに、僕もたまには…、輪の中でワイワイしたい。

 

「アマカお兄さんも行こうよ!布がいるならあげるよ!」

「えっ、あはは、布は大丈夫だよ。そんなに気にしてもらわなくても大丈夫さ、過度のスキンシップが苦手なだけだよ」

「えっ、あれっ…、握手は過度、なのかい……?」

「……、手に触れるのはアウトっていうことで」

「りょ、りょうかいしたよ!」

「あ、とりあえず僕も行くってことで」

「ヤッターーー!」

 

喜ぶアラジン、そんなに嬉しいんだろうか。いや違うな、夜のお店でお楽しむんだなこれ、……子供なのにいいんだろうか……。

 

というか潔癖だとかスキンシップとかぽんぽん嘘が出る。もう普通にばれたほうがいいんじゃないだろうか?でも男が男を怖いって……どうなんだろう。

 

「……その布、なんだ?」

 

ん?と広がった白い布にアリババくんが不思議そうな顔をする。

 

「あっ、さっきこれを使ってアマカお兄さんに触ってたんだよ!あっ、握手もしたよ!」

「えっそうなの!…、俺最初の時…………」

 

ちらっと視線が合う。

あー露骨に握手を避けたから覚えてたのかぁぁ、自然なかんじでかわして覚えてないと思ってたけど、本人が覚えてたかぁぁ。

 

…………。

 

「……よろしくしますか?」

「えっ、あ、よろしく、しようかな……」

 

アリババくんの手が出されて僕も手を出す。

 

シュバッと終わった。

 

「…………。よろしく、あの、アマカ、一瞬だったな」

「いやぁいい握手だったね」

「……、まぁ俺今清潔かと言われると汗とかあれだしなぁ……」

「…………、汚いな……」

「しょ、しょうがないだろ!夜のために走りまくってたんだ!!」

 

わーわーというアリババくんをアラジンがおさめる。笑ってしまった。

 

あと、久しぶりに男の人の手を触った気がする。

硬くてごつごつで熱くて、…………一瞬触っただけだったのに、

 

だめだな。克服してるどころか、いつのまにか酷くなってるじゃないか。

震えが…………。

 

「……、ど、どうしたアマカ?暗い顔して…、そんないやだった俺の手?」

「そういうわけじゃないよ、ちょっとびっくりして」

「え、ええ?何に……、というか今更だけど男同士で改めて握手もどうなんだろうな……」

「…………確かに」

 

なんかアホな会話と、いつのまにか三人とも立ち上がってるし、なんだこれ。

意味もわからない笑いがこみ上げてきて一緒に笑った。すると遠くで影が見えた。

 

「あっモルさぁあん!」

「あっモルさん!!!!」

 

声が吃驚するくらい出た。

アラジンとアリババくんが目を見開いて僕を見るーーー、けど僕はどうでもいい!!

 

ばっと、三人の輪から飛び出る。

そしてそのままモルさんに飛びついて抱きしめる。あーーーーー女の子だぁああちょっと硬いけど、まぁモルさんすごい力あるもんな。

 

「モルさーーん!遅いよ!男三人はむさ苦しいよ!!」

「えっえっはい、あの、いま訓練が終わって…………あのあの、離して…………」

「…………、うん、しょうがないモルさんが言うなら離れよう、」

 

ぱっと手を離して振り返るとアラジンとアリババくんが変な目で僕を見る。

 

「俺たちがだめなのにモルジアナには飛びつくとは…………お前、アラジン以上のスケベじゃないのか?!」

「ちっ、ちが、スケベじゃないよ!綺麗な女子とむさ苦しい男じゃ全然違うよ!!」

 

ぎゃーわーとアリババくんとアラジンが噛み付いてくるのでこちらも全力でいく。

 

モルさんが始終戸惑ってたけど、かわいい。

 

こんな言い合い、久しぶりじゃないだろうか。

ああ、何もかもが楽しいな。

 

「ちょっと、アマカさん落ち着いて………アリババさんも…………、アラジンも…………あのあのっ…………!!

 

 

あの、」

 

ズンッ!

 

おっとぉ、モルさんの足が地面にめり込んだ。

 

「……仲良くしてください」

 

「「「はい」」」

 

 

 

 

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