オデュッセウスから視察への同行を命じられたリョウトは【レイス】として動いていた。
今回、KMFは使わないが今後の事も考えると【レイス】として動いて部隊運用の下積みをさせる気なのだ。
リョウトは皇族専用の航空機でオデュッセウス、モニカと共に名を変えた日本「エリア11」へと向かっていた。
本来なら皇族であるオデュッセウスと同席する事は一般兵のリョウトには叶わない事だがオデュッセウスがリョウトを護衛として各地を連れ回している事は周知の事実である為に周囲は最早何も言わなくなっていた。
と言うかオデュッセウスお気に入りのリョウトに何かあれば何かした人物がオデュッセウスの怒りを受けるだろうと誰しもが分かっていた為に迂闊なマネはしなかった。
因みに今回、グランとケインは本国に残った。
「緊張……しているのかい?」
「…………そうかも知れません」
そんな中、口数が少なく静かなリョウトにオデュッセウスは語り掛け、リョウトは頷いた。
「今回視察とは言っても久々に日本……エリア11へ行くわけですから……その……」
「僕としてもリョウトを連れて行くのは不安だったんだけどねぇ……でもクロヴィスの事も心配でねぇ……」
リョウトが言い淀むがオデュッセウスも弟が心配でエリア11に来た為にそうも言ってられなかった。
「確かクロヴィス殿下は二月ほど前からエリア11の総督に着任されていましたよね?」
「うん。でも総督をするのは初めてで不安だろうから少し顔を見に行こうと思ってねぇ……」
クロヴィスの名が出た事でモニカはエリア11の総督の事を思い出す。オデュッセウスの今回の視察目的は総督に着任したばかりの弟の事を思っての事らしい。
「それにリョウトにも故郷に帰る機会を与えたかったんだけど……マイナスだったかな?」
「ご忠告させて頂くなら、リョウトの気持ちは複雑な状態になっている様ですから自由時間を与えては如何でしょう?護衛なら私が居ますし、彼は街中の視察と言う形で散歩などをさせてみては如何でしょうか?」
窓の外を見ているリョウトには聞こえないヒソヒソ話をするオデュッセウスとモニカ。普段なら聞き取れる会話だが精彩を欠いたリョウトには聞こえていなかった。
「そうだね……視察の期間は三日ほどだから一日くらいリョウトの好きにさせてあげるべきかもね」
「表向きは殿下とは別行動の視察と言う形にして……」
ヒソヒソと話し合ってリョウトの予定を決めていく二人。いきなり過保護である。
その光景は親戚思いのおじさんと弟思いの姉と言った所だろうか。
「オデュッセウス殿下、もう直ぐエリア11に到着します」
「え、あ、うん。わかったよ」
「はい。ほら、リョウト。シートベルトをしなさい」
「あ……はい」
オデュッセウスとモニカがヒソヒソと話をしている最中、部下が到着を知らせに現れる。
オデュッセウスは返事を返して、モニカはリョウトにシートベルトを取り付けた。リョウトはされるがままにモニカにシートベルトを装着して貰う。
こうしてリョウトの与り知らない所でリョウトの休暇(仮)が決定した。