やる気はあっても筆が止まる感じです
オデュッセウスのエリア11視察2日目。
リョウトは本来なら昨日会わなければならない人物と面会をしていた。
エリア11の総督クロヴィス・ラ・ブリタニアである。
「貴君がオデュッセウス兄上の直属の部下か?」
「はい。ブリタニア軍特務隊レイスの部隊長を務めさせてもらっています。リョウト・T・ヴァルトシュタインです」
総督室でオデュッセウス、モニカを交えながらの挨拶となっており、今はリョウトとクロヴィスが初の顔合わせを行っていた。
「あのナイトオブワンの義理息子か……話には聞いていたが」
「クロヴィス殿下にお見知りおき頂けるとは幸いです」
クロヴィスの発言に合わせる様に頭を下げるリョウト。その礼の仕方は見事なものだった。
リョウトはオデュッセウスに付いて回る為に挨拶回り自然と多くなる。その為にビスマルクはリョウトに徹底して礼を習わせた。最初の内はぎこちない物だったが今では見事と思わせる程の対応を見せるようになっている。
だが見知った相手には未だに砕けた口調が出るので完璧とは言いがたいが。
「兄上から話は聞いている。親交を深める為にチェスでも……と言いたいが私も兄上を連れて視察に行かねばならん。君に構う暇はなさそうだ」
「殿下、その様な顔をなさらずに。自分はオデュッセウス殿下と共に来ただけの身。殿下のスケジュールを自分に割くなど……」
クロヴィスの芝居じみた仕草に合わせるかの様にリョウトはスッと頭を下げた。この際、クロヴィスはリョウトを気にもしていなかったが、面白い奴だと小さく笑みを浮かべた。
「ウム。では手が空いたら相手をしてもらうとしよう」
そう言うとクロヴィスは立ち上がり、オデュッセウスと共に今日の視察場所へと移動を開始した。
オデュッセウスは「今日もヨロシク頼むよ」と言うとクロヴィスと共に行ってしまう。
二人が出て行った後に残されたモニカとリョウトも移動を開始した。
「何、笑ってるんですか」
「だって……さっきの面白かったんですもの」
並んで廊下を歩くリョウトとモニカだがリョウトはジト目でモニカを睨む。先程のリョウトの変わりようにモニカの笑いのツボが押された様だ。
「親父に散々厳しく言われたんですよ。皇族や貴族に失礼の無いようにしろって」
「だとしても普段のリョウトとは違いすぎたんですもの」
ガリガリと自身の頭を掻くリョウト。モニカはクスクスとまだ笑っていた。
「それにここで余計なトラブルは御免ですよ。本国に帰ってから忙しくなりそうだし」
「あら、何かあったの?」
ため息を吐くリョウトにモニカは小首を傾げた。
「昨日の晩に爺さんからメールが来てたんですよ」
「コレって……」
リョウトが持っていた携帯電話をモニカにも見えるようにモニターを動かす。そこにはグランからのメールが載っており、内容は『レイスに配属になったパイロットが増えた』『本国に帰ってきたら新型機のテストパイロットをしてもらう』との事だった。
「……大変ね」
「配属される新人の挨拶は俺とオデュッセウス殿下が本国に戻ってからで、しかもその日の内に新型機のテストだもんなぁ……」
モニカはタラリと冷や汗を流し、リョウトはハァァァと長いため息を溢すしかなかった。
「でもなんでリョウトにテストパイロットの話が来たの?他にもパイロットなら居るんでしょう?」
「なんでも今回、新型機を持って来たのが爺さんの教え子らしくてさ。グラスゴーカスタムを自在に乗り回す俺に頼みたいって申し込んできたみたい」
リョウトは携帯電話を操作してメールをスライドさせる。
「えーっと名前はロイド・アスプルンドか」
リョウトはグランの教え子だと言う人物の名を読み上げた。